≪ろ≫でし!
「老少不定」でし
分かりやすい例をばしっといくでしよ。というわけで、まず花織しゃんでし〜。
「どうもー・・・って、あたしは年寄りじゃないんだけど・・・。」
まあまあ、待つでしよ。次に南極寿星しゃんでし〜。
「離珠、何故このわしが呼ばれねば・・・」
「ああー!!そっかあ、こういうじーさんの方が長生きするって事なんだね!!」
いや花織しゃん、そういう訳じゃないんでしが・・・。
まあともかく、花織しゃんは人間だから100年もすれば死んでしまうでし。
ところが南極寿星しゃんは星神でしから、見た目がおじーしゃんでも100年たっても生きてる。
『人の死ぬ時期は一定していない』という事でし。
「またんか離珠。星神と人間を比べてどうするんじゃ。」
はっ!!そういえばそうでし!!
という訳で、しょうがないから年長者の那奈しゃんを・・・
「ふざけんなこらー!!」
わわっ!那奈しゃん。い、いつの間に!!という訳でさらばでし〜!!
「ちょっと〜、花織の出番たったこれだけなの〜!?」
「外見が年寄りってだけでわしを呼ぶとは許せん〜!!」
「あたしをなんだと思ってんだ!!!年寄りじゃないぞ〜!!!」
「蝋燭は身を減らして人を照らす」でし
「これはシャオのことだな、間違い無いよ。」
翔子しゃん・・・。確かにそうでしよねえ・・・。
「ちょっとは自分のことも考えれば良いのに、守護月天だからといって働き過ぎなんだよな。
もっと七梨に頼ればいいのにさ。」
そうでしそうでし。
「七梨もこの前言ってたんだよな。“どうして守護月天とか言って壁を作るんだ。”って。
まだまだあたしの努力が足りないのかなあ・・・。」
翔子しゃん。翔子しゃんこそシャオしゃまのために尽くすって感じがするでしよ。
「あ、離珠。言っとくけどあたしが頑張るのは、シャオがあたしの親友だからかんな。
そこんとこは誤解の無いようにな。」
ほえ、そうでしか。つまり、『自分の身を犠牲にしても、他人のために尽くす』という事でし。
シャオしゃま、たまには心を休めてくだしゃいでし。
「狼藉」でし
丁度いい例えがばっちり身近に待機してるのでそれを行くでし。
というわけでたかししゃん、解説お願いするでし。
「なんで俺が・・・。まあいいや。
ずばりこれはルーアン先生の陽天心が暴れた後だ。
教室中の机や椅子に陽天心がかかった時はほんと目も当てられないほどだ・・・。」
というわけで『物がとり散らかっている様』という事でし。
「・・・なあ、なんで離珠ちゃんが解説しないのさ。」
何を言うでしか。たまにはたかししゃんに見せ場を作らないと!
「そ、そういう事か。いやあ、照れるなあ・・・。」
さてさて、もう一つの方は・・・花織しゃん、お願いするでし!
「分かったわ。じゃあいくね〜。
もう一つの例えとして、これまたルーアン先生の陽天心ね。
七梨先輩のことも考えず・・・。当然主様に対してそれなんだから他の皆の事なんて・・・。
後先考えずに陽天心使いまくってみんなが被害を受けて・・・とんでもない!」
というわけで『乱暴な事や無法な行為』という事でし。
「ねえ離珠ちゃん、どうしてあたしも?野村先輩と違ってあたしは見せ場沢山でしょ?」
「花織ちゃん、さらっときついな・・・。」
今に理由がわかるでし。離珠はこれで帰るので、二人で頑張ってくだしゃい!
・・・と、言ってる間に来たでしね。ではさらばでし〜!!
「ああっ?行っちゃった・・・。」
「そのうち理由がわかる?の、野村先輩、あれ・・・。」
「ん?・・・げっ、ルーアン・・・先生?」
「な、なんか目が普通じゃなくって怒怒怒って走ってますけど・・・。」
「ひょっとして例えに出したので怒ってるのか?」
「そ、そんなあ!!に、逃げましょう野村先輩!!」
「あ、ああ、行くぞ!!」
怒怒怒怒怒怒怒怒怒!!!
「こらあぁー!!!!逃げんなぁー!!!!!!」
「老婆心」でし
「すばりシャオ先輩ですね。良い例がすぐ近くに居て良かったじゃない。」
・・・いきなりやって来て本題を言うとは・・・。
「なんでもかんでも世話をやいてるし、おまけに長生きしてるし!」
・・・年をとった人達は、長い経験から様々な場合を考えて気を使う事から、
『必要以上に世話をやく』という事でし。
「普段からしょっちゅう身の回りに世話をやいてたりするもんね。
あたしも、年をとったらそれくらい出来なきゃね。」
今からでもそれを目指して欲しいでし。
「でも、あんまり世話焼きになるのも嫌だなあ。」
花織しゃんの場合は、それくらいになってちょうど良いはずでしよ。
「ん?何か言いたそうだね、離珠ちゃん。何が言いたいのかなあ?」
か、花織しゃん、何気に怒った顔で近付かないでくだしゃい。
「老婆の智」でし
『どんなものにもそれぞれ長所がある』という事でし。
「これは随分失礼な言葉だな。年の功を馬鹿にしているのではないか?」
珍しいでし、キリュウしゃんが怒っているでし。
「怒って当然だ。長い年月を重ねてきた存在は、役立たずだというのか?」
いやだから、役立たずじゃなくって長所があるって言ってるでしよ。
「しかし見てくれで判断しているということではないのか?」
けどキリュウしゃん。よぼよぼのおばあしゃんに力仕事とか頼もうとするのは無理でしよ。
けれども智恵が豊富である、それが長所である。そう言ってるんでしよ。
「しかしだな・・・。」
・・・どうしてキリュウしゃんがここまでこだわるのか実に不思議でし。
ねえ瓠瓜しゃん?
「ぐ、ぐえ?」
え?いきなりふるなでしか?しかしでしねえ、瓠瓜しゃんにはただそばにいるだけでなくて、
離珠が困った時にびしっと手助けしてくれるという義務が・・・
「・・・・・・。」
ぱく
うわわわっ、な、何するでしか!離珠の頭なんてのんじゃだめでしー!
「二人とも私をほったらかして何を遊んでいるんだ、まったく・・・。」
こ、これは遊んでるわけじゃ・・・ってキリュウしゃん助けてほしいでしー!
「ぐえ、ぐえ。」
更にのんじゃだめでし瓠瓜しゃんー!
「艪櫂の立たぬ海もなし」でし
『どんな難しい仕事でもやれば必ず出来るし、やる方法がある。
どんなに広い海でも舟で渡れない方法はない』という事でし。
「つまりは、シャオを守護月天の宿命から解き放つということも・・・」
太助しゃま、それはたしかにばっちりでしが、もうわかりきってることでし。
「なんだよ。それじゃあ何をたとえにするってんだよ。」
離珠の声を完璧に聞くことでし!
というわけで早速修行でし!
「・・・やーめた。」
なんでしと!?いきなりそんなことでは困るでし!
「せめて俺が今やってることを終えてからってことにしてくれ。」
「魯魚の誤り」でし
ある日の休み時間、みんなでちょっと話し合ってたんでし。
「まず乎一郎。“乎”を“呼”って、間違えやすいよな。」
“口”があるかないかの違いでしね。
「確かに似てるよね。僕、結構それで言われた事もあるんだ。
次に山野辺さんかな。“翔子”って名前、沢山漢字があるもんね。」
“祥子”とか“昭子”とか・・・。とにかくいろいろでしね。
「そうか?確かに沢山あるかもしれないけど、別に似てる漢字があるわけじゃ・・・。
やっぱり七梨じゃないの?名字はいいとして、太助って名前。
“大助”とか“犬助”とかに間違えられそうじゃん。」
犬助・・・。何かの偽名って感じがするでし。
「山野辺・・・。いくらなんでも犬助はないだろ。
ちなみに俺の親父、太郎助って言うんだけど、俺の名前より“朗”が多いってだけだもんな。」
そういえばそうでしね。親子そろってよく似た名前でし。他の人は違うでしが。
「そうなんだ。たかし君はひらがなだから置いておくとして、ルーアン先生はどうですか?」
いきなりたかししゃんは飛ばされてしまったでしねえ。まあ、ひらがなだとしょうがないでし。
「あたし?あたしは別に。こんなあたしの名前を間違えるふとどきものなんていないわよ。」
というか、ルーアンなんて名前、間違えっこないでし。
「なんでふとどきものになるんだか・・・。シャオちゃんはどうなんだい?」
「うーん、“シャオ”の漢字はいいんですが、“リン”の漢字です。
皆さん、難しいってよくおっしゃってますわ。」
そうなんでしよねえ。ちらほらとその間違いを見かけるでし。
「キリュウはどうだ?ジェット気流とか言われて馬鹿にされそうだな。」
・・・それってどういう馬鹿の仕方なんでしか?
「翔子殿、別にそういうわけではないのだが・・・。
漢字だけをぱっと見せられて、いろいろ読む人がいる、という事だ。
のりやなぎ、きやなぎ、等々・・・。」
の、のりやなぎ、でしか・・・。
「それもあんまりだな。中国って漢字の読み方、みんな苦労しそうだよな。
せめて知り合いの中では、そんな間違いがないようにしなくっちゃ。」
太助しゃまの言う通りでし!
これは、『文字の誤り。書き写しの誤り』という事でし。
まあとにかく、いろいろ名前の読み違い書き違いはあるって事でしよね。
「六月鱚は絵に描いたのでも食え」でし
『旧暦六月のキスはとてもおいしい』という事でし。
だいたい、卵を生む八、九月頃の前辺り、のころみたいでし。
「だからって紙に書いたのを本当に食べるわけにもいかないでしょ?ねえゆかりん。」
「花織、そんな事よりテスト勉強しないと。」
だからことわざの勉強をやってるでしよ。
「旧暦六月がどの辺りかわかったし。その頃のキスがおいしい事も分かったし。
これは是非食べてみないと!!」
「あんたねえ、それって数学と関係ないじゃない・・・。」
「六月に火桶を売る」でし
昔々、とある町の商人たかししゃんが、六月に火桶を売っていたんでし。
「えー、火桶、火桶はいらねーかー。俺の魂のように熱い、熱い火桶!いらねーかああああ!!」
町中に響きわたるうるさい声。
町長の娘であるルーアンしゃんは、その声を聞くたびにうっとおしく思っていたでし。
「あんたねえ、季節外れなもの売ってんじゃないわよ!」
「一つ買えば今なら更に一つついてくる!俺が熱く熱く魂をこめた火桶、どうだあああ!!」
「うるさいってのー!!」
『季節に外れたものやことのたとえ』という事でし。
「・・・そのまんまじゃないか。」
太助しゃま、水をさしてはだめでし。
「つーかどういうたとえ話なんだよ、たかしとルーアンって・・・。」
じゃあこの辺でおしまいでし。ばいばいでしー。
「おい・・・。」
「六月無禮」でし
『暑さの厳しい夏には多少服装が乱れてもとやかく言ってはいけない』という事でし。
ここで言う六月は旧暦の六月なんでし。
「よかった・・・。これで思う存分乱れられるというものだ。」
「なんかすっごい語弊があると思うんだけど・・・。
さておきキリュウ、だからって学校に下着姿で来るなよ。」
「翔子殿、私はそんな事はしない。」
「気温四十度になってもそんな事言ってられる自信あるか?」
「なっ・・・。う、うーむ・・・。」
キリュウしゃん、そんなに真剣にならなくても。
「ほんと、何悩んでんだか。第一、そんな格好で外に出たら捕まっちまうだろうが。」
「そ、そうなのか?」
そうなんでしか?
「・・・本気で聞いてるのか?」
「陸地(ろくじ)に舟漕ぐ」でし
『陸で船を漕ぐ事で、出来ない事の例え』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、出来ない事をやってみようコーナー!
「うむ!という訳で主殿、陸の上で舟を漕いでもらおう。」
「あのさあ、出来ないものは出来ないんだから・・・。」
そんな事ないでし!
「私は読んだんだ。遥か昔に陸で大きな船を作った人の話を。
皆に笑われようとも立派な物を作り上げた人を・・・。」
「・・・それってノアの箱舟の事か?あれは洪水が来るとかだったんじゃ?」
・・・・・・。
「・・・・・・。」
そ、そんな事は関係ないでし!
「そ、そうだ!さあ主殿、舟を漕がれよ。」
「だから無理・・・って、なんだあの舟?」
泥の舟でし。
「昔話を組み合わせてみた。これで難易度が・・・」
「無茶やってんじゃない!こんなのできるかー!!」
「六十年は暮せど六十日は暮しかぬる」でし
「わずか千円の金が期日に間に合わなくてつぶれた会社とか、
わずか百円の金が足らずにクリスマスプレゼントが買えなかったとか、
わずか十円の金を見過ごしてしまった為に限定販売の品が手に入らなかったとか、
そういうことだな?」
那奈しゃん、なんかかなり見知ってるみたいでしね。
『どうしても金のやりくりがつかぬことの例え』という事でし。
「人間、六十年とかはどうにかこうにか暮してゆけるけど、
一、二ヶ月の生活が成り立たない!なんて場合があるって事だな。
ま、長い目で見るのと短い目で見るのは何かと違うもんなんだよ。」
ところで那奈しゃんはそういう経験をしたんでしか?
「うーん、旅行してる時にヒッチハイクをしなきゃならない時ってのはよくあったけどな。」
「六十の手習い」でし
「あの、太助様。」
「ん?どうしたのさ、そんな深刻そうな顔して。」
「南極寿星が学校に通いたいと言うんですが・・・いいでしょうか?」
「ぶっ!!あ、あのじーさんが!?」
「はい、どうしましょう?」
「どうしましょうたって・・・。」
突然の事に、驚き顔を見合わせる太助しゃまとシャオしゃま。
さあ一体どうなるでしか!?
『年をとってから学問を始める』という事でし。
そして後日。
「太助様、どうやらただの冗談だった様です。」
「なんだそうか、びっくりした・・・。しっかしなんでまたそんな冗談を?」
「さあ・・・。」
真相は闇の中、でし〜。
「離珠、お前がワシにけしかけたんじゃろうが。」
しっ!喋っちゃダメでしよっ!!
「まったく・・・。」
「六菖十菊」でし
『五月六日のショウブ、九月十日のキクということで、
時期はずれのもの、大切な時に間に合わないもののたとえ』という事でし。
「で、私に何をしろというんですか?」
出雲しゃんの力で、立派に解説に仕上げて欲しいでし。
離珠では無理なんでし。
「私も無理なんですけど・・・。」
なんとっ!?なるほど、これこそたとえそのものになってるでしね!!
すなわち、解説に間に合ってないってことでし!!
「離珠さん・・・。」
なんでしか?
「無理に墓穴を掘るのはやめましょう。ね?」
はう、わかったでし・・・。
「ろくでなしが人の陰口」でし
この前たかししゃんがこんなことをほざいていたでし。
「けっ、あのナンパ神主。ただ髪をふぁさふぁさやるだけで女にモテると思ってる勘違いやろーだぜ。」
まったくもって、とんでもないことを言いやがるでし。
『ものの役に立たない人間はとかく人の陰口を言うものであるが、
それは卑怯な行いである』という事でし。
「おいおい離珠、おめーこそいつもと違わねーか?」
ふっふっふ、虎賁しゃん。これくらいしないと解説は務まらないんでしよ。
「そうかなぁ・・・」
それに離珠は陰口なんか言わずに堂々と文句をつけるでし!
「その行為もどうかと思うけどな。」
「艪三年に棹八年」でし
『船頭の修行をいったもの。ろを一人前に使えるようになるには三年、
さおが上手く使えるようになるには八年はかかる』という事でし。
離珠の周囲には船頭しゃんはいないので・・・先生しゃんを例にとってみるでし。
太助しゃまやシャオしゃまの通う、鶴ヶ丘中学校には色んな先生しゃんがいるでし。
国語を教える先生、体育や理科や・・・。
しかぁし!そんな先生しゃんたちも、ものを一人前に教えるためには三年以上・・・
「違う違う、離珠。」
翔子しゃん!何が違うというんでしか?
「普通先生ってのは、もちろん研修とかもあるけれども、試験に受かれば先生は一人前にできるもんだから。」
・・・そうなんでしか?
「まぁ・・・世間一般の一人前のレベルとかなると、また違うかもしんないけどさ。
ちなみにルーアン先生については言わないでおくけど。」
・・・むぅ、だったら誰をたとえに出せばいいんでしか。船頭しゃんは離珠知らないでしよ?
「ああ、船頭じゃないけど、水先案内人・・・ウンディーネだったらどうかな。」
みずさきあんないにん・・・うんでぃーね、でしか?
「そ、ウンディーネ。もっとも、あれは年月で実力はかるもんじゃないけどな。
・・・あー、でも8年以上も本当に必要だったら大変だよなぁ。違うかもしんない。」
がくっ。・・・けど、そのうんでぃーねしゃんってどこにいるんでしか?翔子しゃんの知り合いでしか?
「ああ、これから知り合う予定だよ。」
ふえっ?
「という予告をして終わりにしておくよ。あ、ちなみにキリュウも知り合う予定だから。」
えうー、さっぱりわけがわかんないでしー!
「驢に騎りて驢を覓める」でし
『ロバに乗っていながら、ロバはいないかと探す』という事でし。
では早速、車騎しゃんに乗って車騎しゃんを探してみるでし。
よっこらせ。
どんっ
はうっ!いきなり突き飛ばすなんてひどいでし!
え?大砲に乗らずに自分達に乗るな?
もう、そんな細かいこと気にしちゃだめでしよ。
離珠が探すのは車騎しゃんたちなんだから、その車騎しゃん達本人に乗らないとだめで・・・
ってわわわっ!大砲をこっちに向けちゃだめでしー!
「ろばが旅に出かけたとて馬になって帰ってくるわけではない」でし
『外国に行くと誰もかれももてはやされるが、効果を期待してはいけない』という事でし。
太助しゃまにずばり解説してもらうでし。
「突然だな・・・。えーと、これはすなわちどういう事かというと・・・。」
ふむふむ。
「たとえば俺の親父!中国とか行ってるけど、息子をほったらかしにするとかどうとか、
そんな性格は絶対に良くならないってことかな。」
つまりどういう事でしか?
「えーっと・・・。」
「こら太助、そういう意味じゃないだろ?」
おおっ、那奈しゃんの不意の登場でし。
「つまりだ。外国に出かけたからって、素晴らしい人間になって帰ってくるわけじゃない。
まあそういうわけなんだな、これが。」
ちゅわ〜ん。そういうことなんでしね〜。
「・・・俺の解説は間違ってるか?」
「微妙にな。」
「ちぇ。だったら那奈姉をたとえに出せばよかった・・・。」
「なんだと?」
「じょ、冗談だよ!」
「ローマは一日にして成らず」でし
「シャオ殿を守護月天の宿命から解き放つためには、並大抵の努力では成し得ない。
そういう事だ。」
ばっちりとしたいい例えでしねえ。さすがはキリュウしゃんでし。
『何事も大きな仕事をやるためには、長い年月と努力が必要である』という事でし。
というわけで、日夜試練に励む太助しゃまでし。
「万象大乱。」
「うわあ!そんなもん大きくしたら家が壊れる―!!」
ドガアアアン!!
「あ、ああ・・・。見事にこなごな・・・。」
「試練だ、自分で直されよ。」
なんとも厳しい試練でし!しかもこの試練の良い所は、
キリュウしゃんが壊したものを太助しゃまに直させる事が出来るという点でしね。
「離珠殿、これも試練だといっているだろう・・・。」
「ちょっとキリュウ!聞いたわよ。
あんた、自分が壊したものをたー様に直させてるんですってね!」
おおっと、ルーアンしゃんの乱入でし!
「なんてことしてんの!自分が壊した物は自分で直しなさい!」
「・・・ルーアン殿こそ、陽天心でめちゃくちゃにしたものを自分で直さないくせに・・・。」
「なんですって!?あんた私に喧嘩うってんの!?」
「それはルーアン殿の方だ・・・。」
そんなこんなで、ルーアンしゃんとキリュウしゃんの言い争いが始まったでし。
「・・・おーいキリュウ、試練は?」
いつのまにか太助しゃまは、忘れられているかっこうになってたみたいでし。
なるほど、試練を行うにもいろいろ努力が必要ってことでしね。
「離珠、それは違うって・・・。」
「驢鳴犬吠」でし
ロバの鳴き声と犬の吠え声ということで、
『聞くほどの値打ちもない』という事でし。
早速誰かにやってもらうことにしゅるでし。
まずロバの鳴き声を・・・たかししゃんでし!
「おれ?」
しょして犬の吠え声を・・・花織しゃんでし!
「ちょっとぉ、なんであたしなのぉ?」
しょれでは張り切ってどうぞでしー!
「しゃあねえ、いっちょやってやるぜ!えーっと・・・めええ〜。」
「野村先輩、それは山羊の鳴き声でしょ?まったく無知なんですから。」
「う、うぐっ、きついぜ花織ちゃん・・・。でもそういや俺ロバがどう鳴くかなんて知らねえや。」
「もう、そんなんでやろうとしないでください。じゃああたし犬の吠え声いきますね。
・・・うー、わんわわん。」
「・・・おとなしすぎない?」
「ええっ?これでも十分恐いですよ。近くで吠えられたらびっくりしますって。」
「俺はこの程度じゃあびくともしないぜ。」
「言いましたね。じゃあ・・・わんわんわんわん!」
「ふっ、まだまだ。」
「えーっ?う〜・・・わわんわわんがおーん!!」
「まだまだ!って、がおーんは違うような・・・。」
よくわかんないままに違うものが始まってしまったでし。
と、いうところでおしまいにしゅるでし〜。
聞くほどの値打ちもない、というのはこんな感じなんでしかね。
「なにぃ〜?」
「なんですって〜?」
わ、わわっ、二人ともしょんなに睨まないでくだしゃいっ!!
「櫓も櫂も立たぬ」でし
『どうしようもない。やりようがない』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの!どうしようもないこととやりようがないことをやってみようコーナー!
「うむ!というわけで主殿、ここにルーアン殿が食事時に散らかしたご飯粒の集合がある。
これからおにぎりを作ってくれ。」
「よく集めたなこんなもん・・・しかも数が圧倒的に足りないような・・・。
いやいやそれ以前に、これ床に落ちてたやつじゃないのか?」
むむっ、太助しゃまが重要なことに気付いてしまったでし!
「なんとかするんだ主殿。これが明日の主殿のお弁当になると既にシャオ殿に言ってしまったからな。」
「ってえ!何勝手に無茶な事言ってんだ!!」
ちなみにシャオしゃまはもうおねんねしてるでし。今から起こすなんて無理な相談でしよ。
「頑張れ主殿。」
「こらー!俺は絶対そんなの認めないー!・・・早起きしてシャオにお弁当余分に作ってもらおうっと。」
あ、なるほど、その手があったでし。
「むむむ、では次だ。ここに、たかし殿が歌いに歌ったあと置き忘れて帰ってしまったばくしんがーがある。」
「あいつは何をしにうちにきたんだ・・・っていうか忘れて帰るか?ふつー。」
たしか、たかししゃんがつばをめいっぱい飛ばしながら歌ってたんでしよね。
「途中で壊れてしまったらしい。今こそ主殿がさいこきねしすとやらで直すんだ。」
「直せるかっつーの!しかもなんでサイコキネシス・・・使い方間違ってるって!」
とにかく直せばいいんでしよ。多分、たかししゃんのつばがまいくの中に入り込んだんでし。
「なので、その唾を一粒残らず取り除けばいいはずだ。」
「できるかー!」
もちろん手では無理でしね。
「だからこそ、さいこきねしすとやらで・・・。」
「それこそできないっての!!」
「櫓を押して櫂は持たれぬ」でし
たとえばシャオしゃまが・・・お料理をしているとするでし。
そして!同時にお洗濯をしようとするでし!・・・当然できないでしね。
「あら離珠。全自動洗濯機っていうのを使えば簡単にできるのよ。普段そうしてるもの。
ちょっとお鍋の時間がかかる間にお洗濯のスイッチを入れにいったりとか、
洗濯機のスイッチを入れた後に、お料理にとりかかったりとか。」
なんと!むむう、現代は凄いんでしねぇ、シャオしゃま。
「そうね、うふふ。」
『一時に一人で両方はできない』という事でし。
って、これだとたとえにならないでしね。
「そうだ、お洗濯もの干しにしたらどうかしら?」
シャオしゃま、それでも同じじゃないでしか?お料理で時間がかかるものを仕掛けている最中に・・・。
「あ、それもそうね。それじゃあ・・・お掃除にしましょう。洗濯物干しとお掃除。
うん、これなら二つ一度にはできないわね。」
さっすがシャオしゃま!
「すごいでしょ。私だってやる時はやるんですよ。」
「シャオリーン!あんた、お鍋吹きこぼれてるわよー!」
「え?きゃああ、たいへーん!そういえば火をかけっぱなしでしたわー!」
どたどたどた・・・
と、離珠との話の最中で、シャオしゃまは慌てて行ってしまったでし。
むぅ、シャオしゃまでもこういう失敗するんでしねぇ。
「って、あんたがシャオリン引き止めてたのが原因でしょーが、ったく・・・。」
「驢を呼んで馬となす」でし
『ロバを馬だと呼んで人をばかにする』という事でし。
「っていうか、これって馬鹿の語源の意味と一緒よねぇ?」
おやおや、ルーアンしゃんはどういうことか知ってるんでしか?
「当然よ。中国の精霊をなめないでほしいわ。・・・っていう以前にあんたも星神だけどね。」
そうでし。しゃてしゃて、ここからたとえ話に突入でし。
昔々あるところに、ルーアン王女様がいたでし。
「へえ、いい出だしじゃないの。」
ある日、側近の出雲しゃんが、ルーアンしゃんに馬を献上したでし。
「いずぴーが側近なの?」
ところが、その馬は馬ではなくてロバだったんでし。
「何それ・・・。」
不思議に思ったルーアンしゃんは、他の家臣たちに聞いてまわったでし。
“ちょっとぉ、これって馬じゃなくってロバよねぇ?”
「そりゃ聞くはずよね。」
ところが、たかししゃんを始めとした家臣たちは、位の高い出雲しゃんに逆らえず・・・。
“いえ、それは馬です・・・”と答えるしかできなかったでし。
「ますますもって何よそれ。」
そんなこんなで、ルーアンしゃんは騙され続けて・・・終には王女の座を追われてしまったでし。
「はあ!?一体どういう結末になってくれてんのよ!」
めでたしめでたし、でし。
「ぜんっぜんめでたくないでしょーが!!」
「論語読みの論語知らず」でし
たとえば、離珠は!
「絵ばっかり書くんじゃなくて、字が書ければもっと伝えられるんだろーな。」
ぷう、虎賁しゃん!
「離珠がたとえば字を知ってて、しかし普段の行動がそれだったら、まさにそれだな。」
むう・・・。
『本を読んで字の上ではよく知っているのだが、それだけで実行できない』という事でし。
「実際のところどーなんだ?」
のーこめんとでしっ!
「ぼうずが読んでる本とか見たりしてるんじゃねーのか?」
のーこめんとでしっっ!!
だいたい、虎賁しゃんもかれーるうわからなかったじゃないでしか。
「ぐっ・・・。それとこれとは別だっ!」
「論に負けても實に勝つ」でし
「・・・なあ、これ何て読むの?」
おやおや、翔子しゃんともあろう者が・・・。
「なんだよそれ。いいからさっさと教えてくれって。」
ぷう、焦ってはだめでしよ。
こほん。これは、じつ、と読むんでしよ。
「ああなるほど。つまりは、言い争いに負けても、
『実利のある方をとったほうがよい』という事なんだな。」
な!?ちょちょちょ、意味を言ってしまってはだめでしー!
「ふっ、これぞ離珠に読み方論に負けども、ことわざ解説に勝つ、と。」
なにを言ってるでしかー!
「論より証拠」でし
今回のゲストはこの人でし!ちゃららら〜・・・
「何もったいぶってんだよ。早くおいらに出番よこせっての。」
ああ〜!駄目でしよ、虎賁しゃん。離珠が合図してから登場してもらわないと!
「そんな面倒な事しなくっていいんだって。だいたい、なんでおいらの時に・・・。」
演出でしよ、え・ん・しゅ・つ!
ただゲストを呼んでなんたらかんたらじゃあつまんないでし。
「そんな事やって何になるってんだ?」
面白くなる事請け合いでし!つまり・・・
「ああー、もういい!とっとと解説行くぞ!!」
しょ、しょんなー・・・。
「えーとだな、普段おいらがやっている事なんだが、まずおいらは球技のスーパーコーチだ。」
自分でスーパーなんて言ってるでし。
「うるさいな。そんでもって、ぼうず達にあれやこれやとアドバイスしてやるわけだ。
最初のうちは訳わかんねーだろうから、いろいろ反論してきたりしてくるわけだ。」
そりゃあ、右へ三歩寄って体を回転、なんてアドバイスのうちに入らないでし。
「しかし!実際においらの言う通りに行動してわかるんだな。
いかにおいらの言う事が正しかったか、すごかったか、っていう事が!!」
つまりは、虎賁しゃんの言う事は、行動して初めて分かるって事でし。
『口先であれこれ議論するよりも、物事を明らかにして解決するのが最上の方法である』という事でし。
さて、解説終わったところで幕を閉じるでし。ちゃららら〜・・・
「離珠、それはもういいって・・・。」
戻るでし。