≪よ≫でし!


「夜上がり天気雨近し」でし
ドザアアアア・・・
と、今日は雨が沢山降っていたでし。
おかげで洗濯物が干せなかったとかで、シャオしゃまは寝床でため息をついていたでし。
「どうしよう、離珠。いっぱいお洗濯が溜まっているのに・・・。」
大丈夫でしよ、シャオしゃま。明日はきっと晴れるでし。
「だと良いんだけど・・・。」
あ、ほらほら、シャオしゃま。なんだか雨足が弱くなってきたみたいでしよ。
「え?」
ザアアア・・・ぽつ・・・ぽつ・・・
「・・・あら、止んだみたい。」
これで明日は洗濯物が干せるでしね。
「そうね。良かった・・・。」
そしてそのまま眠ったんでし。ところが、その翌朝・・・。
ザアアアアア・・・
「雨、沢山降ってるわね・・・。」
本当でしね・・・。
なんてことでしか!昨日の夜止んだのはフェイントだったんでしね!
『夜のうちに雨が上がった天気は、長くは続かない』という事でし。
「しょうがない、こうなったら家の中に干さなきゃ・・・。」
そ、そうでしか。だったら皆しゃんにも手伝ってもらうでし!
・・・というわけで、大量の洗濯物を干し始めたんでし。
「干す場所はあんまりつかって無い部屋。まあ太助の部屋で良いだろ。」
「ちょ、なんで俺の部屋になるんだよ!」
「良いじゃないのたー様。たー様の部屋に下着系統干して、キリュウの部屋に残りを干しましょ。」
「ちょっと待てルーアン殿、何故私の部屋が・・・。」
「それより俺の部屋になんで下着系統なんだ。もうちょっと別の物を干せよ。」
「干し切れなかった分はリビングという事でいいな。」
「そ、そうですね。」
「こらー!俺の話を聞けー!」
「部屋の中が洗濯物だらけになるのは嫌だ〜!」
その後無事に干し終えたものの、何やらてんてこまいって感じで大変だったでしよ。


「よい花は後から」でし
『人より先走るものは大した人ではない』という事でし。
つまり、真っ先にがつがつ食ってるルーアンしゃんは・・・
「少しは違う例えが出ねーのかよ。」
・・・終わりでし。
「おいっ!!」
えうー。だって虎賁しゃん、他にいい例えがないんでし。
「仕方がねえ、おいらがなが〜い昔話をしてやろう。」
い!?え、遠慮するでしっ!!
「何言ってんだ。先走らない話を聞く事によってしっかりと・・・
まあとにかく話してやっから。昔々・・・」
ぴゅー!
「あぁ!!おいこら、逃げんな!!」


「羊頭狗肉」でし
昔々、ある国を治めていた女王、ルーアンしゃんが居たでし。
彼女はたいそう大食いで、食事のたびにがつがつがつと食っていたでし。
「ルーアン女王様、お味の方はいかがですか?」
「がつがつがつがつがつ・・・。もう最高よー!!シャオリン料理長あんた最高!」
「ありがとうございます。」
また、食事の時間も決まっておらず、城下町から申し立てをする人が来ても、
がつがつがつがつと食事をしてる時があった様でし。
もちろん城の中に住んでる人達も、皆が皆がつがつと食事をしてたようでし。
そんな光景を見たある一人が、町に帰って親友に話をしてたでし。
「というわけでさ、ルーアン女王様って食べる姿も美しいんだ。
もう僕、ますます憧れちゃうなあ〜。」
「はは、ほんと乎一郎って女王様のファンだよな。」
「太助、呑気に構えてる場合か?俺達も負けてたまるか!!」
「負けてたまるかって・・・。」
「どうするの?たかしくん。」
「決まってるだろ。俺達民衆もがつがつ食いを実行するんだ!」
「「ええー!!?」」
なんとも唐突な案だったでしが、次第にそれは広まっていったでし。
町のあちらこちらで、食事時になればがつがつがつがつ。
物を食べればがつがつがつがつ・・・。そういうのがどんどん流行って行ったんでし。
「聞いてくれ翔子、ついにがつがつの極意を発見したぞ!」
「ええっ!?やるなあ、那奈ねぇ・・・。よし、あたしも負けてらんないな!!」
とまあそんな会話が町中で。
もっとも、がつがつ風に食べるっていう行為なんでしがね。
しかし、こんな町の様子が女王さまの耳に届かないわけはないでし。
「しもじもの連中ががつがつ食いをしようなんてふとどきせんばんよ!!がつがつがつ。
いずピー兵士長!!禁止令をだしときなさい!!がつがつがつ。」
「は、はあ・・・。」
そんなわけで、出雲しゃんがそのおふれを町に広めたんでし。
ところが、いつまで経っても、民衆はがつがつ食いを止めなかったでし・・・。
困り果てたルーアン女王は、キリュウ大臣に相談しにいったでし。
「ねえキリュウ、どうして民衆はがつがつ食いをやめないのかしら・・・。」
「当たり前だ。外では禁止令を出しておきながら城内では女王殿はがつがつ食い。
これでは、“花織殿の一生遊べるセット”を看板に掲げておきながら、
がらくたゲームを売るようなものだ。内でも外でも禁止しておけば民衆も言う事を聞くだろう。」
ここでルーアン女王ははたと気付き、城内でのがつがつ食いを禁止し、自らもそれを止めたでし。
すると、またたくまに民衆もそれをしなくなったそうでし。
そんなわけで、『表面と内容、言う事とする事が一致しない。
見せかけは立派でも、内容がひどい』という事でし。
「ねえ離珠ちゃん、これって一体どういう・・・。」
ごげんとなった昔の話になぞらってみたんでし。
「あたしの出番が無いんだけど・・・。」
ちゃんと名前が出てるじゃないでしか。
「うーん・・・。」


「要領をえず」でし
『物事の大切なところがはっきりしない。重要なポイントがつかめない』という事でし。
「ちなみに、“要領”とは腰と首のことで、着物で言えば腰と襟の部分なんです。
古代中国では、着物を持つとき、右手で腰の所を、左手で襟の所を持つことになっていました。
ここから、物事の大切な所、要点という意味、なんです。」
そういうことなんでしー。シャオしゃま、ありがとうでし。
「でも離珠、たとえとか使った解説はしないの?」
それをするとこの言葉通りになってしまう可能性があるから今回はやめでし。
「もう・・・。やるからにはしっかりしないと駄目ですよ?」
はう・・・。


「よくゆうて悪く言わるる後家の髪」でし
「離珠、たまにはあたしが詳しく補助をしてやろう。」
翔子しゃんのそういう言葉はえらく気になるでしが・・・お願いするでし。
「後家ってのは、夫の死後その家を守っている婦人をいうんだ。
その人が美しく髪を結うと、誰かといい仲になったのではないかなどと悪口を言われるんだな、これが。」
『よくいったのに悪く言われるというところから、折角人を褒めたのに、
変に解釈されて別の悪い立場におかれた時などにいう』という事でし。
「というわけで、あたしが美しく髪をゆってみるとしよう。」
翔子しゃんってば後家だったんでしか?
「こらこら。あたしはただ真似事をやってみるってだけで・・・」
こういう貴重な情報は早速シャオしゃまに伝えるでし!えーっと・・・
「やめろー!そんな事するんだったら離珠がお団子ヘアーにしてるだけで悪口を言ってやる!」
うっ、そ、それは困るでし・・・。


「欲の熊鷹股裂くる」でし
『二匹並んでいる猪に熊鷹がつかみかかったところ、
猪が驚いて別々の方向に駆け出したので、
どちらをも放すまいとつかんでいた熊鷹の股が裂けてしまったという事で、
あまり欲が深いとそのために自分が酷い目に遭うという事の例え』という事でし。
虎賁しゃん!是非協力してくだしゃい!
「おいらに何をしろってんだ。」
ここに出雲しゃんから戴いた、薄皮饅頭といも羊羹があるんでしが・・・
「まさか別々にそれを持ってどうこうしろってんじゃないだろうな。」
その通りでし!
「しかも標的はルーアンか?」
ますますその通りでし!
いや〜、虎賁しゃんって冴えてるでしね〜。
「おまえの考えてる事が単純なだけだろ・・・。」
いちいちうるさいでし。ともかく!作戦開始でし!

リビングにひそんで、ルーアンしゃんを待つ離珠と虎賁しゃん。
しばらくして、その本人が登場!
「あーあ、お腹すいた。どこかに食べ物なかったかしら〜。」
相変わらずでしねえ・・・でも好都合でし。虎賁しゃん!
「わかってるって。おいルーアン!!」
「ん?あれは・・・いずピーの薄皮饅頭といも羊羹!?」
うむむ、見ただけで当てるとはさすがでし!
「あたしのおやつー!!」
早速つかみにやってきたでし。それにしても二人の姿は目に入らないんでしかねえ?
そうこうしてるうちにがしっとつかまったでし!
さあ虎賁しゃん!今こそバラバラに逃げる時でし!
じたばたじたばたじたばたじたばた・・・
「なにやってんの。抵抗したって無駄だからね。
じゃあいっただきまーす。」
ぱくぱくぱくぱく
・・・あえなく失敗。逃げる前に食べられてしまったでし。
ううむ、今回の敗因はなんでしかねえ・・・。
「本気で考えてるようならおまえ終わってるぞ・・・。」
ところで虎賁しゃん、熊鷹ってなんでしか?
「おい・・・。たくう・・・熊鷹ってのは鷹の一種だよ。」
ちゅわ、御苦労しゃまでし。
「・・・・・・。」


「欲の世の中」でし
『世の中、すべて欲得で動いている』という事でし。
えーと、これは昔のことをお話したほうが良いでしね。
そもそも、なぜ支天輪が心の清いものにしか覗けないかと言うと、このことわざが示しているでし。
欲の突っ張った人にシャオしゃまの力を悪用されては困るからでしね。
国を支配しようとか、そういう人なんかの力にならないためでし。
太助しゃまは、そういう欲は無い人でしからいいでしけどね。


「夜声八町」でし
ずががががが
どどどどどど
ばりばりばりばり
夜な夜なある部屋から聞こえてくるあの音も!
「きっと近所に聞こえてるんだろうなあ。よく苦情が来ないもんだ。
多分、“また七梨さんのとこね”とか噂されてるんだろな・・・。」
『夜は声や音が遠くまで聞こえる』という事でし。
「そんなわけでキリュウ、苦情が来る前に言っておく。
夜中に何やってるか知らないけど、静かにやってくれよ。」
「な、何を根拠にそんなことを・・・。」
とぼけても駄目でしよ。
「夜中にトイレ起きした時に聞いたんだぞ、俺は。
キリュウが夜遅くまで大きな音を立ててるのを。」
「うっ・・・。分かった、なるべく控えるようにする。」
「そうしてくれよ。」
しかし其の翌日から、キリュウしゃんの寝坊の回数が増えてしまったでし。
原因は、いわずもがな、でし。


「横槍を入れる」でし
「乎一郎、席を取られてもじもじしているお前が悪い!」
「何言ってんだよ太助くん、元はと言えば太助君が、
ルーアン先生にきっちり言わないのがいけないんじゃないか!」
珍しく太助しゃまと乎一郎しゃんがケンカしているでし。
どうやら席についてのことらしいんでしが・・・。
「とにかく、今度からはもっとしっかりしろよ!」
「太助くんこそしっかりしなよ!そんなんだから山野辺さんにいろいろ言われるんだ!」
ちっともおさまりそうにないでしねえ。とその時、たかししゃんが二人の間に入ったでし。
「ふたりとも落ち着けって。俺のように、立派な熱き魂を持たないから、
そんなくだらない事でケンカになるんだ。もっと俺を見習って・・・」
「「うるさーい!!」」
たかししゃんは二人に吹っ飛ばされてしまったでし。
意味不明な事を言い出すからそういう目に遭うんでしよ。
『一人と一人の事に第三者がでしゃばる』という事でし。
けんかの仲裁をする時は、もっと考えてものを言うべきでしね。


「義経と向う脛」でし
『聞いた所では言葉は似ているが、全然違う』という事でし。
「そんなの当たり前じゃんか。くっだらない。」
翔子しゃん!そんな事言うのなら離珠が駄洒落を作ってやるでし!
「離珠と手裏剣って似てるけど違うよな。」
ふむ・・・ってなんでしかその例えは!!
「いや、ちょっと思った事を言ったまでだけど。」
しかも全然似てないでし!
「じゃあ離珠とリス。離珠と自首。」
うう、いいかげんにするでしー!


「余桃の罪」でし
「太助さまあ、この急須って使っても良いんですか?」
キッチンでシャオしゃまがお茶の用意をしてるでし。
以前使っていた急須が壊れていたんで、太助しゃまに聞いたんでしね。
「ああいいよ。シャオに任せる。」
「はい、分かりましたわ。」
キッチンの方を見ずに答える太助しゃま。
シャオしゃまを信頼しているって事でしね。なんだかほほえましいでし。
ところがその三日後、シャオしゃまがその急須を使ってお茶を入れようとしていると・・・。
「シャオ!!その急須は使っちゃ駄目だ!!なんてことしてくれたんだよ!!」
と、太助しゃまが怒鳴り込んできたんでし。
なんだかすごく怒っているみたいでし。当然シャオしゃまは戸惑ったでし。
「ですが太助様、三日前は私に任せると・・・。」
「ああ、そうだっけか・・・って、とにかく駄目駄目駄目!!
その急須は使っちゃ駄目!!今後は気をつけてくれよ!!」
「はい、すみません・・・。」
ものすごく慌てた様子で急須を取り上げる太助しゃま。
なんだか別人みたいでし。三日前はこんな事は無かったのに・・・。
『気まぐれ。人の気持ちは変化する』という事でし。
「離珠、太助様にはきっと何か深い事情が有るのよ。
だから気まぐれだなんて言っちゃ駄目じゃないの。」
でもシャオしゃま、あの変わりようは尋常じゃないでし。
「それもそうね・・・。よし、太助様に聞いてみるわね。」
というわけで理由を聞き出そうとしたシャオしゃまだったでしが・・・。
その日の夜、シャオしゃまの部屋で結果を聞いたでし。
「理由を聞こうとしたらね、今度は怒るどころか泣きながら謝ってきたの。
太助様にとって悲しい事なら聞くわけにはいかないものね。
大丈夫かな、太助様・・・。」
相当深い事情の様でしね・・・。うう、離珠も心配でしよ〜。
ちなみに、
昔々ある国の王様が、とあるかわいい子供から食べかけの桃を渡されたが、
その時はかわいかったので許したけど、大人になって可愛くなくなると、
その時の罪をもってバッした事からこういう言葉が生まれたんでし。


「淀む水には芥たまる」でし
『水が同じ所にたまっていて流れないと、そこにごみがたまって水が腐ってしまう。
人も新しく入れ替えないと沈滞する』という事でし。
公共の施設とかでそういうのがよくあるのはそのためらしいでし。
「・・・離珠、そんなことどこで聞いたんだよ。」
ルーアンしゃんが言ってたでし。
「ったく、ルーアンのやつ・・・。離珠に変なこと教えるなよな・・・。」
太助しゃまは違うと思うんでしか?
「当たらずとも遠からず、だと思う。いつまでも変わらないってのはよくないしな・・・。
だからって、汚れるから替わるってのもどうかと思うし・・・。」
太助しゃま悩む、の巻でし。
「おい・・・。」


「世の中は九分が十分」でし
その日はシャオしゃまと一緒にお買い物に行ったんでし。
必要なものを全部買い終えた後に・・・
「今商店街でキャンペーンやってるから福引きしていってくださいね。」
「まあ、ありがとうございます。」
と、福引券をくれたんでし!
丁度一回できる状態だったので、福引所へ向かったんでしね。
賞品を見ると、なんと一等には温泉旅行が!
「一等が当たるとキリュウさんがとっても喜びそうね。」
でしね、シャオしゃま!これは是非とも当てたいものでし。
そしていよいよシャオしゃまの番。
がらがらとまわして・・・ころりと玉が落ちたでし。
カランカラン
「おめでとうございまーす!二等、電動自転車が当たりました〜!」
残念、一等ではなかったでし。
『世の中の事は希望通りにはいかないものだから、
望んでいる事が九分どうり達せられれば、まずこの上なしというものだ』という事でし。
「もう、離珠ったら。当たっただけでも凄いと思わなくちゃダメですよ。」
でもでも・・・。
「ひょっとして温泉に行きたかったの?」
そうでし。キリュウしゃんが以前話してくれて、離珠も是非行きたくなったんでし。
「また今度の機会にね。」
そうでしね。
何はともあれ、いいものをもらって家に帰ったでしよ。


「世の中は年中三月常月夜嬶十七おれ二十負わず借らずに子三人」でし
『こうあれば理想的だという庶民の願望』という事でし。
そうなんでしか?花織しゃん。
「なんであたしに聞くの。だいたいこの言葉って、男性が言ったものじゃないのお!?」
なるほど。なら出雲しゃんに改めて聞いてみるでし。
「ちょっと待ってよ。どうしてあたしに聞きに来たの?」
それは・・・秘密でし。
「てきとーなんて事なら怒るから。」
・・・・・・。
「そうなのね!?」
わ、わわっ!!


「世の中は三日見ぬまのさくらかな」でし
『さくらの花は散りやすく、三日も見ない間にみんな散ってしまう。
世の中の移り変わりの激しい事』という事でし。
ではキリュウしゃん、解説は任せたでし!
「・・・私に何をしろと言うんだ。」
ええっ?してくれないんでしか?
「だから離珠殿、私はどうすればいいんだ?」
昔は喜んで解説してくれたじゃないでしか。
“試練だ、頑張らねば”って言いながらしっかり何でも引き受けてくれてたでし。
「私はそんな事を言った覚えは無いが。」
はあ、キリュウしゃんは移り変わりが激しいんでしね。
「だから私はそんなものを言った事は無い!!」


「呼ばぬに来るのが祭りの客」でし
えーと、これは・・・
「離珠!これはおれが解説する!!」
なんと太助しゃまに出番を奪われてしまったでし。まあいいでし。
離珠は心が広いんでしよ。太助しゃま、どうぞでし。
「さんきゅうな、離珠。はっきり言って俺のクラスメートが良い例だ。
人ん家に勝手に押しかけてきやがって、ただ飯を思いっきり食べていくわ、
シャオといい雰囲気で居る時に限って来るわ・・・。
とにかく!たかし、乎一郎、山野辺、愛原、そして宮内出雲!
少し限度ってもんを考えろ!ここは俺の家なんだぞ!
あと、ルーアン!お前ももう少し考えてだな・・・」
「あーらたー様。このルーアンをお呼びになったあ?」
「こ、こら、ひっつくなって。誰も呼んでなんかないって。うわああ!」
「あーん待ってよ、たー様あん。」
よくわかんないうちに太助しゃまはルーアンしゃんと一緒にどこかへ行ってしまったでし。
『勝手に来てごちそうを食い荒らす、招かれざる客』という事でし。
確かに、この家に来るのはそういう人が多い気がするでしねえ・・・。


「呼ぶより謗れ」でし
「山野辺の馬鹿やろー!!」
「なにー!?おい野村、今なんつったー!!」
「ふははは!!そういうことだー!!」
「なにを言ってんだよお前ー!!」
走るたかししゃん。そしてそれを追いかける翔子しゃん。
『人の悪口をいうと不思議にその人が来るものだから、
呼びに行くより噂をした方が早い』という事でし。
・・・なんか違う気がするでし。
「たかしくんは叫んだから。それが山野辺さんに聞こえたんだよ。」
「たく、元気なやつだな・・・。」
あっ、太助しゃま。
「とりあえずこれじゃあ解説にならないね。」
「そんなことより、なんでたかしも山野辺もあんなに元気でいられるんだ。」
「太助君は元気じゃないの?」
「さっきまで振り回されてた。おかげでくたくただ。
たく、試練で疲れてる俺の身にもなれってんだ。ほんと何も考えてない奴らだ。」
な、なんかすごい不機嫌そうでし。
「太助君、疲れてるのはわかるけど、あんまり悪口を言うのはよくないよ。」
「悪口じゃないよ。馬鹿みたいに走り回ってるなあって思ってるだけさ。」
「「なに〜?」」
わわっ、たかししゃんに翔子しゃん!
「あ・・・。よ、よかったな、離珠。悪口を言ってたら本当にきたぞ・・・。」
「太助君、声ふるえてるよ。」
「太助ぇー!!」
「七梨ぃー!!」
「わわー!!」
だだだっと、三人は走って行ってしまったでし。
「やっぱり悪口を言うのはよくないね。」


「豫防は治療に勝る」でし
『病気になってから治療するよりも病気にならぬよう気を付けることの方が大切だ』という事でし。
「不幸から護る、というのも同じ事。
私は守護月天。ご主人様を不幸から護るという役目は、そういう意味も含んでいるのです。」
そうでし!それに・・・
「治療によって治ったとしても、苦しんだだけ大変ですものね。
やはり、予防が一番です。」
というわけでしー。
「でもやっぱり、完璧に不幸から護り切る、ということはできるものでもありません。
しかし願わくば、ご主人様には不幸とは縁の無い生涯を送って欲しいものです・・・。」


「嫁の小さいのは三代の傷」でし
『小さい嫁をもらうと、子や孫の代まで小さい子供が生まれるから、
嫁をもらう時には小さい女は避けた方が良い』という事でし。
「というわけで宮内、忠告しに来てやったぞ。」
「那奈さん、何故そういう事をしに来る必要があるんですか・・・。」
「ロリコンのお前に言わなくて誰に言うってんだ。」
「勝手に決めないで下さい!!それに、小さいの意味が違うのでは?
年齢ではなく体つきという事なのかも。」
「・・・なるほどな、そういう見方もあるか。じゃあ今後離珠には手出しするなよ。」
「なっ・・・なんという事を!!」
・・・そんな感じで、二人の話は進んでいったそうでし。
それにしても離珠はほとんど出番は無いわ引き合いに出されるわで全然つまんないでし。


「読まぬどし書かぬどし」でし
離珠は声を出せないから読めないでし。
「・・・そういう事じゃないと思うぞ。要は字が分からないって事じゃね〜のか?」
ふっ、軽いボケでしよ虎賁しゃん。
「おまえな・・・。いらねえ事やってないでさっさと解説終えろってんだ。」
ぷう、分かったでしよ。
えーと、文字を見ても読めない人、そして文字を書けない人。
そんな二人が居ても話にならないでしね。
例えて言うなら、離珠が絵で会話するでし。
その時に、虎賁しゃんみたいに絵が分かる人、ではない人。
そして虎賁しゃんに絵で説明する際に、その絵が描けない人。
そんなのはだめだめでし、という事でし。
「・・・なんでおいらと絵で会話する必要があるんだ。」
細かい事は言いっこなしでしよ。
『字を知らないもの同志。どちらもちんぷんかんぷんで話にならない』という事でし。
なかなか辛いでしねえ、そういうのは。
「それよりなんでおいらが妙にダシにされてんだ・・・。」
いつまでうだうだ言ってるでしか・・・。


「余裕綽綽」でし
朝。とっても早起きした太助しゃま達は、いつもより随分早く家を出たんでし。
「う〜ん、これくらい早いとゆっくり学校に行けるなあ。」
「本当ですね、太助様。」
まったくその通りでしっ。
「余裕あるのはいいんだけど、キリュウがまだ眠そうよ。」
「・・・ねむ・・・ぐー・・・。」
キリュウしゃん、みちの真ん中で寝ないでくだしゃい。
「キリュウ、ちゃんと目を覚ませって。」
「・・・そうは言っても・・・今はまだ私が起きようかという時間ではないか。」
「キリュウさん、たまに早起きするっていうのはいいもんですよ。」
「そうよー。おかげで食事はゆっくりできたし。」
がつがつ食ってたくせにルーアンしゃんよく言うでし。
とまあ、こうやってのーんびりと学校へ向かったんでしね。
『落ち着いていてゆとりのある様子』という事でし。
学校に到着すると・・・門が閉まってたでし。
「あれ?なんで閉まってんだろ?」
「少し早く来すぎたのではないですか?」
「それでももう八時過ぎてるわよ。」
「・・・・・・。」
これは一体どういうことなんでしか。
皆で不思議そうに考え込んでいるその頃、家では・・・ 那奈しゃんが丁度起き出した頃だったでし。
「おはよー!いやあ、ちょっと寝過ごして・・・あれ?
なんで日曜なのに誰もいないんだ?」
という事だったんでしよー!!!
約一時間後に皆で気付いて慌てて引き返すと、那奈しゃんが丁度門の前に立っていたでし。
「曜日くらいちゃんと確認しろよな・・・。」
那奈しゃんの言う事ももっともでし。


「寄らば大樹のかげ」でし
『雨や強い陽射しを避ける為に身を寄せるならば、小さい木より大きな木の方が良い。
もしも人に頼るなら、力のあるしっかりした人に頼る方が良い』という事でし。
「そう!だから俺達は宮内神社にやってきた!」
「一番の年長者は出雲さんだしね。」
「なんといっても神主やったり売り子やったりしてる万能おにーさんだしな。」
「あたし達は頼りにしてますからね、出雲さん。」
そう、ここは宮内神社でし。
太助しゃま達はここに避難してきたんでし。
「あのう、皆さんそろって何故に?それに頼りにしてるとは一体・・・。」
「頑張れ、出雲・・・。」
「は?」
太助しゃまがポンと肩を叩いたそのすぐ後に、どどどどどという激しい音が!地響きが!
「あれは・・・ルーアンさん、でしょうか・・・。」
「そうだ。ルーアンを止めてくれ!」
ひょいっと出雲しゃんの背中を押したのを合図に、皆しゃん神社へ避難でし!
「ちょ、ちょっとー!!!」
ふらふらっと、暴走しているルーアンしゃんの前に出た出雲しゃん!!
この後どうなったか!?それは次回の御楽しみでしー!!!
「ちょっと離珠さん!次回なんてあるんですかー!?」


「夜を昼になす」でし
シャオしゃまって大変でしね。みんなの御飯を作ったり、太助しゃまを守ったり・・・。
「大変なんて事は無いわよ。太助様のためにも、なんだか頑張ろうって気になるもの。」
うーん、大変じゃないなら、それはそれでいいと思うでしが・・・。
そして夜。なんとシャオしゃまが起きてごそごそとやっていたでし。
シャオしゃま、何をしてるんでしか?
「起こしちゃった?ごめんね、離珠。太助様にプレゼントするマフラーをと思って。
昼間はなかなか編む暇が無いから、こうして夜に少しずつ編んでるの。」
くうう、なんてことでしか、シャオしゃま!
いくらなんでもそれは働き過ぎでしよ―!(マフラーを編むのは仕事ではないでしが)
『夜も昼と同じように働く。働き者』という事でし。
で、次の日の朝、シャオしゃまが珍しくも寝坊してしまったんでし。
慌ててシャオしゃまが起きた頃には太助しゃまがなんと朝御飯の支度を!
「おはよう、シャオ。珍しいな、朝寝坊するなんてさ。」
「おはようございます、太助様。済みません、太助様にそんな事・・・。」
「気にすんなって。毎日毎日働かせてばっかりで申し訳無く思ってさ。
たまには休んでくれよ。シャオだけにすべてを任せるわけにはいかないんだしさ。」
「太助様・・・。はいっ。」
やっぱり太助しゃまは立派な御主人しゃまでし―!
毎日毎日皆の事をどんな時も気遣ってくれる太助しゃまこそ、働き者なのかもしれないでしね。


「選れば選り屑」でし
ある日、花織しゃんが服を買いに出掛けたんだそうでし。
「うーん、どれがいいかな。これも良いけどあっちの方が・・・。
いやいや、さっきちらっと見かけたやつの方が・・・。」
なんてやってるうちに、目をつけておいたものがどんどん売れてゆき・・・。
「ええー!?なんでこんなダサいのしか残ってないのー!?」
なんて叫んでたそうでし。
『あまり選びすぎると、一番悪いものをつかむことになる。
えり好みもほどほどにという例え』という事でし。
後で話を聞くと、開店から閉店まで店に居たらしいでし。
「だってどれもこれも凄く良かったんだもん。」
花織しゃん、だからって・・・。


「喜んで尻餅をつく」でし
「七梨先輩!今日のは自信作です!さあ、食べてください!」
昼休みに花織しゃんがお弁当を持ってきたんでしね。
でも花織しゃんのお弁当は・・・。
「いや、あの、シャオの弁当があるから・・・。」
「あたしのは食べれないって言うんですかあ?
そんな事言わずに一口だけ、お願いします!」
必死に迫る花織しゃんを断ることが出来ず、太助しゃまはとうとうそれを食べてしまったんでし。
えうー、太助しゃまが・・・。
「・・・もぐもぐ・・・。美味しい・・・美味しいよ、愛原!
へえ、確かに自信作だなあ、こりゃあ。」
・・・え?ななな、なんと、美味しいんでしか!?
「でしょう、今日はもうばっちり出来たんですから!」
「花織さん、私もいただいてよろしいですか?」
「もっちろん!どんどん食べてくださいよ。やったー!これで、これで・・・!!」
花織しゃんは喜んでそれを持ち上げてしまったんでし。
それと同時に、誰かに“どん!”とぶつかってしまい、お弁当が・・・!
「ああーっ!!せっかくのあたしのお弁当がぐちゃぐちゃにいいい!!」
「愛原、持ち上げたりなんかするから・・・。」
「花織さんのお弁当、食べたかったですわ・・・。」
まったく、太助しゃまの言う通りでし。
『あまり得意になりすぎて失敗をする』という事でし。
そのことがショックで、花織しゃんはその時のようなお弁当を作れなくなったようでし。
でも、めげずに頑張っているみたいでし。いつかはちゃんと作れるようになるでしね。


「弱牛の尻押し」でし
「キリュウちゃんの試練!その時に校舎を動かすというものが出た!!
太助は頑張るが当然校舎はぴくりとも動かない!!
そこで俺が一緒になって押してやる!という行為は無駄だ、ってことだよな。」
・・・・・・。
『つまらぬ者に力をかしてもむだだ』という事でし。
ふぉろーしたところで意味はないだろうから離珠はこれで通すでし。
「なんだって!?俺は離珠ちゃんの手伝いって事で・・・」
たかししゃんの例えはとんでもなく悪いんでしよ!!


戻るでし。