≪ゆ≫でし!


「湯上りには叔父坊主が惚れる」でし
リビングでお茶を飲んでいた時の事でし。傍に居たのは太助しゃま。
で、そこへお風呂から出たシャオしゃまがやって来たんでし。
「太助様、私先にお休みさせていただきますね。」
シャオしゃまを見た太助しゃまはなんだかポーっとしてたでし。
太助しゃま、どうかしたんでしか?
「あの、太助様?」
「あ、ああ、ごめんごめん。なんかシャオがとっても可愛かったから・・・。」
「まあ、そんな・・・。」
太助しゃまと同じように顔を赤くするシャオしゃま。そしておやすみを言ったんでし。
もう、太助しゃまってば結構言うでしねえ。
と、そこへもう一人風呂上りの人物がやって来たんでし。それはルーアンしゃん。
珍しいでしね、シャオしゃまと二人一緒に入ってたんでしか?
「たー様、あたしもう寝るから。おやすみ―。」
「あ、ああ。お、おやすみ・・・。」
「どうしたのよ、たー様。何をそんなに赤くなってるの?」
「いや、なんとなくルーアンが可愛かったから。」
なんなんでしか?ひょっとしてルーアンしゃんに見とれてたって事なんでしか?
「もう、た―様ったらお世辞が上手いんだから。じゃあお休み♪」
そして上機嫌にルーアンしゃんは二階へ上がって行ったでし。
太助しゃま、シャオしゃまと同じ事を言っちゃ駄目でしよ。
しばらくそのままじっとしていると、更にリビングに顔を見せた人物が。
キリュウしゃんでし。どうやらキリュウしゃんも風呂上りみたいでしね。
「主殿、お風呂は後主殿が入るのだったな。那奈殿は先に眠られたそうだ。
私ももう寝るので・・・主殿?」
さっきと同じようにポーっとしている太助しゃま。
しかもジーっとキリュウしゃんを見つめているもんでしから、キリュウしゃんも赤くなったでし。
「あ、あの、主殿?私の顔に何かついているのか?」
「い、いや。なんかキリュウが可愛いな、なんて思ってさ・・・。」
「なっ・・・。」
三度目同じ事を言う太助しゃま。もうちょっとひねろうとか思わないんでしか?
一気にキリュウしゃんの顔が赤くなったでし。なんだか頭から蒸気が昇っているような・・・。
「お、おや、おや、おや、おやす、み、あ、ある、あるじど、の・・・。」
「う、うん、おやすみ・・・。」
顔が真っ赤なまま、キリュウしゃんは猛ダッシュで二階へ駆け上がって行ったでし。
なんだか今晩の太助しゃまはいつもと違って様子が変でしねえ・・・。
『女の湯上りの風情は、言いようのない味があり、誰でも心ひかれる』という事でし。
ひょっとしたら離珠の湯上り姿にも太助しゃまは反応するかも!?
というわけでまた今度試してみるでし!


「唯我独尊」でし
『“天上天下唯我独尊”の略で、天地間に自分より尊いものはない』という事でし。
星神の中で一番偉いといえばこのひとでし!
「あー、うおっほんうおっほん。ただいまマイクのテスト中じゃ、うおっほん。」
誰でしか、南極寿星しゃんにマイクなんか手渡したのは・・・。
「小僧の友達から借りたのじゃ。なんでもこれはぴかぴかおーでぃんとか言うらしい。
オーディンとは北欧神話に出てくる偉い偉い神様じゃ。それがぴかぴか光っておる。
なんとも今のワシにふさわしい物ではないか!」
たしかそれはピカデオンでしよ・・・。
「星神の中で一番位が上。そんなじーさんにマイクを貸した俺も偉い!」
た、たかししゃん・・・。
「おっ、来たな。ふふん、お主はなかなかに名前のセンスがいいのう。」
「まあな。俺はなんたって、熱き偉き魂を持つ男だからな!」
「ワシも偉い星神なんじゃ!」
「俺と同じく偉いんだな!」
えーと・・・
『また、自分一人だけが偉いと思い上がることにも言う』という事でし。
「ワシは偉い!」
「俺は偉い!」
二人ともいいかげん終わって欲しいんでしが・・・。


「有終の美」でし
『最後まで立派にやり遂げる事。また、物事が立派に出来あがる事』という事でし。
離珠のことわざ大辞典も、全てのことわざを解説してこそ完成と言えるでし!
「それで離珠、その時が来るのは一体いつなの?」
シャオしゃま、何をそんな荷深刻そうな顔をしているでしか?
「あんまり時間がかかっていると、心配で心配で。
特に星神のみんなをよく連れまわしてるでしょ?だから・・・。」
大丈夫でし!全部終わればオッケーでし!
「だからそれっていつなの?」
・・・今はまだ言えないでし。
「正直なところ、分からないんじゃないの?」
え、えうー・・・。
「もう・・・。ほどほどにしないと駄目ですよ。」
は、はいでし。
しかしほどほどにしてしまうと完成しないような・・・。


「夕立は馬の背を分ける」でし
ある日の夕方の事でし。
シャオしゃまと一緒にお昼寝から目が覚めると外で雨が降っているのが見えたでし。
「まあ大変!洗濯物を取りこまなくっちゃ!」
急いで駆け出して行くシャオしゃま。傍に居たキリュウしゃんも引っ張って外に出たんでし。
ところが洗濯物は全然ぬれてなくて、しかも雨なんか降ってなかったんでし。
「あれ?おかしいな・・・。」
「シャオ殿、何かを見間違えたのでは?夢で見たとか・・・。」
「そうかもしれませんね。でももう夕方ですし、洗濯物は取りこまないと。」
そしてキリュウしゃんとのんびり取りこみ始めたシャオしゃま。
とその時、二階の方から太助しゃまが顔を出したんでし。
「シャオ、大変だ!夕立だから早く洗濯物取りこんだ方がいい!」
するとシャオしゃまとキリュウしゃんは笑って答えたんでし。
「もう、太助様。雨なんか降ってないじゃないですか。」
「主殿も夢を見たのではないのか?」
ところが、太助しゃまの言う通り、“ざあああ”という激しい音が聞こえるんでし。
なんだろうと思ってシャオしゃまとキリュウしゃんが数秒そこで立っていると!
ざあああああああ!!!
と、ものすごい勢いの雨が降り注いだんでし!
「きゃあああ!」
「な、何事だ!?」
突然の雨にびしょ濡れになるシャオしゃま、キリュウしゃん、そして洗濯物・・・。
どうやら、家の反対側で降っていた雨がこっちに移動してきたみたいでし。
『夕立は局地的なものである』という事でし。
結局洗濯はやり直し。シャオしゃまとキリュウしゃんは危うく風邪をひきそうになったでし。
夕立の恐ろしさが良く分かった時間だったでし。


「有名無実」でし
「ルーアン先生の事ですー!!」
か、花織しゃん・・・。
「幸せを与える慶幸日天!?七梨先輩は全然幸せに成って無いじゃないですか!!」
いや、ルーアンしゃんもそれなりに頑張って、それで太助しゃまも・・・
「とにかく!!これで決まりよ!!」
・・・えー、そんなわけで、
『名前だけは知られていても、それにふさわしい実質が伴わない。
評判ばかりで、中身は大した事が無い』という事でし。
ルーアンしゃんが聞いてるとものすごく暴れられそうでし・・・。
「何悩んでるの離珠ちゃん、事実じゃない。」
花織しゃん、そういう決めつけは良く無いでしよ~。
否定できない部分もあるでしが、やっぱりルーアンしゃんはルーアンしゃんでいい所があるんでし。
「・・・ルーアン先生を弁解する離珠ちゃんなんて初めて見た。
これはこれで凄い事かも!」
一体何をそんなに張り切ってるんでしか・・・。


「幽霊の正体見たりかれ尾花」でし
『幽霊だと思って怖れていたものも、よく確かめて見ると、
ただのかれ尾花(枯れたススキの穂)。こわいと思ってると、なんでもおそろしく見える』という事でし。
「離珠とたかししゃんの、キリュウしゃんを怖がらせてみようコーナー!!」
何を勝手に言ってるでしか・・・。
「いやいや、ちょっと小耳に挟んだもんだから真似してみたんだよ。」
それにしても、キリュウしゃんをどうやって怖がらせようというんでしか?
「それはだな、あらかじめキリュウちゃんに言っておくんだ。
“これからキリュウちゃんにとってすっごく怖いものを見せる”って。
最初にそれを聞いたキリュウちゃんは、なんだかわからないけど怖いものが出て来ると思う。
そこで!何でもいいから見せればキリュウちゃんは怖いと思うに違いない!!」
すっごいこじつけのような気がするでしが・・・でも面白そうでし。
さっそくやってみるでし!!
そして後日。家のリビングに、離珠とたかししゃん、そしてキリュウしゃんでし。
「わざわざ試練までも中止にさせて・・・。二人で一体何の用が?」
「キリュウちゃん、これからキリュウちゃんにとって、
すっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっごく怖いもの見せるから。」
それを見てくだしゃい、ってことでし。
「・・・・・・。」
おや、無反応でし。
「よーし、それじゃあ行くよ~。・・・それっ!!」
そしていきなりたかししゃんが取り出したのは、唐辛子でし!
・・・って、たかししゃ~ん。
「キリュウちゃんは辛いものが苦手だからな。それの相乗効果を狙ったわけだ。」
いくらなんでも唐辛子を見て怖がる訳無いでしよ。
「まあまあ。さあキリュウちゃん、どう?って、あれ、どこいったんだ・・・。」
なんと!いつの間にかキリュウしゃんは姿を消してしまっていたでし!!
「怖くなって逃げたとか?まさかなあ・・・。」
ひょっとして、怖いものを見せようとした離珠とたかししゃんに、
仕返しをしようとしてるのかもしれないでし。
「な、なんだって!?そ、そいつあやばいな・・・。
ああっ!!あのソファー、大きくならなかったか!?」
なんでしと!?も、もしかして万象大乱が既に・・・。
「ひ、ひえー!!・・・あ!俺達もなんだか小さくなってる!?」
こ、これ以上小さくされたらとんでもないでしー!!
・・・とまあ、慌てて二人で家を飛び出したんでしが、どうやら目の錯覚みたいだったでし。
当のキリュウしゃんは、たかししゃんが言った様にとっとと逃げ出したとか。
「いや、逃げたのではなくて、なんだか無駄な時間を過ごさせられそうだったから・・・。」
「やっぱり逃げたんじゃないか!!キリュウちゃん、俺は悲しいぞおお!!」
けれども、やろうとした事を考えると、あんまり強くは出れないでし。


「柚が色付くと医者が青くなる」でし
『柚が色付く頃は季節がいいので、病人が少なく医者が暇になる』という事でし。
つまりは、この季節の頃は長沙しゃんは暇を持て余したんでし。
ところが長沙しゃんは“とんでもない!”と言わんばかりに首をぶんぶんと横に振ったでし。
そりゃまあそうでしねえ。昔は戦とかが多かった事もあるでしから。
今も全然暇じゃ無い?なるほど、そりゃごもっともでし。
という訳で、このことわざは嘘って訳でしね・・・なんて事は無いでしよ!!
長沙しゃん、フォローをお願いするでし!!
ああっ、何処へ行くんでしか!え?シャオしゃまが呼んでる?
それなら仕方ないでしねえ・・・って、困るでしってばー!!
長沙しゃん、何か一言でもお願いするでしよー・・・。


「歪み木も山の賑い」でし
『つまらぬ物でも無いよりはましだ』という事でし。
でしから、玄関に木を置きたいでし!
「邪魔になるから駄目。」
何を言ってるでしか太助しゃま。ないよりはある方がいいんでし!
「だから邪魔になるんだってば!そんな大きな木はだめだ!!」
大きいったって離珠くらいの大きさでしよ?
「それでも、見えなくて蹴っ飛ばしたりしたらどうするんだよ。」
はっ、それもそうでし・・・。


「雪と墨」でし
分かりやすい例をどお―んといくでしよ。
シャオしゃまは御主人しゃまを“不幸”から守る守護月天。
ルーアンしゃんは御主人しゃまに“幸福”を授ける慶幸日天。
どうでし、これ以上分かりやすいことはないじゃないでしか。
『まったく正反対の事柄』という事でし。
不幸と幸福。うーん、ばっちり正反対でしねえ・・・。
「離珠、サボってんじゃねえって。」
虎賁しゃん!失礼でしねえ、サボってなんかいないでしよ。
「でもなあ・・・。」
もう、細かい事を気にし過ぎなんでしよ、虎賁しゃん。
これこそ、離珠とまったく正反対でし。
「あのな、それは違うって・・・。」


「雪のあしたは裸虫の洗濯」でし
寒い寒い夜、窓の外を見てみると白いものがちらほらと舞い降りていたでし。
「何を詩人ぶってるんだ。雪が降ってるって言やあいいじゃねーか。」
もう、夢が無いでしね、虎賁しゃんは。こういう表現も大事でしよ。
「表現が大事なのは分かるがどうして夢がない事に成るんだか・・・。
とりあえず積もってたらぼうずに雪合戦必勝法を伝授しねーと。」
なんでしか?それは。
「キリュウに頼まれたんだよ。冬は寒いから試練を手伝ってくれないか、って。
ま、ずっと前の雪合戦がちょっとうやむやのまま終わっちまって不満だったしな。
そこでおいらは快く申し出を受けたって訳だ。」
うーん、ずっと前にもそんな事があったような気がするでし。
試練に雪合戦を使うって事が・・・。
「気にするな。とにかく積もってくれよー!」
虎賁しゃんは、何やらお祈りし始めたでし。
そんなに真剣に成らなくっても大丈夫でしよ。
その翌日、沢山積もった雪、そして晴れ渡った空の下で雪合戦試練が行われたでし。
呼び集められたたかししゃん達が投げた雪玉を、
キリュウしゃんがおっきくしたり、ルーアンしゃんが陽天心をかけたり。
そういった雪球を太助しゃまが避けるんでしよ。
なかなか皆しゃんたのしそうだったでし。
『雪の降った翌日はよく晴れる』という事でし。
ほんと、晴れて良かったでしねシャオしゃま♪
「そうね。さあしっかり応援しましょう。太助様ー!!頑張ってくださーい!!」


「雪の降る夜は寒くこそあれ」でし
『ぼんのうはなかなかたちきれないこと。
世を捨てたとは思っても人間だからやはり雪が降れば寒い』という事でし。
いまいちよくわからないので那奈しゃんに解説をお願いするでし。
「はあ?そう言われてもなあ・・・。
よし、丁度今晩雪が降るって言うから、太助を家の外にでも出してみるか。」
ふ、ふえっ!?
・・・まあそんなこんなで夜。
太助しゃまはベランダに出て凍えていたでし。
「は・・・ハクション!なんで俺が外に閉め出されなきゃならないんだー!!」
「太助、辛いだろうが我慢してくれ。これも試練のためだ。」
「このぉー!那奈姉ぇー!!・・・はっくしょん!!」
太助しゃま、すっごく寒そうでし。
「ふむ。ならそろそろ終わりにしようか。
あたしは寝るよ。おやすみ~。」
ちょ、ちょっと那奈しゃん!終わりにするならベランダへの戸を開けなきゃ駄目でしよっ!


「雪は五穀の精」でし
『雪が沢山降る年は豊年だ』という事でし。
「・・・そうなんだ?普通は害が多いんじゃ?」
乎一郎しゃん、深くは聞かないで欲しいでし。
「うーん・・・雪は天からの贈り物だとかいう事が関係しているのかもしれないね。」
そ、そうでしね。
「是非調べてみれば?雪が降った年は本当に豊年なのか。」
ちょっと離珠には無理でし・・・。


「雪や氷も元は水」でし
「オレと太助と乎一郎。同じ中学二年生のはずだった・・・。」
そうでしね。
「ところが!今の太助はなんつー状態だ!!
同じ中学生なのにこうも違っていいものか!?」
たかししゃん、もうちょっと具体的に・・・
「シャオちゃーん!!君は何故太助と同じ家に暮らしてるんだー!!」
・・・ごくろうしゃまでし。
『もとは同じものでも、その後の環境や事情の違いで、違ったものになる』という事でし。
うーん、もう少しいい例えはなかったもんでしか・・・。


「行く水に数かく」でし
離珠は今まで、人に伝えるために沢山の絵を描いてきたでし。
でも、その中には伝わらなくて無駄になってしまったものが沢山あるでし。
それらって、意味が無い絵ってことだったんでしかね。
『はかない、むだである』という事でし。
なんだかがっくりでし・・・。すっごく空しいでし・・・。
「そんな事はね―ぞ。」
虎賁しゃん・・・。
「そういう数々の絵があったからこそ、おまえは伝えられる絵が描けたんじゃね―か。
あんまり無駄なんて考えるなよ。」
・・・そうでしね。虎賁しゃん、ありがとうでし。


「柚の木に裸で登る」でし
『たいそう難儀であること。また、無茶をする事』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、無茶をやってみようコーナー!
「うむ!という訳で主殿、あそこに刺が沢山ある柚の木が生えている。
一糸纏わぬ姿であの木を・・・」
「嫌だ!!」
何を言い出すでしか、太助しゃま!
「やりもせずに嫌がっていては話にならんな。」
「登るって事より、裸ってのが問題あるだろうが!!」
・・・・・・。
「・・・・・・。」
き、気合でゴーでし!
「心配されるな、見て見ぬフリを・・・じゃなかった、
しっかり見て・・・じゃなくって、見ないから。」
「却下だ却下!!」


「油断」でし
むかし、油は大変貴重なものだったんでし。それでとある王しゃまが、
「油を少しでもこぼすと生命を断つ。」
と言ったんでし。
『うっかりする事、不注意な事』という事でし。
「なるほどなあ、こいつは勉強になるよなあ。」
でしよねっ、翔子しゃん。
「油かあ・・・。油を使って七梨とシャオを・・・。」
しょ、翔子しゃん?
「・・・ふむ、一つ思いついた。那奈ねぇとキリュウと相談してみよう。」
ちょ、ちょっと翔子しゃん。離珠の解説聞いてたでしか?
「心配すんな、ちゃんと聞いてるよ。
なあに、ちょっとした作戦を思いついただけだよ。」
ど、どんな作戦なんでしか?
「それは秘密。少しでももらすと成功出来るかどうかに関わるからな。」
そんなにすごいものなんでしか?
「冗談だよ。けどまあ、実行する価値はありそうだぞ、と。」
・・・・・・・。


「油断大敵」でし
説明不用でしね。
『些細な事も、決して油断することなく注意が必要である』という事でし。
変な所で失敗しているルーアンしゃんや、たかししゃんなどなど・・・。
こういう人達は、油断を思いっきりしたんだと思うんでし。
よく考えたら、太助しゃまも結構油断が多いでしね。
夏山に行った時に、ルーアンしゃんがおとなしすぎるのに気付かなかったり。
キリュウしゃん、太助しゃまのそういう所をもうちょっと鍛えた方が良いでしよ。


「湯に入りて湯に入らざれ」でし
『入浴する事は体の為に良いが、いくら湯が体に良いといっても
あまり何度も入ればかえって健康に害がある。何事も度を越してはいけない』という事でし。
「聞いたか、キリュウ。」
「な、なんの事かな。」
「とぼけるな、あんなに何度も入っておきながら。
あの温泉旅行じゃあ、あたしが行った時は常に居たじゃないか。」
「しかし私は・・・。」
「まあ好きなら止めないさ。」
「そ、そうか。」
「というわけだ離珠。これで万事解決だな。」
ちょ、ちょっと待つでし。これの何処が解決だっていうんでしか。
「さあて、終わったから風呂に入ってくるとするか。キリュウも一緒にどうだ?」
「うむ。」
ふ、二人とも待つでしよ~・・・。


「湯の辞儀は水になる」でし
お風呂に入るのに遠慮していると、熱くした湯が冷めてしまうからほどほどにしなければならないでしね。
『遠慮も事と場合による』という事でし。
「くだらない言葉だ。温泉を遠慮してどうするんだ。」
キリュウしゃん、温泉じゃなくてお風呂なんでしが。
「温泉はいいぞ。遠慮するなんて勿体無い。」
だから、温泉じゃなくて、お風呂でし!
人が家に泊まりに来た時の状況とかを言ってるんでしよ、これは!
「さて、それでは私は用意されてる湯に入ってくるとしよう。まったくおかしな言葉だな。」
だああ、説明をちゃんと見るでしー!!
とかやってるうちにキリュウしゃんはさっさと行ってしまったでし。
仕方ないでしねえ、上がるまで待つとするでし。
「・・・おい離珠。」
おや翔子しゃん。
そうそう。伝え忘れてたけど、ここは翔子しゃんの家なんでし。
ちょっとやってきたんでしよー。
「なんでわざわざあたしんちの風呂を使う必要があるんだよ。」
試練でしよ、し・れ・ん。
「たく・・・。」


「湯腹も一時松の木柱も三年」でし
「万象大乱。」
どごぉっ!!
というわけで!家の柱が折れてしまったでし!
「はしょりすぎだ離珠殿。まるで私が意図的に壊したみたいではないか。」
「家の中で試練をやる事自体意図的にしか思えないんだけど・・・。」
「主殿、だからこれは試練だ。」
「・・・まあ今更言っても仕方ないな。さて、直すとするか・・・って、なんだこれ?」
松の木でし!軍南門しゃんに頼んで用意してもらったんでしよ!
「なるほど、それで実践してみようってわけだな。」
そうでし!
『一時凌ぎの間に合わせでもしばらくの間はそれで過ごすことが出来る』という事でし。
「・・・やっぱやめよう。」
ど、どうしてでしか?
「どうせ直すならちゃんと直さないと。少なくとも三年後にはまた直さなければならなくなる。」
むむう・・・。でもどうせ試練ですぐに壊れるでしよ。
「あ、なるほど!いい一時凌ぎだな。ナイス対応だぞ、離珠。」
えへへ、でし。
「主殿、離珠殿、だからこれは試練であって・・・。」
「試練でもなんでも。壊すって結果には変わり無いだろ。」


「指汚しとて切られもせず」でし
『肉親によくない者があっても簡単に始末するわけにはいかないという事のたとえ』という事でし。
「そうだ。太助がいくら酷い奴になっても、あたしは簡単に始末はできないという事だな。」
えと・・・恐い話が起こりそうなのでこのへんで止めるでし。
「離珠、もうちっと語らせろよ。将来の事を考えるとあって欲しく無い事だけど、
あるかもしれない話であって・・・。」
だうう、もういいでしよ那奈しゃん!


「指をもって河を測る」でし
『けた違いに大きい物であるのに、それを知らない愚かさを言う』という事でし。
太助しゃま、何かいい例えはないでしか?
「実際に誰かにやってもらえば?」
今からやるのは難儀でし。
「うーん・・・そういえばこの前親父から来た手紙に似たような事が書いてあったような。」
どんなものでしか?
「たしか・・・向こうの子供と、砂漠を何歩で渡れるか競争してたとか。」
す、すごいでし。よく無事だったでしねえ。
「最初見た時は“何やってんだバカ親父!”と思ったけど、
なんとか言うキャラバンと一緒だったんだってさ。
・・・待てよ、その時に珍しい物を買ったとか言ってたような。」
キャラバン、でしか。
「しかも送るとか言ってた気がする!
冗談じゃない、これ以上妙な物を送りつけられてたまるか!」
た、太助しゃま~!
ドタドタドタと、どこかへ走り去ってしまったでし。
うーん、今度は何が来るんでしかねえ・・・。


「弓折れ矢尽く」でし
たかししゃん!!よろしく頼むでし!!
「ふっ、燃え尽きたぜ・・・。」
以上でし!
『戦いに負けてひどい状態になる。
力を出し尽くしてしまい、もうどうする事も出来ない状態』という事でし。
「待て離珠、なんだその解説は・・・。」
「なんだ山野辺、俺の解説に不満でもあるのか?」
まったくでし!これほどぴったりなのはないでしよ!
「・・・あの~、お前ら本気で思ってるの?」
「当たり前だ!!この俺の熱き魂に不完全燃焼など無い!!」
離珠の解説案はパーフェクトなんでし!!
「けどさあ・・・。」
その後、離珠とたかししゃんVS翔子しゃんでけんけんがくがく。
激しい言い争いの後、二人は見事に勝利!!
「・・・分かった、お前らの解説で納得する。」
「うおっしゃあ!!」
たかししゃんとがっちり握手でしっ!
「でもな・・・。いやいい、何言っても無駄だろうな・・・。」
「フッ、万策尽きたか?」
「そりゃあ3時間も喋ってりゃな・・・。」
ご苦労様でしね、翔子しゃん。
「ああ・・・じゃあな・・・。」
疲れた様に帰って行く翔子しゃん。
それを見送る離珠とたかししゃん、でし~。


「夢は五臓のわづらい」でし
夢というものについては分からないことが多いでしが・・・
明らかに分かってるのは、寝ている時に見る事だっていうことでしね。
更に!こんな言葉もあるんでし。
『夢を見るのは、五臓(肺臓、腎臓、肝臓、心臓、脾臓)が疲れるためだ』という事でし。
「・・・離珠ちゃん、それほんと?」
たかししゃん、やけに疑わしそうでしね?
「だって花織ちゃんを見ろよ。起きてても夢見る乙女やってるぞ。」
そういうのとは違うと思うんでしが・・・。
「ところでその言葉どおりだとルーアン先生はよく夢を見てそうだよな。」
たしかに食べ過ぎて疲れてそうでしからね。
「あっそうだ、胃が疲れてる時でもやっぱり夢って見るのかなあ?」
さすがにそこまでは知らないでし・・・。


戻るでし。