≪め≫でし!
「明鏡止水」でし
ここは一発、年長者の意見を聞く事にするでし。
というわけで那奈しゃん!!
ドン!!
びくう!な、なんでしか・・・
「おい、誰が年長者だって?そんなにあたしは年寄りなのか?」
しょ、しょういう意味じゃなくて・・・。
「まあまあ、那奈さん。太助君たちに任せるわけにいかず、という事なんですよ。(ふぁさぁ)
ここは一つ、私と一緒に解説してみませんか?(ふぁさぁ)」
出雲しゃん・・・。ふう、助かったでしい。
「・・・まあそういう事なら仕方ないか。とりあえず現時点であたしと宮内はカットだな。」
「ちょっと待ってください。どうして私が。」
「ふぁさぁとかやってる時点で終わってるだろ。普段の行いからして反論の余地は無い。違うか?」
「いえ、おっしゃる通りです・・・。」
「後は・・・太助の友達もまだまだだろうな。」
「野村君と花織さんは除外。翔子さんもたまに妙な事をやってしまいますし。
遠藤君もルーアンさんの為っていう事になると・・・。」
「で、肝心の太助も完全除外。まだまだ人生経験が足りないな。」
「なるほど・・・。となると、シャオさんかルーアンさんかキリュウさんですね。」
「ルーアンはダメだな。キリュウも・・・ルーアンに色々教えてもらったりしてる様じゃあ。」
「となるとやはりシャオさんですかね。」
「あんなまっすぐな子は他に居ないだろ。ちょっとずれてるのが玉に傷か。」
「そうですね。というわけで離珠さん、シャオさんですよ。」
・・・なんだかどんどん二人で話して行って・・・。
離珠には良くわかんなかったでしよお。
「細かい事は気にせずに、とにかくシャオなんだよ。でも少し無理があるかな・・・。」
「では、私が一つ例えを出す事によって解決致しましょう。
普通の人へ自分の言葉を伝えようとする時の離珠さん。
これこそまさに、ぴったりあてはまっているのではないでしょうか?」
り、離珠の、でしか?
「そっか、宮内は離珠の言葉を聞いた事があったんだな。
本当に伝えたいことを伝える・・・。うん、確かにぴったりだ。」
「でしょう?というわけで離珠さん、あなたですよ。」
ちゅわ〜ん。なんだか照れるでしねえ。
『無私無欲で物事をありのままに見る事が出来る、静かに澄んだ心境の例え』という事でし。
もちろん、一時の事だけなら、皆しゃんもそういう時があるはずでし。
とりあえず代表して離珠が、という事でしね。
「明鏡も裏を照らさず」でし
「たまには真面目にことわざ解説をしてみよう。」
聞き捨てならないでしね、翔子しゃん。普段は不真面目だって言うんでしか!?
「まあまあ、怒るなって。さて離珠、伝心の限界はあるか?」
特に無いでし。どんなに遠くに離れてても、シャオしゃまに言葉を伝える事が出来るんでしよ。
「さすがだな。じゃあ質問の形を変えるぞ。
どんな状況でも伝えられる自信はあるか?」
どんな状況でも?
「そう。例えば動物に追いかけられて“うわー!”とかなってる時とか、
お饅頭食べて“ちゅわー!”とかなってる時とか、
ぐっすり眠って“ぐー・・・”ってなってる時とか。」
・・・翔子しゃん、密かに離珠を馬鹿にしてないでしか?
「んなわけないだろ。で、どうなんだ?」
うーんと・・・たしかに何かに夢中になってる時は無理でしねえ。
「うん、なるほどな。じゃあそういうことだ。」
ふえ?
『どんなに知恵のある人にも目のとどかぬことがある。
どんなに曇りのないよい鏡でも裏まではうつさない』という事でし。
・・・翔子しゃん、これってなんか違う気がするでし。
「それならそれで、たとえここまで真面目にやろうとしても、
解説が果たして上手くいかない時もある。まあそういうことだ。」
む、むむ・・・なんだか翔子しゃんが解説しようとするとそういうのが多いでし・・・。
「名人は人を謗(そし)らず」でし
『その道の奥義に達したような人は人の短所をあげつらわない』という事でし。
何故かというと、人の悪口はねたみとかからくるものが多いけれども、
名人には人をねたんだりする必要が無いからでしね。
「・・・で、なんであたしが呼ばれたんだ?」
翔子しゃんは嘘の名人だからでし!
「いや、だからといって奥義に達してるまでとは思わないけど・・・。」
気にしちゃダメでし!そういう訳でなにか一言!
「別にないよ。」
はい、ありがとしゃんでしたー。
「・・・・・・。」
「妻いとしの子いとし」でし
「太助、お前って奴は・・・。」
“はあ”とため息をつきながら、那奈しゃんが告げたでし。
「シャオを大事にするなとは言わないけど、ちゃんとあたし達の事も忘れずに・・・」
「なんでそんな話になるんだよ!俺がいつ那奈姉を忘れたんだ!?」
「まあ無理も無いよな。あんな可愛い子じゃ。」
「いいかげんにしろー!」
そんなわけで『人は妻や子の愛にひかされて、
親の恩を忘れたり兄弟や親類をおろそかにする事が多いものだ』という事でし。
ちなみにこれは“めいとしのこいとし”と読むんでしよ。
太助しゃま、忘れないで欲しいでし。離珠達星神のことも。
「だから俺がなんで例えに出されなきゃならないんだよ!!」
「太助、お約束だからだ。」
そうでし。
「そんなものは認めーん!!」
「明眸皓歯」でし
これは、『瞳が澄み、歯が白い。美人の形容』という事でし。
え―と、誰に解説してもら・・・
「はいはーい!美人とはずばりルーアン先生!!」
こ、乎一郎しゃん・・・。いつになく燃えてるでしねえ・・・。
「もうこれで、解説は終わったようなもんだよ。お疲れ様―。」
ちょちょちょ、ちょっと乎一郎しゃん。いくらなんでもそれは・・・
「よーし、今からルーアン先生に会いに行くぞ―!!せんせーい、僕はやりましたよ―!!」
ああっ、ちょっと待つでし!・・・行ってしまったでし。
それにしても一体何をやったって言うんでしか。ことわざの解説とでも言いたいんでしか?
えうー、なんだかあっという間に終わってしまったでし・・・。
「目から鼻にぬける」でし
普段の翔子しゃんでし。以上!
「・・・引き合いに出されたのはなんか嬉しい。しかしだな、解説になって無いと思うけど?」
そんな事無いでし!!だったら翔子しゃんが解説するでし!!
「・・・七梨とシャオの仲を深める為に色々策を練ってる。
・・・こんな程度で言われてもなあ、なんかぴんとこないんだけど。」
そうじゃないでし、たまにつく嘘でし!!
「嘘?」
そうでし。シャオしゃまにつく嘘は天下一品でし!!
それでシャオしゃまと太助しゃまの仲が深まったりするんでしから凄いでし!
「そっかあ。例えば、この解説が終わった後に七梨の家で星神争奪戦があるとか。」
・・・なんでしか?それ。
「シャオの知り合い達に星神をあずけなければならない!!
しかし、七梨の頑張り次第でそれを防ごうっていう試練だよ。」
な、なんでしと!?と、とりあえず意味をいくでし。
『賢くて物事の理解が早い。抜け目が無く、頭の回転が早い』という事でし。
こうしちゃあいられないでし。離珠も早く帰るでしー!!
「あ、おい!・・・あーあ、行っちゃった。
嘘なのになー。こんなので頭の回転が早いって言われても・・・。」
「目から耳へぬける」でし
さあたかししゃん!まずはこの絵をみてくだしゃい!!
「離珠ちゃんの描いた絵だね。ふむふむ・・・。
見たけど、これがどうかしたの?」
次に!これを隠すでし!
「ふんふん。」
さあたかししゃん。離珠は何の絵を描いていたでしか?
「へ?うーん・・・シャオちゃんと太助の絵だな、うん。」
違うでし!太助しゃまとシャオしゃまがデートして映画みて食事している絵なんでし!
『見ることは見ても、頭の中には何も残らず覚えていない』という事でし。
駄目でしねえ、たかししゃん。
「・・・俺すっげえそれに不満があるぞ?
太助とシャオちゃんという点で合ってたじゃないか!!」
ふっ、妥協は駄目なんでしよ。
「くっ・・・。」
「目くそ鼻くそを笑う」でし
これを解説する為にある作戦を立てたんでし。協力者はたかししゃんでし!
「あんまり気が進まないけどな、まあ頑張ってみるよ。」
というわけで家に招待。夕御飯を一緒に食べたんでし。
もちろんルーアンしゃんはがつがつと食べてたんでしが、たかししゃんもがつがつと!!
「おいたかし、なんでそんなに張り切って食べてんだ?」
がつがつがつがつ
「あの、そんなに慌てて食べなくてもお代わりは沢山ありますから。」
がつがつがつがつ
「まるでルーアンみたいだなあ・・・。」
おおっと、那奈しゃんがかすったでし。もしかしたら後一息でし!
がつがつがつがつ
「野村殿、そうやって滅茶苦茶に食べるのは感心しないな。」
がつがつがつがつ
・・・ちょっと、ルーアンしゃんはどうしたんでしか!
たかししゃんを見て何か言ったらどうなんでしか!
心の中で催促していると、ルーアンしゃんが手を止めたでし。
おしっ、ここで“野村君、がつがつ食べるのは良く無いわよ”って・・・
「シャオリン、お代わりー!!」
ずるっ。
「はい、ちょっと待ってくださいね。」
ぽんぽんとご飯をよそうシャオしゃま。それを受け取り、再びがつがつと食べだすルーアンしゃん。
まずいでし・・・。たかししゃんがそろそろ限界の様な気がするでし。
と、諦めかけた其の時、ルーアンしゃんが再び手を止めたでし。
「野村君。」
来た、来たでし!!心の中で万歳しながら、ルーアンしゃんの言葉を待ったでし。
「あんたも食べるように成ったわねえ。ま、美味しいから当然かもねー。」
それだけ言って再びルーアンしゃんは食べ始めたでし。
完璧に作戦ミスでしねえ・・・。
食事が終わった後、たかししゃんは凄く苦しそうだったでし。
とりあえずこれは、
『自分の欠点には気付かないで、他の人の欠点を馬鹿にして笑うのは、
かえってみにくいという例え』という事でし。
「ううー、離珠ちゃん。もうこんな事は勘弁してくれよな。」
分かったでし・・・。
「目で見て鼻で嗅ぐ」でし
さっそくたかししゃん、実行してみてくだしゃい。
「おし!」
じぃ〜っ
おお!見てるでし見てるでし!
くんくん、くんくん
おお!嗅いでるでし嗅いでるでし!
「ふむ、これは紛れもなくクリームパンだ!!」
というわけで!『注意するうえにも注意する』という事でし。
「しかしだ離珠ちゃん、更に食べてみた方が注意度が増すってもんだぜ?」
言われてみればそうでし!
「そんなわけで実践だー!!」
「お取り込みの所悪いですが、お金はちゃんと払ってくださいよ。」
はう・・・。
「くっ、思わぬ所で出雲の妨害が入ったか・・・。」
「購買部の商品を勝手に使わないでください!」
「目で目は見えぬ」でし
『どんなに立派な人でも、自分の事となるとなかなか分からぬもので、
自分の欠点には気が付いていない事が多い』という事でし。
離珠と紀柳しゃんの、目で目を見てみようコーナー!
「うむ!というわけで主殿、あなたの目で目を見てもらおう。」
「おい・・・。」
なんでしかその嫌そうな顔は!
「主殿、やる前から投げていては駄目だぞ。」
「できるわけないだろ!?どうやったら自分の目を・・・あ、鏡使えばいいのか。」
正解でし〜。でも反応遅いでし。しかも不満の視線を離珠達にぶつけたでし。
「まったく嘆かわしい。しかしこれで主殿も自分の頭のふがいなさに気づいただろう。」
「それはなんだか腹が立つぞ・・・。だいたい、ことわざの意味と違うだろ?これ」
何を言うでしか。誰が試練とことわざと同じだと言ったでしか?
「あくまでもこれはひらめきの元だ。先入観だけで捉えられては困る。」
「・・・わかったよ。俺の負け負け。」
わーい、勝ったでし〜。
「いや、別に勝ち負けを争っているわけではないのだが・・・。」
「目と鼻の間」でし
軒轅しゃん、出雲しゃんの家までおでかけでし!
ヨモギもちが離珠と軒轅しゃんを待ってるでし!
というわけで太助しゃまの家を出たんでし。
速い速い、空を飛んであっという間についたでし。
『非常に近いところ』という事でし。
というわけで、太助しゃまの家から出雲しゃんの家までは目と鼻の間って事でし。
ヨモギもちをおいしそうに食べていると、ジーッと軒轅しゃんが見てきたでし。
なんでしか、軒轅しゃん。え?“今の使い方は違う”って?
いいじゃないでしか。軒轅しゃんにかかれば、どんなに遠くてもそうなるんでしから。
「目無し鳥の藪探し」でし
『どちらへ飛んで行ったらよいのかわからず迷うことで、
探す方法もないことのたとえ』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、なんだかわかんないけど迷ってみようのコーナー!!
「うむ!というわけで主殿、これから目隠しをして藪の中に入ってもらう。
奥に居るシャオ殿の所までたどり着ければ試練は終了だ。」
「おっ、いつもと違ってなんかまともそうだな。」
なんか失礼な事言ってるでし。
離珠とキリュウしゃんはいつもまともなものを出してるでし!
「言っておくが難しいぞ?実際には何もみえないわけだからな。」
「心の目、ってやつをつかうのか。」
そういうことでしね。
「草木に直に触れることにより、感じ取って欲しいものがある。そういう事だ。」
「おしっ、やってやるぞ!」
気合十分で目隠しをし始める太助しゃま。
これはいい結果が期待できそうでし。
「おっと、そういえば忘れていたことがある。ちゃんと飛ぶようにな。」
「・・・おい、今なんて言った。」
太助しゃま、耳はちゃんと聞こえてくだしゃい。
「鳥を手本としているのだ。飛ばなければ意味がない。」
「そんなのできるかー!!」
むっ、やる前から諦めてるでし。
「仕方ない。飛ぶのは諦めよう。というわけで今のは冗談という事にしてくれ。」
「・・・さっさとちゃんとした試練始めようぜ、な?」
「目に入れても痛くない」でし
「瓠瓜あぁぁぁ!!!」
と、翔子しゃんが瓠瓜しゃんを愛撫してるでし。
かいぐりかいぐり、なでなでなでなで、すりすりすりすり・・・。
『可愛くてたまらない』という事でし。
「・・・なんだ離珠、いつからそこに居たんだ?」
離珠の存在に気付かないなんて翔子しゃんも相当なものでしね、瓠瓜しゃん。
「ぐえっ。」
「へ?ことわざ解説?・・・ふむふむ、目、かあ・・・。」
なにやら納得した翔子しゃんが考え込みだしたでし。
それにしても瓠瓜しゃんの言葉がわかるんでしか?
「よしっ、早速瓠瓜をあたしの目の中に!!」
ふえっ!!?
「ぐえっ!?」
「・・・なーんて、冗談だよ。あははは〜。」
すりすりすりすり・・・。
「ぐえ〜。」
すっかり虜でしねえ・・・。
「目には目 歯には歯」でし
『自分にひどい事をした人には、同じような仕返しをする』という事でし。
「いつも購買部で非道い目に遭っているなあ、乎一郎。」
「へ?誰から?」
「宮内出雲だよ!!あのやろう、俺達男子にはパンをただで配らないんだ。」
「購買部だから別にそれって当たり前なんじゃ・・・。」
「違う!断じて違う!!だからこれから仕返しに行くぞ!!」
「ちょ、ちょっと!」
たかししゃんと乎一郎しゃん。
教室で何やら話し合っていたかと思ったらいきなり立ち上がったでし。
「それにしても仕返しって何をするつもりなんだか・・・。」
でしよねえ、太助しゃま。
「おい太助!お前も来い!!」
「は!?なんで俺まで!?」
「いいから来るんだよ!!」
「お、おいたかし!!」
そして・・・離珠をほっぽって太助しゃまは行ってしまったでし。
えうー、なんてことでしか・・・。
太助しゃまあんまりでし!!帰る時間になったら離珠は一人で帰ってやるでし!
「何をそんなにぷんすか怒ってるんだよ離珠。」
あっ、翔子しゃん。太助しゃまが離珠をほっぽって行ったから・・・
「ふんふん、それで一人で先に帰るってか?やめとけ。」
ほえ?なんででしか?
「んな事より、七梨は勝手に連れられて行っただけだろが。」
まあそうなんでしけどね。
「たく・・・。しっかしおにーさんにどんな仕返しをするつもりなんだか・・・。」
その後、返ってきた太助しゃまによると、
出雲しゃんに購買部で買った品物を売りつけまくったそうでし。
訳わかんない仕返しでしね・・・。
まあやっていたのはたかししゃんなんでしが。
「なんで俺がこんな目に・・・。」
お疲れしゃまでし、太助しゃま。
「目の上のこぶ」でし
みなしゃ〜ん、こんにちは。離珠でし。
これは『目障りで取り除きたいが、それが難しい物』という事でし。
つまり・・・
どどどどっ!!
な、なんでしか!?
「出雲の事だ!!オレとシャオちゃんの仲を邪魔するにくいやつ。」
「誰も邪魔なんかしてませんよ。私は普通にシャオさんとお付き合いしているだけです。」
「どこが普通だよ!!神主のくせに購買部まで追いかけてきやがって。
シャオは絶対お前なんかに渡さないからな!!」
「僕に言わせれば太助くんだよ!!いっつもルーアン先生のそばにいちゃってさ。」
「七梨先輩に何てこと言うんですか!!ルーアン先生とシャオ先輩に決まってるでしょ!!
あたしの七梨先輩と一つ屋根の下で暮らしてるなんて許せません!!」
「ちょっと!!誰のたー様だって!?たー様はあたしのものに決まってるでしょ!!」
・・・うう、離珠が解説するはずだったのに。
離珠にとっては、皆しゃんが目の上のこぶでし!
「目の正月」でし
たかししゃん、いい例えをお願いするでし。
「そ、そりゃあ、シャオちゃんの・・・。」
シャオしゃまの?
「くっ・・・お、俺には言えない。言えないんだー!!」
ああっ、たかししゃん!!
わけが分からないまま、たかししゃんは顔を真っ赤にして走り去ってしまったでし。
ううむ、一体何を言おうとしてたんでしかねえ?
と、そんなところへ太助しゃまの登場でし!早速説明してみると・・・。
「う、うーん・・・。もしかしたらシャオの・・・って、俺まで言うところだった。
気にしない方がいいよ、離珠。」
むうー、そんな言い方をされると気になるでし!
と、そこへたかししゃんが息を切らしながら戻ってきたでし。
「ふう、ふう。俺はなんて事を・・・って、太助!」
「たかし・・・お前って奴は・・・。」
「何を言うんだ!お前こそ!!」
「お、俺は別に邪な考えは持ってないぞ!!」
そして二人の言い争いが始まったでし。
二人が言いたいのは邪な事、なんでしかねえ?
収拾がつかないところへ、更に乎一郎しゃんがやってきたでし。
丁度いいから乎一郎しゃんにも事情を説明でし。
「へぇ〜。僕なら、ルーアン先生に手料理を“アーンして”とか言って食べさせてもらいたいなあ。」
一体何を言ってるでしか。たしかに珍しいでしが、テーマを分かってるでしか?
「それだよそれ!俺が言いたかったのはそれ!」
「お、俺も俺も!シャオの手料理を“はい、アーン”とか言って食べさせてもらう!」
いきなりたかししゃんと太助しゃまが言い争いを止め、こちらに向かって叫び出したでし。
なんだかわかんないでしが・・・
『珍しい物を見てうれしい思いをする』という事でし。
もしかして、離珠は訊くべき相手を間違えたかもしれないでし・・・。
「目は口ほどにものを言う」でし
というわけで、早速太助しゃまに訴えてみるでし!
じぃ〜っ・・・
「ん?どうしたんだ離珠、そんな所に座って。」
じぃ〜っ・・・
「な、なんだよじーっとこっちを見て・・・。」
じぃ〜っ・・・
「困ったな、俺じゃあ離珠が何を言いたいのかわからない・・・。」
「あの、太助様・・・。」
と、ここでシャオしゃまの登場でし!でも離珠は構わずにやるでし。
じぃ〜っ・・・
「ん、シャオ?丁度良かった、離珠が・・・って、どうしたんだ?」
「えっ・・・。あ、いえ、その・・・。」
何か用事があるみたいでしが、特に何も言えずにおろおろするシャオしゃま。
それでも構わずに離珠は続けるでし!
じぃ〜っ・・・
「・・・もしかして、鰹節が湿気ら無いように塞いでおく紐が欲しいの?」
「えっ!?ど、どうしてわかったんですか?」
「なんとなく・・・ずっと前のクリスマスの時もそんな感じの目をしてたし。」
苦笑いしながら、太助しゃまはシャオしゃまの希望の品を探しに二人で行ってしまったでし。
『願いや愛情を込めた目は、口で話すのと同じように気持ちを伝える』という事でし。
うーん、凄いでしねえ、太助しゃまは。シャオしゃまのそんな目を一瞬で感じ取って・・・
って、離珠の願いを込めた眼差しはどうなるんでしか!!
あっ、キリュウしゃんでし!こうなったらキリュウしゃんに!!
じぃ〜っ・・・
「・・・どうしたんだ離珠殿。」
じぃ〜っ・・・
「そ、そんなに見つめられると照れるではないか。」
顔を紅くしてばっかりでちっとも伝わらなかったでし。ぷう・・・。
「目は剛毛を見るも睫を見ず」でし
例えばルーアンしゃんが・・・
「あらあらだめじゃないの、そんなにがつがつ食べちゃあ。お腹壊すわよ?」
とでも言えば間違いないでし!!
『他人の事については細かい所までよく見えるものだが、
自分の事はわからないものだ』という事でし。
「ちょっとごみチビ、たまにはもっとちゃんとした例えだしなさいよ。」
これ以上わかりやすいものはないでし。
「むかー。食事風景なんてものをちゃんと書けばいいじゃないの!
例えばキリュウが“ルーアン殿、食べ物をこぼすのは行儀が悪いぞ。
それにもう少し良く噛んだらどうだ?まったく、口の周りをあんなに汚して・・・”
なんて言えば!!」
キリュウしゃんはそんな食事の仕方してるんでしか?
「まあ慌ててる時とか。」
良く見てるでしねえ。しかしルーアンしゃん、それこそ例えにばっちりでし!
「そうね。キリュウが言えばね。」
キリュウしゃんがそういう事を言わないのは良く分かってるでし。
つまり、やっぱりルーアンしゃんが言って例えになるんでし!
「なぁーんだ。おーっほっほっほ!・・・ってそれじゃあ結局おんなじじゃないの!!」
「目は心の鏡」でし
これはすっごくいい言葉でし!!これで離珠は無理にお絵描きしなくて済むでしね!!
「いや、そうじゃないと思うぞ・・・。」
何を言うでしか虎賁しゃん!そんな事無いでし!
『心で思っている良いこと、悪いことは、そのまま目の表情に表れる。
目を見れば、人が心の中で思っていることが分かる』という事でし。
という訳で早速虎賁しゃんに伝えるでし!じーっ。
「・・・あのなあ、目を見るだけで何を考えてるかなんて分かる訳無いだろ。
とりあえず・・・なにかを欲しがってる目だな。」
おおっ!当たりでしよ虎賁しゃん!
「ふむふむ・・・見事当たったんで喜んでる目、と。」
ちゅわ〜ん、さすがでし!
「けどな、それ以上はわかんない。だからいつも通り紙に描け。」
な、何てこと言うでしか虎賁しゃん!しっかり分かってくだしゃい!
「ふむ、今は怒ってる目だな。だからこれ以上は無理なの。
例えば“今日はいも羊羹でし〜”なんて分かる訳無いだろ。」
ええっ!?分からないんでしか!?もう、虎賁しゃん駄目駄目でし。
「なに呆れた目をしてんだ・・・。無理なものは無理だって言ってんだろ!!」
えうー・・・。という訳で、ここまででし。
「目八部に見る」でし
『人を軽視して、威張った態度で人に対する』という事でし。
例えは出さないでし。
「なんでだ?」
例えを出してるだけで腹が立ってくるからでし。
「なるほどなあ。もしかしたらおいらの事を言うんじゃないかって思ってたけど。」
虎賁しゃんなんか問題じゃないでし。
なにが、“胸に手を当てて”でしか!!
自分こそ胸に手を当てて考えてみるがいいでし!!!
「・・・一体何があったんだ?」
伝心がらみでし。
「訳わかんないけど・・・まあ、納得しておく。
しっかし、結局例え出してるような・・・。」
この程度は例えとは言わないでしよ。
「目元千両口元萬両」でし
『美人の形容で、美人は目元が美しく口元が可愛らしい』という事でし。
「なるほど!そういうことだったとはなあ・・・。」
何がなるほどなんでしか?たかししゃん。
「この本の女の子を見ろよ!」
これは少女漫画・・・でしかねえ。って、そんな物持ってたんでしか?
「花織ちゃんから借りてたのさ。いやあなるほど納得。
目が大きかったり口元が・・・ってキャラがよく描かれたりするのはこういう訳だったんだなあ。」
妙に納得してるみたいでしが、離珠は何故たかししゃんがそんな本を借りたのかが気になるでし。
「目病み女に風邪ひき男」でし
今回は離珠だけじゃあ無理でしねえ・・・。
というわけで虎賁しゃん、協力よろしく頼むでし。
「ふっ、しょうがねえなあ。おいらが一肌脱いでやるよ。で、何をすればいいんだ?」
風邪をひいたふりをして欲しいんでし。離珠は、目が少し見えないふりでし。
「なるほど・・・そかそか。よし、おいらにばっちり任せとけ!」
しょんなわけでリビングのテーブルの上にて行動開始でし!
「・・・ごほごほ。」
しゃーて、ここから向こうまで歩くでし・・・あいた!虎賁しゃんにぶつかったでし〜。
「離珠、もうちょっとちゃんと歩いてくれよ。ごほごほ。」
だって虎賁しゃん、離珠はあんまり良く目が見えないんでしよ。
「そかそか、そうだったな。ごほごほ。」
しょれでは・・・あぅ、今度は離珠の座布団につまずいちゃったでし。
・・・とまあ、二人でいろいろやってる所へ太助しゃまが!
これはいい機会でし、と思って二人して期待してたんでしが・・・。
「何二人で遊んでんだ?ごっこ遊びもいいけど、もうすぐ御飯だからな。
今日はちょっと人数が多くてリビングで食べるんだから、ちゃんと空けといてくれよ。」
と、そっけなく言って去って行ったでし・・・。
「・・・なあ離珠、全然うけてなかったな。」
まったくその通りでし。あんまりよく伝わってなかったのかもしれないでしね。
『女が目を少し患っているのと、男が風邪気味なのは粋に見える』という事でし。
このままでは悔しいので、食前に懸命に二人でアピールしてたんでしが・・・。
「二人とも、空けといてくれって言ったのに・・・。」
「離珠、虎賁、邪魔しちゃいけませんよ。」
「早くどいてくれよ。準備が出来ないだろ。」
「もう、遊ぶんならよそ行って遊んでよね。」
「・・・新手の試練か?」
「あたしはお腹が空いてつらいんだぞ・・・。」
とまあ、皆しゃんの反応は厳しいものだったでし。
すごすごと離珠と虎賁しゃんは退散。何がいけなかったんでしかねえ・・・。
「面々の楊貴妃」でし
・・・例え不要でし!!ねえ虎賁しゃん。
「・・・なんでおいらに振るんだ。」
ずっと前に恋心について語っていたじゃないでしか。
「それって関係あるのかよ?でもまあ、確かに例えは要らないかな。」
そういうことでし〜。
『男達の好みは様々だから、それぞれが自分の愛する妻(情人)を美人だと思っている』という事でし。
そうそう、乎一郎しゃんから見てルーアンしゃんは美人でしね〜。
「別にそんな無理な例え出さなくても・・・。
ルーアンはルーアンで、周りから見れば美人の部類に入るんじゃねーか?
とりあえず、おいらの周りで見かける女性陣は、別に不細工だのとかいね〜と思うけどな。」
ちゅわ。ということは離珠も美人でしか〜?
「・・・まあそうじゃねーか?」
もちろん女御しゃんも美人でしね〜?
「・・・まあ、って、何を次々に聞いてんだよ。」
長沙しゃんも・・・
「もういいって!!」
戻るでし。