≪み≫でし!
「身ありての奉公」でし
「ちょっと昔を思い出したわ。」
そうでしね、シャオしゃま。
「過去の御主人様の中に、親兄弟を殺されて生きる希望を無くしてしまった人が居た。
でも、人との別れは超えられない事ではない。
たしかに物凄く辛い事ではあるけど、生きていれば必ず何かしらの希望も見えてくる・・・。」
シャオしゃまはよくそういう事を言っていたでしよね。
それだけ、不幸な境遇の御主人様も居たって事でしが。
「ええ。でも、年月が流れると皆はこう言ってくれた。
“シャオリンのおかげで、こうして今まで生きる事が出来た”って。
けれどそんな御主人様もやはり寿命で亡くなってしまう。
悲しい事だけど・・・仕方ない事よね。」
シャオしゃま・・・。
『何事も命があってこその事だ。
希望の持てるのは息をしている間だけだから、命は全ての元になるものだ』という事でし。
「これからも、私は頑張らなくっちゃ。」
それでも今は平和でしから。それに、太助しゃまのおかげで運命も変わるかもしれないでし!
「ミイラとりがミイラになる」でし
うーん、これはでしねえ・・・
「りーしゅ、たまにはあたしにも解説させてくれよな。」
翔子しゃん!どうぞどうぞでし。
「さんきゅ。あたしが思うに、これはずばり、シャオ達三人の精霊の事だな。」
な、なんと!大胆な発言でしねえ。
「シャオは、七梨に結構守られるようになったし、
ルーアン先生も、七梨のおかげで幸せにしょっちゅう浸ってるような気がするし、
キリュウも、七梨に試練を与えているうちに、自分に対しての試練に気付き始めているみたいだし。
とにかくそういうことだよ。」
なるほど、そういう事でしか。『最初の目的と逆の結果になる』という事でし。
確かにそういう考え方もあるでしねえ。やっぱり現代と昔の中国では、何かが違うみたいでし。
「蜜柑が黄色くなると医者が青くなる」でし
「ふう、今日も平和ですよねえ・・・。」
「ああ、そうだなシャオ。」
「のんびりとする時間っていいですね。」
「まったくその通りだよ。」
・・・とまあ、くつろぐ太助しゃまとシャオしゃま。
なるほど、二人ともとっても元気そうでし。
『晩秋は健康な季節で病人が少ない』という事でし。
「・・・待ちなさい、離珠。今のは例えがおかしいでしょ。」
「シャオの言う通りだ。この状態を元気だと表現するのは無理がある。」
とまあ、突っ込みが来るくらい二人は元気でし。
「それに、なんで晩秋なんていう事が分かるの。」
「今春だといわれても分からないぞ。」
・・・ほんっっっっとに二人とも元気でしね。
「右の手で放して左の手で握る」でし
「ばっちりあたしの事かな。やっぱり弟が可愛いからな〜。
宮内なんかに絶対協力はしないのさ。」
で、誰と手を結んでるんでしか?
「あっははは、聞くまでも無いだろ!翔子だよ、翔子。
太助とシャオをくっつけるために日夜努力するのさ、あたし達は!」
びしばしびしばし
い、痛いでし〜!
・・・ごほっ、ごほっ。
『一方では関係を断ち、他方では協同する』という事でし。
「あれ?離珠なんでそんなに苦しそうなんだ?」
誰の所為でこうなったと思ってるんでしか!
「右の耳から左の耳」でし
『聞いた事を次々に忘れてしまう事で、籠耳ともいう』という事でし。
“あんたなんていなければいいのよ”なんて言葉は右の耳から左の耳に通してしまい、
“あんたが必要なんだよ!!”という言葉は心の奥にとどめておきたいものでしね。
「・・・ひょっとしてシャオ殿か那奈殿から何か聞いたのか?」
そういう訳では無いんでしが・・・。
「たしかにそう思いたい気もする。しかしこの場合はともかく、
普段なら自分の都合のいい事しか考えて無い者になってしまわないだろうか?」
しかしでしねえ、キリュウしゃん。
「それはさておき、もう少ししっかりとした例えは出ないものか?
もう一つ言うと、今回は例えが無いのではないか?」
離珠の耳からそんな言葉は抜けて行ったでし。
「・・・・・・。」
「微塵積もって山となる」でし
『わずかのものでも積もり積もれば大きなものになる。
砂も集まれば岩となる』という事でし。
「離珠、いくらなんでも砂が岩になるわけないでしょ。」
そこでシャオしゃまに相談でし!
「まさかまた星神?」
そうでし!羽林軍しゃんが集まって大羽林軍しゃんに!
「なるわけありません。」
間違えたでし。
「えっ?」
羽林軍しゃんが集まって軍南門しゃんに!
「おんなじ事です!まったくもう・・・。」
「自ら侮って後人之を侮る」でし
「これは乎一郎っぽいな・・・。」
「どうしてさ、たかしくん。」
「だってさ、いっつもルーアン先生とか言ってる割には自身無さげに・・・。
だからルーアン先生に振り向いてもらえないんだよ。」
「ちょっと待ってよ、僕はそんなに自信無さげになんて成って無いよ。」
「いいや、普段の行動からしてそうだ。皆に流されて・・・」
「それはたかし君が無理矢理やってるだけじゃないか。
僕が宿直してるルーアン先生に学校に会いに行きたい時だって、
無理矢理太助君家に引っ張っていったり。」
「何を言ってるんだ。それこそ普段のおこないからって事だろ。
もっと俺みたいに自分の意志をしっかり持てよ。」
「たかし君の場合はただ突っ走ってるだけの様な気がするんだけど。」
「いいや、そんな事はない。俺はこの熱き魂でな・・・。」
だうー!!!二人ともいいかげんにするでしよ!!
まったく、ちっとも解説になってないじゃないでしか。
「何いってんのさ、離珠ちゃん。」
「そうだぜ。“離珠に解説なんて無理でし〜”なんて言うから、俺達がやって来たのに。」
「最初は離珠ちゃんこそ、って思ってたけどあんなに訴えられちゃあ。」
「だからこそ俺達が・・・」
そんな事言った覚えはないでしよ!!勝手に話を誇張してるんじゃないでし!!
これは『自分で自分を軽んじていると、他人からも軽んじられるようになってしまう』という事でし。
これからはもっと的確に伝えられる絵の勉強をするべきでしね。
よし、離珠は決心したでし!!
「水清ければ魚すまず」でし
『水が綺麗に透き通っていると、魚がすみつかない。
人もあまりに潔癖過ぎると、かえって人が近付きにくくなって仲間もできない』という事でし。
つまり!太助しゃまは、清い心を持っているといってもそんなに清すぎるって訳では無いんでし。
「そんなのは普段の行動を見れば分かる。」
那奈しゃん、さすがよく見ているんでしね。
「よく見なくたって、誰の目にも明らかだ。
なんといっても父さんと母さんの子だからな。」
・・・どういうことでしか?
「深く気にするな、そういう事だ。シャオ相手に妄想しまくってるってので十分だろうけど。」
なるほど、でし。
「おい、二人して何勝手に人の話を・・・」
「あ、太助いたのか。」
「さっきから隣にいたよ。」
なんと、そうだったんでしか?離珠全然気がつかなかったでし。
「まあしょうがない。太助はキリュウに色々鍛えられてるからな。
気配を断って暗殺の仕事をするくらい訳無いだろ。」
「なんなんだよ、それ・・・。」
「水清ければ月宿る」でし
もう何も言うことは無く、太助しゃまでしね。
太助しゃまの心が清かったから、
支天輪から守護月天を、黒天筒から慶幸日天を、短天扇から万難地天を呼び出す事が出来たんでし。
『心の美しい人は神や仏が助けてくれる』という事でし。
「うーん、シャオ達は精霊なんじゃ・・・。」
そういう突っ込みはやめてくだしゃい、太助しゃま。
「なんにしても、月ってあたりがすごくしっくりくるよな。」
そうでしよねっ!
「水で物を焼く」でし
『あるはずが無い事の例え』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、出来るまでやってみようコーナー!!
「始まりだ!!さて主殿、今回の試練は・・・」
「だから水で物を焼くなんて出来ないって!!」
太助しゃま、泣き言は聞きたく無いでし。
「言っておくが、出来るまで寝かせないからな。」
「だからそんなの出来るかー!!」
結局は太助しゃまの激しい反発にあって断念したでし。
「まったく、嘆かわしい・・・。」
ほんとでし。
「おいお前ら、常識ってもんを考えろ。」
「水と魚」でし
シャオしゃまは守護月天。
その役目は主を不幸から守るという事でし。
そしてそれを果たす為に、離珠達星神は欠かせない存在でし!
「そうね、今までずうっと皆と過ごしてきたものね。」
『切っても切れぬ密接な間柄』という事でし。
「これからもよろしくね。」
星神を代表して、離珠が言うでし。
よろしくでし、シャオしゃま!
「味噌をつける」でし
今日はシャオしゃまが家を御掃除する日。ところが・・・。
「うーん、なんだか体が・・・。」
くらあっ・・・バタン
シャオしゃま〜!!
日頃の何気ない疲れが溜まっていたりしたんでしかねえ?
という訳で、御部屋で寝ている所でし。当然傍には長沙しゃんがついているでし。
「たくもう、なんであんたはそう無理ばっかりしてんのよ。」
「済みません、ルーアンさん・・・。」
「たまには休むのも大事だぞ。」
「はい、キリュウさん。でもお掃除どうしよう・・・。」
こんな時までシャオしゃまは・・・。
ちなみに太助しゃまと那奈しゃんはお出かけして居ないでし。
「お掃除ねえ・・・。あたし達がやったげるわよ?」
「でも・・・。」
「シャオ殿にばかり任せてもいられないしな。
この家に住んでるからには、たまには私達がきっちりと掃除しよう。」
「キリュウさん・・・。」
なんとも立派な様で当たり前の発言でし!
とまあさておき、もちろん離珠もお掃除するでしよっ!!
二人にみならってドンと胸を張ると、シャオしゃまはにこりとして言ったでし。
「それじゃあ・・・お願いします。離珠もよろしく頼むわね。」
「ええっ?ごみチビもするってえの?そうね、細かい所とかの掃除には便利よね。」
「ルーアン殿・・・。とにかく私達に任せて、シャオ殿はゆっくり休んでおられよ。」
長沙しゃん、後を頼んだでしっ。
三人で告げると、これまたゆったりとした笑顔で返してくれたでし。
ようしっ、張り切ってやるでしよっ!!!
そして例のごとくリビングでし。
「さてと、まずは陽天心召来!!」
案の定ルーアンしゃんは陽天心を使ったでし。
普段みたく暴れることなくきっちりと動いてるでし。
いつもこういう風だと助かるんでしが・・・。
「それでは私は二階の方でも。離珠殿も付いて来てくれ。」
おっけーでしっ。
一階をルーアンしゃんに任せて二階へ。
ところが、階段を上ってる途中でキリュウしゃんがずるっと滑ってしまったんでし。
そのひょうしにぽ〜んと上へ投げ出された離珠は、踊り場に置かれてあったバケツ、
(多分シャオしゃまが置いてたんでしね)そこへ“がこーん”と勢い良く着地。
と、バケツがなんとごろんごろんと階段を転がり始めたんでし!!
目が廻るでしよ〜!!
「うーん・・・ん?うわあっ!!」
階段でこけた時にちょっとへたり込んでいたキリュウしゃんが叫んだでし。かと思ったら・・・
ばこーん!!
と、ばっちりキリュウしゃんにぶつかったでし。
その時に離珠はバケツから投げ出されて金魚しゃんが居る水槽へ“ジャボン!”と。
そして、ぶつかったひょうしにキリュウしゃんは気絶してしまったみたいでし・・・。
がらんがらんと床に転がるバケツ。ところが、ルーアンしゃんはこの事件に全く気付かず。
離珠はアップアップと溺れて、どうする事も出来なかったでし〜・・・。
一時間後。手早く掃除を終えたルーアンしゃんが廊下に出てきて驚いてたでし。
うう、もうちょっと早く来て欲しかったでしよ〜。
結局掃除のほとんどをルーアンしゃんにやってもらい、
離珠とキリュウしゃんは、シャオしゃまと同じくおとなしく安静に寝てたでし。
くうう、離珠自ら申し出たのに・・・。こんなんじゃあシャオしゃまに申し訳がたたないでし。
『信頼されて任された重要な仕事を失敗して面目をそこなう』という事でし。
「あんまり気にしちゃ駄目よ、二人とも。
シャオリンだって、その気持ちで十分、って思ってるはずよ。
ま、あたしが居なかったら掃除どころじゃなかったわけだけどね。」
「そうだな・・・。」
まったくその通りでし。ルーアンしゃんに全部頼ってしまったでし。
つ、次こそはこんな事が無い様に頑張るでしよっ!
「そ、そうだな・・・。」
「キリュウも後ろ暗くならないの!運が悪かっただけなんだから。」
なんだか、いつになくルーアンしゃんがかっこよく思えたでし。
「見たいが病」でし
『好奇心が強くてなんでも見たがる人』という事でし。
「例えば太助、お前シャオの裸見てみたいと思うよな。」
「ぶっ!な、なんてこと言うんだよ那奈姉!!」
「毎晩毎晩見たくて見たくて悩んでるわけか・・・。」
「悩んでないって!!」
「しかし安心しろ。病気の弟を放っておくほどあたしは薄情じゃない。」
「それこそ放っておけって!!」
「シャオに言っておいたからな。今夜の風呂は太助と一緒に・・・」
「ふざけんなー!!!」
・・・とまあ、荒れた会話が交わされたそうでし。
ちなみに今離珠はシャオしゃまと入浴中でし。
「ねえ離珠。太助様どうしちゃったのかなぁ・・・。」
シャオしゃま、本気で待ってちゃ駄目でしよ・・・。
「見たとなめたは大違い」でし
ある日の事でし。珍しくたかししゃんが手土産を持ってきたんでし!
しかもそれはなんと薄皮饅頭でし!
「たかし、一体どういう風の吹きまわしだ?」
「別にいいだろ。たまにはと思ってさ。
ま、ルーアン先生も離珠ちゃんも遠慮しないで食ってよ。」
ところが、しばらくは二人でじっとそれを見てたんでし。
「どうしたのさ、食べないの?」
「二人とも、いっつも先を争ってるくらいになるくせに。」
たかししゃんと太助しゃまが何か言ったみたいでしが、そんものは耳に入らなかったでし。
「見た目は確かに、いっつもいずピーが持ってきてる薄皮饅頭よねえ。
・・・とりあえず食べてみましょっか。」
顔を見合わせて頷き、一口パクッ。
・・・イマイチでし。
「みかけだけねえ、少しは期待したのに。」
「えええっ!?」
離珠とルーアンしゃんの様子を見て、慌ててたかししゃんも口に運ぶでしが・・・。
「そんなに変わらないと思うけど?」
何を言うでしか、絶対に違うでし。
「野村君、あんたつうの舌を分かって無いわねえ。
これは見かけはいずピーの薄皮饅頭でも、中身はただのありふれた饅頭よ!」
というわけで『表面から見たのと実際に味わったのとではひどい違いだ』という事でし。
「・・・でもまあ、全部いただくわ。」
離珠もでし。
「は、はい・・・。」
「なんだかんだ言って結局食べるんじゃないか・・・。」
「三つ子の魂百まで」でし
この前、太助しゃまと一緒にたかししゃんの家に行ったんでし。
いつも学校では元気なたかししゃんは家ではどうなのかと思ったら、
「よく来たな、太助!さ、上がってくれ!」
と、いつもの通り元気いっぱいでし。
そこで、何気なしに太助しゃまがお家の人に聞いたんでし。
小さい頃のたかししゃんはどんなだったのかって。
そしたら、小さい頃もあんな風に元気いっぱいだったそうでし。
何度言ってもその性格は直らなかったそうでしよ。
なるほど、昔っからたかししゃんはあんな風だったんでしね。
『幼児の性格はいつになっても変わらない。または、性格は容易に変わらない』という事でし。
そう言えば太助しゃまはどうだったんでしかね?
今と変わらず、昔も心やさしい少年だったに違いないでし。
「三つ指目八分」でし
『お辞儀の正しい作法と物を捧げる時の作法。
座ってお辞儀をする時には親指、人差し指、中指の三本の指をついて丁寧に頭を下げ、
人にあげる物を持ってくる時には両手で、
目の高さより少し低いくらいまで下げてくるのが正しい作法である。』という事でし。
早速皆しゃんにやってもら・・・
「めんどくさい。いちぬーけた。」
「あたしも〜。」
ちょ、ちょっと、翔子しゃんに那奈しゃん!
「えーと、こう指を・・・うう、難しい・・・。」
花織しゃん、そんなに苦労するものでもないでしよ・・・。
という訳で知らないうちにおひらきになってしまったでし。
うう、なんてことでしか・・・なんて、このままでは終わらせないでし!
「・・・で、あたし達がなんでやらなきゃならないのよ。」
「離珠のお願いですから。」
「無理にこんな事をしなくても・・・。」
シャオしゃまとルーアンしゃんとキリュウしゃんに無事やってもらえたでし。
よかったよかった、でし。(ぺこり)
「蓑笠はてんで持ち」でし
シャオしゃまは支天輪をいつも持ってるでしね。
「ええそうよ。」
ルーアンしゃんは黒天筒をいつも持ってるでしね。
「まあね。」
キリュウしゃんは短天扇をいつも持ってるでしね。
「ああ。」
そういうわけで!
『自分が使うものは当然各自が負担すべきものだ』という事でし。
「負担って、離珠・・・。」
「なんか意味的に違わない?」
「それに第一、私達以外が使えるものでもないと思うのだが。」
・・・り、離珠は筆をこうやって持ってるでし!!
「「「・・・・・・。」」」
「南風でもたんと吹きゃ寒い」でし
「そうか、そういう言葉があるのか。夏でも要注意だな・・・。」
「キリュウ、さすがに夏は暑いと思うけど。」
「那奈殿はそう言うが、夏風邪というものがあるだろう?
あれこそ、この言葉と深く関わりがあるはずだ。」
「そうかあ?」
「そうだ、そうに違いない。まったく不便なものだ。
私は暑いのも寒いのも嫌いだというのに・・・。
夏になるとその両方が有るのか。まったくとんでもない・・・。」
なんかすごく深刻そうでしね。
えーっと『どんなもので度が過ぎてもよいなどというものはない』という事でし。
「じゃああたしが鍛えてやろうか。暑さにも寒さにも負けなくなる試練!」
「そんなものがあるのか?」
「けど、やりすぎは良くないよな・・・というわけで止めだ。」
は、早いでし。
「那奈殿、やりすぎなければ良い事ではいか。私はやってほしい。」
「そう言われてもできないな。」
「何故だ?」
「あたしの嘘だから。」
「・・・・・・。」
なんとも酷い嘘でしねえ。
「第一本当に知ってたらとっくの昔に実行してるって。」
「・・・それもそうだな。」
「身の中の蟲は油屋の胡麻の数」でし
『体の中にはたくさんの虫がいる』という事でし。
「うっわー、気持ちわるーい。」
「嫌がってもしょうがないでしょ、花織。これが現実なんだから。」
「そうそう、ゆかりんの言う通り。もしも菌まで加えるとしたら、
胡麻の数なんて言ってられなくなるよ。」
「うっわー、ますます気持ち悪い・・・。」
「そうだ。ついでに苦虫とかかんしゃく虫とか加えてみようか?」
「それこそキリがなくなるよねー。更に信号無視とか?」
「熱美ちゃん、それは字が違うでしょ。
はあーあ、それにしてもそんなの聞くと憂鬱になっちゃうなー。」
「贅沢言わない。それでもあたし達は無事に過ごしてるんだから。」
「正しく言うと、それのおかげで無事に過ごせてる、じゃないかな。」
「えー、なんでよー?」
「だってほら、殺菌しすぎるのはよく言われてるじゃない。」
「そうそう。そういうこと。」
「今は虫の話でしょ?菌なんて関係ないじゃないの。」
「あ、そうか。虫、かあ・・・。回虫とか体の中に居るけど・・・。
うん、たしかにそれのおかげで無事に居られる訳じゃないと思うなあ。」
「言われてみれば、毛じらみとか考えると・・・。」
「ほらあ!やっぱり憂鬱じゃない!!」
「うん、そうだね・・・。」
「はあ・・・。」
なんか無駄話が多かったでしが、ともかくそういう事でし。
「ちょっと離珠ちゃん、無駄話ってどういう事よ!」
「あたし達はちゃんと解説したからね。」
「そうそう。虫がたくさんいて憂鬱!」
はいはい、もうわかったでし。
「耳は聞き役目は見役」でし
「おいらは、この言葉を離珠に物凄く言ってやりたい。」
どうしてでしか、虎賁しゃん。
「おめーは頑張り過ぎなんだよ。
いくら月天様やぼうずの為に役に立ちたいって言っても限度があるだろ?」
う〜・・・でも離珠は役に立ちたいんでし!
「ま、ずっと前の雪合戦の時はそんな気持ちも良かったようだけど・・・。
食事の時に皿並べたりとか無理だろ?それで何枚皿を割った事か。」
うう〜・・・離珠はそんなに失敗してないでし!
「今は平和だからいいけど、争い事が多いと大変だぞ?
月天様に主様の様子を伝えるのが役目だろ?専念してなくて伝えるのが遅れてみろ。
それこそ命取りになったりしねーか?」
ううう〜・・・。
「この言葉は『それぞれにはそれぞれの役目がある。
いらぬことにまでおせっかいをするな』という事だ。よ〜く覚えとけよ。」
うううう〜・・・でも離珠は、離珠は・・・!
「とにかくおいらが言いたいのはあんまり無茶するなってことだ。
球技はおいらに頼むとか、建築は羽林軍に頼むとか素直になれよ。」
ううううう〜・・・離珠はそこまで頑張り過ぎてないでしよう〜。
「耳をおおいて鐘を盗む」でし
ここはいっぱつたかししゃんに任せてみるでし。
「ふむ、俺だけが頼りってわけだな。よし、やってやるぜ!
・・・と思ったけど、何をすれば良いんだ?」
がくー。宮内神社の鐘を盗んで欲しいんでし。そうすればことわざと一致でし!
「なるほど!それじゃあ早速行くぜ!!」
・・・という訳で宮内神社にやって来たでし〜。
「うーん・・・鐘なんてどこにも無いなあ。」
変でしねえ・・・。
と、うろうろしていたその時でし!
「おや、野村君に離珠さん。お二人がご一緒とは珍しい。何か御用ですか?」
「い、出雲っ!」
出雲しゃん!
なんと、アッサリと見付かってしまったんでし。
「くっ、どうする。このままじゃあ何しに来たかばれちまう。」
たかししゃん、こうなったら目をつぶるでしよ。そうすれば見えないでし。
「おっ、そうか!なるほど、あったまいー!」
というわけで、二人してばっちり目をつぶったんでし。
こうすれば見えないでし!!
とまあ、『悪い事をしていながら、自分の心を欺いてその事をわざと考え無い様にする。
また、自分のした悪い事を隠しているつもりでも、
他の人にはすべて知られているような間の抜けた人の様子』という事でし。
「・・・あのー、お二人とも何をしているんですか?」
「み、見えてる!?」
お、おかしいでし。目はつぶっているのに!
「・・・ひょっとして、目をつぶったら見えなくなるとか思っているのですか?」
「ぎくうっ!」
ぎくうっ!でし!
「ついでにいうと、もしかして宮内神社に来たのは、鐘を盗む為ですか?」
「びくうっ!」
びくうっ!でし!
なんだか今回の出雲しゃん、すっごく鋭いでし!
結局は事情を話してめでたしめでたしとなったんでしが・・・なんだか悔しかったでし。
「今回の作戦の敗因は何かなあ・・・。」
決まってるでし。宮内神社に鐘を盗みに行った事でしよ。
今度やる時は、学校のチャイムを盗みに行くでし!
「お、なるほど。」
「お二人とも、いいかげんにしてください・・・。」
「身もふたもない」でし
『言う事や、する事がはっきりとして露骨なので、面白味がない』という事でし。
“身”は、器のふたに対して、物を入れる下の部分の事なんでし。
「例えは?」
虎賁しゃん、実は例えを出さないのが例えなんでしよ。
「正直に認めろよ、何にも思いつかなかったって。」
そんな言い方をされては困るでし!
「まあいっか。いつもの事だし。」
え、えうー・・・。
「見る物食おう」でし
・・・いくらなんでもこれはルーアンしゃんって訳じゃないでしねえ。
確かに食べ物に関してはそうだと思うでしが、その他に関しては違うでしから。
『見たもの全てが欲しくなる人、意地のきたない人』という事でし。
うーん、難しいでしねえ・・・。
「離珠、あんまり気にするなって。全部のことわざを例えで説明しようなんて欲張りだぞ。
あ、そか。それこそこの言葉の例えになってるな。」
虎賁しゃん、それはちょっと違うでし・・・。
「見るを見真似」でし
『ことさらに教えられたわけではないが、
人のする事をいつも見ているうちに自然に覚え込んで自分でも出来るようになる』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、見真似でやってもらうぞコーナー!!
「うむ!というわけで主殿、空を飛んでもらおう。」
「たく、万象大乱なんて使えるわけ・・・って、空?って?」
おや、太助しゃまは別のものを予想してたみたいでし。
「万象大乱は難しいだろう。まあさておき、文殿を見てるだろう?」
「だから空を飛べってか?そんな無茶な・・・。」
太助しゃま、なせばなるでし。
「実例がある。私は飛べるぞ。」
「キリュウはもともと飛べるだろーが!!」
ちっ、気づいたでし。
「鋭くなったな。」
「馬鹿にしてんのか?なんでもいいけど俺はやらない!!」
空を飛べれば色んな面で便利になるでしよ。
「是非やってみようではないか。羽もこのとおり用意して・・・」
「いいかげんにしろー!!」
「身を粉にする」でし
「試練を受けている太助君だね。シャオちゃんの為に必死になってるあの姿はまさしくそうだよ。」
さすが乎一郎しゃん、その通りでし!
『自分の体を砕くように力の限り頑張る。苦しくても一生懸命努力する』という事でし。
あっさりとしてるでしが、ここで終わりに・・・
「僕もそれくらい頑張らないといけないなあ・・・。よし、僕もキリュウちゃんの試練を!!」
こ、乎一郎しゃん?無理をするのは良く無いでしよ。
「無理じゃないよ。一生懸命努力しなくちゃ!!」
大丈夫でしかねえ・・・。まあ、離珠が心配してもしょうが無い事でしが。
戻るでし。