≪の≫でし!


「能ある鷹は爪を隠す」でし
これはずばりキリュウしゃんでしね。
普段は無口でクール、でも試練になると、すごい力を発揮するんでしよ!
『実力のある人は、普段からその力を見せびらかしたりしない』という事でし。
というわけでキリュウしゃんに喋ってもらうでし。
「う、うむ。いや、その、あの・・・。」
せっかく喋ってもらおうとしたのに、真っ赤になって何も言ってくれなかったでし。
今度はちゃんと喋ってくだしゃいでしよ!


「能ある猫は爪隠す」でし
「たとえば離珠だろ。」
いきなりなんでしか、虎賁しゃん。
「いや、おいらだな。」
・・・勝手に言っててくだしゃい。
「まあ待てよ。普段は支天輪の中でおとなしく。
そしていざとなれば月天様に呼ばれ力を発揮!
まさにこれはそうだと思わないか?」
・・・そうかも、でしね。
「まあそれがおいら達星神の役目だからだけどな。」
『実力あるものは、普段少しもそれをあらわさない』という事でし。


「能書筆を選ばず」でし
花織しゃんがシャオしゃまのクラスに遊びに来ているでし。
花織しゃんは本当に遊びの天才で、どんなものでも遊びにつなげてしまうでし。
「せんぱーい。今日は椅子と机の投げあいっこしましょう。」
「愛原、そんな無茶な・・・。」
まったくでし。一体どこからそんな遊びがわいてくるんでしか?
「大丈夫ですよ、キリュウさんに小さくしてもらえば。
七梨先輩と愛のキャッチデスクあーんどチェア―。きゃー、素敵だわ。」
何が素敵なのかは誰もわからなかったでしが、その投げ合いが行われたでし。
太助しゃまと遊ぶためならなんでも考えるんでしねえ。
『本当にうまい人は、どんな道具を使っても上手にそれをこなす。』という事でし。
これは逆に、『下手な人は道具のせいにしていることが多い。』というように、
下手な人を戒めた言葉でもあるんでし。
離珠は失敗しても、道具のせいになんかしたりしないでしよ。


「嚢中のきり」でし
袋の中にきりを入れると、先っぽだけ突き破って出てしまうでしね。
とまあそういう事で・・・
「これはルーアンの事よねー!!」
ぐっ、なんなんでしかいきなり・・・。
「街を歩くだけで、“あっ!幸せを授ける慶幸日天だ〜!”とか。」
そんな事が有るはず無いじゃないでしか・・・。
いっつも物を破壊している人だ〜、なら分かるでしが。
とと、途中になってたでしね。
『才能のある人は、かくれていても必ず目立つ』という事でし。
「やっぱりあたしの事じゃないのー!!」
陽天心を使う才能は確かに目立ってるでし。別の意味で・・・。
「・・・ちょっと、なんなのよその目は!」


「嚢中の物を探るがごとし」でし
ここは太助しゃまのお部屋でし!
さあ太助しゃま、お願いするでし!!
「んな事言われてもなあ・・・。まあいいや、椅子を動・・・あれ?」
どうしたんでしか?さあ早く!!
「動かないんだ、椅子が・・・。」
なんでしと?そんな事じゃあ困るでし!!
「いや、そう迫られても・・・。ふんぬぬぬぬぬ・・・!!!!」
ずずっ
おおっ!!動いたでし!!
というわけで、
『袋の中の物を探り、取り出すようなものだ。非常に簡単である事の例え』という事でし。
「まて、今のどこが簡単なんだー!」
おや!密かに折威しゃんが引っ付いていたようでし!!
なるほど、キリュウしゃんに頼まれてたんでしね。離珠、一本取られたでし。
「始めから知ってたな・・・。」
何を言うでしか。離珠は折威しゃんが椅子の裏に引っ付いているなんて知らなかったでしよ。
「うそつけー!しかもしっかり折威を大きくしてあるじゃないか!」
・・・ちゃんちゃん、でし。
「勝手に終わるな!!」


「能無しの能一つ」でし
ここは一つ、色々な才能を持つ出雲しゃんにお願いするでし。
というわけで出雲しゃん、どうぞでし。
「(ふぁさぁ)いやあ、照れますねえ。それでは解説する事といたしましょう。
これはずばり野村君じゃあないでしょうかね。」
たかししゃんでしか?しょれでしょの真意は?
「普段から力みすぎては色々失敗ばかりしてます。
ですが、熱き魂とやらで何事にも当たって行く根性。あれこそ一種の才能じゃないでしょうか。
しかもそれにはどんな方もかなわないでしょうね。」
というわけで、『何の取り柄が無いような人にも、何か一つだけはずば抜けた才能がある』という事でし。
しゃしゅがは出雲しゃんでし。もうこの上がないというほどばっちりでしよ。
「(ふぁさぁ)いえいえ、お役に立てて光栄ですよ。」
もちろんこの事を知ったたかししゃんがお約束のごとく叫んだしょうでし。
「おまえらー!!俺をなんだと思ってやがるー!!」


「のこりものに福あり」でし
「ちょっとたとえ話をしてみようか。」
あっ、太助しゃまがそんなこと言い出すなんて珍しいでしね〜。
さ、どうぞでし。
「大したことじゃないんだけどさ、支天輪って親父が骨董屋で見つけた品だろ?
もしも、大勢の人達がその骨董屋を訪れて行って・・・そして最後に残ったのが支天輪だった。
ただ一つ残ったそれを親父が手に入れて俺に送ってきた。
なんてことだったら、まさにそうじゃないかな?」
なるほどっ!上手いたとえでし〜。
『人の取り残した物や最後に残った物には、思いがけない良い物や幸せがある』という事でし。
福とは、幸せ、利益、運の良いことなんでしよー。
「もちろん黒天筒とか短天扇の事も忘れちゃならないけどさ。」
さすが太助しゃま、ふぉろーもばっちりでし〜。


「咽元思案」でし
『よくも考えない考え』という事でし。
「たかしくんかな・・・。」
よく言ったでし乎一郎しゃん!
「まあ正当な答えだ。」
そうでしね、翔子しゃん!!
「ちょっと待て!!俺のどこが考えて無いって!?」
「わっ!いたんだたかしくん・・・。」
「さっきからいたぜ!?それより、なんで俺がこんな例えに出されなくちゃならないんだ!」
それは、よく考えて無い様に見えるからでし。
「でもよく考えたら、いつもたかし君を見てると、よく考えてる気がするよ?」
「おお!前言撤回をするんだな乎一郎!」
うっ、そうなるでしか。
「でもなあ遠藤。よく考えてたら毎回作戦とか失敗しないと思うぜ。そう、考えてるだけだ。」
「山野辺ぇー!!」
以上でし!
「「「何勝手に終わってんの。」」」


「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」でし
言うまでもなく、ルーアンしゃんでし。
食べ過ぎでおなかをこわして、それでもまた食べ過ぎて・・・。
一体どういうつもりなんでしかねえ・・・。
『苦しい時の事も、時が過ぎれば忘れてしまう』という事でし。
あまりにもそういう事が多いので、ルーアンしゃんに訊いてみたでし。
「ええ?そんなの、食べたいからに決まってるじゃないの。」
食べたいからって、おなかをこわしてまで食べるべきなんでしかねえ。
悩んでいると、太助しゃまがこう言ったでし。
「ルーアンらしくて良いんじゃないか?あんまり慎重なルーアンも嫌だしな。」
なるほど、慶幸日天らしくって事でね。納得でし。


「野に青草なし」でし
「ううー、おなかすいたあ・・・。」
グウグウとお腹を鳴らしながらへたり込んでいるルーアンしゃん。
「もうちょっと・・・我慢しろ。シャオがもうすぐ・・・。」
大きな声も出せないで居る太助しゃま。
「たくう、冷蔵庫の中身を考えなしに食べるなんて・・・。」
あきれながらも怒る気力も無い那奈しゃん。
「・・・・・・。」
そして無言のキリュウしゃん。
もう分かるでしね。そう、今お家にはなんの食べ物も無いんでし。
ちなみに離珠はテーブルの上で横になってるでし。
無駄な体力は使っちゃ駄目でし。
『野を見渡しても青草一本生えていない。飢饉の状態の例え』という事でし。
シャオしゃま〜、早く戻ってきてくだしゃいでしぃ〜・・・。


「延べなら鶴でも」でし
「この言葉を解説するために、俺は一時的に、人間のクズになる!」
た、たかししゃん、一体何をするつもりでしか?
「・・・離珠ちゃん、シャオちゃんを借りたい。」
ふえっ?
「一日千円いや・・・って、だめだー!!
いくらなんでもシャオちゃんを金でなんか取り引きできるかー!!」
ガンガンガンガン!
た、たかししゃん!そんなに壁に頭を打ってると怪我するでし!!
・・・・・・
「・・・ふう、落ち着いたよ。」
たかししゃん・・・なんだか無理しすぎでし・・・。
「さすがに俺の良心が許さなかった。というわけで、許される範疇で行なう。」
ふむふむ。
「というわけで宮内神社へゴーだ!!」
ごーでしー!
・・・そしてやってきた宮内神社。
たかししゃんが出雲しゃんと交渉してるでし。
「・・・以上の理由で、俺が宮内神社を買い取ろう。」
「そんなふざけた理由で私がゆずるとお思いですか?」
「ああ。別にいいだろ。月賦だし。」
「よくありません!!」
えーと『耳を揃えて現金で買うとなるとおっくうだが、掛けでも良いという事なら、
ツルのような高くて実用的でないものでも買うものだ』という事でし。
「うちの神社が実用的じゃないと言うのですか!?」
「当然だろ。縁結びのくせに全然御利益が無いし・・・。」
「そんなことは関係ありません!!なんというとんでもないことを!!」
・・・たかししゃんが最初にやろうとしたこともろくでもなかったでしね。
やっぱり力みすぎでし、たかししゃん。


「上り一日下り一時」でし
分かりやすい例えを離珠自ら実践してみるでし。
太助しゃまの家にはルーアンしゃんがよくお菓子を食べたりする所為で沢山の箱があるでし。
それを集めておっきな建物を作るでし!!
うんしょ、うんしょ・・・ちょっと待っててくだしゃいね・・・。
・・・できたでし!!
あまりにも数があったので数時間もかかってしまったでし。
さてさて、これを今度は壊すでし!
えいしょ、えいしょ・・・あれ・・・?
・・・えうー、作った時よりなんだか時間がかかってるでしよお・・・。
こ、これは失敗してしまったんでしかねえ・・・。
「何やってんのよごみチビ。お菓子の箱なんか積み上げて・・・。」
ルーアンしゃん!助かったでしい、これを崩してくだしゃいー。
「・・・ふむふむ、これを崩すのね。えいっ。」
ぽこんとルーアンしゃんが一蹴り。あっという間にお菓子の箱で作った建物が崩れたでし。
うう、やったでしよお・・・。
『物事を成し遂げたりするには長い年月を費やすが、それを破滅に追いやったりするのはたやすい』という事でし。
感動のあまり、離珠は泣きながらルーアンしゃんの足元にひしと抱きついたんでし。
「ちょ、ちょっと、なんなの?一体・・・。」
戸惑っているルーアンしゃん。と、そこへ太助しゃまが・・・。
「何やってんだ?そんな所で。」
「あ、たー様。ごみチビが変なのよ。」
「変って?・・・離珠、泣いてるじゃないか。
もしかして・・・折角作ったものをルーアンが壊したからか?・・・ルーアン!!」
「な、なによたー様その目は。あたしは頼まれてやったのよー!」
「嘘をつくな!わざわざ頼んで崩せなんて言うかよ!!」
「だから本当なんだって!!ちょっとごみチビ、たー様に説明しなさいよー!!」
まあなんやかんやで離珠が太助しゃまに説明し、ルーアンしゃんは事なきを得たでし。
なかなか苦労したでし。ふー、やれやれでしね。


「上り坂より下り坂」でし
『上り坂より下り坂の方が楽なのはたしかだが、怪我をする率は下り坂に多いという。
たやすいと思う事に油断すると失敗する』という事でし。
「だから宮内、早速調べに来たぞ。」
「わざわざ来ていただいてなんですが、うちにはそういうデータはないですから・・・。」
「折角長い階段があるのにどうしてないんだよ。
そうだ、階段じゃなくて坂もあるけど?」
「そう言われましてもねえ・・・。」
とまあ、那奈しゃんに頼めば楽勝だと思っていたけど駄目だったようでし。
「そういう例えは納得いかないぞ?」
「それより私はこれから神社のお勤めがあるのですが・・・。」


「昇れない木は仰ぎ見るな」でし
『身分不相応な事を望んでも無理だから、ほどよいところで満足せよ』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、ほどよいところで満足しようコーナー!
「うむ!というわけで主殿。目に入った木は必ず登ってもらうという事にする。
では今から登校だ。おっと、もちろん電柱もそれに入るからな。」
「それのどこがほどよいところで満足しようなんだ?」
もう、わかってないでしねえ、太助しゃま。
「駄々をこねていると遅刻するぞ?さあ出発だ。」
「太助様。早く行きましょう。」
「シャオも一緒になって・・・。まあいいさ。見なければいいんだしな。」
そうなんでし。目に入った木、でしからねえ。
「なるほど、目を瞑って行くか・・・。」
「太助様。それだと危ないですから私が手を引きますわ。」
「さんきゅうシャオ。・・・って、そういうのはダメだー!
お、俺一人で頑張るからいいよ。ほ、ほら試練にならないし。」
「そんな事言って事故にでも遭ったらどうするんですか!
ほら、太助様ってばぁ!」
「う、うん・・・。」
いつになく強気のシャオしゃまに、太助しゃまもたじたじ。
結局手を引かれて学校に向かったでし。
「離珠殿。」
なんでしか?
「私の試練はどうなったんだ・・・。」
ほどよいところで満足しよう、でし。
「これでどう満足しろと・・・まあ良しとするか。」


「のみと言われば槌も出せ」でし
これは普段のシャオしゃまを見ていれば分かる事でしね。
「こんにちはー!」
日曜日、相変わらずのメンバーが、お家にやって来たでし。
さっそく皆しゃんはリビングでくつろぐでし。
「シャオ、いつもいつも悪いんだけどお茶をいれてくれないかな。」
「分かりましたわ、太助様。皆さん、ちょっと待っててくださいね。」
そしてキッチンへ向かうシャオしゃま。
何やらごそごそしていたかと思ったら、たくさんのお菓子を持って来たでし。
「お茶だけじゃ、と思いまして。これも召しあがってくださいね。」
「おおー、さすがシャオちゃん。気がきくなあ。」
たかししゃんをはじめ、皆しゃん少しお腹が空いていたようで、とっても好評だったでし。
『機転をきかせて立ちまわれ』という事でし。
いつもなら出雲しゃんがお饅頭とかを持ってきてくれるんでしが、この日はたまたまいなかったんでし。
うーん、シャオしゃまは偉いでし!


「蚤の頭斧で割る」でし
『やり方が適当で無い事の例え』という事でし。
例えば万象大乱でおっきくなった包丁を持った那奈しゃんに、
いきりたって襲われても、離珠は多分大丈夫でし!
「おい、なんだよそれは・・・。」
はっ、那奈しゃん!
あ〜、その、ちょっとした例えばなしでし。
「ふざけんな!なんであたしが離珠を襲うんだ!!
しかも万象大乱で大きくなった包丁を持ってだと〜!!?」
わっわっ、だっておっきい物はそういうのがたまたま思いついたんでし!
「仮にそれをやったとしてもつぶされるぞ?」
はっ!・・・でも、切られる事は無いでしよっ。
「そりゃまあ・・・で、なんであたしが包丁を持って、なんだ?」
それはでしねえ、以前本で見たんでし。
東北地方で包丁を持って家々をまわる・・・そう、ななはげってものがあるって。
「そりゃ“なまはげ”だ!!」


「蚤の息天に上がる」でし
ふうー、ふうー・・・。
今離珠は勢いよく息を吹いているでし。
ふうー、ふうー・・・。
「離珠、そんな所で何をやってんだ?」
虎賁しゃん、見て分からないでしか?軍南門しゃんに向かって息を吹いてるんでしよ。
ふうー、ふうー・・・。
軍南門しゃん、とどいたでしか?
見上げると、軍南門しゃんは首を横にふったでし。
むうー、なかなかきびしいでしね。でもこの程度で諦めていられないでし!
ふうー、ふうー・・・。
「あのさあ、離珠。一体何のためにそんな事やってんだ?」
もう―、五月蝿いでしね、虎賁しゃん。ことわざの解説でしよ!
これは『小さなものの一念といえど天にとどく。一心になればどんな事でも出来る』という事でし!
だからこうして息を吹いて、軍南門しゃんの顔の所に離珠のそれがとどくことを証明するんでし。
「なんで軍南門・・・。」
天なんて言われても無理でしからね。とりあえず軍南門しゃんで我慢、でし。
「・・・ま、頑張れよ。」
まっかせるでし!!ふうー、ふうー・・・。
そして、とうとうとどかせることが出来ないままその日は終わってしまったでし。
さすがに疲れたでしねえ・・・。けど、明日こそは!!


「蚤の夫婦」でし
『妻の方が夫より大きい夫婦』という事でし。
ノミはどれも雌の方が大きいんだそうでし。
「ということは僕とルーアン先生がそれに当たるね!」
おおうっ!乎一郎しゃん大胆発言でし!
「って、ノミなんかにたとえられるなんて冗談じゃないよ!!」
自分で言ったくせに・・・。


「乗りかかった舟」でし
唐突でしがキリュウしゃん、質問でし!
「なんだ?」
キリュウしゃんは試練を中断したりする時はあるんでしか?
「それは当然だ。主殿の生命に関わる時などは中断せざるを得ない。」
じゃあ中断できない時はあるんでしか?
「ふむ・・・例えば、うっそうと生い茂った植物の中に放りこんで、
その中から主殿が出てくる試練などは中止になどはできないな。
元に戻そうものなら妙に植物が絡まったりして主殿を殺しかねない。
じっと主殿が出てくるのを待つのみだ。」
・・・なんか怖い試練でし。とにかく、それをやりだすと止められないという事でしね?
「まあそうなるかな・・・。」
『物事をやり始めて、途中で止めることが出来ない状態になっているたとえ』という事でし。
「もっとも、そんな試練はよほどの時じゃないと行わないが。」
例えばどんな時でしか?
「例えば・・・。」
・・・と、何故かここで延々とキリュウしゃんが語りだしたんでし。
うう、質問したからには聞かないといけないでしよねえ・・・。
「・・・だから・・・離珠殿、ちゃんと聞いておられるか?」
聞いてるでしよっ!


「暖簾に腕押し」でし
ここはリビング。離珠は太助しゃまとお茶を飲んでるんでしよ。
でも今日の太助しゃまはなんだかボーっとしてるでし。
と、そこへルーアンしゃんがやって来たでし。
「たー様ぁん、こんな所で何してるの?」
言うなり太助しゃまに抱きつくルーアンしゃん。
ところが太助しゃまは無反応でお茶をすすっていたでし。
「ちょっとたー様。何か答えてよ。」
「ん?ああ、ルーアンか・・・。何か用か?」
振りほどく事もせずにそのまま答える太助しゃま。
ルーアンしゃんはそれに対して、もっと抱き付いて言ったでし。
「あのね、今日は蟹が食べたいのお。」
蟹でしか。良いでしねえ、久しぶりでし。
でも、献立を決めるのってシャオしゃまじゃなかったんでしか?
「かにって・・・何だっけ?」
「はあ?」
思わず抱きついた体を離すルーアンしゃん。離珠も慌てて太助しゃまを見たでし。
当然の反応でしよ。蟹を知らないわけ無いでしからね。
「大丈夫?たー様。蟹ってのはゆでたりして上手く料理すると美味しいのよ。」
ルーアンしゃん、それって説明になって無い気がするでし。
「上手く料理・・・。そう言えば今日の晩御飯何かな・・・。」
太助しゃま、それをルーアンしゃんが今ねだってるんじゃないでしか。
ちょっとそこで沈黙してると、キリュウしゃんがやって来たでし。
「主殿、ルーアン殿から聞いただろう?今日は蟹を使った料理にしないか?
シャオ殿と那奈殿に聞いたら快く賛成してくれた。後は主殿だ。」
「かにか・・・。かにって梅雨の時期によく生えたりして大変だよな。」
「・・・たー様、それはかび。」
そこで気まずい空気が・・・。
なんということでしか、太助しゃま!太助しゃまってそんな事を言う趣味があったんでしか?
「主殿、どうなされた。なんだか様子が変だぞ。」
「変・・・。いや、変じゃないよ。うん・・・。」
答えているものの、なんだか上の空でし。
念のためにルーアンしゃんが聞きなおしてみると・・・。
「・・・というわけなんだけど、分かった?」
「うん、多分分かった。で、今日の晩御飯は何?」
まったく分かってないじゃないでしか!!
しばらくこんな調子で、何度言っても変な答えばかり返ってきたんでし。
そのうちに相槌しか打たないように成ってしまって・・・もう大変だったんでし。
「たー様、蟹が食べたいのよ!」
「・・・うん。」
「という事で晩御飯は蟹だぞ。」
「うん・・・なんで?」
「だからあ、あたしが食べたいって言ったでしょ!」
「そうか・・・ところで今日の晩御飯は?」
「蟹だとさっき言っただろう。ちゃんと聞いておいてくれ。」
「ああ、そうだったっけ。・・・なんで蟹?」
「だああ、いいかげんにしてよたー様―!!」
・・・とまあ、こんな感じだったでし。
『暖簾を手で押す様に、少しもてごたえがない』という事でし。
その後、四人がかりで説得して、なんとか太助しゃまを納得させたでし。
ちなみに太助しゃまがボーっとしてた原因は謎のままでし。太助しゃまに聞いても、
「え?そんな事があったのか?悪い、覚えてないよ・・・。」
という事でし。そりゃまあ、あんな状態を覚えてないのは無理無いかもしれないでしが。
太助しゃまってば疲れてるんでしかねえ・・・。


「暖簾にもたれるよう」でし
今回のゲストは乎一郎しゃん、軍南門しゃんでし〜!
そしてここは学校の校庭でし〜。
「あ、あのう、何か嫌な予感が擦るんだけど・・・。」
さあ乎一郎しゃん、そこでじっと立っててくだしゃい。軍南門しゃんはこっちでし。
乎一郎しゃん、絶対にそこを動いちゃ駄目でしからね!
「ちょ、ちょっと、あのさあ・・・。」
さあ軍南門しゃん、乎一郎しゃんにもたれてくだしゃい!
離珠の合図で軍南門しゃんのからだがゆらり〜と。
「う、うわああー!!!」
慌てて乎一郎しゃんは逃げ出してしまったでし。
もう、動かないでは駄目だったでしが、やっぱりこうなるんでしね。
『頼りにならぬ事の形容』という事でし。
幸いにも軍南門しゃんは倒れずに踏みとどまった様でし。
「あんまりだよー。こんな実験するなんて・・・。
大体素直に僕にもたれかかろうとするなんておかしいよ。」
けど乎一郎しゃんは無傷、大丈夫だったじゃないでしか。
「そういう問題じゃ無いって・・・。」


戻るでし。