≪ぬ≫でし!
「ぬかにくぎ」でし
いつもいつも太助しゃまが言っている事なんでしが、
「ルーアン、真面目に授業しろー!!」
・・・でもルーアンしゃんは、
「はーい、わかったわ、たー様。
それでは、今日は七梨伝説について・・・。」
と言って、まったく分かってないみたいでし。
これは、『まったく効果が無い』という事でし。
ルーアンしゃんの辞書に真面目なんて文字は存在しないみたいでし。
「抜かぬ太刀の高名」でし
「よう太助、最近落ち込んでるみたいじゃないか。」
「誰からそんな事聞いたんだよ。俺はいつも通りだって。」
「何を言うんだ。この燃えたぎる胸にどーんと飛びこんでこい!!」
「・・・本気か?」
「冗談に決まってるだろ。シャオちゃんじゃないと却下だ。
まあそれはともかく、なんでもいいから話してみろ。いい案を出すだけ出してやる。」
「だから俺は別に・・・。」
「言っとくけど俺はあくまでも助言するだけだからな。
もっとも四季が似合う俺の手に掛かればどんな難問もあっという間に解決されてしまうが、
そんな事はしない。太助の為にならないからな。」
「・・・・・・。」
なんだか訳がわかんないでしが、
『口やかましく講釈はするが、腕前を見せた事の無い人を嘲笑して言う』という事でし。
「ちょっと野村君!たー様になに絡んでるのよ!!」
遠くから様子を見ていたルーアンしゃんが参上でし!
「いやルーアン先生、俺は別に絡んでるわけじゃ無いって。」
「嘘おっしゃい!たー様のだれた顔を見ればすぐわかるわ!」
そりゃあ、あんなものを聞かされたらだれでもこうなるのは無理ないでし。
「ふっ、俺は我慢するぜ!」
「何をごちゃごちゃ言ってんの。たー様の学友といえど容赦しないから!」
「俺は耐えるのだあああ!!」
・・・なんか叫び出して五月蝿かったでし。
とにもかくにも、妙にやる気をなくしたルーアンしゃんはすごすごと去って行ったでし。
このように『また、争って勝つよりも、じっとこらえて喧嘩をしない方が立派だ』という事でし。
「たかし、お前って時々凄いよな。」
「おお、まあな。」
でも変でし。
「糠舟にも船頭」でし
『つまらぬ仕事にもそれぞれの係が入用だ』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、つまらぬ仕事をやってみようコーナー!
「うむ!さて今回は、柿の木の見張り役だ!」
「見張り役ぅ?」
そうでし!柿の木をしっかり見張るんでし!
「ただ見張ってるだけで良いという、本当につまらぬ仕事だ!」
「つーか今は柿なんて生ってないぞ?」
別にいいんでしよ。木を見張るんでしから。
「要は、木を切り倒しに来る輩は来ないだろうか、という事を見張るというわけだ。」
「うわ、ほんとにつまんねー・・・。」
では開始でし!
「しかし今回はさーびすだ。木では大変だろうから、種を植えておいた。それを見張るように。」
「ますますつまんねー・・・。つーか普通に世話すりゃいいだろうが!
四六時中見張りたくなんか無いぞ!?」
そこが試練のポイントでしよ。ね、キリュウしゃん。
「・・・おそらくな。」
「おい、おそらくってなんだ。」
「ぬかみそがくさる」でし
『声の悪い事や歌の調子の外れていることの形容』という事でし。
「近くにいい例が居て良かったね、離珠ちゃん。」
ほえ?花織しゃん、それはどういう・・・
「ズバリ、野村先輩で〜す!」
なるほど、でし。
「この前の旅行なんてひどかったな〜。」
まったくでし。
「あ、こんな事言ってるから向こうから!」
むむ、逃げるでし!
しゅたたたたたたたたたたた・・・・・・
・・・・・・どどどどどどどどど
「くぉのー!!俺の歌のどこが不満なんだー!!」
「ぬかるみに足を踏み込む」でし
しょれでは・・・今回は離珠自身を例えてみるでし。
これは世にも恐ろしい物でし。本当に本当に恐いでし。
あの大食のルーアンしゃんをもうっとりしゃしぇ、
太助しゃま達の雰囲気をあっという間に和ませ・・・。
しょうでし、離珠はしょれにはまってしまったんでし。
しょれは、しょれは・・・出雲しゃんのおかあしゃんお手製の和菓子でし!!
薄皮饅頭、芋羊羹、ヨモギ餅、そして花見の時のお団子しゃん・・・。
もはやぬけだしぇないでし。離珠は深みに入ってしまったんでし。
『はまったら最後、いくらもがいても深みに沈むばかりでついには身を滅ぼす』という事でし。
いつ身を滅ぼしゅのか、とてもとても不安でし。
でも・・・やっぱりぬけだしぇないんでし・・・。
「離珠さん、何を真剣に語ってんですか・・・。」
声が聞こえたんでしね、出雲しゃん。というわけで早速何か欲しいでし。
「・・・・・・。」
「抜け駆けの功名」でし
例えばルーアンしゃんが、シャオしゃまが料理している途中で強引に代わって、
食事の時に“これ全部あたしが作ったの〜”とかすれば、という事でし。
「『自分個人の功績を考え、他人を出し抜いて立てる手柄』という事よね!!」
ルーアンしゃん!それは離珠が告げるはずだったのに!!
「うるさい!!見当違いな例え出して威張ってるんじゃないわよ!!
本当は今のあたしのように、おいしい所を持っていく事を言うのよ!!」
それだとさっきの例と同じじゃないでしか。
「これで終わりよ!」
勝手に終わらないでくだしゃい!
「終わりったら終わりなのよ!」
「盗人猛猛し」でし
ある日の学校。ルーアンしゃんがいつも通り授業してるでし。
ところが、ひそひそと話をしている生徒しゃんがいたみたいなんでしね。
それを見つけたルーアンしゃんは当然起こったわけなんでしね。
ところが注意を最初にするならともかく・・・。
「陽天心召来!」
と、いきなり机に陽天心をかけたんでしね。
ドンガラガッシャーン!!
不意打ちを食らった生徒しゃんは、大怪我を負ってしまって・・・。
そして保健室では、ベッドでうんうんうなっている生徒しゃん。
その怪我を負わせたルーアンしゃん。そして太助しゃま達・・・。
「ルーアン、いくらなんでもやり過ぎだぞ。こんな怪我させて・・・。」
「たー様、大事な授業も聞かずに居ると非道い目に遭うって事を戒めたまでよ!」
・・・すんごいこじつけでし。
何処の学校に、話をしただけで保健室送りにする先生が居るんでしか。
『悪事をとがめられ、反対に開き直る』という事でし。
結局はルーアンしゃんはその子の親に謝ったとか。
ルーアンしゃん、もうちょっとおとなしく振舞って欲しいでし・・・。
「盗人捕らえて縄なう」でし
たとえば・・・。
「さあ、野球をやるぞ!!」
「でもバットがないよ、たかし君。」
「これから作る!そういうわけで太助、頼んだぞ!」
「はあ!?」
という事でしねー。
『処置が遅れて間に合わぬ事のたとえ』という事でし。
「離珠ちゃん、なんなんだよそのたとえは。俺は絶対そんなことしないぞ!!」
もうたとえを出してしまったから手遅れでしよー。
「くそっ、嫌な解説の仕方だ・・・。」
「盗人に追い」でし
昔々、ある所に離珠という女の子が住んでいたでし。
その子は何不自由無く平和に暮らしていたんでし。
ところがある日、なんとその子の家に強盗が入ったんでし!
「お〜っほっほっほ、さっさと金目のものをよこしなさ〜い。」
女の子は怯えながら、抵抗もせずに全ての金品を差し出したでし。
強盗はそれを見て満足したようで、去ろうとしたんでしが・・・。
「そうそう、また来てあげるからよろしくねん。」
なんて言いはなったんでし!
女の子は奥の手として、知り合いの出雲しゃんから貰った、
隠していた薄皮饅頭セットをおずおずと差し出したんでし。
「これでもう後はこないで欲しいでし・・・。」
「どれどれ・・・美味い!!ははーん、これなら来ないであげるわ。ありがとねん♪」
今度こそ本当に満足して強盗は去って行ったでし。
『盗人に金品を奪われ、その上に金銭を渡す。
被害をこうむった上に、更に被害を重ねる』という事でし。
・・・ふむ、なかなかいい出来でし!
「何勝手に紙芝居なんか作ってんのよごみチビ・・・。」
「盗人に鍵を預ける」でし
『災難のもとになるものを助ける事の例え』という事でし。
ルーアンしゃんにご飯の見張り役をさせるようなもんでし。
「ごみチビにいずピーの土産の見張りをさせるようなもんね。」
離珠は見張りながら食べるなんてしないでし!
「あたしもしないわよ、そんな事!」
「どっちもどっちじゃねーか・・・。」
「あんたは黙ってなさい!」
虎賁しゃん、五月蝿いでし。
「へーへー、よーわかりました。」
「盗人には網を張れ」でし
「実際に罠をしかけることにしようぜ那奈姉。」
「だな、翔子。」
あっという間に意気投合した翔子しゃんと那奈しゃん。
何をするのかと思いきや、玄関の上、屋根の上で待ち伏せでし。
二人が構えているのは網・・・でし。
ちょっとちょっと、二人ともどういうつもりなんでしか?
「どういうつもりって・・・罠だよ、罠。」
「シャオをかっさらいに来たふてぶてしい奴に使うんだよ。」
シャオしゃまをかっさらうってどういうことでしか・・・。
「いるだろ、野村とか出雲のおにーさんとか。」
「おっ、言ってる傍から来たぞ!翔子、用意だ!」
ふと道の方を見ると、たしかにタイミングばっちしでたかししゃんと出雲しゃんが・・・
って、いきなり網なんてかぶせられたら怒るでしよっ!
「大丈夫大丈夫。仮に文句が出てもキリュウの試練ってことでさ。」
「翔子、それはさすがに無理がないか?」
離珠もそう思うでし。
「ちっちっち。七梨は試練を受けてる。だからその七梨と張り合うなら、
お前らも試練を受けないでどうするんだ?ってな寸法だ。」
「なるほど・・・うまいな・・・。」
上手いでし・・・。
とか感心してる間に問題の二人が丁度いい位置に!
「今だ!」
「それっ!」
ばさあっ!!
「う、うわっ!?」
「なんなんですかこれはー!!」
突然空から降ってきた網にじたばたの、たかししゃんと出雲しゃん。
『盗まれないようにするには予防法を講ぜよ』という事でし。
なんとか抜け出した二人は屋根を見上げて、当然怒っていたでし。
「山野辺!?何のつもりだ!!」
「那奈さんも!これは一体どういうことですか!!」
うわああ、とっても迫力あるでし・・・。
たじろいでいると、翔子しゃんと那奈しゃんが説明をし始めたでし。
「えっとだな、離珠のことわざの解説でな・・・」
「そ、そうそう!離珠のことわざ解説!あははは!」
な、なんでしと!?
次の瞬間、たかししゃんと出雲しゃんの目が離珠を睨んだでし・・・。
ちょ、ちょっと翔子しゃんに那奈しゃん!さっきと言ってたことが違うでし!!
「いや、やっぱ嘘はよくないかなって。」
「そうそう。それにキリュウに追求されるとあたし達もやばいし。」
ひ、ひどいでしいぃぃ!!!
「盗人にも仁義」でし
『盗人の様に悪事をするもの同士でさえ礼儀を失わない』という事でし。
えーっとお、太助しゃまに盗人をやってもらってシャオしゃまが家の住人で・・・。
「こんちわー、ぬすっとでーす!」
「あらあら、ようこそいらっしゃいませ。ささ、粗茶ですが。」
「いえいえ、お構いなく・・・ってちがーう!!!
離珠、これはそういうことを言ってるんじゃ無い!!」
ほえ?そうなんでしか?
「あの、太助様、お茶はいらないんですか?」
「シャオ・・・。えっと、とにかく俺とシャオが盗人役!」
なるほど。ではそれでやってみてくだしゃい。
「それじゃあ・・・。シャオ、今日はこんなに沢山収穫があったぞ!」
「まあ。それでは仲良く半分こですね。」
「よし、これこれこれはシャオの分で、残りは俺の分な。」
「太助様、なんだか私の方が多いですわ。ちゃんと半分ずつにしないと。」
「あ、ああ・・・。うーん、とまあこんな感じだと思うんだけど?」
なるほど、でし。
「太助様、ちゃんと半分こに・・・。」
「もういいってシャオ。でも・・・ほんとにこの例えで良いのかなあ?」
思いっきり離珠を遮った割にはなんでそんなに自信無さそうなんでしか。
「うーん、難しいから。はは・・・。」
ま、たまにはこういう時もあるという事で終わりでし。
「盗人の上米取る」でし
「たかし親分、購買部のパンを取ってきたよ!」
「良くやったな乎一郎。ふっ、これでお前は用済みだ!」
「そ、そんな。うわああー!!」
というわけでしね。
『盗人の頭をはねるということで、悪い者にも上には上があるものだ』という事でし。
「はあ・・・俺らは何をやってるんだろうな。」
ことわざの解説でし。
「冷静につっこまれても困るんだけど。とにかくお昼食べようよ。」
「そうだな。丁度パンも手元にあるし。」
ちょ、ちょっとたかししゃん!それは出雲しゃんから特別に借りたものなんでしからね!
「離珠ちゃんが食べたってことにすれば喜んで譲ってくれるよ。
あいつはそういうやつだからな。」
「たかしくん、それじゃあ説得力無いと思うけど・・・。」
「盗人の取残しはあれど火の取残しは無し」でし
『盗難に遭うよりも火事に遭う方が恐ろしい』という事でし。
果たしてそうなのか!?実際にやってみるでし。
協力者は出雲しゃんと天鶏しゃんでし!
「私が七梨家に泥棒に入るのと、天鶏さんが家を燃やすのと。
果たしてどちらがおそろしいのか?
・・・答えはやるまでもないと思いますが。」
こくり
「ほら離珠さん、天鶏さんも頷いてらっしゃいますよ?」
何を怖じ気づいているでしか。
実演してこそ、初めて恐ろしさというものが・・・
「離珠!!出雲さんと天鶏になんてことさせようとしてるの!!
すみません出雲さん、離珠が呼び出してしまって。」
「あ、いえいえ。そう謝られる事でもありませんので。」
「そんな。ご迷惑をかけてしまった事には変わりありませんわ。
さ、中へどうぞ。天鶏も早く。」
「ではお言葉に甘えて。天鶏さんもゆきましょう。」
すたすたすたすた
・・・何事も無く終わってしまったでし。
完璧な解説までの道のりは遠いでしねえ・・・
「離珠!いいかえんにしなさいっ!!」
ご、ごめんなさいでしシャオしゃまぁ!
「盗人の隙(ひま)はあれども守り手の隙なし」でし
『盗人は人のすきを狙って盗むのだが、いつも人のすきを狙っていなければならない事は無く、
休もうと思えばいつでも休める。ところが盗人の番をする方は、
いつ狙われるかわからないので、気を許して休むひまが無い。
とても盗人を防ぐのは容易な事でなく、防ぎきれるものではない』という事でし。
なるほどお、と納得のいく言葉でし。
「七梨のやつ、将来苦労するぞお。」
太助しゃまが宝を守るんでしか?翔子しゃん。
「違うよ、シャオだよ。」
シャオしゃまでしか?
「そ。シャオとめでたく結ばれても、
やっぱりシャオみたいな可愛くて優しい子を付け狙う奴はいるわけで。
そいつらを退けるのに七梨は苦労するんだなあって。」
そうでしか・・・。大変でしねえ、太助しゃまも。
「それでもシャオを立派に護れるか。これもキリュウの試練に関わってくるだろうな。」
ふむふむ、そうでしね。
「盗人を捕えて見れば我が子なり」でし
緊急会議でし!!
近頃、知らない間に食料が無くなっているんでし。
どうやら犯人は夜中にこっそりと食べているみたいでしが・・・。
そういう訳で、太助しゃまの部屋で那奈しゃんと離珠との三人で会議を開いたんでし。
「太助、どう考えても犯人はルーアンだって。」
「那奈姉、証拠が無いんだよ。確かに怪しいのはルーアンだけどな・・・。」
太助しゃまってば優しすぎるんでしよ。誰が何と言おうとルーアンしゃんでし!
「証拠なんて要らないって。普段の行動からして明らかじゃないか。」
「だからさ、明らかな証拠をつきつけて戒めるってのも手じゃないか。」
なるほど、そういう考え方もあるでしねえ。
そうすればルーアンしゃんもそれなりに反省するに違いないでし。
「それじゃあどうやって証拠を見つける?・・・夜に張りこむか?」
「さっすが那奈姉、分かってるじゃん。離珠も頼んだぞ。」
はいでし!
そしてその晩、台所の机の下やら戸棚の陰やらに潜んで犯人を待ち構えたでし。
(太助、そっちは異常無いか?)
(ああ、大丈夫だよ。まだ・・・あ、誰か来た!)
(ふふふ、来やがったか。ルーアン、覚悟しておけよ・・・。)
その通りでし!みんなの前で離珠がぼこぼこに渇を入れてやるんでし!
そしてその問題の人物(まあルーアンしゃんでしね)が冷蔵庫の扉を開けたでし。
「今だっ!!」
「それえっ!!」
太助しゃまと那奈しゃんが同時にその人物に飛び掛ったでし!!
不意をつかれたルーアンしゃんは太助しゃまに押さえつけられてじたばたじたばた・・・。
「さあルーアン、おとなしく・・・あれ?」
「キリュウ?」
なんと!明かりを点けて見ると、そこに居たのはキリュウしゃんだったんでし!!
これは一体どういう事でしか・・・。
三人で困惑していると、更に新たな人物が・・・シャオしゃまでし!
「た、太助様!那奈さん!!・・・二人ともキリュウさんに何をしてるんですか?」
「しゃ、シャオお?」
「ちょっとシャオ、これはどういう事なんだ?」
今だじたばたもがいている(なんといってもうつぶせだったでしからねえ)
キリュウしゃんを起こして、その場の四人(もちろん離珠も一緒)で話を聞く事になったんでし。
「・・・つまり、夜中になぜかお腹が空くから、シャオに何か作ってもらっていたと。」
「そういう事だ。けれど恥ずかしいので皆には内緒に・・・。」
「で、なんでお腹が空いたんだ?」
「それは・・・。」
「なんでも、朝起きる計画を立てるのに、最近調子が悪いそうですわ。
ですから、悩んでいるうちにお腹が空くんだとか。」
「しゃ、シャオ殿・・・。」
「「・・・・・・。」」
なんともあきれた理由でし。キリュウしゃんらしいでしねえ・・・。
結局そんなにお咎めも無く終わったんでしが、
「キリュウ、今度からもうちょっと早く寝る様にしろ。」
「あ、ああ・・・。」
と、キリュウしゃんは太助しゃまに怒られてたでし。とまあ、それだけなんでしがね。
『あまりにも意外な出来事で、当座の処置に困る』という事でし。
夜中に食料が消える事はなくなったものの、昼は昼でルーアンしゃんが沢山食べてるでし。
結局食料の減りが早いという事は変わらないんでしね・・・。
「盗する子は憎からで縄かくる人が怨めしい」でし
昔々、ある村で事件が起こったんでし。
「泥棒だー!!」
「犯人は七梨さんところの息子らしいぞー!!」
村人が騒ぎ、皆が駆けつけると、村一番正義感の強い出雲しゃんに、
太助しゃまが捕らえられていたでし。
「まったく、大切な鶏を盗もうなんて不届き千万ですね。」
「くっ・・・。」
とそこへ、太助しゃまのおとうしゃまの太郎助しゃんがやってきたでし。
「太助!お前って奴は・・・。」
「親父・・・。」
「あなたですか、この人のお父さんは。
とんでもない育てかたをしたもんです。」
すると太郎助しゃんは、出雲しゃんをキッと睨んだでし。
「お前が・・・お前が太助を捕らえなければ!
太助はこんな大勢の前で恥をさらす事もなかったんだ!!」
出雲しゃんを含むその場に居た村人全員は、信じられないといった顔で見ていたでし。
『身びいきのたとえ。親は泥棒をしたわが子は憎まずに、縛った人をうらむ』という事でし。
色々混乱もあったものの、結局太助しゃまは罪を償ったでし。
その後は、太助しゃまは決して悪い事をしなくなったそうでし。
「離珠、なんだよその話は・・・。」
太助しゃま!心配しなくても太助しゃまがおそらく主人公でし!!
「そういう問題じゃない!それにおそらくってなんだよ!!」
「沼に杭」でし
『手応えが無く、効力が無いことのたとえ。意見をしても効果が無い』という事でし。
「ルーアン、大食いをやめろー!」
とか太助しゃまが言っても、ルーアンしゃんは絶対にやめないはずでし!
「はんっ。あたしのたー様がそんな事言ったらやめるに決まってるじゃない!」
「いつ俺がルーアンのものになったよ・・・。それより無理はすんなよ。」
「無理じゃないわよ!」
「いつだったか、お腹壊して倒れて何も食べられなかった時に・・・
すんごくふらふらになって何も出来なかったってのを覚えてるぞ。」
「ふっ、そんなの一時のものよ!」
「俺は心配だ。倒れられたら嫌だし。」
「たー様・・・。」
・・・ほ、ほーら!やっぱり大食いはやめないでしね!
「「・・・・・・。」」
う、ううっ、冗談でしよ!
こんな時にまじめな事言うなんて太助しゃまひどいでし!
「俺はいつも真面目だって。」
「しょっちゅう周りに振り回されてるけどね。」
「振り回す周りの連中が悪いんだよ。」
「はいはい、そういうことにしといてあげるわん。」
「塗箸で芋を盛る」でし
試練でし!
「今日のおかずに芋がある。ぬりばしもある事だし、早速やってもらおう主殿。」
「・・・別にいいけど、要は自分の皿に盛れって事だよな?」
そうでし!これは苦労するでしよ〜。
『つるつるして、はさめないことのたとえ』という事でし。
「じゃあいくか。えい。」
ぷすっ
ああ!さすなんてずるいでし!!
「ううむ、あっさり切り抜けるとは見事だ・・・。」
「お前らな、最初に刺すのは駄目とか言わないとこれって意味無いぞ・・・。」
「濡れ手であわ」でし
『苦労せずに利益を得る』という事でし。
これは、普段のルーアンしゃんを見ていればわかると思うんでしが・・・。
「キリュウ、お饅頭大きくして〜。」
「またか・・・。万象大乱!」
そして大きなお饅頭にごきげんな顔でかぶりつくルーアンしゃん。
「ねえシャオリン、ご飯まだー?」
「はい、もうできましたよ。」
みんながご飯を作っていたのに、後からやってきてご飯だけ食べるルーアンしゃん。
しかも皆しゃんの何倍も・・・。
いろんな用事をする時も、ほとんど陽天心をかけてやってるでし。
本当にルーアンしゃんて苦労知らずでしねー。
「濡れぬ先こそ露をもいとえ」でし
『過ちを犯した上はもうどうでもよい。もっと非道い事でも構わずにやる』という事でし。
例えばでし!おやつにとっておいたお饅頭をつい一口盗み食いしてしまったら!
こうなったら全部食べちゃえ〜!ってな気分になるでしね。
「その通りよ!がつがつがつがつ・・・。」
ああっ、ルーアンしゃん。それは離珠の分でし!ぱくぱくぱく・・・。
「なに言ってんの、あたしの取り分はこれだけなのよ!」
「あ、あのー。何故二人してわざわざ宮内神社に・・・。」
だって本当に盗み食いすると怒られるでし。
「というよりは家に手頃なお菓子が無かったの。だから来たのよ。」
「どうして毎度毎度こんな事に・・・。」
戻るでし。