≪つ≫でし!


「杖に泣く」でし
実際に試すでし〜!って事で、太助しゃまと那奈しゃんの登場でし〜。
「やだなあ、なんで俺が・・・。」
「文句を言うな太助。これも試練だ。」
「どういう試練だよ。」
まあまあ、とにかく用意してくだしゃい。
太助しゃまが地面に座り、那奈しゃんがムチを・・・ってどこからそんな物用意したんでしか。
「臨時に入手したんだ。いいだろう。」
・・・とにかく開始でし!
びしいっ!!!
「いてっ!!」
那奈しゃんが振るうムチが太助しゃまを打つ!!
どうでしか?太助しゃま。
「・・・昔よりパワーアップしてる。」
「太助、それを言ってちゃあ解説にならんだろが。だったら・・・。」
ぴしっ
「あ、痛く無い・・・。衰えたんだな、那奈姉。」
「太助・・・。って、なんか納得いかないけど、まあしょうがないか。」
えっとまあ、そういうわけで、
『ムチで打たれて泣く意。親を思う心の厚い事の例え』という事でし。
親は那奈しゃんで代理。昔はムチで打たれて痛かったけど決して泣かなかったけど、
今日は痛くなくて、親がそれだけ衰えたのが悲しくて・・・という事なんでし。
「しっかしお前、鍛えてる割には最初の一発が痛かったなんて・・・。
お前も衰えたなあ。姉ちゃんは悲しいぞ。」
「那奈姉、それなんか違う・・・。」


「使い半分」でし
ある日の事でし。
作りすぎた和菓子を手土産に、出雲しゃんが太助しゃまのお家へ向かっていたんでし。
「あーらいずピーじゃないのぉー!」
「ルーアンさん・・・。奇遇ですね、という前にその呼び方いいかげんやめてくれませんか?」
「細かい事は気にしない・・・あら?その手に持ってるのは?」
「羊羹ですよ。母が作りすぎてしまったので、それなら私がという事で、
太助君の家へ向かっているところなのです。」
「なあんだ。じゃあ早速頂戴よ。」
「あ、いや、家に着いてから・・・。」
「どうせ食べるんだもの!どこで食べても同じよ!」
強引なルーアンしゃんに羊羹を奪われ・・・。
二人が家につく頃には、羊羹はほとんど無くなっていたでし。
で、リビング。
「出雲さん、ルーアンさんと御一緒だったんですね。」
「ええまあ・・・。あの、これどうぞ。羊羹ひときれです。」
おずおずと差し出したそれに、那奈しゃんはじめ皆しゃんの目が丸くなったでし。
「はあ?・・・ほんとだ、ひときれしかない。
宮内、お前わざわざひときれを持ってきたのか?」
「最初はそうではなかったのですが・・・。」
『使いの者は持って行く品物の半分だけは戴いても仕方がないという事で、
使いに行くからには相当の謝礼を受け取るのは当然だ』という事でし。
「あの、離珠さん。私が食べたんじゃありませんよ?」
わかってるでし。しかし、しかし・・・
なんだかすごくやりきれないでしー!!


「使う者は使われる」でし
『人を使うには色々な心配をしたり様々な段取りをつけたりしなければならぬから苦労が多い。
だから人を使うのは人に使われるようなものだ』という事でし。
そんな風にいつも苦労してるシャオしゃまに!!
「星神達全員でパーティーを企画したんだぜ!!」
「ささ、シャオリン様。こちらですじゃ。」
「まあ・・・。みんなありがとう・・・。」
たくさんの星神達に囲まれながら、シャオしゃまはとっても幸せそうでし。
良かったでし!!

「へえ、それで今日は太助が夕食当番なんだ。」
「そうだよ。俺が引き受けたまでは良かったんだけど・・・」
「くおら小僧ー!飯はまだかー!!」
「ぼうずー!!やっぱりおいら達も手伝った方が良かったんじゃねーのかー!?」
「・・・ってなわけさ。」
「お前はバカか。分相応ってもんをわきまえろ。
星神全員分まで一人で作りきれるわけないだろ?」
「なあに、なんとかなるさ!」
何故か楽観的な太助しゃまの言う通り、なんとかなったみたいでし。
「まったく・・・私の能力はこういうものに使うためでは・・・。」
「うるさいわよキリュウ。がつがつがつがつ。」
ちゃんちゃん、でし。


「使っている鍬は光る」でし
「ねえシャオリン。」
「なんですか?」
「あんたいっつもいっつも働いててしんどく無いの?」
「いいえ。疲れないといったら嘘になるかもしれませんけど・・・楽しいんです。
御飯を作る時なんか、皆さんが美味しい美味しいって言って食べてくださる事とか考えたりして。」
「へえ・・・。そんなもんかしら。」
「ルーアンさんも働いてみませんか?きっと毎日が楽しくて仕方なくなりますよ。」
「・・・まあたまになら。」
「ええ、是非。」
はーい、という訳でいっつも頑張って働いているシャオしゃま。
とっても明るくって生き生きしてて・・・。
時代の所為もあるとは思うんでしが、とにかく元気元気でし!
『常に働いている人は、怠け者と違って生き生きしているという例え』という事でし。
「それじゃあルーアンさん、早速お料理を一緒に作りませんか?」
「・・・やっぱりまた今度。あたしは味見係でも担当するわ。」
「まあそうですか。それじゃあそこに座って待ってて下さいね。」
「うん、そうする。」
ちなみにこれは怠け者を戒めた言葉でもあるんでしが・・・。
「・・・あら?ごみチビ居たの?」
怠け者でも生き生きしてる人もいるでしね・・・。
「ちょっと、なんなのよその目!!文句あるんならちゃんと伝えなさいよ!!」
以上、台所から生中継で御送りしたでし〜。


「搗臼(つきうす)で茶漬」でし
いくらなんでも臼ではお茶碗の代わりにならないでしからね。
『大は小を兼ねない』という事でし。
そこで!キリュウしゃん、これはいい試練だと思わないでしか?
「よし、早速試してみるとしようか。」
という訳で夕御飯でし〜。
「ふう、お腹空いた。・・・あれ?俺のお茶碗は?」
「太助様のお茶碗はあれですわ。」
シャオしゃまが指差したのは臼でし。倉庫から見つけてきたんでしよ〜。
「え・・・。じょ、冗談だろ?」
「冗談じゃなくてこれは試練だってさ。
だからそれで御飯を食べるんだ。頑張れよ、太助。」
「な、那奈姉。頑張れったって・・・。」
「主殿。試練だ、耐えられよ。」
「・・・・・・。」
暗い表情になったものの、太助しゃまは決心した様に臼で御飯を食べ始めたんでし。
さすが太助しゃまでし!!
「たー様のお茶碗、おっきくて羨ましいわ〜。交替したいくらい。」
「だ、だったら替わってくれ!!」
すかさず助けを求める太助しゃま。やはり辛いみたいでし。
「だめだ主殿。これは試練だからな。」
「だそうよ、残念だわ。ルーアンショック〜・・・がつがつがつがつ。」
ルーアンしゃん、全然残念がってる様に見えないでし。
そして食事終了。太助しゃまはなかなか苦戦したみたいでし。
「ふむ、なかなか良かったな。いかなる逆境にも耐える試練。」
そうでしね♪ね、太助しゃまも良かったでしよね!
「全然良くない・・・。」


「月とすっぽん」でし
シャオしゃまー、ちょっと軍南門しゃんを呼んで欲しいでし。
「珍しいわね、離珠がそんな事言うなんて。分かったわ、来々、軍南門!」
家の中で呼んでしまうと家が壊れてしまうので、庭に呼んでもらったでし。
見てくだしゃい、大きな大きな軍南門しゃん。離珠とはえらい違いでしねえ・・・。
つまり、『差がとっても大きい』という事でし。
大きさで見ると、離珠と軍南門しゃんは月とすっぽんというわけでし。
「おやシャオ殿、そんな所で何をしている。」
「キリュウさん。ちょっと離珠にせがまれて軍南門を呼んだんです。」
キリュウしゃ〜ん。どうでしか、この見事なことわざの解説!
とは言ってもキリュウしゃんには分からないんでしね。
「ふむ、ちょっと試したい事が出来た。シャオ殿、少し良いかな?」
「え?ええ、どうぞ。」
そしてキリュウしゃんは短天扇を広げたでし。何をするつもりでしか・・・?
「万象大乱!」
すると、軍南門しゃんがどんどん小さく、離珠ぐらいの大きさになってしまったんでし!
「万象大乱!」
今度は離珠がどんどん大きく、さっきの軍南門しゃんぐらいの大きさになってしまったでし!
「なるほど、大きさを変えるとこんな感じになるのか。ふむ、なかなかのものだ。」
「離珠・・・。軍南門・・・。・・・あはは、なんだかおもしろーい。」
唖然としている離珠と軍南門しゃんをよそに、シャオしゃまとキリュウしゃんは笑い出したでし。
ちょ、ちょっと、二人ともなんでそこまで笑うんでしか。
しばらくは元の大きさに戻してくれず、庭でそのままで居るしか出来なかったでし。
くうう、離珠たちで遊ぶなんて酷いでし・・・。


「月に十五日の闇がある」でし
『この世の中はいつも明るい時ばかりではないぞ、一月の中の半分は暗闇だぞ、
あまり調子にのるなとおどしに言う言葉』という事でし。
「そういうわけだからシャオリン、たこスミを食らうのよ〜。」
「あ、あの、ルーアンさん。それに一体何の意味が・・・。」
「やあねえ、冗談よ。本当はこっち!イカスミよ!!」
ででーんとルーアンしゃんが取り出したのは、たしかにイカスミでし。
「まあ、これどうなさったんですか?」
「ちょっと偶然手に入れたのよ。これを使ってイカスミスパゲッティ作ってちょうだい。」
「はい、わかりましたわ。」
そんなわけで、今晩の夕飯はイカスミスパゲッティになったでしよ〜
・・・って、ことわざの解説はどこへいっちゃったんでしか!!


「月に叢雲花に風」でし
『良い事には邪魔が入りやすいものだ』という事でし。
「よくあることだな。折角月が出たと思ったら雲がかかったり、
花が咲いたかと思ったら風に吹かれて散ってしまう。」
その通りでし、翔子しゃん。
「しかしなんといっても、シャオと七梨!
いい雰囲気になったと思ったら邪魔者が・・・。」
そうでしそうでし。
「だからこそあたしと那奈ねぇとで作戦を考えてやってるのになあ。
なんで七梨の奴はああまでして怒ってくるのかなあ。」
その作戦自体に問題があると思うんでしが・・・。


「月の前の燈」でし
『立派なものと比べられるのでぱっとしない事のたとえ』という事でし。
名月に比較されたのではろうそくの光は目立たず、
太陽に比較されたら月の光も目立たないわけでしが・・・。
「だから!シャオリンよりあたしが目立つはずなんだけどねぇ〜。」
ルーアンしゃん、精霊とはまた違うでしよ。
「でも離珠、私とルーアンさんが並んで立ってるとどっちが目立つかな?」
それはもちろんルーアンしゃんでし。
「ルーアンさん、離珠がルーアンさんの方が目立つって言ってますわ。」
「・・・理由を知りたいわね。」
「離珠、どうしてなの?」
見た目でし。
「見た目だそうですわ。」
「ちっ、やっぱり・・・。」
「ふえっ?」
・・・そんな事より、立派という言葉がどこかへ行ってしまったでし〜。


「月夜にも背中焙りて温まれ」でし
『無駄だと思われる事でもしないよりはましだ』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、例え無駄に思えてもやってみようコーナー!
「うむ!という訳で主殿。」
「わかったよ、月光で温まってこいってんだろ?たく・・・。」
違うでしよ、太助しゃま。更にバージョンアップでし!
「雑誌で見たのだが、夏になると日光で肌を焼く人が何人もいるそうではないか。
だから・・・」
「できるかー!!!」
まだ最後まで言って無いでし。
「主殿、人の話は最後まで・・・」
「だから月光で肌を焼くなんてできるわけないだろーが!!!」


「土一升に金一升」でし
『目抜きの土地で、地価が非常に高い』という事でし。
“俺んちの土地はこんなに高いんだぞー!”“はっ、俺の方がもっと高いぜー!”
なんて遊びはしなかったでしか?太助しゃま。
「なんで俺がそんな事・・・。しかも誰とやるってんだよ。」
それはたかししゃんでし!
「強調されても、やってないものはやってないぞ。」
そうでしか・・・。残念でし。
「なんだかなあ・・・。」


「土仏の水遊び」でし
「キリュウちゃんが“北極で試練をやる”といったらまさにそれじゃないの?」
そんな例でいいんでしかねえ・・・。まあよしとするでし。
『自分から危険をおかして自滅する例え。また、危険に気付かない例え』という事でし。
「野村殿、離珠殿、なんという例えを・・・。」
「あれっ、当たって無い?」
もしかしてこれからやろうとしてるんでしか?
「いや・・・。」


「つつがなし」でし
シャオしゃまという守護月天が居るから、太助しゃまはまさにそうでしね。
「でも・・・。ずっと前に風邪を引いたりしてしまったし・・・。」
もう、それはシャオしゃまの所為じゃ無いじゃないでしか。
「それでも太助様がそうだって事は言えないんじゃないかしら。」
うーん、確かに風邪に限らず色々と心配事がある様でしねえ。
「そうよね・・・。」
と、とにかく!
『無事でいつもとかわりがない。病気や心配事がない。健康で元気である』という事でし。
でもシャオしゃま、太助しゃまが元気が無かったりするのは、
シャオしゃまが元気じゃ無い時が原因だったりもするんでしよ。
「そういえば前に翔子さんがそんな事を言ってたな・・・。
そうね、太助様の為にも、私がしっかり元気で居なくっちゃね。」
そう、そのいきでしよ、シャオしゃま。


「角を矯めて 牛を殺す(つのをためて うしをころす)」でし
秘密:これは世紀末企画でし!・・・って、なんてバレバレなんでしか!!

しゃてしゃて、これはどうすればいいでしかねー・・・。
「あたしの体験話を語ってやろう。それでばっちりなはずだ。」
では翔子しゃん、よろしくお願いするでし。
「おっし。それはある暑い日の事だった。
七梨の家へ行ったあたしは二階でぐてーってなってるキリュウを見つけたんだ。」
ふむふむ、よくありそうな光景でし。
「それで、ちょっとからかってやろうと部屋に入ったんだ。
けど呼びかけてもキリュウの奴返事もしない。そこであたしは閃いた。
“なあキリュウ、この後ろ髪の長いのを切っちゃえば涼しくなるんじゃないか?”
って、言ったんだ。」
言われてみれば、髪の毛が長いと暑く感じたりするでしねえ。
「そしたらキリュウはこう答えた。“いや、いい”って。
しかしあたしははさみを取り出した。“遠慮するなって”
そしてばっさりと髪を切った!!」
な、なんでしとー!?
「その直後、キリュウはびっくりして飛びあがったんだ。
“な、なんという事を・・・翔子殿!”
“いいじゃん。また伸ばせば”
“そういう問題ではない!私は、あの・・・髪が・・・ないと・・・”
気楽に見ていたあたしだったが、キリュウの様子がだんだんおかしくなっていくのに気がついた。」
ふ、ふえっ?
「なんと、キリュウの体がどろりと溶け出したんだ!
“しょ・・・う・・・こ・・・ど・・・の・・・”
消え入りそうな声で告げるその姿は、まるで熱にさらされた氷の様に・・・。
そして、後にはバッサリと切ったあの緋色の髪しか残ってなかった。
以上だ!!」
ひ、ひえええええー!!
『小さな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうこと。
部分的なことにこだわって、肝心の大元を壊してしまうこと』という事でしー!!
がちゃり
扉が開く音がしたと思ったらそこには・・・!
「ふああ・・・何を人の部屋の前で騒いで・・・」
「キリュウ!? ゾンビだー!!」
きゃああでしー!!
一緒に叫びながら、離珠と翔子しゃんは一目散に逃げ出したでし。
「??だ、誰がぞんびなのだ?」
あとに残されたキリュウしゃんは、ぽかんと突っ立っていたそうでし。


「唾万病の薬」でし
『唾液は薬になる』という事でし。
「だからな、七梨。もし将来シャオが人間になったとしよう。」
「お前の言いたい事はその時点でわかるからもう言わなくていいよ・・・。」
「じゃあ、もしシャオが支天輪を忘れてきたとしよう。」
「それでも言いたい事は分かるって。」
「ちっ、面白味のない奴だな・・・。よし、それじゃあ台所で・・・」
「だからもう言わなくていいっての!!」
翔子しゃんの言いたいのは、太助しゃまが怪我をしたらシャオしゃまが舐めて治療を、ってことでし。
それでも、さすがに長沙しゃんにはかなわないと思うでし。


「壷の中では火は燃えぬ」でし
「さーて、シャオリン。支天輪を出してちょうだい。」
「支天輪ですか?」
「そうよ。その中にあたしが入って色んな事をやってあげる。それが今回の解説。」
うわぁ、無茶苦茶でし・・・。
「ルーアンさん、いくらなんでもそれは駄目です。」
言われてすぐに支天輪を出したシャオしゃまだったでしが、すぐに引っ込めようとしたでし。
ところがそれをがっしとつかむルーアンしゃん。
「いいじゃないの、ものは試しよ。」
「駄目だったら駄目ですぅ。」
「いいから貸しなさいよっ。」
「駄目ですってばあ。」
支天輪をつかんでの引き合いが・・・って、このままだと支天輪が壊れそうな勢いでし!
おろおろしてると、途端にぱあっと支天輪が光り・・・なんと南極寿星しゃんの登場でし!
ごんっ
と思ったら持ってる杖でルーアンしゃんの頭を叩いたでし。
「いったあー!!何すんのよ!!」
「支天輪の中では狭くてなぐれん。だから外でなぐったのじゃ。
文句有るか?慶幸日天。」
・・・というわけで、『狭い所では大きな仕事をしようとしても十分なことができない。
大きな仕事をするにはそれにふさわしい場所が必要だ』という事でし。
「離珠、良かったのう解説がちゃんと出来て。ではさらばじゃ。」
しゅいーんと姿を消す南極寿星しゃん。すぺしゃるさんくすでしー。
「って納得いかーん!!ちょっと、もう一回出てこんかいこの頑固じじー!!」
「わわっ、ルーアンさんいいかげんにしてくださいっ!!」
シャオしゃま、ふぁいとでしっ。
「離珠!ルーアンさんを止めるの手伝いなさい!!」
「止めてくれるなシャオリンー!あんのじじーなぐってやるー!!」


「妻の言うに向山も動く」でし
向山はと向こうにみえる山の事で、山だから動くはずがないでし。
けれども、もしもこの山に奥しゃんが居て、「こうしなさい、ああしなさい。」と言えば、
この山でも動く、というんでし。
『妻と夫とは生活を共にしているものだから、妻は他の誰よりも夫に近い者である。
それでなかなか人の意見に動かされない人でも、
妻の意見にはつい動かされてしまう事が多い』という事でし。
「長い前置きだったが離珠、たとえはばっちり身近に存在してるな。」
そうなんでしか?
「そうだ。それは七梨とシャオだ!」
しょ、翔子しゃん・・・。
「姉のあたしの言う事ですらほとんど聞かない太助!」
「しかし、シャオの言う事ならどうだ?何でもかんでも聞くぞ!そして動くぞ!」
・・・そうでしかねえ?
「たとえば・・・“太助様、一緒にお風呂に入りたいんですぅ”」
「“しゃ、シャオ!?・・・よーし分かった!一緒に入るぞ!!”」
「“はいっ!”・・・とまあ、こういうわけだ。」
「って翔子、大胆すぎるぞ。」
「大丈夫大丈夫、本当に言うのはシャオだし。だから早速実践してみようぜ。」
「なるほど、なら大丈夫だな。よし、翔子の言う通り今からやるぞ!」
二人とも!絶対にそれは大丈夫じゃないでし!!


「罪を憎んで人を憎まず」でし
「これはいい言葉なのか悪い言葉なのかわから無いですね。」
どうしてでしか、出雲しゃん。
「陽天心なんかでぼろぼろになった教室を見てると・・・。」
でも、太助しゃまはちゃんと注意してるでし。
ちなみにキリュウしゃんはそんなに注意してないでし。
「・・・まあそれはさておき、あんまりルーアンさんを責めても良くないですしね。」
そういう事でしよ。ルーアンしゃんにはルーアンしゃんの事情があるんでし。
『悪い行いはにくまなければならないが、それを犯した人を憎んではいけない』という事でし。
「今回は随分ルーアンさんのかたをもちますね。」
そういう訳じゃ無いんでしが・・・。
「もしかしてシャオさんが関係しているのでしょうか?」
びくっ!そ、そんな事無いでし!
「やっぱり・・・。たしかに似たような事はありましたが、私は別に・・・」
だからそんな事無いんでし!!


「爪で拾って箕でこぼす」でし
ある日、たかししゃんが校庭でせっせと作業をしていたんでし。
一体何をしているのか太助しゃまに聞いてみると・・・。
「なんでも、熱血の砂ってのを探してるんだってさ。訳わかんないよなあ。」
ね、熱血の砂!?一体なんなんでしか、それは・・・。
そうこうしているうちに、作業を終えたたかししゃんがこちらへやって来たでし。
両手に砂を抱えて・・・。
「見ろ、太助、乎一郎。これぞ俺の熱き魂に共鳴して集まった熱血の砂だ!!」
自慢げに見せつけてくるそれは・・・どう見てもただの砂でし。
「たかし君、それで一体何をしようっての?」
「ふふ、それはな・・・こうするんだ!!」
「「うわっ!?」」
いきなりたかししゃんが太助しゃまと乎一郎しゃんめがけて砂を投げつけたんでし!
一瞬にして砂まみれになる二人。当然傍に居た離珠も被害を受けたでし〜。
「どうだ、これでおまえら二人にも俺の様な精神が身につくはずだ!」
「「・・・・・・。」」
怒るを通り越して、二人とも呆れかえってしまったでし。
こんな事をする為にせっせとたかししゃんは・・・。
『苦労してためたものを一度にばっと無駄に使ってしまう』という事でし。
ちなみに、両手いっぱい集めるまでにほぼ一日かかったみたいでし。
で、今度は熱き水滴を集めているとか・・・。
もう〜、訳がわかんないでしよ、たかししゃん!!


「爪に火をともす」でし
『極端にケチである』という事でし。
・・・いったい誰がケチなんでしかねえ?
適当に訊いてまわってみるでし。
「はあ?あたしはケチなんかじゃないぞ。野村なんかどうだ?」
と、翔子しゃん。たかししゃんってケチなんでしか?
「俺がケチかって?やってらんないなあ、もう。
離珠ちゃん、どこをどう見たら俺がケチになるんだよ。」
それもそうでしね。次は乎一郎しゃんでし。
「僕はケチじゃないよ、絶対。それより離珠ちゃん、
離珠ちゃんこそケチなんじゃない?そんなにちっちゃく絵を描いてさ。」
離珠がケチでしって?しょんな・・・はっ!
よく見直してみたら、今回離珠が描いてきた絵は、どれもこれも薄かったでし。
たくさん聞かなきゃいけないと思って手抜きしちゃったんでしね。
痛い所を突かれてしまったでし・・・。


「つめのあかをせんじてのむ」でし
「さあ、野村君。早速私の爪のあかをどうぞ。」
「なっ!?おい出雲、俺がそんな物を飲むと思うか?」
「冗談ですよ。さておき、野村君は誰のを飲みたいと思いますか?」
「うーん・・・居ないな!出雲も居ないんじゃねーのか?」
「まあ、シャオさんの爪のあかは是非とものみたいと思います。
あの優しい心は見習うべきところであり・・・」
「おっ、それいい!よーし、早速のみにこーっと!」
「ああっ!!抜け駆けはいけませんよ!!」
・・・ってな調子で、勝手に喋られて勝手に去られてしまったでし。
えーと、『立派な人の爪のあかを、薬の様にせんじて飲む。
優れた人の良い所を、少しでも自分のものにしようとする例え』という事でし。
まったく・・・。
二人にはいつもちゃんと人の話を聞いているシャオしゃまの爪のあかを本当に飲んでもらいたいでし。
「おい離珠、それ本気で思ってるのか?」
虎賁しゃん、離珠は本気でし。
「優しいっていう宮内出雲の意見は当たってるけど、
人の話をいつもちゃんと聞いているってのはどうも・・・。」
そんなことないでし!シャオしゃまはいつもしっかり聞いているでし!
「例えそうでも、おいらは素直に聞きすぎるっていう点がいただけない気がするぞ。」


「爪の垢ほど」でし
ここは学校、校庭でし。小ちゃな砂山が作られてるでし。
乎一郎しゃんに作ってもらったんでしよ〜。
というわけで乎一郎しゃん、これから実際に例を見せてもらうでしね。
「う、うん・・・。」
ではキリュウしゃん、お願いするでし!
「わかった・・・万象大乱。」
しゅいーん、と小さくなった砂山。・・・離珠よりもっともっとちっちゃいでし!
見ての通り『ほんのちょっと』という事でし。
「あのう離珠ちゃん。どうしてわざわざ砂山で?実際に爪の垢を使うのじゃあダメだったの?」
「遠藤殿、それについては私が思うところを述べよう。
おそらく離珠殿は、この言葉はただのたとえであるがゆえ、
そのままの物を使った解説では面白くないと考えたのだろう。
更に、ほんのちょっとの大きさしかない砂粒をまとめた山によって例を示すことにより、
本来の意味に重ねて何かを表現したかったに違いない。」
「へええ・・・。さすが離珠ちゃん、凄いね、よく考えてるんだ。」
・・・・・・。
「離珠ちゃん?」
「どうされたのだ?」
ちゅ、ちゅわ!?な、なんでもないでしよ!
・・・離珠ってば凄かったんでしねえ、えっへんでし!


「爪を喰う」でし
『てれた時爪をかむことで、きまり悪がってもじもじする事の例えに言う』という事でし。
「これは是非キリュウに実践して欲しいと思わないか?」
しかし翔子しゃん。それはかなり難しいでしよ。
「そうだ。キリュウじゃなくてシャオにやってもらった方がいい。」
「な、那奈ねぇ・・・。なんでシャオに?」
そうでし。なんでシャオしゃまなんでしか?
「ふっ、言わないとわからないか?」
「・・・そうか!ごめんよ那奈ねぇ。最近あたしは勘が悪いようだ。」
離珠にはさっぱりわからないんでしが。
「気にするな翔子。さて、さっそく作戦を練りにゆこうか。」
「ああそうだな。」
もーっ!離珠にはわからないでしー!!
「すねるな離珠。かわりにあたしがやってやろう。」
かみっ
「どうだ!!」
「・・・すっごく顔赤いな、那奈ねぇ。」
「よ、余計な事は言うな!ううーん、なんかきまりが悪かったな・・・。」
「言ってるそばから那奈ねぇ、またやってる!」
「はっ!くう、なんてこった。」
・・・結局作戦とかは離珠にはわからなかったでしが、
実際にばっちり見れたので良かったでし。


「つゆの命」でし
なんだか縁起が悪いでしね。というわけでたかししゃん、どうぞでし!!
「なんで俺なんだよ。」
たかししゃんのそういう経験を語って欲しいんでし。
「俺にそんな物が有る訳無いだろう。まったく・・・。」
ああっ、ちょっとどこへいくんでしか!!まだ解説は終わってないでしよ!!
・・・行ってしまったでし。はう、離珠の計画があっさり消えてしまったでし。
というわけで『人の命や地位は朝露のようにはかないものである』という事でし。
「強引だね、離珠ちゃん・・・。」
乎一郎しゃん!!何が強引なんでしか?
「離珠ちゃんの計画をつゆの命に例えたって事なんでしょ?強引過ぎるよ。」
しょんな事を言うのだったら、乎一郎しゃんが何か語って欲しいでし!!
「・・・じゃあね。」
ああっ!!乎一郎しゃんも薄情者でし〜!!


「強きをくじき弱きを助ける」でし
太助しゃまがビシッといつも言ってる事でしね。
「・・・俺なんかしたっけ?」
もう、何を言うんでしか、太助しゃまは。
権力のある那奈しゃんにいつも立ち向かっているじゃないでしか。
「別に俺はそういう事やってるわけじゃ・・・って、なんで那奈姉が権力あるんだよ。」
しかも強いでし!ずばり那奈しゃんは、最高権威の持ち主でし!
「人の話聞いてるか?那奈姉は別に権力が有る訳じゃ無い。
それに俺は弟として色々言ってるだけなんだから。」
・・・なーんだあー、でし。
「その不満そうな顔はなんだ!!俺は別に・・・」
「太助!!なんだなんだ、離珠を相手にして怒鳴るなんて。弱いものいじめか?」
「那奈姉、俺は離珠に・・・」
「問答無用!ちっちゃい離珠を怒鳴りつけるなんてふざけんなだ!」
「う、うわあ、待てってばー!!」
こ、これは意外な展開でし!いきなり現れた那奈しゃんが!!
とにかく、『強い人、権力のある人の言う事、行う事は押さえて、
力の無い弱い人、の言う事、行う事を助ける』という事でし。
「離珠〜、弁護してくれ〜!!」
「太助ー!!逃げんなー!!」
り、離珠は知らないでしよっと。


「面の皮が厚い」でし
太助しゃま曰く、しょっちゅう家にやってくるあいつらのだ、との事でし。
別に日曜日に遊びに来るくらいいいと思うんでしが、
やっぱり毎度毎度押しかけられるってのは気持ちがいいものじゃないんでしね。
「おい離珠、今の事は本当か?」
那奈しゃんでしか。そうでしよ、太助しゃまはそう言っていたでし。
「・・・試練が足りないな。」
ほえ?
「友達に対してなんて態度だ!それぞれちゃんと用事があってきてるじゃないか!
特に翔子はあたしやシャオに用事が有る!!」
ま、まあ翔子しゃんは特別だと思うんでしが・・・。
「それに宮内!あいつで遊べないじゃないか!」
ずるっ。なんなんでしかそれは〜。
「ついでに言うと、宮内が持ってくる手土産はなかなかいいと思うぞ!」
うんうん、それには離珠も大賛成でし。
「他は・・・まあどうでもいいや。・・・なるほど、太助はそういう事を言っていたのか。」
あ、あのう、那奈しゃん?
「あーあ、力んで損しちゃった。さあて、どっかへ遊びに行こうかな。」
那奈しゃ〜ん。・・・行ってしまったでし。と、とにかく!
『あつかましい。恥知らずでずうずうしい事の例え』という事でし。
よくよくみれば、さっきの那奈しゃんはかなり・・・
「なんか文句あるか?離珠。」
びくうっ!なんで戻って・・・な、なんでも無いでしよっ。
「あ、そ。」
ふう、でし。


「面は顔」でし
那奈しゃん、太助しゃまは人間でしよね〜。
「ああそうだ。」
そしてシャオしゃまは精霊でしよね〜。
「そうだな。」
更に離珠は星神でしよね〜。
「そうだよな。」
つまり、『言わなくても当然の話だ』という事でし。
那奈しゃんは太助しゃまのお姉しゃんでしね〜。
「そうだよ。それから太助はあたしの弟、なんてのは受けつけないぞ。」
ぎく・・・こ、これにておしまいでし!


「弦無き弓に羽抜鳥」でし
「たとえば、シャオ殿が支天輪を無くしたとしよう。」
・・・どこかで聞いた気がするたとえでしねえ。
「では、離珠殿が筆を取り上げられたとしよう。」
むっ。それでも離珠はめいっぱい伝心するでし!
「そうだな・・・では私が短天扇を無くし・・・いや、それでも試練は行なうだろうな。」
キリュウしゃん、ここは素直に言葉通りのたとえを出せばいいんでしよ。
「どういう事だ?」
文しゃんを・・・
「却下だ。」
えうー・・・そう言われてしまっては離珠はどうしようも無いでし・・・。
これは『どうしようもない事のたとえ』という事でし。
射られぬと立てぬを居ても立ってもいられぬにかけたものなんでしよ。
「よかったな離珠殿。いいたとえが出たではないか。」
これは喜んでいいものなんでしか・・・。


「鶴の一声」でし
キリュウしゃん、例の言葉を言ってくだしゃい。
「試練だ、耐えられよ。」
はーい、ありがとしゃんでした〜。
キリュウしゃんが主しゃまに辛い仕打ちをしても、この一言で片付くんでし。
つまり『優れた力のある人、実力のある人の一言で、
多くの人の意見がまとまったり物事が決まったりする事』という事でし。
「離珠殿、それは間違っているぞ。決してこの言葉ですべてが収まるわけではない。」
試練でし、耐えてくだしゃい。
「・・・仕方ないな。」
ほら!まとまったじゃないでしか!!
「・・・・・・。」


「鶴は千年亀は万年」でし
『長く生きる事の幸せと、めでたさを例えた言葉』という事でし。
というわけで!長生きしてるシャオしゃま達は幸せでめでたいんでし!
「離珠さん・・・。」
出雲しゃん!どうしたんでしか?
「今のシャオさん達を見てても、私は別にそうは思わないんですが・・・。」
何を言うんでしか。長生きしてるからこそ、太助しゃまという立派な主しゃまに出会えたんでしよ!
「太助君がねえ・・・。まあ百歩譲ってそれを認めたとしても、そうなると意味的に違ってきませんか?」
細かい事は気にしちゃ駄目でしよ。とにかく出雲しゃんも長生きしてくだしゃい。
そう、千年くらいは・・・。
「無理です。」


戻るでし。