≪ち≫でし!
「近惚れの早飽」でし
「おい野村。」
「なんだ山野辺。」
「お前ってなんでシャオが好きになったんだっけ?」
「そりゃあお前、学校にあんな可愛い子が!!って事さ。」
「よくわかんないけど・・・ひとめぼれって事か?」
「うーん、そういうことかな。」
「なるほど。だったら諦めろ。」
「はあ!?」
「おーい離珠〜。」
出番でしね!
『すぐに惚れる者は飽きやすい』という事でし。
「そういうことだ。お前はシャオを不幸にする。」
「ちょ、ちょっと待て!俺は今だシャオちゃんを諦めたわけじゃ無いぞ!!」
「うそばっか。」
「ふっ、俺はな・・・」
「あーあー、もううざいから説明要らない。じゃあ行こうぜ、離珠。」
おっけいでし。
「おい待てって!!」
「池魚の災い」でし
すいすいすいすいすいすいすいすい
別に離珠が遊んでいるわけじゃ無いでしよ。
金魚しゃんが平和そうに泳いでいるんでし。
水槽の中でなんとも楽しそうに・・・いいでしねえ。
けれど、だからといって安心ばかりもしていられないんでし。
何故かというと・・・以前キリュウしゃんが暴走した時があったんでし。
那奈しゃんに「あんたなんかもう知らない」なんて言われて・・・。
(もちろん那奈しゃんは、キリュウしゃんに立ち直ってもらおうと思って言ったんでしけどね)
悩んでいたキリュウしゃんはますます重く悩み出し、暴走を始めたんでし。
そしてそれはシャオしゃまがお買い物から帰ってきた時に起こったでし。
たしかビーフシチューがどうとか言っていた時でしかねえ。
キリュウしゃんはまったく反応せずに、しらっと玄関から外へ出ていったんでし。
その直後に“しゅこん!”と、水槽と下駄箱がちっちゃく!!
ちゃぽちゃぽと金魚しゃん達は・・・災難だったでしねえ。
『思いがけない事から災難の巻き添えにされるたとえ』という事でし。
キリュウしゃん、なんでもかんでも万象大乱をかけないで欲しいでし。
ただでさえ、普段ルーアンしゃんで迷惑千万なのに・・・。
ねえ金魚しゃん!
「苣の千枚ばり」でし
「たとえば乎一郎、俺がお前の白髪をぬくアルバイトをしたとしよう。」
「なんで僕がたかしくんからそんなことされなきゃいけないの・・・。」
「たとえばの話だよ。しかし乎一郎は髪の毛の再生力が強い!!
抜いても抜いても白髪が後から後から・・・」
「いいかげんにしてよ!!」
「・・・以上だ、離珠ちゃん。」
・・・・・・。
たかししゃんってほんと頼りにならないでし。
『チシャは葉を下から順にかきとっていく事から、取っても取っても、
出てきて尽きない事』という事でし。
「離珠ちゃんの解説してることわざって、解説しても解説しても、
いくらでも言葉が出てくるよね。というのは駄目かな?」
「おお!なるほど、さすが乎一郎だ!!」
厳密に言うと、ことわざってのは日々生まれてるわけじゃないんでしが・・・。
でもいい例えかもしれないでしね。
「治に居て乱を忘れず」でし
今日は日曜日。そんでもって、
シャオしゃまとルーアンしゃんとキリュウしゃんで学校へやって来たんでし。
「準備は良いな、シャオ殿。」
「はい、いつでもどうぞ。」
「手加減はしないからね。それじゃあ始め!!」
ルーアンしゃんが合図を出すと同時に三人ともばっと後ろに飛びのいたでし。
そしてそれぞれが道具を取り出して・・・。
「来々、梗河!車騎!」
「陽天心召来!」
「万象大乱!」
車騎しゃんと梗河しゃんが支天輪から飛び出し、
ルーアンしゃんは校庭に置かれてあった物に陽天心をかけ、
キリュウしゃんは校庭に有った石(他の二人のすぐ傍)を巨大化させたんでし。
シャオしゃまはキリュウしゃんの攻撃を、軒轅しゃんを呼んで空へと避けたでし。
それと同時に、大砲でドーンと石をこなごなに砕く車騎しゃん。
ルーアンしゃんはとっさに石に陽天心をかけたんでしが、バランスを失ったそれの下敷きに!
・・・と思ったらなんとか助かったみたいで、はいずりながら出てきたでし。
そして梗河しゃんはキリュウしゃんに切りかかったでし。
しかしキリュウしゃんは素早い動きでそれをかわす!
「万象大乱。」
あっという間に小さくなる梗河しゃん。素早く後退したでし。
ところが、それを見てはらはらしていたシャオしゃまの元へルーアンしゃんの陽天心ボールが!
どうやら体育倉庫の方に陽天心をかけたみたいでし。
「来々、天鶏!」
炎を上げて燃え落ちるボール達。
同時に、キリュウしゃんの方にも陽天心ゴールポストやらが襲いかかったでし。
「万象大乱!」
けれども、キリュウしゃんが全てを縮小化。取るにたらない攻撃となったでし。
「むむむ、二人ともやるわね・・・。」
「ルーアンさん、二人同時なんてそうは問屋が下ろしませんよ。」
「では私がそれをやってみようか?万象大乱!!」
またもや二人の近くの石が巨大化!今度は沢山、一斉にでし!
「くうう、陽天心召来!」
「軒轅、もっと高く!」
迫り来る石達に陽天心をかけて砕けさせるルーアンしゃん。
シャオしゃまは高く高く逃げたんでしが、それを追うような形で石が巨大化!
間一髪という所で軒轅しゃんはそれをかわしたんでし。ふう・・・。
「ふむ、この程度では参るわけがないか。」
「あったり前よ!このルーアン様をなめてもらっちゃ困るわね!」
「今度は私です!来々、北斗七星!!」
ついに出たでし!最強の攻撃用星神、北斗七星しゃん!
まずはルーアンしゃんめがけて・・・
ドゴオオオン!!
「あ、あぶなかったあ・・・。さんきゅう、陽天心岩。キリュウのおかげね♪」
「まさか敵を助ける羽目になるとは・・・万象大乱!」
あっという間に周りの物が縮小化。けれど、今度はキリュウしゃんめがけて北斗七星しゃんが!
「くっ、万象・・・」
ドオオオン!!
隙を見せたキリュウしゃんに車騎しゃんの一撃!万象大乱封じでし!
「しまった・・・うわあっ!」
ドゴオオオン!!
見事キリュウしゃんを仕留めた!と思いきや、間一髪の所でキリュウしゃんは避けていた様でし。
「やりますね、さすがはキリュウさん・・・。」
「よーし、こっちからも仕掛けるわよ。陽天心召来!!」
ルーアンしゃんが陽天心をかけたものとは・・・校舎でし!!
確か以前にも北斗七星しゃんに対抗する為にやってたでしね。
北斗七星しゃんが校舎に体当たり!
ドゴオオオオン!!
激しい音とともに崩れ落ちる校舎の壁。けれども陽天心校舎はまだまだ元気でし。
「さっすが陽天心校舎!」
「頑張って、北斗七星!!」
「よし、今のうちに・・・」
「おおっと。キリュウ、あんたの相手はこっちよ。陽天心召来!」
今度ルーアンしゃんが陽天心をかけたものは塀!あっという間にキリュウしゃんを取り囲んだでし。
「こんな物・・・万象大乱!」
キリュウしゃんが万象大乱を唱えてあっというまに小さくなった塀達でしが・・・。
「おらおら〜、陽天心召来!」
なんと!今度はキリュウしゃんの服に!
必死にもがくキリュウしゃん。けれど服の力に逆らえず短天扇を落としてしまったんでし。
「ル、ルーアン殿!これは卑怯だ!」
「なんとでも言いなさい!勝負に情けは禁物!さて、残った塀に・・・陽天心召来!!」
ルーアンしゃんの言う通り、残った塀が動き出したんでし。
キリュウしゃん危うし!とその時・・・。
ドゴオオオン!!!
という音がしたと思ったらルーアンしゃんの頭上に校舎のかけらが!
ドスン!
「ぐえっ!」
ルーアンしゃんは瓠瓜しゃんの鳴き真似をしてそこに崩れ落ちたんでし。
「おい離珠、そんなわけね〜だろ。」
虎賁しゃん、いつの間に・・・。
「さっきから居たよ。おいらは試合に見とれてただけ。」
そうでしか、それでは実況を続けるでし。
ルーアンしゃんが気絶した事によって塀の陽天心が解かれ、ただの塀に。
けれども、それはキリュウしゃんめがけてズシーンと崩れる形になってたんでし。
いきなりの事に慌ててしまったキリュウしゃんは短天扇を拾う事もできずに下敷きに・・・。
「ルーアンさん!キリュウさん!私の・・・勝ち、ですね?」
というわけで、シャオしゃまの優勝でし!!
何をしてたかって?来る戦乱に備えての特訓でしよ。
いくら平和でも、戦闘用の星神しゃん達をぼへ〜っと置いとく訳には行かないでしからね。
『世の中が平和な時でも、常に戦乱の時の準備を忘れてはならない』という事でし。
なんとも見事な戦いだったでし!
「それはそうと離珠。これは誰の提案だ?」
確か・・・おやつのお饅頭をかけてのルーアンしゃんの提案でし。
「おやつぅ!?それでこんな大騒ぎを・・・。」
何言ってるんでしか、虎賁しゃん。これは特訓なんでしよ!
シャオしゃまもルーアンしゃんもキリュウしゃんもいい運動になったじゃないでしか。
「んな無理矢理な・・・。もう少し人の迷惑のならないところでしろよ。」
虎賁しゃん、今の今まで見ていた人の言うセリフじゃないでしよ。
「・・・ま、それもそうだな。」
というわけで、羽林軍しゃん達によって壊れた物は元に戻され・・・。
でも三人とも太助しゃまに怒られていたでし。
「あのなあ、警察とかに見られて大騒ぎになったらどうすんだよ!」
それもそうでし。けれどよく大騒ぎにならずに済んだでしねえ・・・。
「血の筋は七代」でし
「我が七梨家がそうだな。」
どういうことでしか?那奈しゃん。
「ほら、名字に七って字が入ってるだろ?」
・・・・・・。
『遺伝の影響は後まで長く残る』という事でし。
やれやれ、ここで終わり・・・
「更に!あたしの名前も“なな”だ!」
那奈しゃん、これは七をテーマにした言葉じゃないんでし!!
「どうせ語る題材もないくせに。」
くっ・・・。
「血の道はむさい」でし
「太助、お前が生まれたすぐ後の時の母さん、どんなだったか覚えてるか?」
「んー、俺は覚えてないな〜。」
「“太助ぇ〜、太助ぇ〜、太助ぇ〜”って毎日のようにほお擦りはするは抱きしめるわしてたぞ。
ほんとうもう、愛情いっぱいな。」
「そ、そうなの?」
「あと、太助が転んで泣いてたときも“太助を転ばせたこの床が悪いのよー!!”なんてな。」
「そりゃすごいなあ・・・。」
というわけで!!
『肉親は身びいきになりすぎてみっともないことが多い』という事でし。
「みっともないか?でもたしかに行過ぎてるかもなあ。」
「そっか、母さんが・・・。」
「考え込むな。あたしの嘘だから。」
「へ?・・・おい那奈姉!!」
「まあまあ、そう怒るなって。
お前が小さい頃に家を出てったのはたしかだけど、
愛情たっぷりだったのは間違い無いんだから。」
「・・・まあいっか。」
「茶腹も一時」でし
「お腹すいた・・・おや、こんな所にお茶が。ちょっともらおうっと。」
うろうろしてたかと思ったら、太助しゃまが離珠の湯のみを見つけて中身を飲んじゃったんでし。
それを止める暇も無く、一気に・・・。
「ふう、美味しかった。・・・あ、これって離珠のだったのか。ごめんごめん。」
もう、今更気付いても遅いでしよ。
「でも、結構落ち着いたよ。腹の足しになって良かった。ありがとうな。」
ええっ?そんなまさか・・・。
というわけで『気持ち次第で、どんなものでも空腹の足しに出来る』という事でし。
気持ち次第という所がポイントでしね。
太助しゃまは優しいからそう言ってくれたんでしね、多分。
「茶碗のご飯粒が綺麗に取れると雨」でし
『茶碗のご飯が乾いて取れにくい時といえば、湿度が低くて乾燥している時で、
取れやすい時は湿度の高い時である。湿度が高い時は低気圧や前線が近付いていて、
やがて雨が降りそうなときである』という事でし。
「嘘じゃないの?だってあたしのお茶碗はいっつも綺麗じゃない。」
それはルーアンしゃんがいつもがつがつ食べてるからで・・・。
「どっちにしてもあんまりあてになら無いと思うけど?
家の中じゃあそう分かるもんじゃないし。」
・・・だったら、家中の窓を開け放して実験すればいいんでし!
「そんなのすぐ却下されるんじゃないかしら・・・。」
「仲裁は時の氏神」でし
『喧嘩や口論の時に仲裁してくれる人は、
その時にとっても氏神の出現したような幸せだと思って、
その人の言うようにするのが良い』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの喧嘩を仲裁してみようコーナー!
「うむ!というわけで主殿、喧嘩を見つけて片っ端から仲裁をするんだ。」
「仲裁はいいけど、喧嘩を見つけるってのはどうも・・・。」
なければ作るまででし!
「早速私と離珠殿が喧嘩をしてみるから仲裁するがいい。」
「それは断る。無理に喧嘩なんてしてほしくない。」
ただの練習なんでしが・・・。
「・・・では主殿、喧嘩を始めるがよいぞ。」
「仲裁者が喧嘩してどうするんだよ・・・。」
シャオしゃまと一度大きな喧嘩をして欲しいでし。
「喧嘩するほど仲がよいともいうしな。」
「いや、それって最初の試練と方向がずれてるような・・・。」
だったらやっぱり喧嘩を探すでしねえ。
・・・そうでし!星神皆で協力するでし!
「それはいいかもしれぬな。文字どおり星の数ほどの喧嘩を・・・」
「だからそういう無茶なことさせるなよ!」
「朝三暮四」でし
太助しゃまが深刻そうな顔でルーアンしゃんに言ったでし。
「あのさ、ルーアン。ちょっとお願いがあるんだけど・・・。」
「なあに、たー様のお願い事ならなんでも聞いちゃうわ。」
「実は、食事の量を減らそうと思うんだ。今月はかなり苦しいから。」
「えーっ!?そんなあ!!」
なんと!家計がピンチだったんでしね。無理もないでしね、あんなに食べるルーアンしゃんがいるんでしから。
「それで、朝は三皿、夜は四皿にとどめて欲しいんだけど・・・。」
「ちょっとたー様!!それじゃあ全然足りないわよ!!お昼になるまで倒れちゃうわ!!」
三皿も食べてどうしてそうなるんでしか。でも、よく考えたら毎朝五皿以上は平気で食べてたでしねえ・・・。
「じゃあ・・・、朝は四皿、夜は三皿。これならどうだ?」
「・・・朝が四皿?朝が増えたのね、良かった良かった。うん、それでいいわよ。」
ルーアンしゃん、合計は変わってないんでしが・・・。
『目先の差別に気を取られ、同じ事なのに気が付かない』という事でし。
あきれていたら、ルーアンしゃんが・・・。
「・・・なんて、良いわけないでしょ!!四皿で足りるわけがないじゃない!!
もっと増やしてよ、たー様!!」
「ルーアン、お前って奴は・・・。」
その後、太助しゃまがどう説得したのかは知らないでしが、ルーアンしゃんは四皿で食べるのをやめていたでし。
太助しゃまも大変でしねえ。
「張三李四」でし
那奈しゃん、ここはびしっといい例を出してくだしゃいでし。
「無茶言うなあ・・・。えーと・・・太助かな?」
ふえ?それはどうしてでしか?
「あいつこそ何処にでも居る普通の中学生だろ?
それこそ、シャオたちに出会わなかったら・・・やっぱやめ。
世界でたった一人の弟をありふれた人間だなんて言いたく無いな。」
ちゅわ、そうでしか。
「だいたい、太助の周りには平凡な奴なんてこれっぽっちも居ないじゃ無いか。
というわけで、こういう言葉があるんだよ、って事で済ませるべきだ。」
・・・じゃあそうするでし。
『世間にありふれた人間、ごく平凡な人物』という事でし。
ちなみに、「張」や「李」の姓は中国に多かった事からこんな言葉が出来たんでしよ。
「随分あっさり了解したなあ。」
平凡な解説で終わらせた、という訳でしよ。
「普段が普段だから平凡なんて気が全くしないぞ。」
それを言っちゃあ駄目でしよっ。
「長者の子は節句知らず」でし
『日頃良い待遇を受けている者は待遇の良さに気がつかない。
金持ちの子は日頃美味いものを食べ、良い着物を着ているから、
節句が来ても節句の本当の楽しさを知る事はできないだろう』という事でし。
この辺でお金持ちの子といえば翔子しゃんなんでしが・・・。
「あたしが節句知らずだとぉ?ふざけんな!そんな事は絶対に無い!!」
と、激しく突っ返されてしまったでし。
仕方ないでしねえ、こうなったら・・・。
「・・・それで私の所に来たのですか?」
そうでし。出雲しゃん、お願いするでし。
「いや、そう言われましてもねえ・・・。
私こそ節句知らずなんて言う状態なら、神主なんて務まりませんし。」
じゃあ神主の待遇という事におきかえるでし。
「それこそ意味がわかりませんが・・・。」
「堤燈で餅搗く」でし
『思う様にいかない事の例え。また、とりとめない』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、思う様にいかない事をきっちりやってもらおうコーナー!
「うむ!という訳で主殿、早速用意したこの堤燈で餅をついてもらおう。」
「・・・なあ、これ、中に灯がついてないか?」
さすが太助しゃま、細かい事に気がついたでしね。
「堤燈をうっかり燃やしてしまえばその時点で失格。
心配せずとも代わりはいくらでも用意してある。一回百円だ。」
「試練に金を取るな!それ以前に、燃やさずってのは絶対無理だと思う。」
そんな弱気では困るでし。
「今日の昼御飯はお餅なのだ。主殿がついてくれないと食べられないではないか。」
「はあ!?勝手に決めやがって・・・。とにかく無理なものは無理なの!!」
いきり立つ太助しゃまに、離珠とキリュウしゃんのうるうる大作戦も通用しなかったでし。
今回は失敗でし・・・。
「うーむ、敗因はなんだろう・・・。」
きっとお金を徴収しようとしたのがいけなかったんでし。
「なるほど。祭りの時のげえむを真似たのがいけなかったか。
という訳で主殿、無料で良いぞ。」
「あのな・・・お前ら絶対に分かって無いだろ・・・。」
「頂門の一鍼」でし
「わーい、た―様〜♪」
「だああ、いいかげん引っ付くのやめろー!」
あいも変わらずのルーアンしゃんでしねえ。
いつもいつも、よくもまあそんな事する気になるもんでし。
「もう、また照れちゃって、可愛いんだから。」
「暑いんだよ!!こんな日にそんな事するな!!」
そうなんでし。あんまり暑いもんだからキリュウしゃんの試練はおやすみ、なんでし。
というわけでリビングで涼むつもりでくつろいでいたんでしが・・・このざまでし。
「なによ〜、別に良いでしょ〜。あ〜ん、たー様〜。」
・・・すっごく迷惑でしねえ。何が良いって言うんでしか。
「・・・これ以上そんな事するんなら、ルーアンだけ、家で食べるおやつは全部抜きにするからな!!」
「げっ!!?・・・分かったわたー様、ごめんなさい。」
す、すごいでし!あんなにしつこかったルーアンしゃんがあっさりと引き下がったでし!
『人の急所をおさえてきびしく戒める』という事でし。
それからというもの、暑い日に限っては抱きつくのは収まったとか。
その他の日は相変わらずでしねえ。
それにしてもおやつ抜き・・・。離珠だったらそんなの絶対に嫌でしね。
太助しゃまも上手い説得方法を考えたもんでし。
「朝令暮改」でし
朝御飯の時、キリュウしゃんが言ったでし。
「主殿、今日は学校の行きかえりに試練を行う。」
太助しゃまもそれに答えるべく。
「わかった。」
とお返事したでし。
しかし、いざ学校を出る時になると。
「主殿、やはり学校で試練を行う事にする。」
とまあ変更になったでし。それに太助しゃまも、
「ああ。」
と、軽く納得。ところが、学校では・・・。
「主殿、やはり夜試練を行おうと思うのだが。」
という事に。それに太助しゃまも頷いて・・・。
けれども、結局試練はこの日行われなかったでし。
『朝に決めた命令を、夕方には変える。
命令や法律が次々に変わり、いつまでも決まらない様子』という事でし。
「離珠殿、私は朝に言った事を突如変更するなどという事はしないのだが。」
もう、例えでしよ例え。
「更に言うと、試練と命令は違うと思うぞ。」
ぐっ・・・。じゃあ他にいい例えでもあるんでしか?
「ルーアン殿が、今日はなん皿お代わりしよう、とか言うのはだめか?」
それもまた命令と違うような・・・。太助しゃまがそういう事を言ってくれればいいんでしが。
「なるほど。では明日頼んでみてはどうだ?」
なるほど・・・って、そんなもの頼んでまでする事じゃないような・・・。
「これも試練だ。」
なんか違うでしよ、それ。
「直情径行」でし
ある時は・・・。
「ルーアン今日はチャーハンが食べた〜い!!
というわけでシャオリン、今日の晩御飯はチャーハンにしてねー!!」
「でも、もう材料は買ってあって・・・」
「いいじゃないの!!あたしはチャーハンが食べたいの!!」
「は、はい。」
またある時は・・・。
「たー様ぁん。」
「だあああ!!ひっつくなああ!!」
「いいじゃないのお、引っ付いていたくなったんだもん。」
そしてまたある時は・・・。
「ううー、むかつくう・・・。ジャージの奴、あんなに言わなくったっていいじゃないの。
・・・ええ〜い、憂さ晴らしー!!陽天心召来ー!!」
ドカーン!!
・・・とまあそんな訳でし。
『自分がやりたいと思った事は、周りの人や状況に関係無くすぐに実行する。
感情のままに行動する』という事でし。
「ちょっとごみチビ、なんだか脚色してない?」
何を言うでしか。胸に手を当てて良く考えるでし!
「ええっ?どれどれ。」
だああ、離珠の胸じゃ無いでしよお!!
「ちょっと来いに油断すな」でし
「この前たかしくんから、相談したい事があるって事で呼ばれたんだ。」
ふむふむ。
「“ちょっと相談が・・・”なんて言うもんだから、軽い気持ちで行ったんだけど・・・。」
ふむふむ。
「なんかシャオちゃんゲット計画春夏秋冬五目飯バージョンとかいうのに付き合わされちゃって。」
な、なんなんでしかそのわけの分からない作戦は。
「結局家にまで泊めさせられて、徹夜までしちゃったんだ。
しかも最後には没になっちゃうし・・・。」
そ、それは大変だったでしねえ。
『部長などにちょっと来いと言われて、ちょっとした気持ちで行くと、
大抵はちょっとした事ではない』という事でし。
「ねえ、たかし君は部長じゃないんだけど。」
“など”ってちゃんとついてるじゃないでしか。・・・あっ、たかししゃんでし!
「えっ!?」
「おお乎一郎、とと、離珠ちゃんも一緒に居たのか。
ちょうどいい、二人ともちょっと・・・」
「ま、また今度ね!」
バイバイでしー!
離珠と乎一郎しゃんは、慌ててその場から逃げ出したんでし。
「なんだよ、人の話も聞かずに。
今日の昼飯どうするのか聞きたかったのになあ・・・。」
「直木まず伐らる」でし
「ねえーんキリュウ、これおっきくして〜。」
「・・・万象大乱。」
しゅいーんとおっきくなる御饅頭。ルーアンしゃんは大喜びでし。
「さんきゅー!」
「ふう・・・。」
「キリュウさん、少しお願いが。」
「なんだシャオ殿。」
「ゴミがたまってきたので、小さくしていただけないでしょうか?」
「わかった。万象大乱!」
しゅいーんとちっちゃくなるゴミ。すっきり〜でし。
「ありがとうございます。」
「ああ。」
・・・とまあ、ものを大きくしたり小さくしたりなんて能力を持ってるために、
みんなからたっくさん頼まれごとをしているでし!
『才能があるためにかえって身に災いを招く事の例え』という事でし。
まっすぐな木はいい材木だから、真っ先に目をつけられて切り倒されるんでしね。
「離珠殿。」
なんでしか?
「別に災いとまでは・・・。」
しかし!それで試練をする機会が減ってるでしよ。
「試練の合間にするのがほとんどなのだが。」
・・・これにて終了でし!
「ちゃんと解説しないのか?」
ぐうう、離珠の解説能力をキリュウしゃんが狙ってるでし〜。
「それは断じてないから安心されよ。」
・・・・・・。
「ちりもつもれば山となる」でし
ここでことわざを解説してる離珠の一回一回の功績はそれは小さなものでし。
しかし!例え小さくっても、いつかはそれが大きなものになるでし!!
『どんなに小さなものでも、沢山積み重なれば大きなものになる。
小さな努力を積み重ねる大切さを教えた言葉』という事でし。
「・・・なんだか抽象的過ぎて分かりにくいぞ。」
じゃあ虎賁しゃん、良い例えがあるんでしか?
「同じことわざについてだが・・・。」
ふむふむ。
「一つ一つって結構短い解説話だよな。」
たしかにそうでし。
「それでも、数多く集まって、今じゃ結構な量になってる。だろ?」
なるほどっ、それいいでしね。
「沈魚落雁閉月羞花」でし
『この上ない美人の形容』という事でし。
本当はいろいろ言うべきなんでしが、面倒なのでこれで納得してくだしゃい。
それでは分かりやすい例を・・・やっぱり止めておくでし・・・!!
ドドドドドドドド!!!
「シャオちゃんだ!!」
「ルーアン先生に決まってるじゃないか!!」
「いーや、シャオさんしか居ませんね!!」
「誰が何と言おうとこのあたししか居ないに決まってるじゃないの―!!」
「ルーアン先生みたいなおばさんな訳ないじゃないですか。あたしの事です!!」
はうう、やっぱりでしぃ・・・って、今回はなんだか少ないでし。
良かった良かったでし。なんとか無事に収集がつきそうでしね。
「だといいんだけどな・・・。」
心配性でしね、虎賁しゃんは。大丈夫でしよ、多分・・・。
「沈丁花は枯れても香し」でし
「“例えば・・・シャオのお葬式。
死に顔とかいう問題じゃなくて、シャオはやっぱり可愛いんだろうな・・・”
なんて太助が出しそうじゃないか?」
那奈しゃん、それは笑えないでし。
「別に笑おうと思って言ってるわけじゃなくってさ。」
でも却下でし。
「・・・じゃあ違う例え出してやる。仮に離珠が不良になったとしよう。」
ふ、不良でしか?
「そうだ。グラサンかけてタバコ吸ってカツアゲして・・・。
それでも伝心の能力は失わないだろうな。」
・・・・・・。
『元来良いものはたとえいたんでも、それだけの値打ちがある』という事でし。
うう、なんだか酷い例えでし。
「つーか星神の不良ってどんなだ?」
・・・それを考えるべきかも、でし。
「沈黙は金」でし
『うっかり喋って失敗するよりも、黙っている方が賢い。
話し上手で雄弁な事より、黙っている方が良い』という事でし。
「つまりは、ルーアン先生よりキリュウの方が賢いって訳だな。」
翔子しゃん、何処からそんなものが浮かんでくるんでしか。
「しょっちゅう“たー様たー様”喋ってるルーアン先生よりは、
“主殿・・・”っていってるキリュウの方が賢いじゃないか。」
だから、どうしてそういう風に繋がるんでしか。
「・・・秘密。しゃべっちゃうよりは黙ってる方がいいからな。」
もしかしてそれってこじつけじゃないんでしか?
「・・・・・・。」
翔子しゃん!!
戻るでし。