≪す≫でし!
「粋が身を食う」でし
朝でし〜!そんでもって、今は二年一組に居るでし〜。
太助しゃまとシャオしゃま、翔子しゃんに乎一郎しゃんとで話し合ったんでしよ。
「たかしについて、どう思う?」
「あれは地、なんだろうけど・・・なんか無理してる部分もあるよな?」
「たかしさん・・・大丈夫でしょうか・・・。」
「シャオちゃんの前では無理に張り切ったりしてるもんねえ・・・。」
つまりは、たかししゃんが普段から熱血やってるのは、多少の無理があって、
じゃあないかと皆しゃんで話し合ってるわけなんでし。
「とにかく今のままじゃあ心配だよな。将来が特に・・・。」
「なるべく無理をさせないようにしないと。」
「私もしっかり致しますわ。」
「親友として放って置けないよね。僕もなるべく諭す様にするよ。」
なんだか、だんだんと“たかししゃんは無理をしている”という事に決定してきたみたいでし。
『粋な人であるが為に、人にとりもたれて道楽に走り、ついには身を滅ぼす』という事でし。
けどねえ、離珠は絶対そうは思わないでし。
たかししゃんのあれが縁起だったら、絶対に凄すぎるでしよ・・・。
「おっはよー!!おお、シャオちゃん!!教室でまずシャオちゃんの姿を見られるなんて・・・。
うおー!!俺は幸せものだ〜!!!」
そうこうしてるうちにたかししゃんがやって来たみたいでし。
なんか大袈裟でしねえ。確かにシャオしゃまはそういう位置に座ってたでしが。
「たかしさん、おはようございます。」
「おはよう、シャオちゃん!!・・・どうしたの?そんな深刻そうな顔しちゃって。」
「いえ・・・。たかしさん、あまり無理はなさらないで下さいね。」
「へ?無理?」
たかししゃんは分からないといった顔でし。そりゃそうでし。
唐突に無理するななんて言われても・・・。
「たかし、辛い時があったら言ってくれ。友達としてしっかり支えるからさ。」
「僕も太助君と同じ気持ちだよ。遠慮なんかしなくていいからね。」
「野村、微力ながら、あたしだって協力するからな。少しは頼りにしてもいいよ。」
「へ?へ?へ?」
次々とたかししゃんに告げていった太助しゃま達。
その後、たかししゃんを残して皆は散会したでし・・・。
「・・・な、なんなんだ、一体・・・。」
唖然となるたかししゃん。いい友達を持って幸せでしね・・・とは違う気もするでしが。
「水鏡の人」でし
いつもシャオしゃまや離珠達星神にやさしい太助しゃま。
清い心を持って、本当に立派なご主人しゃまでしねえ。
『清澄で私心が無く、人の模範となるべき人』という事でし。
でも、このことを太助しゃまのお友達に話したら、
「あいつが人の模範!?嘘ばっか。そんなわけないだろ。
いくらなんでもそれは誉め過ぎだよ、離珠ちゃん。」
と、たかししゃん。
「確かに太助君は良い人なんだろうけど、なんの曇りも無いって訳じゃないと思うよ。」
と、乎一郎しゃん。
さすがに翔子しゃんは怖いので聞くのをやめたんでし。
うーん、良い御主人しゃまなんでしけどねえ・・・。
「水魚の交わり」でし
もはや太助しゃまとシャオしゃまに他ならないでしね。
シャオしゃまは今まで御主人様に大切に接して来たんでしが、
その今までとは違って、太助しゃまとの関係はもはや!!という感じでし。
「うんうん、確かにその通りだ。なんと言ってもシャオは太助の彼女だしな。」
・・・なんかそれはそれで違う気がするんでしが。
「なんだよ、その目。細かい事気にしてちゃあ大きくなれないぞ。」
・・・那奈しゃんを近くに呼んだのは失敗だった様でし。と、ともかく!!
『水と魚の様に、切っても切れ無い親しい関係、友情』という事でし。
・・・なんか違う気がしてきたでし。本当に太助しゃまとシャオしゃまでいいんでしか!?
「ふむう、なんか疑問がある様だな。よし、あたしが代わりにいい例えを教えてやろう。
それは離珠と虎賁だ!なんと言っても片方は片方の保護者だっていうしな。ばっちりだろ?」
ふむ・・・なんて納得してる場合じゃないでし!!那奈しゃん、それは違うでしよ!!
「さてと、無事に片付いた所で翔子の所にでも遊びに行ってくるかあ。
あたしと翔子の関係もそれにあてはまるしな。」
つい最近知り合ったばかりなんじゃないでしか?
でもまあ言えない事もな・・・って待つでしよー!!
「垂涎」でし
席を取られて指をくわえている乎一郎しゃん、でしね。
「離珠ちゃん!!!そりゃまあ指はくわえてみてるけど・・・僕はそんな事しないよ!!!」
うっ、そ、そうでしか。
それでは・・・シャオしゃまと一緒にいる太助しゃまを見ている花織しゃん・・・
「何て失礼なこと言うの!!離珠ちゃん、あたしは先輩をそんな目で見てないもん!!!」
えうー、どうすればいいんでしかあ・・・。
「お前なあ、もうちょっと普通に考えろよ。分かりやすい例えがあるだろ。」
うう、それってなんでしか、虎賁しゃん?
「それを言っちゃあ解説になんないな。自分で考えろ。」
はう〜、教えて欲しいでしい。
「だーめ。」
おねがいでしぃ・・・。
「・・・よし、教えてやる。今のお前だ、離珠。」
は、はうぅ!?・・・一本取られたでし。
というわけで『よだれを流す。ものを欲しがりうらやましがる事の例え』という事でし。
「この場合、困った離珠がおいらの説明を欲しがってる、ってことだよな。
だがそれだと強引だ。おいらが言いたかった本当の分かりやすい例は・・・」
「わかったぁ、ルーアン先生でしょ!ご馳走を目の前にして食べられない時とか!
他の人が自分よりいいもの食べてる時とか!!」
「おっ、良く気付いたな。ついでに言えば離珠もそんな感じかもな。」
むぅ、離珠はそんなんじゃないでし。
「ルーアン先生だってよだれなんてたらさないよー!」
「負け惜しみね。」
「ふっ、今回は虎賁と愛原花織のことわざ解説、だったな。」
ふ、ふざけんじゃないでし〜!!
「好いた同士は泣いても連れる」でし
『恋愛関係から夫婦になった男女は、どんな苦労をしても最後まで添いとおす』という事でし。
「七梨とシャオが結婚したら絶対そうなるんだろうなあ。」
「もっとも、そこに行きつくまでも大変ではあるがな。」
だからこそ、今もキリュウしゃんの試練を受けてたりするんでし。
「なんにしても、シャオには不幸になってほしく無いな。」
「そのためにも、私も頑張らないとな。」
ところで・・・どうして離珠達は今屋上で?
「重要な話はこういう所でやった方がバレにくいんだよ。」
「しかし、今は授業中だったと思うのだが・・・。」
つまり、サボリでしね。
「錐刀を以って泰山を堕つ」でし
前々から不思議に思っていたんでしが、
どうしてルーアンしゃんの暴走を誰も黙って見過ごしているんでしかねえ?
というわけで、翔子しゃんにそれを聞いてみたんでし。
「見過ごしてるっていうか・・・。離珠は暴走してる姿を見かけたらそれを止めに行けるか?」
それに対して離珠はふるふると首を横に振ったでし。
当然でし。暴走しているルーアンしゃんなんて、離珠が止められるわけ無いじゃないでしか。
シャオしゃまやキリュウしゃんなら大丈夫かもしれないでしが・・・。
「シャオやキリュウなら止めに行ける、とか考えてないか?
それならまあ、そういう事だ。止められる力も無いのに止めにいけないってことだよ。」
なるほど、そういうことだったんでしね。
『力に対してはそれ相応の力を持たなければ勝ち目が無い』という事でし。
それでも、みんながみんな見過ごしているわけじゃないでし・・・。
「ルーアン!!いいかげんに止めろー!!」
そう、太助しゃまだけは立派に立ち向かっているんでしね。
たまに乎一郎しゃんやたかししゃんも止めに行ったりしているみたいでし。
無謀って気もするんでしが、それだけ勇気があるってことなんでしかね。
「据え膳食わぬは男の恥」でし
『女の方から積極的に誘ってくるのに応じないのは男でない』という事でし。
「家にいい例が居るから試してみよう。」
那奈しゃん、別に試さなくても・・・
「これは試練だ!!というわけで一番手、ルーアン行ってみよう!」
「おっけー!!わかったわ、おねーさま。」
という訳でその日の晩、皆が寝静まったころにルーアンしゃんが太助しゃまの部屋へ押しかけたんでし。
「たー様ぁ〜ん。」
「うーん・・・ん?る、ルーアン!?」
「たー様、ルーアンね・・・」
「うわぁ、何やってんだー!!」
慌てて逃げ出した太助しゃまにより、ルーアンしゃんはあえなく失敗したんでし。
「やっぱりだめだったか。次、キリュウだ!!」
「那奈殿・・・」
「うるさい、次はキリュウなんだ!!」
「しかし・・・」
「つべこべ言うな!!」
「わ、わかった。」
びくびくしながら二日目の晩、キリュウしゃんが太助しゃまの部屋に侵入。
と、太助しゃまは昨日とは違って素早く起きだしたんでし。
「なんだキリュウか。こんな夜に試練か?」
「い、いや、あの、その・・・。」
「まあいいぜ、こういうのもたまには効果的なのかもな。さあこい!」
「いや、主殿、今日は・・・。」
「なんだ?」
「・・・失礼する!」
どたどたとキリュウしゃんは逃げ出してしまった様でし。
「たくう・・・。やっぱり本命が行かなきゃだめだな。シャオ!!」
「はいっ。」
元気良く返事したシャオしゃま。大丈夫でしかねえ?
そして夜。シャオしゃまはコンコンと扉をノックして返事を待たずに部屋に入ったでし。
「太助様・・・眠ってる?」
さすがに三日目も起き出す元気は無かったようでしね。
シャオしゃまは太助しゃまの布団にもぐりこんで(那奈しゃんの仕込みでし)
そのまんま朝まで一緒に眠ってしまったんでし・・・。
「かあぁー、なんでこうなるかなあ?」
那奈しゃん、もういいでしよ。
「こうなったら姉自ら!!」
な、那奈しゃん!?
「そんなに驚くな。冗談に決まってるだろ。」
・・・・・・。
「ま、ともかく太助は男じゃ無いって事で。今度からかわいい妹とでも呼んでやるか。」
那奈しゃ〜ん・・・。
「これも冗談だからな。」
いいかげんここで終わりでしっ!
「姿はつくりもの」でし
『姿は化粧の上手下手でも変わるし、衣服のよしあしによっても変わる。
姿は金をかけることによって、美しくなるものである。それで女性は化粧に身をやつす』という事でし。
「なんて恐ろしい言葉だ・・・。」
「キリュウも気を付けなさいよー。」
「私よりもルーアン殿の方が・・・。」
「なんですって!?あ、そうだ。おねーさまはどう思います?」
「うーん・・・。むむむむ・・・。」
「悩んでるみたいだな、那奈殿は。」
「ふうーむ。じゃあシャオリン!」
「私にはよく分かりませんが・・・。翔子さん、どうでしょう?」
「いや、あたしにきかれてもなあ。そんなわけで、まとめは離珠!」
ふえっ?離珠のこのからだはニセモノじゃないでしよっ!
「誰がそんなこときいたよ・・・。というか、ことわざ解説やってる奴がそんなんでどうする。」
「そうだ!皆さん、こうなったら着せ替えをしてみましょうっ。」
さすがシャオしゃま。大胆な案でし!
・・・でも、解説はもうやめでし〜。
「過ぎたるはなおおよばざるが如し」でし
今日も太助しゃまは試練を受けているでし。
「行くぞ、主殿。万象大乱!」
「うおおおー!」
実は朝からずっとこの調子なんでしが・・・。
「・・・主殿、もうやめぬか?」
「まだまだ・・・うっ!」
夜になるまでやってて、太助しゃまは倒れてしまったでし。
「まったく・・・。頑張りすぎるからだ。」
『何事もやりすぎはよくなく、程々がよい』という事でし。
太助しゃま、たまには休んでくだしゃいでし。
「好きな事には騙され易い」でし
たとえばルーアンしゃん・・・
「じゃねーな、離珠だ。」
虎賁しゃん!なんでしか?ちゃちゃは入れないで欲しいでしね。
「おっ、あんなところに宮内出雲が持ってきた薄皮饅頭があるぞ?」
ちゅわ!?早速いただくでし〜!!
「すこしは我慢とかしろよな、ったく・・・。。
『興味のある事には、いつか深入りして人にひっかけられやすい』という事だ。」
もぐもぐ・・・ちゅわ〜ん・・・。
「既に食べてるし。」
ふえ?・・・あああっ!スキを突かれて虎賁しゃんに解説を奪われてしまったでし!!
離珠一生の不覚でし、がく・・・。
「なんだかなあ・・・。」
「好きには身をやつす」でし
『好きな事の為には体がやせ細るほど苦労してもなんとも思わぬものである』という事でし。
こういう事には那奈しゃんが詳しそうなのでお願いするでし。
「な〜んかひっかかるもんがあるんだけどー・・・まあいっか。
例えば賭け事が好きな奴は破産しても乞食になってもやっぱやめられない。そんな感じだ。」
・・・もうちっと他の例えはないんでしか?
「これの方が適当だと思うけどな。
うちにはやせ細らないで太・・・いや、太らないんだったな。
ま、そういう奴がいるじゃないか。」
誰でしかそれは?
「シャオリーン!!夕御飯まだー!!?」
・・・・・・。
「・・・ルーアンだよ。」
なるほどでし。ルーアンしゃんは食べる事が大好きでしからね。
しかも陽天心菌のおかげで太らないんでし。
「杜撰(ずさん)」でし
これを説明するには二つの例が必要でしね・・・。
という訳でビシッと出して欲しいでし、乎一郎しゃん!!
「離珠ちゃんて、なんか人に頼るのが多くなってきたよね。
という訳でまず一つ。」
おおっ、さすがは乎一郎しゃん・・・って、どういう意味でしか!!
「そのまんまじゃないか。だいたいここは離珠ちゃんが解説するコーナーなんでしょ?
だのに僕達に頼りまくってちゃあだめじゃないか。」
ぐぐ・・・痛い所を付かれたでし・・・。
「もちろん、それででたらめとまでは言わないけど。」
当たり前でしよっ!
「まあいいや、次は・・・僕が実際に文を書けばいいんだね。それじゃあ・・・
同も近頃天気の用巣がかんばしくなくて、頭痛が痛いなあ。
・・・こんな所かな。」
・・・訳がわかんないでしね、これ。うむう、さすがは乎一郎しゃんでし。
「でもこれは支離滅裂な文章っぽいなあ。」
乎一郎しゃん、新たな言葉は出さないで欲しいでし。とにかく!
『詩や文章などに間違いが多い。いいかげん、でたらめでぞんざいである』という事でし。
「ほんとはたかし君とかに頼めば良かったと思うんだけど。」
駄目でしよ。肝心の解説が酷くなってしまってはどうしようもないでし。
「それもそうか・・・。」
「進むを知りて退くを知らず」でし
えーと、たかししゃん・・・
「うおおおおおー!!!」
言わずともやってるみたいでしね。さすがでし。
「うおおおおおー!!!」
そういうわけで、
『物事は、周りの環境や状態を考えて進んだり戻ったりしながら行うものなのに、
がむしゃらに進むばっかりでその判断ができない。また、その様に機転のきかない人』という事でし
「離珠、例えがてきとう過ぎるんじゃ・・・。」
太助しゃま、細かい事は言いっこなしでし。
「うおおおおおー!!!」
「にしてもたかしの奴、いつまで叫んでんだ。」
たかししゃーん、もういいんでしよー。
「うおおおおおー!!!蜂がー!!」
「は、蜂っ!?うわああー!!!」
ひえええー!!ひょ、ひょっとして今回の解説は失敗なんでしかぁー!?
「うおおおー!!そういう事だぜ離珠ちゃーん!!」
「お、お前余裕あるなー!!うわあー!!」
しょっくしょっくでしー!!
・・・ってなところで終わりでしー!!!
「雀の角」でし
さっそく離珠が武器を構えるでし。
シャキーン!!
「あら、何やってんのごみチビ。」
見てわからないでしか?つまようじを武器にするんでし!
つまり、『相手が例えどのような武器を用意しても恐れる事は無いという事の例え』という事でし。
「なるほど、それで刺されると結構痛いもんね。気をつけなくっちゃ。」
あ、ありゃ、ルーアンしゃん。
「さーて、ごはんごはんっと。」
まってくだしゃい〜!
「砂の底から玉が出る」でし
「今日の晩御飯は宝探しですう〜。」
そう言ってシャオしゃまがテーブルの真ん中に置いたのは、大きなお釜。
中には、ご飯がぎゅうぎゅうに詰められていたでし。
「シャオ、宝探しって?」
「見ての通りお米ばかりですが、実はこの中に美味しい具が隠されているのです。
順番に一人一すくいしていって、それを食べてくださーい。」
シャオしゃまの手から、お玉が太助しゃまの手に。
困惑しながらも、その隣にいる那奈しゃんに促されてすいっと一すくい。
ぱらぱらと米粒をこぼしながらも、太助しゃまはそれを自分の御茶碗によそったでし。
「どうだ太助?」
「・・・ご飯粒だけだ。」
「そりゃ残念、次はあたしだな。」
特に気にせずにご飯をすくってる所を見ると、ひょっとして提案者は那奈しゃんなんでしかねえ?
「・・・うえっ、あたしもご飯ばかりだ。」
「では次は私ですね。」
そしてシャオしゃま。すくったそれには・・・
「お肉とお野菜を一かけらずつ手に入れましたわ。」
「なに!?」
「うらやましいなー。」
ノっているのか、那奈しゃんと太助しゃまが過大な反応を。
「次は私だな。では・・・。」
遠慮がちにすくう姿、いかにもキリュウしゃんらしいでし。その結果・・・
「おお!赤いのが入っていたぞ!」
「キリュウさん、おめでとうございます。」
と、那奈しゃんと太助しゃまが小声で・・・。
「なあ太助、あれってもしかして・・・。」
「とんがらしかもな。大丈夫かな・・・。」
なんでしと!?そんなの大丈夫じゃ無いに決まってるでし!
・・・というのは置いといて、次は珍しくもずっと黙りこくっていたルーアンしゃんでし。
「どうしたルーアン殿。」
「ふっ、あんたらは甘いのよ。シャオリンの裏をかかなきゃだめなのよ!」
言うが早いか、おたまを奪って無意味に構えたでし!
「はああ・・・。」
なんか気合ためてるでし。
「うりゃああああ!!」
どすっとうまるおたま。
皆が沈黙して見守る中、ルーアンしゃんはニヤリと笑ったでし。
「てごたえあり!おりゃ!!」
ずざっと出してきたのは具のかたまり!!
それこそ、シャオしゃまやキリュウしゃんが手に入れたものとは比べ物にならないでし!!
『つまらぬ物ばかりたくさんある中に、稀に値打ちのあるものが混じっている』という事でし。
その後も何度かすくい合いをして・・・終始シャオしゃまは笑っていたでし。
「これって那奈姉が考えたんじゃないのか?」
「違うよ、ずっとご飯しか取れてない弟くん。」
「・・・・・・。」
うむむ、やっぱりシャオしゃまが考えた事なんでしね。
「ぐすっ、何故私がこんな辛い物を食べなければ・・・。」
「キリュウさん、ルールですからすくったものはちゃんと食べてくださいね。」
「にしても色んな物入ってるわねー。なんでキャビアまで・・・。」
闇鍋ならぬ、闇炊きこみご飯って感じがしたでし。
「砂原は三里行けば二里戻る」でし
試練でし!
「今回の試練はこの砂浜を歩くというものだ。」
「別に戻るなんてことはないと思うけどなあ・・・。」
とにもかくにも試練スタート!
太助しゃまはゆっくりとそこを歩き始めたでし。
「たしかに歩きにく・・・あれれ?なんか戻ってる!?」
「頑張られよ、主殿。夕方になるまでにはあの岩までたどり着くように。」
ちなみに今は昼過ぎでし。
「く、くっそー!!」
太助しゃまがじたばた歩いているうちに意味をいくでし〜。
『砂地は歩きにくいものだ』という事でし。
そして、夕刻。太助しゃまはくたくたになりながらも指定の岩までたどり着いたでし。
「ふう、ふう、ほんとに戻るなんて・・・。」
「なーに言ってんのたー様。陽天心を使ったからなのよ。」
そうなんでし!キリュウしゃんの依頼に、ルーアンしゃんが協力したというわけなんでし!
「へ?ルーアン?いつの間に・・・。」
「最初からずっと居たわよ。お疲れ様、たー様。」
「な、なるほど、砂に陽天心かあ・・・。」
納得の太助しゃま。
試練は無事成功でしね!
「素引きの精兵」でし
ある所に、翔子しゃんという弓矢の名人と噂されるが居たんでし。
一度その人を訪ねてみようとした太助しゃまだったんでしが・・・。
「あ、あの人がそうか!!」
遠くの岡に、強弓を携えてもっている翔子しゃんがそこに!!
と、翔子しゃんはびしっと弓を射ったでし!!
「わわっ!!」
慌ててその場に伏せる太助しゃま。しかし矢は飛んでこなかったでし。
何故かって、翔子しゃんは弓を射る形だけして見せたんでしから。
『理屈は言っても実際の役には立たない者』という事でし。
「そんなわけだ!あたしは戦いなんてまっぴらだからなー!!」
「お、おい!お前名人だって噂されてるんだぞー!!」
「うるさいな、面倒なんだよ!分かったら帰れ!!」
「くっ、とんだ噂だ・・・。」
とぼとぼと帰っていった太助しゃま、でし。
「住むばかりの名所」でし
『よそから見るほどのことはないということのたとえ』という事でし。
「そんな事はない!」
「そんな事はありません!」
びくうっ!
た、たかししゃんに花織しゃん。一体どうしたんでしか?
「シャオちゃんと同じ家に住んでる事のどこが大した事ないんだ!?」
「七梨先輩と同じ家に住んでる事のどこが大した事ないんですか!?」
なるほど、そういうことでしか。しかしでしねえ・・・。
「「納得いかなーい!!」」
こ、これにてお終いとするでし。
「住めば都」でし
『どんな所でも、住み慣れるとそこが良くなって離れにくくなる』という事でし。
「というわけで今度はこういう試練にした。題して、屋根の上で生活する、という試練だ。」
「そのまんまじゃないか・・・。」
「文句は言ってはだめだ、もう決まったのだからな。」
「はいはい。とりあえず屋根で寝泊りすればいいんだろ?」
「食事、風呂等も全て屋根の上で行う事だ。」
「・・・冗談だろ?」
「冗談ではない。」
「ひょっとして、雨が降っても傘を差すなとか言うんじゃ無いだろうな?」
「傘など言語道断だ。屋根の上で暮らすのだからな。」
「おい・・・。」
とまあそんなやりとりがあって、太助しゃまは屋根の上で暮らす事になったでし。
雨の日も風の日も旱の日も、とにかくそこでじっと耐えて・・・。
「たく、こんな所が住み良い場所に成る訳無いだろ・・・。」
ある日、そんな呟きが堂々と聞こえて来たんでし。
キリュウしゃん、太助しゃまったらこんな事言ってるでしよ。
「離珠殿、これはあなたの提案なのだぞ。」
人の所為にしないで欲しいでし。キリュウしゃんも“名案だ”とか言って喜んでたじゃないでしか。
「しかしだな・・・。」
こうなったらキリュウしゃんも太助しゃまと一緒に屋根の上で暮らすでし。
「そ、それは遠慮する。」
何日も経った後、試練は終わったでし。
何故かと言うと、シャオしゃまがちょっと怒り出してしまったんでしね。
太助しゃまの具合が悪くなったとかで・・・。
(そりゃあ、ずうっと外に居れば当然でし)
「ところで離珠、結局解説は失敗してるみたいだけど?」
たまにはこういうのもいいんでしよ。
「病気になった俺の立場も考えてくれ・・・。」
「角力(すもう)も立ち方」でし
ある日たかししゃんに誘われて、みなしゃんで相撲を見に行ったんでし。
隣に座っていた虎賁しゃんは、しきりに自分の居る側から出る力士を応援してたでし。
虎賁しゃんって相撲好きだったんでしかねえ?
そこで訊いてみると、
「別にどっちが勝とうがおいらにとっちゃどうでもいいけどな。
やっぱり自分が居る側が勝つ方が嬉しいだろ?」
とのことでし。言われてみれば、そういう応援の仕方もありでしねえ。
『わずかでも自分に縁のあるものを味方したがるものだ』という事でし。
この事をたかししゃんに伝えたら、
「やるな・・・。けどな、場所を選んでするようにな。」
と言っていたでし。どういう事なのか離珠には良く分からなかったでしが。
「擂鉢へ灸をすえる」でし
『さっぱり感じない事の例え』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、さっぱり感じ無い様に成ってみようではないかコーナー!!
「うむ!という訳で主殿、これから毎日灸をするのでそれに平気に・・・」
「ふざけんなー!!」
太助しゃま、いきなり投げ出しちゃ駄目でし。
「石の上にも三年と言う。我慢すれば必ず・・・」
「俺は擂鉢じゃ無い!どうしてもやるって言うなら、まずは二人が成って見せろ。」
そんな要求はのめないでしね。
「これは主殿への試練なのだからな。」
「なにそんなに威張ってるんだよ・・・。いくらなんでも無理だっての!」
試練でし、太助しゃま。
「なんと言おうと耐えてもらう。」
「全然譲る気は無いみたいだな・・・。でも俺は絶対しないからな!」
二人で粘ったんでしが、結局拒絶されてしまったでし、残念。
ちなみに、昔は灸すえ日の行事として擂鉢へ灸をすえたそうでし。
「寸鉄人をさす」でし
あんまりやりたくはないでしが、例え無くして行く事は許されないでし!
そういうわけで虎賁しゃん、一つ何かお願いするでし。
「別に無いなあ・・・。おいらよりはルーアンとか不良ねーちゃんに頼めばいいじゃねーか。」
事を大きくすると厄介なんでし。
「大体、無理に例えなんか出す必要あるのかよ。
どうせ例えを人に頼りまくってるくせに。」
ぐっ・・・。
「自分で何かやろうとするならともかく、人に無理にやらせるなよな。
・・・ん?どうした離珠。」
な、なんか凄くやられたでし・・・。
「へ?」
『短いけれど、深く心に突き刺さる言葉で人の急所をつく』という事でし。
や、やはり虎賁しゃんで正解だった様でしね。
「・・・言っとくけどおいらは事実を言ったまでだからな。」
ぐはっ、でし。・・・ちび。
ずずーん!
「離珠、お前って奴は・・・。」
る、ルーアンしゃんだったらそういう事を言うんじゃないかな〜って。
「だからわざわざおいらを呼んでまでする事じゃねーだろーが!!」
戻るでし。