≪し≫でし!(その1)


「四角な座敷を丸く掃く」でし
これはそのまんまの意味でし。ね、那奈しゃん!
「・・・なんであたしにふるんだ。いつもちゃんと掃除してるぞ!!」
もう、ただの確認の意味でしよ。
「あ、そ・・・。」
『座敷の隅々まで掃除しない。おうちゃくを丸め込む』という事でし。
という訳でめでたしめでたしでし〜。
「・・・横着だな。」
何か言ったでしか?
「別に。」


「鹿を指して馬と言う」でし
ある日、シャオしゃまが太助しゃまに尋ねたんでし。
「太助様、これってなんですか?」
「えっ?」
シャオしゃまが指した物、それは団扇だったんでし。
「これって・・・団扇じゃないの?」
「いいえ、これは扇子なんです。」
「はあ?」
目を丸くしてよおく見ようとする太助しゃま。
当然の反応でし。これは誰が見たって団扇でし。
シャオしゃまったら一体何を言い出すんでしかねえ・・・。
「シャオ、これは団扇だって。」
「何を言うんですか、間違いなく扇子です。ほら、こうやってたたんで・・・ぐぐっ。」
なんと!シャオしゃまが扇子をたたむように無理矢理団扇をたたみ始めたんでし!
太助しゃまはそれを慌ててとめたでし。
「しゃ、シャオ。だからそれは扇子だって。」
「・・・今日は調子が悪いみたいですね。また今度たたんで見せます。」
「あ、ああ・・・。」
一汗を掻きながら笑って答えるシャオしゃま。なんだか無理矢理でしねえ・・・。
「シャオ、だからそれは扇子じゃなくって団扇・・・」
「これは扇子なんですぅ!どうして信じてくれないんですかあ!」
「いや、そう言われても・・・。」
「うわ〜ん、太助様なんか嫌いですう!!」
ついにはシャオしゃまは泣き出してしまったでし。
「しゃ、シャオ・・・。悪かった、これは扇子だ。断じて団扇じゃないよ!」
太助しゃまが慌ててなだめると、シャオしゃまは泣くのを止めて顔を輝かせたでし。
「良かったですわ。これは扇子ですね♪」
「う、うん・・・。」
なんなんでしか、一体。普段のシャオしゃまとは思えないでしねえ・・・。
『筋道の通らない事、間違った事を強引に押し通す』という事でし。
後で聞いた話、どうやら那奈しゃんと翔子しゃんが仕組んでいたみたいでし。
どんな事でも、シャオしゃまの言う事に太助しゃまが従うかどうか試したとか。
なんだか無茶苦茶でし。太助しゃまも苦労が耐えないでしねえ・・・。


「自画自賛」でし
「ごちそうさまー。今日も1人でこんなに食べちゃった。
あーん、ルーアンったらな―んてすごいのかしら―ん。」
夕食を食べ終わったときのことでし。ルーアンしゃんがこんな事を言ったでし。
なんと、10人前はあろうかというおかずを1人で食べきったでし。
確かにすごいけど、自慢できるような事ではないと思うんでしが・・・。
とにかく、『自分で自分を誉める』という事でし。
普段ルーアンしゃんはこんな事ばかり言ってるでし。
たまには、他の人を誉めたりしたらどうでしか?


「死屍に鞭打つ」でし
・・・キリュウしゃん、お願いするでし。
「・・・なぜ私が?離珠殿がすればいいではないか。」
こんなもん説明できるわけが無いでし!!というわけでお願いするでし〜。
「ああっ!!に、逃げるなんてずるいぞ!!・・・行ってしまった。
うーん、どうすればいいものやら・・・。」
「どうしたのよキリュウ、難しそうな顔しちゃって。」
「ルーアン殿か。実はかくかくしかじか・・・。」
「そんなの、ごみチビのお人形作って万象大乱!ってやればいいじゃない。」
「・・・どういうことだ?」
「つまりはお人形で憂さを晴らせって事よ。なんならあたしが陽天心かけてもいいわよ。」
「・・・根本的に何かが違っている様な気がしないか?」
「贅沢ねえ・・・。以前あたしの御主人様の部下にね、
敵将の死体を木に括り付けて、それを鞭打ってた狂った輩が居たの。
なんでも妻と子供をそいつに殺されたらしいんだけど・・・。」
「しかしそれは・・・。」
「もちろん主様はかんかんに怒ってたわ。死体に鞭打つとはなんという事だ!ってね。
それで・・・・」
はーい!という訳で、ルーアンしゃん、ありがとしゃんでした!
『死体を鞭打って生前の恨みを晴らす』という事でし。
「ごみチビ!?いつの間に戻って来たのよー!」
「まったくだ。かってに私に押し付けて・・・。」
だって難しすぎたんでしよ。でもルーアンしゃんが言ってくれて良かったでし。
それではさらばでし!
「ああっ、また逃げた!」
「しかも美味しい所持っていったんじゃない。許せな〜い!」
混乱しているここでおしまいでし!なんだか当たり前の例って気もするでしが・・・まあいいでし!


「獅子奮迅」でし
ライオンしゃんが身を奮い立たせて凄い速さで走るように、
『行いが素早く、勢いの盛んな様子。大活躍する』という事でし。
「これはキリュウちゃんのことだろうな。」
たかししゃんがそういう事を言うなんて珍しいでしね。
いつもなら“俺のことだー!”とか言って目立とうとするのに。
「大きなお世話だっての・・・。ともかくそういうわけだからキリュウちゃんの登場だー!」
「・・・・・・。」
相変わらず無言でしね。
「相変わらずってことじゃないだろ。多分照れてるんだよ。」
「野村殿、どういう点で私が当てはまるんだ?」
「七梨からの話も総合して、試練やってる時のキリュウちゃんはそんなだよ。」
「そうなのか?」
「そうそう。だから、まずはがおって言ってみてくれ。」
「・・・なにゆえ?」
離珠も疑問でし。
「だってライオンなんだから!」
「・・・がお。」
「おおおーっ!ノリいいな、キリュウちゃん!もう一回もう一回。」
「・・・がお。」
「くっ・・・最高だー!!」
たかししゃんも変でしが、キリュウしゃんも変になってきたでしねぇ。
「そりゃないだろ。なあキリュウちゃん。」
「・・・・・・。」


「蜆貝で海を測る」でし
『小さい物で大きい物を量る事で、とうていできないことのたとえ』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、小さい物で大きなものを量ってみようコーナー!!
「というわけで主殿、軍南門殿は離珠殿何人分かを調べてもらいたい。」
「頑張ってくださいね、太助様。」
今回はシャオしゃまの協力付きでしよ〜。
「・・・なあ、仮に量ったとして、それが正しいってどうやって調べるんだ?」
「・・・それは、案ずるな。私の力をもってすればおそらくは・・・。」
「キリュウさん、なんだか自信なさそうですわ。」
言い出し手がそれでは困るでし。
「分かった分かった、とにかく量るから。けど・・・どうやって量ろう・・・。」
「し、試練だ、考えられよ。」
「離珠と軍南門とで体重比べをすれば・・・。
もしくはお風呂に入ってこぼれた水の量を比べるとか。」
なるほどっ、さすがシャオしゃまでし!
「・・・あのさ、先に言われちゃうと俺がする意味が・・・。」
「で、ではこれにて試練は終わりにしようか。」
「まあ、もう終わりなんですか?」
キリュウしゃ〜ん・・・。


「磁石鉄を吸うとも石を吸わず」でし
たとえばこれは・・・。
「たー様〜ん。たー様のためにたっくさんの金品をかっさらってきたわよー!」
「ルーアン!そんなものすぐに返してこい!」
「ええ〜?」
「人のものを盗むなんて泥棒だぞ!?」
「くすん、わかったわ・・・。」
と、こういうことでし!
『精錬潔白な人は不義不正な金品にはさわらない』という事でし。
太助しゃまが精錬潔白という点で出せたたとえでしね。
「いや、それ当たり前の事だって。」
「っていうか勝手にあたしを泥棒にしてんじゃないわよごみチビー!」
た、たかが紙芝居じゃないでしか。そんなに怒らなくても・・・。
「いや、怒るって。」
「そうよ!怒って当然よ!」


「自然に還れ」でし
これはルソーしゃんって人の言葉なんでし。
『今の社会の習慣による悪い影響から逃れて汚れの無い自然の状態にかえれ』という事でし。
離珠と紀柳の自然に還ってみようコーナー!
「うむ!というわけで主殿、自然に還られよ。」
「・・・どうやるんだ?」
それは自分で考えてみてほしいでし。
「いつもはふざけてやっているように聞こえるかもしれないが、今回も真面目だ。」
「その時点でよくわかんないけど・・・でもたしかに今回は難しそうだ。」
色々悩むとは思うでしが、頑張ってくだしゃい。
「様々な自然の場所に触れるのもいいと思う・・・まあ主殿次第だ。」
「おしっ!・・・そうそう、一つ気になったことが。」
なんでしか?
「具体的な結果は答えられぬぞ。」
「そうじゃなくてさ。悪い影響ってどういうことなんだろうな、って。」
むむむ、それもまた難しいでしね。
「心配するな。主殿は心が清い。無意識のうちに理解しているはずだ。」
「えっ・・・。」
それってどういうことでしか?
「試練だ、考えられよ。」
「へえ・・・。」
はてさて、太助しゃまはどんな結果を導き出すでしかね?


「下地は好きなり御意は良し」でし
「あたしは食事が大好きなの〜!」
というルーアンしゃんに、
「ルーアンさん、たあくさん召し上がってくださいね。」
と、シャオしゃまが勧めれば、
「わーいっ、いっただきまーす!!がつがつがつがつ・・・。」
となるに違いないでし!
『気兼ねなく存分に飲食できる』という事でし。
いやー、身近にいい例が居るってのはいいもんでしねー。
「離珠さん離珠さん。」
ちゅわ、出雲しゃん!いつ来たんでしか!?
「さっきからいましたが、何やらどこかへ向いて忙しそうだったので・・・。
ともかく持ってきたお饅頭、遠慮なく食べてください。」
そ、それはそれは!喜んでいただくでしー!!
ぱくぱくぱくぱく・・・。


「十遍読むより一遍写せ」でし
『幾度も読み返すより、一度書き写す方がずっと覚えやすい』という事でし。
という訳でさあ!!離珠の絵を描くでしよ!!!
そうすればみなしゃんいっぱつに理解出来るはずでし!!
まずは代表として虎賁しゃん!!さあさあさあ!!!
「無茶言うな。」


「芝居蒟蒻芋南瓜」でし
『女の好きな物をいったもの』という事でし。
けれども、今の女性の好みとは違うかもしれないでし。
そこで、花織しゃんに訊いてみる事にしたでし!
「え?うーん、別に嫌いじゃ無いけど・・・。」
好物ってほどでもないんでしか?
「うん。・・・そうだ、これらを使って料理しよう!」
な、なんでそういう発想にいくんでしか。
「蒟蒻と芋と南瓜をごちゃ混ぜにした味噌汁!うん、これでいこう!」
・・・結構まともっぽいでし。これなら大丈夫でしかね?
「・・・と思ったけど味噌がきれてるみたい。
同じ原料に大豆を使ってるって事で醤油でいいかな。」
ちょ、ちょっと待つでしー!!!


「自暴自棄」でし
『自分の思い通りにいかないからとやけになったり、
がっかりして何をするにも投げやりになったりする』という事でし。
ルーアンしゃんがよくそんな状態になってるでしね。
“ああー、もう陽天心召来ー!!!”とか言って。
「離珠、おまえも人の事言えねーんじゃないのか?」
なんででしか、虎賁しゃん。
「ときたまことわざの解説を投げ出すじゃないか。
“もうこの例えでいいでし”なんて言ったりしてさ。」
失礼な事を言わないでくだしゃい!これは離珠の作戦なんでし!
「そうで無い時もあるよな?」
・・・ま、まあそういう事にしておくでし。
「ほら、そういうところとか。」
だからそんな事は無いでしよ〜。


「四面楚歌」でし
ここは語源どおりにやってみるでし!
さあ太助しゃま!!
「俺が囲まれ役ねえ・・・。で、歌は誰が歌うんだ?」
まずはこの人でし!
「ららら〜♪たー様は世界一〜♪みんなでたー様を褒め称えるのよ〜♪」
「る、ルーアンか・・・。そういやあ初めて学校来た時音楽の授業のっとってたっけ。」
次にこの人でし!
「太助よ〜我が弟〜♪なぜにそこまで奥手なんだ〜♪
また翔子と作戦を立てなきゃな〜♪」
「那奈姉・・・ってそんな余計な作戦立てんな!」
そして次にこの人でし!
「るるる〜七梨先輩〜♪素敵な素敵な七梨先輩〜♪おお〜るるる〜♪」
「愛原か。歌詞がいったいなんだか・・・。」
最後にこの人でし!
「あああー!!伝われ〜、俺の、熱き、た・ま・し・い〜!!!
この〜♪叫びを〜♪きぃ〜みぃ〜にぃ〜〜〜〜!!!」
「うるさいぞたかしー!!」
というわけで、四方から太助しゃまを囲ってもらったでし!
そして素晴らしい歌付きでし!!
『周りをすべて敵に囲まれ、逃げられない事。
また、周りの人に反対されて誰も味方についてくれない』という事でし。
「・・・なあ離珠。」
なんでしか、太助しゃま。
「俺はこれから何をすればいいんだ?」
・・・太助しゃまピーンチ!!
「それにこれが本当に語源どおりなのかよ!」
・・・太助しゃまピーンチ!!
「あのな・・・。」


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