≪こ≫でし!(その2)


「乞食に貧乏なし」でし
『乞食は何も持たないのだから、貧乏という言葉は通用しない』という事でし。
「これはすなわち、“不幸だ…”なんて嘆いてやがる太助に是非いってやりたい言葉な。」
どういうことでしか?たかししゃん。
「シャオちゃんと一緒の家に住んでいて何が不幸なんだ!
てめえふざけんなー!!」
・・・今更だと思うでしが。
シャオしゃまはこの時代に来てからずっと太助しゃまと同じ家に住んでるでしよ?
「だから、だからなんだよ!くうう、俺も太助の家に住もうかな〜。」
それは無理と思うでし。


「乞食の餅焼」でし
『たえずいじってばかりいること。
乞食に餅を焼かせるとひっくり返してばかりいるからこげない』という事でし。
「なんですってー!?」
わっ!び、びっくりしたでし・・・。
ルーアンしゃん、一体どうしたんでしか?
「これからお餅は乞食に焼かせればいいってことじゃないのー!!」
いや、これはあくまでも昔にあった言葉ってだけで・・・
「早速遠藤君を呼んでくるわ!!」
ちょ、ちょっとルーアンしゃん!?
・・・行ってしまったでし。
そして数分後(早いでしねえ)乎一郎しゃんがおうちにやってきたでし。
「さあ遠藤君、この餅を焼いてちょうだい。」
「は、はいっ。」
いきなり連れてこられて、わけがわからないといった様子でし。
でもなんでか嬉しそうでし。やっぱりルーアンしゃんだからでしか?
・・・・ところでルーアンしゃん。
「何よごみチビ。」
なんで乎一郎しゃんが乞食なんでしか?
「え?だって、名前が同じ“こ”で始まってるじゃない。」
・・・・・・。
とんでもない理由でし。
「ん?僕がどうかしましたか?」
わわっ、乎一郎しゃん!でも、尋ねてるってことは聞かれてないでしね。
「ああそれはね、遠藤君がね・・・」
ルーアンしゃん!余計なことは言うでないでし!!


「虎視眈眈」でし
今日は学校を探索でし。というわけで離珠は一人で校内を歩き回っているんでしね。
やっぱり大きい建物でしねえ。地平線が見える様な気がするでし・・・。
・・・おや?あれは誰でしかねえ・・・たかししゃんでし!
早速近づいて行って、ちょいちょいと引っ張ったでし。
「ん?ああ、離珠ちゃんか。用事なら後にしてくれよ。今は忙しいんだ。」
忙しいんでしか?物陰に隠れて一体何を・・・。
・・・なんだか目を吊り上げて怒っている女子生徒しゃんが何人か居るでし。
まったくもうたかししゃん、一体何をしでかしたんでしか?
聞こうと思う前に、たかししゃんがぶつぶつと呟き出したでし。
「くっそう、あんな場面で出雲に突っかかるんじゃなかった。
自称出雲ファンクラブの奴らから反撃が来るのが目に見えてるのに・・・。」
なるほど、出雲しゃんに喧嘩か何かをふっかけたって訳でしね。
それで女子生徒しゃん達から逃げるために、こうして機会を覗っていた訳でしか。
『機会を狙って待ち構える様』という事でし。
「よーし、いまだああ!!」
突然叫んだかと思ったら猛ダッシュし始めたでし。
たかししゃん、逃げるのに叫んでちゃあ意味無いでしよ・・・。
結局たかししゃんは捕まった様で、ぼろぼろになって教室に戻った様でし。


「五十歩百歩」でし
今日は花織しゃんのいるクラスに、離珠は遊びに来ているでし。
「すごいでしょ、離珠ちゃん。これ全部あたしが作ったのよ。」
なんと、千羽鶴でし。すごいでしね―、これを一人で・・・。
「この鶴1つ1つに七梨先輩への思いを込めて折ったの。
きゃー、これで七梨先輩はあたしのものよ―。」
そういえばたかししゃんも千羽鶴を折っていたような。たしか、
“この鶴1つ1つにシャオちゃんへの思いを込めて折る。
うお―、これでシャオちゃんのハートは俺のものだー!”
とか言ってたでし。2人ともやる事はおんなじなんでし。
えーと、『違うように見えて、実はそれほど変わらない。にたりよったりである』という事でし。
2人の努力が報われる日は、いつくるんでしかねえ。


「小食は長生きのしるし」でし
『暴食を慎んで養生すれば長生きができる』という事でし。
ちなみに小食は“しょうしょく”じゃなくって“こじょく”と読むんでしよ〜。
「ちょっとごみチビ、どういうつもりよ。」
何がでしか?
「またあたしにあてつけてるみたいな言葉を・・・。」
たまたまそういう言葉があっただけでしよ。
それともなんでしか?ルーアンしゃんはやっぱり気にしてるんでしか?
「気にするわけ無いじゃない。」
だったらその不満そうな顔はなんでしかねえ?
「ぐっ・・・自分だって暴食しまくってるくせに・・・。」
お饅頭だけでしよーだ。
「だけ、っていう問題でもないでしょ。」


「碁で負けたら将棋で勝て」でし
「なるほどな、納得のいく言葉だ・・・。」
やけに感心してるでしね?たかししゃん。
「たとえば・・・考えたくは無いが将来、太助がシャオちゃんと結婚してしまったとしよう。
いくらか年月が経った時にそんなになって・・・俺は涙しながらそれを見守るが・・・。
・・・しかし、俺はこだわらない。太助はいいやつだ。シャオちゃんを幸せにしてくれるはずさ。
その時は、俺は花織ちゃんで妥協・・・
ぐあああ!こ、これでいいのか!?本当に太助に譲っていいのか!?
シャオちゃーん!俺は失格だー!!」
・・・なんか叫び出してしまったでしが。
『一つのことに失敗したら、それにこだわらず別のことで取り返せ』という事でし。
「シャオちゃんシャオちゃんシャーオーちゃーん!!」
ちょっと!うるさいでしたかししゃん!


「小鳥の多い年は豊作」でし
『天候がよいと小鳥の食物も豊富で鳥も繁殖する。そういう天候の良い年は豊作である』という事でし。
そこで!離珠と羽林軍しゃんによる、豊作を試してみよう企画〜!!
「・・・何やるつもりだ?」
虎賁しゃん、よーく見ててくだしゃい。
今から羽林軍しゃんが小鳥となって、見事繁殖に見せかけるでし!
「羽林軍は小鳥じゃねーだろ。」
大丈夫でし!講師として天高しゃんを招いているでし!
「講師が居たって無理だと思うぞ。」
しかも天候と天高をかけてるでし!こんな綺麗なのはないでしよ〜。
「ますますくだらねー・・・。」
さあいくでしよ、羽林軍しゃん。離珠を筆頭に繁殖した小鳥として旅立つでし!
「おい、そろそろいいかげんなことはやめてさ・・・」
天高しゃん、よろしく頼むでし!
「おい、待・・・」
ばさささささささ
「いいっ!?・・・って、天高に皆が乗ってるだけじゃねーか!」
ふっふっふ、どうでしか虎賁しゃん!
「いや、天高がバランス危ないって、よろけてるって!」


「ことわざは日常の経験の娘なり」でし
さてさて、離珠がいろいろ解説してきたことわざへのことわざでし。
『ことわざは日常の経験から生まれた人生の教訓であり、知恵である』という事でし。
まったくその通りでしね。もう何も言う事は無いでし。
これからも日常にそって、離珠がどんどん解説していくでしよ!


「子無しに子を呉れるな」でし
『子を持ったことの無い人は子のかわいさを知らない』という事でし。
「たしかに、子供の無い兄弟姉妹に子をくれたために仲たがいになることさえあるしな。」
翔子しゃん、経験あるんでしか?
「いや、そういうのは無いけど・・・。そういう例を聞いたことがあるってだけだよ。」
ちょっと実験してみないでしか?
「何をだ?」
丁度太助しゃまと那奈しゃんは姉弟でし。
「やめた方がいいと思うけど・・・。第一それだったら、シャオと七梨にさ・・・」
だうー、そういう例はいくらでもあるんでしよ!
「そう怒らなくても・・・。」


「小鍋は直に熱くなる」でし
『ちょっとした人にはそれほど苦労しなくても成れるが、
大人物には急になかなかなれるものではないというたとえ』という事でし。
「たとえばだ。太助にはなれるが俺には成れない!ということだ。」
「やれやれ、自惚れもここまでくると立派なもんだな。」
「山野辺、そりゃどういう意味だ?」
「そのまんまの意味だよ。」
しかし翔子しゃん、逆にたかししゃんの言うことは当たってるかもしれないでしよ。
「さすが離珠ちゃん!わかってるなあ。」
「そんな馬鹿な・・・っていうか大人物の意味が違くねーか?」
いやいや、離珠は間違っていないと思うでしよ。
だって、たかししゃんになんて絶対急に成れないでし!
「それは七梨も同じだと思うけど・・・ま、あの性格じゃな。」
「はっはっは、やっぱり俺はすごいってことだな!」
いろんな意味で、でしね。
「そーいうこと。」


「子に過ぎたる寶なし」でし
えーと“白がねも黄金も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも”というように、
『子はこの上ない宝である』という事でし。
「時にはもてあましている人もいるんだけどな。」
那奈しゃん、たとえば誰でしか?
「旅先で見かけた人、とでも言っておくよ。
先に言っておくけど、母さんと父さんとは違うからな。
あの二人は、やっぱりあたしと太助を宝のように思ってるし、ちゃんと・・・。」
ふむふむなるほど。って、ちゃんと、の続きはなんでしか?
「それは秘密。言わないことにするよ。」
えうー、気になるでしよお。


「子にすることを親にせよ」でし
『子にする心で親につくせ』という事でし。
「とは言っても、あたし達には子供がいないしなあ。」
「那奈姉、子供ができてからそれは思えばいいんじゃないのかな。」
「太助、お前はすぐにでも作れるだろうからいいけど、あたしはそうはいかないんだからな。」
「おい・・・どうしてそういう言葉がいきなり出てくるんだよ!」
「事実を言ったまでだ。」
「事実って・・・那奈姉のそういう所直してくれよ!」
で、ではこうしたらどうでしか?離珠を那奈しゃんと太助しゃまの子供だと思うとか。
「懸命な意見だけど、あたしと太助のって時点でアウトだ。やっぱり太助とシャオの子供でなきゃ・・・。」
「いいかげんにしろって那奈姉!」


「子に引かるる親心」でし
「これはもしかしたら宮内の母親のことかもしれないな・・・。」
「那奈さん、それはどういうことですか?」
「考えてもみろよ。いつもいつもうちに貢物をもってくるのに・・・。
お前の母親ってそれでも宮内のために作ってるんだろ、和菓子を。だから・・・」
「失敬な!私が持って行っているのは余った和菓子です!
それに貢物じゃありません!おみやげです!」
「似たようなもんだろ。」
「違います!」
・・・えーと、とにかくこれは、
『子供かわいさのために親の心はくもる』という事でし。
離珠はご馳走になりに行ったことがあるから出雲しゃんのおかあしゃまの事は知ってるでしよ。
那奈しゃん、変な誤解はやめてほしいでし。
「わかったよ、離珠に免じて認めるよ。」
「どうもその言い方は納得がいかないのですがね・・・。」


「粉糠三合あったら婿にゆくな」でし
昔はしゅうとさんやしゅうとめさんが監視の目を光らせていたりなんかで、
ほとんど自由がなかったんでしね。
「なんて縁の遠い話なのかしらねえ・・・。あたし達の近辺でそういう例ってないんじゃないの?」
ルーアンしゃん、それでもやるのが解説でし。たとえ話で理解してもらうんでしよ。
「となると・・・しゅうととかしゅうとめを出すの?」
その通りでし!とりあえずたかししゃんと花織しゃんのところへ、乎一郎しゃんが婿養子に!
これは多分とてつもなく大変でしよぉ〜。
「・・・そんな物好きなこと遠藤くんはしないんじゃないの?」
ルーアンしゃんのお嫁・・・じゃなかったでし、お婿しゃんになら行くと思うでし。
「そこでなんで間違えかけるのよ!まあそういうたとえならなんとかわかるかもね・・・。
でもね、南極寿星の頑固じじーとふりょうじょーちゃんの娘のシャオリンの元へ婿に行くとしたらどう?」
・・・なんだかとても恐ろしいたとえでしね、それは。
「何にしても、これって大袈裟な言葉よね。」
どうしてでしか?
「粉糠三合で何が足りるっていうんだか。あたしなら絶対にいっちゃうわね。」
ルーアンしゃんは別だと思うでしが・・・。


「子の心親知らず」でし
『このごろの子供は駄目だというが、案外感心な考えを持っている。
それを察することができずに親は、子を考えのないものだと思っている』という事でし。
「まったくこの言葉の通りだよなあ。親父って本当に俺の気持ち分かってるのか?」
「太助様、それだと違う意味になってきませんか?
それに、太郎助さんはきっと太助様の気持ちをわかってらっしゃいますわ。」
「うーん、シャオがそう言うんなら・・・。」
ちょっと待つでし!だからって解説を終えていいものじゃないでしよ!
「でも離珠、他にいいたとえもなさそうだし。」
「そうそう、シャオの言うとおりだよ。」
むう。ならば離珠が二人の子供の役をかって出るでし!
金魚しゃんにえしゃをあげようとしたりお皿を並べようとしたりことわざの解説をしようとしたり!
そんな離珠に対して太助しゃまとシャオしゃまはきちんと離珠のことを考えてくれてるでしか!?
離珠はやれるんでし!半端な状態では解説はやめてはならないんでし!
「「・・・・・・。」」
?どうしたんでしか?二人とも。
「離珠、いくらなんでも・・・。」
「俺とシャオのこ、子供ってのは・・・。」
無理があったでしか?
「う、うーん・・・。」
「ま、まぁ、離珠が買って出てくれたんだしさ。素直に受け止めようか。」
「そ、そうですよね。うふふふ。」
なんだか二人とも様子が変でし・・・。


「子は有るも嘆き無きも嘆き」でし
『子があるとそのために色々と心配事が多いけど、
無ければ無いでまた心配や苦労の種になる』という事でし。
「たしかに夫婦にとっちゃあ問題になるよな。」
そうでしね、那奈しゃん。
「そこでだ!シャオと太助にはそうならないよう、ちゃっちゃと子供を作ってもらう!」
ええええーっ!?
というわけで、那奈しゃんの!シャオしゃまと太助しゃまに子供を作ってもらおうコーナー!
・・・本気でしか?
「本気だ。」
しかしでしねえ・・・。
「大丈夫だ、二人ならやれる!姉のあたしは信じている!」
そこまで自信たっぷりなら大丈夫でしかね。那奈しゃん!後は任せたでし!
「おう!」
「任せたじゃないー!」」
「任せたじゃありません!」」
わわっ、太助しゃまにシャオしゃま!
「あ、丁度いいところに。これからあたしが二人にびしっと子供の作り方を・・・」
「教えるな!」
「離珠も!どうして止めないの!」
「いやシャオ、止めても無駄だ。那奈姉はそういう人間だと離珠もわかってるんだ。」
「太助様・・・ではどうすればいいのですか?」
「それはもちろん・・・」
「なに二人でこそこそやってんだ?いいから始めるぞ!まずは・・・」
「だからやめろー!」」
「やめてくださいー!」
・・・ふう、久しぶりにえきさいとした解説だったでしね。


「子は生むも心は生まぬ」でし
『親は子の体は生んでも心までは生まない』という事でし。
だから“親に似ぬ子は鬼子”なんて言葉があるでしが、子の心が親に似ないのは当たり前のことなんでし。
「やけに屁理屈っぽい言葉だけど、言われてみれば納得できるね。」
そうでしね、乎一郎しゃん。
「じゃあ納得したところで終わりにしようよ。」
むう、何かたとえがほしいでし。お話でもいいでし。
「贅沢だね・・・。えっと、それじゃあ・・・親の顔が見てみたいって言葉について考えてみようよ。」
ふむふむ。
「このことわざを考えると・・・でも、育てたのは親だからそういう言葉があっても当然だよね・・・。」
がくっ。乎一郎しゃん、言い出してそれはないでしー。
「ごめんごめん。でも、しょうがないんじゃない?」
はう・・・。これにておしまいでし。


「子は鎹」でし
『夫婦の仲が悪くなっても子供があると、子供の為に辛抱する気になって破局が表に出ず縁がつながれ、
危機は去ってしまうものだ』という事でし。
ちなみに鎹(かすがい)っていうのは土台のつなぎ目や、梁と梁をつなぐためなどに打つ金具の事で、
二つのものをつなぎとめる役目をなすものの意味にも用いられるんでし。
「いざ太助とシャオの夫婦仲が悪くなったときにも、子供が居れば安心ってわけだな。」
「那奈姉、どうしてそういうたとえを・・・。親父と母さんのたとえとかは!?」
「あの二人のどこが仲が悪いってんだ。で、だ。太助、今からでも子供を作っておけ。」
「はあ!?」
「将来に備えておくんだよ。子育ての勉強にもなるし、一石二鳥だ。」
「無茶言ってんじゃねー!!」
「心配ない。ちゃんと今の年齢なら子供も作れ・・・いやまて、精霊でも子供できるのかな・・・。
ちょっとシャオに聞いてくる。」
「おいこら!余計なことするなって!」
・・・ふと思ったんでしが、離珠では代わりにならないでしかね?


「呉服五層倍」でし
『五層倍は呉服に言葉を合わせたもので、呉服は原価の五倍にも高く売りつけるという事。
呉服だけでなく、製造原価を知っている者から見ると
販売価格は恐ろしいほど高くなっている』という事でし。
「ですから太助様、このお肉もお野菜ももとはいくらなのやら。」
「いや、そこまで気にしなくても・・・。」
「そこで提案です。家庭菜園をしてはどうでしょう?」
「家庭菜園?」
「ええ、翔子さんから教えてもらったんです。
キリュウさんが中心となって手伝ってくださるそうで。」
「そっか、キリュウは大地の精霊だしな。」
「あと、鳥や牛も・・・」
「ダメだ!!」
・・・という訳で、家庭農場は中止になってしまったでし。
でも、一応少しの野菜は作るようになったんでしよ。
「残念だわあ、キリュウの万象大乱で牛をおっきくすれば思いっきり肉が食べられるのに。」
「ルーアン殿、私の能力はそういうためにあるのではないのだが・・・。」


「瘤の上の腫れ物」でし
「主殿、今回の試練だが・・・。」
「うん。」
「実は自ら試練を行いたいという志願者が居て、その者達に任せることにした。」
「へえ・・・。で、達ってことは複数人?」
「そういうことだな。では頼むとしよう・・・折威殿。」
「折威?」
キリュウしゃんが合図すると、天井から何かが降ってきたでし。
どすん!
「うわっ!?」
たまらずその場に崩れ落ちる太助しゃま。降ってきたのは折威しゃんだったわけでしね。
「ぐ、こ、これはさすがに・・・っていうか・・・今のは効いた・・・。」
「これが今回の試練だ。折威殿の重さに耐える。」
「い、いや、重さって言うよりは、さ・・・。」
「・・・?どうした、主殿。まだ折威殿は一人しか乗っていないぞ。」
「しょ、衝撃、が・・・。」
物凄く太助しゃまは辛そうだったでし。
当然でしねえ。ただでさえ、普通に乗っても重い折威しゃんが降ってきたんでしから。
その衝撃は相当なもののはずでし。
そして今、太助しゃまに乗ってる折威しゃんでしが、丸い玉を背負っていてコブみたいでし。
そこに新たな折威しゃんが降ってくれば、腫れ物そのものでしね!
『不運や災難の上にまた同じような不運や災難が重なる』という事でし。
え?強引でしって?折威しゃん、そういうくれーむは受け付けないでしよ。
「では次の折威殿を呼ぶとしようか。」
「い、いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!これ以上の衝撃はちょっと・・・。」
「まだ始まったばかりで弱音をはいてもらっては困るぞ。更に私の能力を合わせるのだからな。」
「げっ・・・ってことは万象大乱と・・・?」
「さて、それでは次・・・」
「うわー!本気で待ってくれってー!!」


「小坊主一人に天狗八人」でし
辛い事でしが、ここは是非実例を示しておかなければならないでし。
まず小坊主は虎賁しゃんでし!!
「おいこら!なんでおいらなんだ!!」
だって小坊主で一人なんて、虎賁しゃんしかいないでし。
「八穀とかいるだろーが!」
しゃて、次に天狗八人でしが・・・。
「無視すんな!!」
北斗七星しゃんの登場でし!!
えっ?七人しか居ないって?しょこは一人名乗り出てくれたひとがいたんでしよ。
南極寿星しゃんでしー!
「おっほん。ワシが来たからには百人力じゃ。」
何を言ってるでしか、一人分でしよ。
「・・・まあよい。さて北斗七星よ、ワシを中心にして行くぞ?」
“こくり”
八人が一致団結!!
最も位が高い星神&最も強い星神!
果たして虎賁しゃんは勝てるか!?バトル開始でし!!
「おわあああ!!」
「むっ!?逃げるか虎賁!追うのじゃ北斗七星!!」
・・・勝負にならないでしね、これは。
しょんなわけで『たった一人の弱い者に強い者が大勢で向かう』という事でし。
「げ、月天さまー!!!」
「むむ!?シャオリン様を呼ぼうとは・・・待避じゃ、北斗七星!!」
しゅいーん
虎賁しゃんを追いかけていた八人が身を翻して飛び去っていったでし。
・・・しゃて、雷が落ちる前に離珠も・・・
「離珠!!虎賁をいじめるなんてなんて解説なの!!」
ひ、ひええ!!一歩遅かったでしー!!


「小股取っても勝つが本」でし
『何をおいても勝つことが大切で、そのためには正しいやり方でなくてもやむを得ない』という事でし。
「これは相撲の勝負で、ってことだよね。」
多分そうでしね、乎一郎しゃん。相手の股に手をかけて倒すようなやり方でも仕方ない、ってことでし。
「でもそういう卑怯なのはなあ・・・。」
「遠藤先輩!そんな弱気じゃダメです!」
か、花織しゃん。
「ダメ、って言われても困るんだけど。」
「たとえばですよ、遠藤先輩。ルーアン先生から相撲の決闘を申し込まれました。」
ルーアンしゃんはそんなことしないと思うでし。
「けれども結果は見えてます!こうなったら遠藤先輩はそういう手段をとっても仕方ないです!
そう、勝てばルーアン先生と恋人同士になる約束を結んだのですから・・・。」
「え、ええっ!?」
「そこで!やるんですよ、こう、ルーアン先生の股を・・・。」
「え、ええっ、と・・・。」
仮に花織しゃんの言う状況になったとしても、多分乎一郎しゃんはやらないと思うでしがねえ。


「駒の朝走り」でし
馬しゃんは、朝出発したばかりは元気がいいんでしが、やがて元気をなくしてしまうでし。
「へえ〜、馬ってそういうもんなんだ?」
そうでしよ、花織しゃん。そういうわけで、
『始めは元気があるが、それが終わりまで続かない』という事でし。
「離珠ちゃんは元気だからそんなことないよねえ。」
花織しゃんこそ元気いっぱいでし。
「そりゃあもう、七梨先輩とだったら一年中遊んでられるんだから!」
それは非常に問題ありだと思うでし・・・。
「なんなのよ、その目は。」
な、なんでもないでし。


「独楽の舞い倒れ」でし
『自分一人だけひどく張りきって働いて、
まだ何にも出来ないうちにへとへとになって倒れてしまう様子』という事でし。
「ばっちり野村先輩ね。」
そうでしね。よくわかんない作戦をいっぱい立てて、よく空回りしてるでし。
「ついでだから実行してもらいましょ。」
どうやるんでしか?
「あっ、丁度いいところに、向こうからやってくる。よーし・・・。」
何をするつもりでしか?
「ああっ!!あんな所にシャオ先輩が!!」
「なにーっ!?」
花織しゃんが叫んだ途端、たかししゃんが猛ダッシュしてきたでし。
そして・・・
ずざざざー!!
見事なすべり!じゃなくって、こけて滑ったんでし・・・。
「ね?こんな風に、無駄に体力使ってるところとかばっちりよね。」
うーん、でもこれはまだ・・・。
がばあっ!
「花織ちゃん!シャオちゃんはどこ!?」
「うわっ、まだまだ元気だ・・・。」
「あれ、離珠ちゃんも?・・・なるほど!事件はすべて読めた!!」
「はあ?」
「じゃあな!!」
ダダダダダ!
・・・行ってしまったでし。
「ほらね、ああいう所がやっぱり・・・。」
でも倒れてないでしよ。たかししゃんは凄いでし。
「そ、それもそうね・・・。」


「ごまめでも尾頭付き」でし
解説の前に、ごまめって何でしかねえ?
「この漢字ごまめって読むんだ・・・。」
感心してないで花織しゃん、何なのか教えてくだしゃい。
「うーん・・・離珠ちゃんみたいなちっちゃい小って事じゃないかしら。」
・・・どうしてでしか?
「こまめ、って小まめって書くじゃない?だから。」
・・・絶対に違うと思うでし!
「でも意味は?」
意味は・・・『小さくても形は整っている』という事でし。
「ほらあ、やっぱりそうじゃないの?」
ううーん・・・。
※ごまめっていうのはカタクチイワシを干したものだと後に判明したでし。


「虚無僧に尺八」でし
虎賁しゃんに笛、でし!
「はあ?なんでそうなるんだ。」
だっていつも首からさげてるじゃないでしか。
・・・不満なら、シャオしゃまに支天輪でし!
「まあいいだろう。」
なんかえらそーでし・・・。
ともかく!『いつもかならずついているものの例え』という事でし。
「後は、離珠に筆とか。」
なるほど、そういうのもあったでしね。
「・・・ありにしていいのか?」
今更何を言ってるでしか。現状を見てくだしゃい!
「たしかに、今使ってるよな・・・。」


「米が上がると家賃が下がる」でし
『米の価が上がれば生活が苦しくなるので、逆に家賃が下がる』という事でし。
けれども今は全然しょんなことはないらしくて・・・。
「米が上がると家賃も上がる。」
という事でしね、翔子しゃん。
「シャオ大丈夫かな。ちゃんと七梨と二人でもやってけるかな・・・。」
大丈夫でしよ、シャオしゃまなら。
「まとめてこれだけでさあどうだ!なんて安売りに引っかかりそうなんだよな・・・。」
翔子しゃん、しょういう見方はシャオしゃまに失礼でし。
「一度シミュレーションしてみようか。あたしが店員やって・・・って、それだと絶対買いそうだよなあ。」
無理にしょういうことをしなくてもと離珠は思うでしが・・・。


「子持になると唖が物言う」でし
『どんなに無口の人でも子供をもつと世話を焼いたりしかったりするので、
つい喋るようになる』という事でし。
「つまりは、あまり喋らない無口なキリュウに子供をつくらせるべきだって事だな。」
「那奈さん、別につくらせるべきではないと思うんですが・・・。」
「先に言っておくが宮内、だからと言ってお前キリュウに手出し・・・」
「しません!!まったく、あなたはどうしてそういう事を言うんですか!!」
まったくでし。那奈しゃんは変なこと言い過ぎでし。
「なんだよその目は・・・。そうだ、離珠も子供ができれば喋れるようになったりして。」
「那奈さん、いいかげんにしたほうがいいと思いますが?」
そうでし!離珠はもともと喋れないんでし!
「今のは真面目だぞ。子供ができることによって、
離珠は星神の制約から逃れられるんじゃないかって思ったんだ。」
「・・・なるほど、そういう事もありえなくもないですね。
離珠さん、そこのところはどうなんでしょうか?」
はう、そんなのわかんないでし。
第一離珠は子供なんてできたことないでしから・・・。


「子持二人扶持」でし
『妊婦や乳飲み子のある母親はたくさん食べる』という事でし。
「だから、たくさん食べるルーアンは実は子持ちなんだって噂が耐えない。そこんとどうなんだ?ルーアン。」
「ぶっ。お、おねーさま。一体どこからそんな噂を?」
「勘だ。」
「・・・それは噂じゃないんじゃありません?」
「本当は離珠から聞くように頼まれただけだ。で、どうなんだ?」
「あたしが子持ちなわけあるわけ、ないじゃありませんの。」
「そうか・・・もし本当なら、子持ちのくせに太助を狙ってどういう神経してんだとか言おうと思ってたんだけど。」
「な、なんてことを・・・。」
むむう、残念でしねえ。
「ってごみチビ!あんたおねーさまになんてことをふきこんでんのよ!」
り、離珠は那奈しゃんに相談したらルーアンしゃんに聞こうって言われただけでしよ〜。
「いやあ、ははは。そういうことだ、だから気にすんな!」
「気にしますわよ!」


「転んでもただでは起きぬ」でし
ある日の昼休み、出雲しゃんが教室にやってきたでし。
「こんにちはシャオさん。昼食にと思って、パンを持ってきました。」
「まあ、わざわざありがとうございます。」
「でも出雲、弁当がちゃんとあるからそんなものいらないよ。」
それもそうでしね。いつもシャオしゃまがお弁当を作ってくれてるから、
購買でパンなんて買わなくてもいいんでし。
けれど出雲しゃんは少し動じただけで、次にはこんな事を言ってきたでし。
「それではシャオさん、おやつにしてはいかがですか?
太助君は育ち盛りですから、きっと必要になると思いますよ。」
「そうですね。そこまで考えていただいてたなんて、
出雲さんてやさしいんですね。」
「本当に俺のことを考えて・・・?」
太助しゃまは疑問に満ちた表情だったでしが、シャオしゃまはごきげんでし。
なるほど、これでシャオしゃまに好印象を与えようって魂胆でしか。
『どんな場合にも、何かしら利になるものを探し出す』という事でし。
いつもいつも準備万端でしね。
出雲しゃんは転ぶなんて事は無いみたいでし。


「碁を打つより田を打て」でし
れじゃーぶーむだとかなんとかで遊んでつまらないことに時間をつぶす人が多いでしが・・・
『遊んでいるより仕事に精を出せ』という事でし。
でしから花織しゃん!
「何よ離珠ちゃん。あたしから遊びを取るなんてそんな悪魔みたいなこと・・・」
当然でし!いっつも遊び道具を持ち込んでるじゃないでしか。
って既にその手に持ってる剣玉は何のつもりでしか!
「だってこれから七梨先輩と遊ぶんだも〜ん。しちりせんぱ〜い!」
ああっ、ま、待つでしよー!
・・・くっ、行ってしまったでし。
「まあまあ離珠さん。そう深刻に考えることも・・・」
出雲しゃん!出雲しゃんこそ遊んでばっかりじゃ駄目でしよ!
「はあ・・・。私は遊んでいませんよ?
しっかり神主の仕事と購買部の仕事とこなしてるじゃありませんか。」
だってこの前那奈しゃんが言ってたでしよ。出雲しゃんは女遊びが過ぎるって!
「・・・・・・。」
・・・あれ?どうしたんでしか?
「那奈さん、なんていうことを・・・。」


「子を知ること親にしくはなし」でし
ふっ、今回は例えなくして、ストレートに行くでしよっ!!!
『子供の健康や長所、短所などは誰よりも親が一番良く知っている』という事でし。
「・・・なあ離珠、なんで例えが無いんだ?」
虎賁しゃん、太助しゃまのことを考えてくだしゃい。絶対例えなんて出せないでし。
「・・・確かに。おいらはぼうずの両親に会った事が無いしな。」
離珠はさゆりしゃんに会ったんでしよ。でも、とてもじゃないけど情報が少なすぎるでし。
「でも、そうやって諦めるのか?離珠、お前はそんな奴じゃなかったはずだ。」
・・・虎賁しゃん、なんだか偉そうでし。
「当然だ。おいらはお前の保護者だからな。」
・・・・・・。


「子をもって知る親の恩」でし
「太助、お前は親父や母さんに恩を感じているか?」
「いきなりなんだよ那奈姉。うーん・・・あまり深く無いかもしれない。」
「だろうなあ。」
「だってさ、息子を一人ほっぽって海外へ、だなんて。
そりゃあ想ってくれてるってこともわかるさ。だけど・・・。」
「よし、そこまで聞けばとりあえず十分だ。離珠!」
はいでし!
『自分が親となって子供を育てると、
初めて自分を育ててくれた親の恩やありがたさが分かる』という事でし。
「?これがどうかしたのか?」
「太助、まだわからないか?つまりだ、シャオとの間に子供でもできれば!
親父や母さんの恩なんかも分かる!そして孫も出来て二人も喜ぶ!
なんと一石二鳥以上になる事うけあいだぞ!!」
「それが言いたかったのかよ・・・。」
「さあ、それじゃあ早速子供を・・・」
「まだ俺には早いだろ!今中学生だぜ!?」
「細かい事を気にすると世の中生きていけないぞ。じゃあ離珠、シャオを呼んでくれ。」
はいでし。
「ちょっと待てって!!」
「・・・そうか、そういえばあたしがおばさんと呼ばれるようになるのか。
なんか変な感じだが・・・まあ大目に見てやろう。」
「おいこら!何一人でなっとくしてやがんだ!!」
シャオしゃま〜。
「あ、那奈さんに太助様。二人が呼んでるって離珠が言ってたものですから。」
「来たなシャオ。これから・・・」
「本当に待ってくれ那奈姉えー!!」


「今日学ばずして来日ありと言うなかれ」でし
例えば・・・。
「ねえたー様、宿題やらなくって平気なの?」
「大丈夫大丈夫、どうせ明日は日曜だしさ。明日やればいいよ。」
こんな事を言っている太助しゃま。ところが翌日!
「太助ー!!」
「七梨せんぱ〜い!」
・・・とまあ(ちょっと略でし)いつもの皆しゃんが遊びに来たんでし。
それが夜中まで続き、結局太助しゃまはその日も宿題ができない状態に!
まったく駄目でしねえ。ちゃんとやれる日にやっておかないからいけないんでしよ。
『今日何もしないで、明日があるからと言って勉強を先に延ばしてはいけない』という事でし。
ちなみに、今日(こんじつ)というのはきょう、来日(らいじつ)というのはあしたということなんでし。
「けどなあ・・・。」
なんでしか太助しゃま。
「七梨帝王の趣味を調べる宿題なんて・・・。」
そ、そうなんでしか・・・。
・・・ルーアンしゃん、なんて宿題を出してるでしか!!
それにしても他の皆しゃんは一体どうやってこの宿題をやったのか凄く謎でし。


「五両で帯買うて三両でくける」でし
「たとえば!七梨とシャオが将来新居を構えるとしよう。」
「おっ、翔子。いいたとえだなぁ。」
「家を買った!けれども家を買うだけのお金じゃあ当然暮らせない。」
「ふむふむ。・・・でも待てよ、羽林軍に頼めば家なんか買わなくていいんじゃないのか?」
「那奈ねぇ、それはだめだろ。七梨とシャオの力で家を構えなきゃ。」
「ああそうか、あっはははは。」
「で、だ。家を買った!しかし家具が無い!」
「そこで!試練で培った技で太助が、作るわけだな。日曜大工とか。」
「・・・キリュウってそんな試練やってんの?」
「いや、やってないな・・・。だめじゃないか!やらせないと!」
「無理にやる必要もないと思うけど・・・。」
「将来太助のためになる!たとえば・・・」
「えっと・・・“太助様、戸棚が壊れてしまったんです。直してくださいませんか?”」
「“ああ、任せとけ。こんなのちょちょいのちょいさ!”」
「“まあ・・・。素敵ですわ、太助様。”」
「“あはははは”・・・とまあ、こうなる。」
「なるほど、盲点だったなこりゃ・・・。那奈ねぇ、今度からキリュウにモーションかけといてくれよ。」
「おっけー。物を壊すばっかりじゃなく、作る方ももっと鍛えるように言っておくよ。
・・・あ、でもそういや壊した物はしっかり直してたような気がするぞ。」
「どういうことだ?」
「たとえば、ベッドを大きくして壁が壊れた時の修理とか・・・。」
「ええっ?なあんだ、やっぱりキリュウはそういう試練やってるじゃん。」
「いやあ、深く気付かなかったよ。となると大丈夫だな・・・。後は家事か?」
「けどそういうのってシャオが全部やるんじゃないのかなあ。」
「いつまでもシャオに任せてちゃだめだろ。女が家に居続ける時代は終わったんだ。」
「那奈ねぇは台所に入らないからそういう事言ってるんだろ。でも、言われてみればそうだな。
七梨もたまには家事手伝いをするべきなんだな。」
「“シャオ、ここの部屋は俺が掃除するよ”
「“太助様、でも・・・”」
「“いいからいいから。”」
「“じゃあ・・・お風呂掃除だけでも一緒にやりませんか?”」
「“えっ?どうして?”
「“その・・・お掃除が終わったら一緒にお風呂に・・・”」
「“しゃ、シャオ・・・”・・・おおっ!いける、いけるぞ!!」
「ようし、この手でいこう!」
・・・えーと、いつまでもぐだぐだやってても仕方ないので意味をいくでし。
『大事なことより、枝葉の方にかえってお金がかかる』という事でし。
折角翔子しゃんと那奈しゃんに解説を任せたのに・・・
なんで余談ばっかりが増えるんでしか!?


「頃は三月夜は九月」でし
「これはキリュウにとってはありがたーい言葉だろうな。」
そうなんでしか?翔子しゃん。
「意味を考えればいっぱつじゃん。」
そうでしね。
『一年中で一番気候が良いのは、陰暦の三月の暖かい日と九月の涼しい夜である』という事でし。
「翔子殿、離珠殿・・・。どうしてこれが私にとってありがたい言葉になるんだ?」
おおっと、キリュウしゃんの登場でし。翔子しゃん、理由説明お願いするでし。
「よしきた。意味を見ればわかるだろ?
暑いの嫌い寒いの嫌いなキリュウにとって丁度いい時期を表わしてるんだ。
つまり、その時期を狙って主に試練活動をすれば存分に力が発揮できる!というわけなんだな。」
「なるほど、たしかにありがたいな・・・。しかしこの時期だけというのも・・・。」
「そこはキリュウの頑張り次第だろ。」
それ以前に、その時期にしか試練をやらなくなったらキリュウしゃん贅沢過ぎでし。
離珠は一年中頑張ってるでしよ。
「あははは。キリュウ、一本とられたな。」
「・・・・・・。」


「権者にも失念」でし
まず出雲しゃん。権者とは何でしか?
「権者というのは神様や仏様が人々を救うために姿を変えてこの世に現れた人の事ですが。」
その通りでし!・・・で、失念ってなんでしかねえ?
「うっかりして忘れること、ですね。」
その通りでし!・・・むむう、離珠はうっかりそれらの意味を忘れてしまっていたでし。
「はい?」
というわけで、『どんな偉い人にも失敗はある』という事でし。
「つまりは離珠さんが権者であると、そういう解説なのですか?」
うっ!り、離珠はそろそろ戻らなければならないでし・・・さらばでし出雲しゃん!
「・・・・・・。」


「渾沌の死」でし
例えばでし、虎賁しゃん。キリュウしゃんにいつも笑顔でいるように言ったらどうなると思うでしか?
「そんなの無理じゃねーのか?たまに笑顔は見かけるけどさ・・・。
第一そんなことしたら、無理に笑顔作ろうとしてストレスでぶっ倒れそうな気がするな。」
じゃあルーアンしゃんに、おしとやか〜な作法を仕込んではどうでしか?
「同じだ。多分ストレスで倒れてひでー事になりそうだ。
おしとやかに出来ねー事はね〜んだろうけど、やっぱりなあ・・・。」
といった所でしね。実際にやると面倒なのでこのままいくでし。
『やらなくても良い余計な事をしたために、肝心な事が壊れたり無くなったりして失敗する。
人の手をくわえない自然が一番良いという意味の例え』という事でし。
渾沌というのは、中国の神話に出て来る自然神の名前でし。
この神しゃまには顔が無くて、それに人間と同じく目、耳、口、鼻の七つの穴を、
南海の神しゃまと北海の神しゃまが無理にこしらえてしまったために、
渾沌しゃまは死んでしまった、ということから来たんでし。
「離珠、お前よくそんな事知ってるなあ・・・。」
えっへんでし。
「ついでに言うと、例え出すよりもとの話だけの方が良かったかも。」
ぷう、虎賁しゃんきらいでし。


「蒟蒻で石垣を築く」でし
えーと、ここはキッチン。太助しゃまとキリュウしゃんがなにやらやっているみたいでし。
「さあ主殿、組みたてられよ。」
「なあキリュウ、いくらなんでもこんなので壁を作れってのは無理があるんじゃ・・・。」
「それも試練だ、耐えられよ。」
どうやら、太助しゃまがとある物で壁を作っているみたいでしね。
そのとある物とは・・・蒟蒻でし。
「完成したか?」
「ああ。ま、こんなもんじゃない?」
本当に壁を作り上げたみたいで、太助しゃまの傍におっきな壁が。
一体どこにこんなに沢山の蒟蒻があったんでしかねえ・・・。
「では主殿、これから私はそれを石垣のつもりで攻撃を行う。
主殿はそれで攻撃を耐えられよ。崩れたら再び直すのだぞ。」
「んな無茶な・・・。」
離珠も同感でし。蒟蒻の壁がどうして石垣に・・・。
「では行くぞ、万象大乱!」
「うわああっ!?」
どーん!
・・・予想通り、蒟蒻の壁はあっという間に崩れてしまったでし。
「崩れたな・・・。早く直されよ。」
「やっぱり無理がないか?蒟蒻の壁なんてすぐに崩れるし・・・。
だいたいこれを石垣に見たてるなんて無茶もいいとこじゃないか。」
「それも試練だ。」
「はいはい・・・。」
少し言い合っていると、そこへシャオしゃまがやって来たでし。
「あら、太助様にキリュウさん、何をなさっているんですか?」
「ちょっと試練をな。」
「そうそう、蒟蒻で壁を作ってさ・・・。」
太助しゃまが笑いながら応えて指差すと、それを見たシャオしゃまの表情がこわばったでし。
「・・・それで、壁を作ってどうしようと言うんですか?」
「い、いや、だから試練に・・・」
「キリュウさん!!!」
「は、はいっ。」
「食べ物を試練に使うなんて・・・一体どういうつもりですか!!!」
「ま、まあまあシャオ・・・」
「太助様は黙っててください!!!だいたいどうして太助様も言わないんですか!!
蒟蒻は食べ物ですよ!!皆で食べる物なんですよ!!!それを試練に使うだなんて!!!!」
「ご、ごめん・・・。」
「すまない・・・。」
怒ったシャオしゃまによって、その試練は取り止めになったんでし。
もう、だから蒟蒻でなんて無理があると思ったんでしよ。
『とうてい出来るはずが無いという例え』という事でし。
それで、今度は庭で発砲スチロールを使ってやってるみたいでし。
「・・・無理矢理な説明だな、離珠。」
「主殿!!余所見をするな!!」


「蒟蒻を馬につけたよう」でし
早速蒟蒻をつけてみるでし。
「・・・なんで僕が馬の役なの?」
文句言わないでし乎一郎しゃん。心配しなくても、蒟蒻についてはちゃんと考えてあるでしよ♪
「え・・・ひょっとしてルーアン先生とか・・・。でもってそれを支えきれないから僕がぐらぐらとか・・・。
なんていわせないよ!僕はしっかりとルーアン先生を支えるんだ!」
うーん違うんでしねえ。蒟蒻の役はこの人でし!
「・・・なあ離珠、なんであたしがこんなことを・・・。」
「あれっ、太助君のおねーさん?しかも蒟蒻って書かれた着ぐるみなんてつけて・・・。」
「シャオに言われるがまま引き受けちまったけど・・・やっぱり嫌だ・・・。」
「なんだか塗り壁みたいに見えますね・・・。」
そうでし!那奈しゃんでし!
乎一郎しゃんには申し訳ないでしが、那奈しゃんで我慢してほしいでし。
「おいちょっと待て離珠。あたしで我慢しろだと?どういう意味だそりゃー!」
「そうだよ離珠ちゃん、たかし君みたいなこと言って・・・。」
はっ!?え、えーと、とにかく那奈しゃん!そのカッコで乎一郎しゃんにしがみつくでし!
「・・・はいはい。じゃー失礼するよ。よっ・・・と。」
がしっ
「う、うわあああ!」
えー、というわけで、『ぐらぐらしているようす』という事でし。
「よくよく考えたら蒟蒻って問題でもない気がするんだけど・・・。」
「気付くの遅いですよおねーさん・・・。」


「権兵衛が種蒔きゃ烏がほじくる」でし
『人のやったことを後からぶちこわす』という事でし。
たまには!皆しゃんにたとえを出して欲しいでし〜。
「えー、まあそんなわけでごみチビのお願いにより、
今日の国語の授業はこの言葉のたとえを出して頂戴ね〜ん。」
ルーアンしゃんは社会の先生のはずなんでしが・・・この際気にしないでし!
「はいっ!」
「野村くん。」
「ふっ、着々と築き上げてきたシャオちゃんゲット計画を!
山野辺や出雲に邪魔される!」
「・・・ありきたりねえ。このたとえでどう?ごみチビ。」
うーん、イマイチでし。
「最悪のダメダメの、烏につつかれて底なし沼に沈みなさいだそうよ。」
「ぐは・・・。」
ルーアンしゃんの伝えにより崩れ落ちるたかししゃん・・・
ってルーアンしゃん!でたらめ言わないでくだしゃいっ!
「今の一言で離珠のおぜん立てが崩壊したような・・・。」
「離珠ちゃん可哀相・・・。」
教室内のあちこちからあわれみの声が・・・
って!まだまだ続くんでしよ!!
「そーね、もう終わりね。」
ちょっとルーアンしゃん!
「じゃあ後は自習ね〜。」
酷いでしー!!


戻るでし。