≪う≫でし!(その1)


「飢えたる犬は棒を恐れず」でし
太助しゃま、大変でし!
「なんだよ、そんなに慌てて・・・。」
ルーアンしゃんのお腹を空き過ぎにさせてはならないでし!
「はあ?なんでまた・・・。」
『腹が減ると夢中になり、どんな悪い事でもする』という事でし。
だからでし!
「いや、そもそもルーアンは犬じゃ無いし。」
だって、陽天心を辺りかまわずかけられてしまったら大変でしよお!
「そりゃそうだけど・・・別に慌てる事じゃ無いよ。
第一、今までそういう事はなかったと思うけど。」
そ、そうでしか?
「ああ。食事は適度に摂ってるし。
でも、恐い言葉だよな・・・。」


「上な見そ」でし
上見れば及ばぬ事の多かりき笠着て暮せおのが心に、ということで・・・
「なるほど、上を見ても見てもいくらでも上があるから、
羨みまくってるとキリがないってことか。」
そうでしよ、太助しゃま。
『上を見てむやみにうらやむな、身の程をしれ』という事でし。
「でも、多分うちには縁の無い話だなあ。」
そうなんでしか?
「多分、な。」


「飢えに臨みて苗を植える」でし
昔々・・・
「ぐるるる〜、お腹すいたわ〜・・・。」
とあるところにお腹をすかしているルーアンしゃんがいたでし。
「そうだわ、苗を植えましょう。今から田んぼにたくさん苗を・・・。」
と、思い立ったルーアンしゃんはせっせこせっせこ苗を植え始めたでし。
けれども、今から植えたって、ちゃんと食べられるようになるには一体いつのことやら・・・。
そうなる前にルーアンしゃんはきっと餓死してしまうでしね。
『必要に迫られてから準備を始めるのは手遅れで間に合わない』という事でし。
「ルーアン殿、何をしておられる?」
「何って・・・田植えよ。あんたも手伝いなさいよ。」
「お腹が空いたのか?それならば果物を手に入れてきたが・・・。
「ええっ!?やったー、キリュウそれ食べさせてー!あ、大きくするの忘れないでね。」
「やれやれ、しょうがないな・・・。」
・・・と、偶然にもその場にやってきたキリュウしゃんによって、ルーアンしゃんは事なきをえたそうでし。
めでたしめでたし、でし。


「上には上がある」でし
『これが一番だと思っているとそのうえがある。上にはきりがない。
最上というものはなかなかないものだ』という事でし。
離珠と紀柳しゃんの、上の上を目指してみようコーナー!
「うむ!というわけで主殿、シャオ殿の上を目指してもらおう。」
「唐突過ぎてわかんないんだけど、何についてどう上を目指すわけ?」
シャオしゃまの上・・・それは髪型でし!
「うむ。シャオ殿の頭の上には、あんてなだか触覚だとか呼ばれている、
いわゆるあほ毛というものがある。主殿はそれを・・・」
「ふざけんなー!」
太助しゃま、途中でさえぎってはだめでし。ちゃんと話は最後まで聞くでしよ。
「要するにシャオ殿よりも長くて立派なあほ毛を生やして・・・」
「俺は絶対にやらねー!ちゅーかそんな上を目指してどうするんだ!?」
それはもちろん・・・。
「シャオ殿に負けぬくらいの主役っぷりを獲得するのだ。
ほら、野村殿も言っていたぞ。主人公はシャオ殿だとばかり思っていたと。」
「だからってそれと髪の毛とどういう関係が・・・。」
ふっふっふ、太助しゃまは知らないんでしね。
「いいか主殿。あほ毛はいわゆる主役の象徴であり、これがある事によって・・・」
「うるさいうるさいうるさーい!何と言おうと俺は絶対にそんなのやらない!」


「魚が水面に出て呼吸していると雨」でし
『天気の悪い時には波が立つので水の中に酸素が良く混じるが、
天気のいい静かな日が続くと水中の酸素は減ってくる。
それで魚は水面に出て呼吸するようになる』という事でし。
そこで!じーっと金魚しゃんを見てるんでしが・・・。
水面に出て呼吸して無いのに、外はざーざー雨が降ってるでし。
むう、このことわざは間違いだったんでしかねえ・・・。
「あのさ、離珠。」
なんでしか、虎賁しゃん。
「ずうっと家の中でいる金魚にそういう事を望むのはおカド違いってもんだぜ。」
ほえ?


「魚心あれば水心」でし
これは“魚が水に親しむ心があれば、水も魚に親しむ心がある”を短くした言葉で、
『相手が自分に好意を持てば、自分も相手に同じ様な気持ちを持つ用意がある』という事でし。
「つまりだ!・・・太助様ぁ〜〜!!」
「シャオぉぉぉぉ〜!!」
突然叫んだ後にひしっと抱き合う翔子しゃんと那奈しゃん。
「「というわけだな。」」
全然わかんないでし!!
仕方ないので離珠が別のたとえを・・・
「おっと、宮内から薄皮饅頭を預かってたんだ。離珠、いるよな?」
ちゅわ!?しょれは本当でしか!?
「その代わりといっちゃあなんだけど、あたしと那奈ねぇが出した例えでOKってことで。」
もちろんでし!!
「「・・・とまあ、そういうわけだな。」」
ふえっ?・・・もぐもぐ。
「「もう食べてるし・・・。」」


「魚と水」でし
「魚にとっての水は・・・人間でいうところの、空気ってとこなんじゃないかな。」
「遠藤先輩、それじゃあ当たり前すぎますよ。ここはやっぱり・・・。」
「花織と乙女チック妄想でしょう!」
えー、いきなりなたとえを挙げてくれたのは乎一郎しゃんと熱美しゃん、ゆかりんしゃんでし。
ふざけないでちゃんと解説してくれそう、とかって思った離珠だったんでしが、
方向性としてよくないでしね。離珠としては似た例が欲しかったんじゃなくて・・・
誰と誰、という人物のたとえがほしかったんでしね。。
なぜならこれは、『切っても切れない仲。密接な関係』という事でし。
「じゃあ僕とルーアン先生かな。」
「おおっと!沿道先輩かなり自意識過剰な発言!」
「それくらい強気ならきっとルーアン先生も振り向いてくれますよ。」
「・・・ごめん、言ってみただけ。」
「えええーっ?ちょっと沿道先輩、そんな弱気でどうするんですか!」
「花織みたいに、もっともっと積極的にならなくちゃ!」
「そ、そうだよね。弱気になってちゃいけないよね。よーし、がんばるぞー!」
「そうそう、その意気です!」
「って、なんで沿道先輩の応援してるんだか。」
・・・離珠の方がそれにツッコミたいでし。


「魚の目に水見えず」でし
離珠の目には空気なんて見えないでし。
「そりゃまあ、空気はもともと見えるもんじゃねーしな。」
こーんな目の近くにあるのに、見えないものなんでしよね。
不思議なもんでし。
「だからあ、空気って普通見えるもんじゃないだろ?」
水槽の金魚しゃん達にとっても、多分周りの水は見えないはずでし。
「つーかさあ、おいら達が水の中に入っても水なんて多分見えないだろ?」
とにかく!身近にあるものには意外に気づかないものなんでし!
『あまり近くにあるものは、かえって目に入らず、気がつかない』という事でし。
いやー、なかなか上手い例えでしよねえ。
離珠が出した例えじゃなくって、この言葉についてでしよ。
「おーい、おいらの事も気付いてくれよ〜。」


「魚は鯛」でし
『魚のうちではタイが一番である』という事でし。
「なんででシュか?」
それはでしね、長沙しゃん・・・。
「ふむふむ。」
ナイショでしよっ!
「・・・・・・。」
まいったでしかっ。
「離珠ちゃん。タイは姿が立派で色が美しくて味がよくて名前も立派だから、でシュよ。」
はうっ!?
「けれど外国ではあまり重くみられて無いんでシュって。」
・・・知ってて聞くなんてひどいでし。
「解説のために聞き手は必要でシュ!」
はう・・・。


「魚も喰われて成仏す」でし
『魚は人に食われて初めて成仏するのだから、気に病むことはない』という事でし。
「いつもあたしは魚とか普通に食べてるけど?」
えっとでしね・・・仏教では魚を食べる事は殺生戒というのを破ることになるので忌み嫌われてるんでし。
「ああ、それで魚を食べるいい口実になるってことか。」
そう、そうなんでしよ。
「まああたしも社会科の教師だからねー。それくらいは知ってたわよ。」
最初に、魚を普通に食べてるけど、とか聞いてきたくせに何を言ってるでしか・・・。


「うかうか三十きょろきょろ四十」でし
『これという事をしないで一生過ごしてしまう』という事でし。
三十代はうかうか過ごしてしまって・・・
四十代になって慌て始めるがなかなか上手くいかない・・・
ということなんでしね。
「って、そんな三十四十で人生終わりってこと?」
そうなんでしねぇ・・・残念ながら・・・。
「うそぉ!昔はそうだったかもしれないけど今は平均寿命も全然違うんだから!
でも・・・乙女薄命っていうからそうかもしれないな・・・。」
・・・花織しゃんは乙女なんでしか?
「何よぉ、文句あるのぉ?離珠ちゃんもある種乙女じゃないのぉ?」
そりゃあ離珠だって乙女・・・
って!ある種ってのはどういう表現でしか!


「浮き沈み七度」でし
『一生のうちには幾度も浮き沈みがあるもので、人生は決して安定したものではない』という事でし。
「うちらの中で一番人生が長いのは・・・」
「そりゃー宮内だろう。な!年寄り!」
「那奈さん、あなたも私と同じ年でしょうに。」
「じゃあ那奈ねぇと出雲にーさんが対象ってことか。」
「ちっ・・・。でも多分人生経験が豊富なのは宮内の方だと思うぞ。浮き沈み激しそうだし。」
「失敬な!那奈さんこそ、世界中を旅されてるんですから経験豊富なのでは?」
「あー、そういやほとんど家に居ないって七梨も言ってたっけなあ。」
「旅っつっても、別に浮き沈みどうとかってのはあまり・・・。それよりは宮内の色ボケ話の方がいいぞ。」
「那奈さん!なんという事を言い出すんですか!」
・・・まぁ、こんな感じで、折角人に頼んでもまったく頼りにならないこともあるでし。
ことわざの解説とはまさに人生、でしね。
「勝手に変な結論づけるな。」
「そうだぞ離珠。まだ宮内の失恋劇場を聞いていない。」
「ちょ、那奈さん!いいかげんにしてください!」


「浮世は心次第」でし
これは太助しゃまにばっちり語ってもらうでし!
「離珠、俺に何を語れと・・・。」
以前言ってたじゃないでしか。
家族が皆旅行へでかけて寂しい思いをしていたけど、
そのおかげでシャオしゃまという素敵な女の子に巡り会えたって!
「ああ、そうか。それで・・・」
それで太助しゃまは那奈しゃんと初めて出会った時のシャオしゃまに、
そんな家族に感謝してるって!
つまり寂しく暮らしていた事も、その時から思えば・・・という事でしよね!
「あ、ああ・・・。」
『この世は自分自身の心のあり方によって、楽しくも苦しくもなる』という事でし。
「あの、離珠。」
なんでしか?
「俺が語るんじゃなかったっけ?」
もう、細かい事を気にしちゃ駄目でしよ、太助しゃま。
「は、はは、そうだよな・・・。」


「浮世は夢」でし
昔々ある所に・・・
「待ちな離珠!今回はおいらが語る!」
・・・とまあ、たとえを出そうとしたら邪魔が入ってしまうことがしばしばでし。
『人の世のさだめない事をいったもの』という事でし。
このことわざ解説もさだめないんでしね・・・。
「いつもながらに強引だな・・・。しかもおいらの講釈を却下しやがったし。」
昔々ある所に・・・
「って、めげずにたとえを再び出そうとするなってーの!」


「浮世渡らば豆腐で渡れ」でし
豆腐は四角できちっとした形をしてるでしが・・・柔らかいでしね?
『世渡りもこのような要領で渡れ』という事でし。
「む、難しい・・・。」
たかししゃんにとっては難しいかもしれないでしね。
「そうだよな・・・俺は熱きもの一直線。豆腐は湯豆腐にしないと・・・。」
・・・何の話をしてるでしか。
「いやあ、ちょっとした冗談だよ。しっかしこれ、上手いたとえだよなぁ。」
そうでしよね。
「ちなみに豆腐も美味いんだぜ。」
たかししゃん・・・。
「・・・なんだよその目は。離珠ちゃん、こんなしょーもない事も柔らかく対応しないと!」
・・・・・・。


「鶯鳴かせたこともある」でし
「鶯か・・・。鳥はいいものだな。」
「キリュウさん、鶯をそのまんま指してるわけじゃないと思いますよ?」
そうでし。花織しゃんの言う通りでし。
『今は老い朽ちてしまったが、若い時には異性にちやほやされたこともある』という事でし。
つまりは、年寄りが自分の若い時を威張る時に言う言葉なんでしね、これが。
「む、そうなのか。」
「ほら〜。でもあたしの周りじゃ使う人もいないよね・・・。
あっ!でもキリュウさんって何百年も生きてきたんですよね?」
「まあそうだが・・・。」
「っていうことはぁ、キリュウさんも若い頃は異性にちやほやされてたんですか?」
「・・・そんな事はない。それに、私の場合、若いとはどのくらいを指すんだ?」
「そりゃあ・・・そういやいつが若いんだろ?でも今は年寄りで朽ちてるんですよね?」
「失敬な事を言うな!」
「だって、冬になるとストーブに寄ってぶるぶる震えて年寄りくさいってルーアン先生が言ってましたよ。」
「そういう問題なのか!?寒さに震えれば年寄りで朽ちてると見られてしまうのか!?」
・・・こ、この辺でおしまいにするでし〜。


「鶯の早く鳴く年は豊年」でし
『気候がよいとウグイスが早く鳴き作物も豊作であろう』という事でし。
一概にはいえないそうでしがね・・・。
「ならば本当かどうか試してみないといけないな。」
試すって那奈しゃん。一概にはいえないんでしよ?
「だからそれが本当かどうかを試すって言ってんだよ。」
むむむ。・・・で、どうやって試すんでしか?
「それはだな。キリュウの友達とやらに頼むんだ。」
文しゃんでしか?けど文しゃんは鶯じゃないでしよ。
「そんなのわかってるよ。けどさ、キリュウだから鶯の一匹や二匹友達にいるんじゃないか?」
あ、それもそうでしね。
「そうそう。というわけでキリュウ、早速鶯を呼んでくれ。」
「二人して勝手に・・・。私にはそういう存在はまだいないが。」
いないんでしか?ダメじゃないでしか那奈しゃん。
「くっ・・・。キリュウ、あたしはあんたを見損なったぞ。」
「いや、そういわれても・・・。」


「烏合の衆」でし
「文化祭の出し物の準備の時だ。」
たしか劇≪竹取物語≫したんでしね、太助しゃま。
「あの時はたかしは無茶苦茶言い出すしルーアンはわがまま遣り出すし。
山野辺は堂々とサボって帰ろうとするし、ほとんどの女子達は出雲と一緒に帰ったりするし。
とまあそんな訳でまとまりが無かったわけなんだな、これが。」
『整然とした決まりやまとまりの無い人の群れや軍勢』という事でし。
「けれども、そんな時に乎一郎が切れてみんなに渇を入れたんだ。
あいつが熱く語ってる所なんて初めて見たよなあ。」
そうでしそうでし。
「ルーアンがかぐや姫役だから、とか思ってたんだけど・・・。」
そうじゃなかったんでしか?
「どうもシャオやルーアンから話を聞くとそうでもなかったみたいだ。
それでさ、俺も負けないくらいに頑張らなきゃって思ったよ。」
ふむふむ、でし。


「右顧左眄」でし
日曜日、今日は誰も来ることなく、何事も無い平和な日だったでし。
というわけで、皆しゃんリビングでくつろいでいたんでし。
ところがその夕方・・・。
「さてと、そろそろ夕飯の支度を致しますね。」
「そっか。シャオ、今日は何を作るんだ?」
「今日はですねえ・・・」
「あたし、超激辛の麻婆豆腐!!」
なんと、いきなりルーアンしゃんがリクエストを。
それに強く反応したのはキリュウしゃん。がたっと立ちあがったでし。
「げ、げきからになんかしないでくれ!!私はすぱげってぃとやらを食べたいのだが。」
否定しつつもこれまたリクエスト。結構したたかでし。
「待て!たまにはすき焼きなんてどうだ!?」
今度は那奈しゃん。確かにもうすぐそういう季節・・・でしかねえ?
「ええー?やっぱ油ものとかさあ・・・そうだ、てんぷらにしようぜ!!」
更には太助しゃままで。まったくなんてことでしか・・・。
皆しゃんが言い争う中、シャオしゃまは一人おろおろと。
あれやこれやと言われてなかなかとりかかれなかったようでしね。
『周囲の動きを気にして、明確な態度がとれない』という事でし。
でも・・・シャオしゃまがメニューを決めてたんじゃなかったんでしか?
とにかく、皆しゃんの意見を取り入れつつ、シャオしゃまはお料理を作ったんでし。
シャオしゃま、お疲れしゃまでした。


「兔の記憶力」でし
不本意でしが、離珠を兔にたとえて解説してみるでし。
「えらく殊勝だな、離珠。おいら感心したぞ。」
虎賁しゃん、黙って聞くでしよ。
ある日、ルーアンしゃんが“ゴミちびーっ!その薄皮饅頭よこしなさいー!”と、
離珠のねぐらにやってきたでし。
「ねぐらってなんだ・・・。」
もう、黙っててくだしゃいでし。
慌てた離珠は当然穴から飛び出して逃げ回ったでし。
ところが、逃げて逃げているうちに、どう逃げたかも忘れて、同じ穴・・・
つまりねぐらに飛び込んでしまったでし。
「それは要はパニクってたんじゃねーのか?」
まあそうなんでしがね。
『記憶力の弱いことで、頭の弱い人を評する時に使う』という事でし。
「なるほど・・・。離珠は頭が弱いってことか。」
虎賁しゃん!たとえでしからね、た・と・え!


「兔の登り坂」でし
兔しゃんは前足が短く後ろ足が長くて、坂を駆け上ることが上手でし。
『都合のよい地位につくと得意の力をあらわす』という事でし。
地位ではないでしが、星神たちは全員あてはまるでしね。
では代表として南極寿星しゃんどうぞでし〜。
「うおっほん。さてさて、星神の中でもっとも位が高いワシは・・・」
立派なひげが偉そうでしね。さすがでし〜。
「くぉらっ!何を言い出すか!」
さて、よくわかったところでおしまいにするでし〜。
「待たんか離珠!こんなことで終わりにするんじゃない!!」
ばいばいでし〜。
「待てというに!!」


「兔も七日なぶれば噛み付く」でし
『どんなおとなしいものでも、たびたびいじめられれば怒る』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、おとなしい人をたびたびいじめてみようコーナー!
「うむ!というわけで遠藤殿、あなたには犠牲になってもらおう。」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!!いきなり来てなんなのさ!?」
おおっと、乎一郎しゃんが激しい抵抗をみせてるでし!
「心配するな。いじめると言っても色々あってな、服をだぶだぶに大きくして放置したり、
眼鏡を思い切り小さくしてめがねめがねと探させたり・・・」
「うわあ、ろくでもないものばかりだね・・・。」
何を言うでしか!これはいじめに耐える試練にもなるでし!!
「そういう事だ。では早速実践を・・・」
「しなくていいよ!っていうか僕には絶対に拒否権があるよ!」
しかしでしねえ、今回の言葉を解説するには・・・。
「まずいじめることから始まるというわけで・・・」
「ふざけないでよ!いいかげんそんなことやってたら僕も怒るからね!!」
おおっと!早くも怒られてしまったでし!!
「ふうむ、遠藤殿はおとなしいと思っていたが・・・なかなかに激しいな。
離珠殿、人選を誤ったようだぞ。」
そうでしね・・・他を当たるでし。
「うむ。ではさらばだ、遠藤殿。」
しゅいーん!
と、離珠とキリュウしゃんはそっこーでその場を後にしたでし。
「いくらおとなしくったって、いきなり来て“いじめる”とか言われたら普通怒るんじゃ・・・。
それに、今度誰にそれをしにいくつもりなんだろ・・・。」


「兔を見て犬を放つ」でし
狩の話なんでしが・・・
兔を見つけてから犬を放してやってもまだ遅くはないでし。
『失敗してから気が付いてやり直しても決して遅すぎることはない』という事でし。
「そう、そうなのよね、離珠。」
シャオしゃま、その顔は思いきり納得してる顔でしね?
「ええそうね。」
よかったでし〜。離珠嬉しいでし〜。
「優れた食材を集めるために・・・そう、天陰にお願いすればいいのね。」
へ?
「今度からは兔を見つけたら即実行に移すよう心がけるわね。」
ちょちょちょ、ちょっとシャオしゃま!?
「今までたくさん失敗してたわ・・・でも、これからは頑張らなくちゃ。」
一体何の話をしてるんでしかー!?


「氏素性は争われぬ」でし
「血統の話はするな、面倒くさい。」
と、いきなりことわざ解説をあしげにしたのは翔子しゃんでし。
「つれないことを言ってやるなよ山野辺。これを機に俺のすさまじく熱い家系が明らかになるかもしれない!」
と、協力的なのか自己主張なのかよくわからないたかししゃんでし。
・・・まぁ、この二人がいれば十分でしね。
『生まれのよしあし、血統のよしあしは必ず人柄に現れる』という事でし。
似た西洋のことわざで、“よいイヌは血統で狩りをする”というものがあるでし。
「あたしら二人で何がどう分かるってんだ・・・。」
「つまりあれだろ、ほら、あれだよあれ。」
「あれじゃあわからん。」
「だあああ、わかんねえかなあ。熱い魂をもってすればだなあ!」
「あれあれ言ってるのは脳みその衰えてる証拠だぞ。」
「なにぃ・・・。」
ともかく、離珠の血統はこういう人たち相手でもへこたれない強い精神の持ち主のはずでし!
「なんのこっちゃ。っていうかさあ・・・。」
「離珠ちゃんの血統って・・・どゆこと?」
ほえ?
「星神に血統なんてあんのか?」
「ありそうだなあ・・・。軒轅とか天陰とかモロありそうじゃないか?
血統がいいと、人のみならず軍南門も乗せられるとか!」
「野村、そりゃ血統の問題じゃないと思うぞ・・・。」
・・・これにておしまいでし!


「氏素性は恥ずかしきもの」でし
「山野辺さんとか生まれがいいって部類に入るんじゃないかなあ・・・。」
「たしかに。翔子さんはいいとこのお嬢さんですからねえ。
ですが私も、神主の血筋ですから。おほん。」
「で、人柄について話をすると・・・山野辺さんの場合は事情が複雑だから当てはまらなさそうですね。」
「たしかに。周囲の目がありますからねえ・・・。
私は、神主の家柄たる振る舞いを行ってきましたけどね。」
『生まれがよいか悪いかは必ず人柄に現れる』という事でし。
・・・って、一体何の解説でしか?乎一郎しゃんに出雲しゃん。
「何って、血筋の話だよ。山野辺さんと出雲さんの。」
「生まれのよしあしが人柄に現れる。そういう話ではありませんか。」
ちょっとずれてないでしか?
「そんなことないない。」
「大丈夫ですよ、離珠さん。解説については私がしっかりやりますから。」
・・・なるほど、でし。要するにこの二人が・・・。


「氏無くして玉の輿」でし
『女は家柄が低くても家が貧しくても、
富貴の人に嫁げばたちまち金持ちや貴い地位にのぼる事ができる』という事でし。
離珠とキリュウしゃんの、玉の輿を狙ってみようコーナー!
「うむ。というわけで主殿、今回は玉の輿をぜひ目指して・・・」
「こらー!俺は男だろうがー!」
大丈夫でし。今回は助っ人として女御しゃんを呼んだでし!
じゃーん!
「さあ主殿。これで主殿も女性に・・・」
「なれるか!だいたい、女御は衣服をつかさどる存在のはずで・・・」
ふわふわーん
太助しゃまがなんやかんや言っている間に女御しゃんが服装をチェンジ!
あっという間に太助しゃまは女性の格好になったでし!
「これでばっちりだな。さあ、試練を本格的に始・・・」
「ふざけんなー! しかも!誰のとこに嫁ぐってんだ!!」
知人でお金持ちしゃんといえば!
「翔子殿だな。さて女御殿、すまないがもう一働きしてもらうぞ。翔子殿を男・・・」
「やめろー!やめろやめろやめろー!!」


「牛に馬を乗り換える」でし
乗り物をという事で、人を乗せる星神しゃんの登場でし!
牛の役割として、車騎しゃん!
馬の役割として、軒轅しゃん!
当然ながら、人を乗せて早いのは軒轅しゃんでしね。
『よいものを捨ててその代わりにそれより劣っているものをとる』という事でし。
わかりやすくするために、実際に乗り換えてもらうでし。
「・・・俺?」
そう、たかししゃんでし。さあ、軒轅しゃんから車騎しゃんへ乗り換えてくだしゃい!
「そう言われてもなあ・・・。えーっと、とりあえず軒轅に乗って、っと。」
足を上げたたかししゃんに、軒轅しゃんは快く背中を譲ってあげたでし。
「でもって・・・じゃあ車騎に乗換えだーっと。」
ずでん
「いてっ!」
おおっと!軒轅しゃんからずり落ちてしまったでし!
じゃあ今回の解説は失敗という事で・・・。
「って、こんな状態で終わらないでよ離珠ちゃん!」


「牛に対して琴を弾ず」でし
『いくらいいきかせてもだめ』という事でし。
けれども、牛乳をしぼるとき音楽を聞かせると、乳量が増すそうでし。
「ひらめきましたわ。」
「閃いたか、シャオ殿。」
「今度から牛乳のために乳牛さんを飼って、毎日音楽を聴いてもらいましょう。」
「うむ、いい案だな。」
・・・と、ご飯の準備中に聞こえてきたのはこんな言葉でし。
もぅ、牛乳の用意を今考えるんじゃなくって、何を作るかとか考えないとだめでしよ。
ねえ太助しゃま、那奈しゃん。
「ってぇ!落ち着いてる場合かー!」
「キリュウもキリュウで賛同してんなってのー!」
どたどたどた・・・と、慌しく二人はリビングを飛び出して行ったでし。
・・・ふうむ、今回はこれにて解説終了でしね、ルーアンしゃん。
「って、あんたもよく落ち着いてるわねぇ。」
ルーアンしゃん、人のこと言えないでし。
「あたしは悟りきってるからいいのよ。」
どういうことでしか・・・。


「牛に乗って牛をたずねる」でし
ひゅううう
ただいま空を飛んでるでし。たかししゃんと一緒に、軒轅しゃんに乗せてもらってるんでし。
「さて、そろそろやるとするか・・・。軒轅ー!!どこだー!!」
叫ぶたかししゃん。驚く軒轅しゃん。
当たり前でし。今は軒轅しゃんに乗ってるんでしから。
「軒轅ー!!・・・ここにはいないのかあ。よし、隣町まで行ってみよう!!」
とまあこんな感じで、『たずねるものが身近な所にあるのに気付かず、
むやみに遠くをたずねてもなかなか見付からない』という事でし。
結局どうしたかって?
離珠が軒轅しゃんに事情を伝えて、ちゃんと弁明したでし。
ところが・・・。
「うおおおー!?ここはどこだー!!!」
調子に乗って遠くまで来てしまい、迷子になってしまったでしー!!
えううう、どうしようどうしようでしー!!!
呆れた顔で見てる軒轅しゃんの顔が印象的だったでし。
なんとかシャオしゃまに伝える事によって事なきをえたんでしが・・・。
「離珠!次からはそんな事絶対にしちゃあ駄目ですよ!!」
と、酷く怒られてしまったでし。がくー・・・。


「牛に引かれて善光寺参り」でし
むかし、信濃の善光寺の近くにルーアンしゃんという老婆が住んでいたんでし。
「くあああ〜・・・今日もひまねー。もっと美味しい食べ物ないかしら〜。」
・・・食べ物と暇がどう結びつくかは分からないでしが、とにかくルーアンしゃんは毎日その日を暮らしていたでし。
が、ある時。
ドドドド・・・
「ん?何事・・・って!あれはシャオリンがキレた時によく呼び出してる星神!」
抽象的な説明でしが、要するに天陰しゃんでし。
その天陰しゃん(牛の役目でしよー)が、どどどどっと走ってきたかと思ったら・・・
ひょいっ
天陰しゃんの角に、布キレがひっかかってしまったでし。
それをそのまま天陰しゃんは持ち去っていってしまったでし。
「あーっ!あれはあたしの日天コスチューム!もうあれ一丁しか残ってないのに・・・待ちなさいー!」
急いでルーアンしゃんは陽天心を使って追いかけて追いかけて・・・。
天陰しゃんは天陰しゃんで、善光寺に逃げ込んだでし。
「おっしゃあ、ここまでくればもう取り戻したようなもんよー!・・・ん?ここって・・・。」
そう、ここでルーアンしゃんは初めて知ったんでし。
善光寺が霊場であることに!
『人につられて思いがけなくいく』という事でし。
その後、ルーアンしゃんは、たびたびそこをお参りして後世を願ったそうでし。
「って、あたしがそんなことしてたまるかー!!」
・・・願ったんでし!
「しないっつーの!!あんた勝手に人を都合のいいたとえ話の登場人物にしてんじゃないわよ!」


「牛の尾は長きがよく客の尻は短いがよい」でし
『尾の長い牛は体型が優良であるしカやハエを追うのに便利だが、
客の尻はあまり長いと迷惑をかける』という事でし。
「・・・だからってあたしにどうしろと?」
ほかにいいたとえを出して欲しいんでし。
「たとえも何もそのまんまじゃない・・・。」
「まあまあゆかりん。離珠ちゃんの望みにこたえてあげてよ。」
「花織、あんたねぇ・・・そんな厄介ごと持ってこないでよ!」
厄介ごととはなんでしか!離珠はゆかりんしゃんを見込んで頼んだんでしよ!?
「そーよそーよ。ゆかりん冷たいぞー。」
「・・・分かったわよ、そこまで訴えるんなら何か出してあげるから。」
さっすがっ、でし。
「で、ゆかりん。何を持ち出すの?」
「実際に牛を・・・あ、待って。そういや今日はおうし座がラッキー日和なのよ。」
なんでしか?いきなり。
「おうし座・・・そうだっけ?」
「花織、その目は疑ってる?もう、ダメだなあ。あたしは最前線の情報をゲットしてるんだからね!」
・・・そんなこんなで・・・。ゆかりんしゃんが取り出した雑誌により・・・
ことわざ解説はうやむやに流されてしまったでし・・・。
・・・ま、まあ今回はどっちみち無理があったでしからね。


「牛の糞にも段段」でし
「汚い言葉だよねぇ・・・離珠ちゃん、わざわざ解説しなくても。」
花織しゃん、しょれは違うでし!こういう何気ない言葉にも深い意味があるんでし!
「深い、ねえ・・・。不快の間違いじゃないのぉ?」
たまには上手いこと言うでしねえ。
「“たまに”は余計!」
こほん。『物事の進行には段階があって、それを無視しては成就しない』という事でし。
「・・・なんで?」
よぉく想像してみてくだしゃい花織しゃん。
「何を。」
牛の糞が積み重なって山ができるには、やっぱり下地となる糞があって・・・
「いやっ!想像したくないー!」


「牛の小便と親の意見」でし
牛の小便はだらだら長いけど、肥料としての効き目は少ないでし。親の意見もそれと同じで、
『長いばっかりでさっぱり効き目が無い』という事でし。
「なんつー言葉だ。太助の親が見たら泣くぞ。」
そういう那奈しゃんも太助しゃまと親は同じでしよね?
「当たり前だ。姉弟だからな。」
とりあえず那奈しゃんは、この言葉には反対だと、そういうことでしね?
「反対ってーよりは、よくない言葉だなあって。母さんなんか特に悲しむんじゃないかなぁ。」
そうでしか・・・そうでしよね。
「ま、事実のような気がしなくもないけど。」
がくっ。どっちなんでしかー!
「だからあ、あたしとしては言葉そのものには反対だけど、実際はそのとおりかなあと。」
・・・いつもアバウトな那奈しゃんから説得をかけられても、いまいちぴんとこないでし。
「なんだと?だったらことごとく説明してやろうじゃないか。
いいか、まず太助の立場を考えてみる。両親含めて家族が全員旅行で・・・」
・・・この後、延々2,3時間は説明をくらったでし。
お小言のように思ったんでしが・・・。
なんでこんなことになるんでしかー!


「牛の鞦はずれがない」でし
牛のしりがいは外れそうでなかなか外れないことから、
『物事の案外確実なこと』という事でし。
「離珠ちゃん、しりがいって何?」
馬の尾から くらにかける組紐(クミヒモ)のことらしいでし。
「・・・“牛の”ってことわざにあるけど?」
乎一郎しゃん、細かいことを気にしてはいけないでし。
「別にいいけど・・・。ということは、離珠ちゃんの解説は案外確実じゃないってことだよね?」
・・・・・・。


「牛の角を蜂がさす」でし
『なんとも感じないことのたとえ』という事でし。
折角なので言葉通りに、やってみようと思うでし。
とりあえず蜂の役割を、爪楊枝を持った離珠がやるとして、牛の役割は・・・。
どどーん
天陰しゃんでしー!今回はよろしくでし。
こくり
見てのとおり、天陰しゃんは立派な角を持ってるでしね。
こくり
早速離珠があの角に爪楊枝を刺してみようと思うでし!
えしょえしょえしょえしょ・・・
・・・・・・
ふう、天陰しゃんの体に登るのも大変でしね。じゃあいくでしよっ!
ちくっ
!!
あ、間違えたでし。ここは角じゃなくて肌だったでしね。
!!!?!?!?!?
そ、そんなに怒らなくてもいいじゃないでしか。あ、こんな所にできものが・・・。
天陰しゃん、いつの間につくったんでしか?早く長沙しゃんに治してもらった方がいいでしよ。
じゃないと、離珠が今刺して・・・
&%*#%&!%!%!!?!!!!
ぶんっ
あれーでしー!
勢いよく頭を振られ、離珠は天陰しゃんの体から投げ出されたでし。しかぁーし!
しゅたっ
どうでしか、この見事な着地!・・・あり?天陰しゃん?
・・・・・・。
もしかして・・・怒ってるでしか?
こくこくこくこく
ひええーでしー!


「牛は牛づれ馬は馬づれ」でし
たとえば!熱美しゃんと乎一郎しゃん!
「・・・どういうつながりが?」
「そうだよ。あんで僕と?」
熱美しゃんは、熱くなったゆかりんしゃんをなだめたりするでしよね?
「そうだねえ・・・。」
乎一郎しゃんは、熱くなったたかししゃんをなだめたりするでしよね?
「そうだねえ・・・。」
以上でし!
『同じ仲間はつれそう』という事でし。
それぞれ似合の相手が居てつりあいがとれるんでし。
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!」
「それってもしかして・・・。」
熱美しゃんと乎一郎しゃんは似合の相手っていうことでしよ!
「「ええーっ!?」」
いやあ、めでたしめでたしでし。
「めでたくなーい!」
「勝手にそんなこと決め付けないでよ!」


「蛆蟲も一代」でし
『どんないい暮らしをしても、悪い暮らしをしても一生は一生だ。
なにをくよくよするか』という事でし。
「・・・俺はうじむしなんて嫌だぞ、絶対に。」
まあまあ。それでもたかししゃんの人生なんでしから。
「つーか誰が作ったんだよ、こんな言葉。」
そんなに批判するなら、離珠と人生を交換してみるでしか?
「それはそれで遠慮する。・・・って、なんだか違うなあ。」
ま、あまり一生を嘆いちゃいけないんでしよ。


「牛も千里馬も千里」でし
これはよくルーアンしゃんが体験してることでし!
「そうなの?離珠ちゃん。」
そうなんでしよ花織しゃん。
「って、わざわざ名前呼び合ってるのは変に思うなぁ。」
こうしないと、誰を相手にしているかわからないんでし。
「変な都合・・・。」
おほん。ともかくルーアンしゃんが体験ということについてでしが・・・。
「ふむふむ。」
知ってのとおり、ルーアンしゃんはがつがつとたぁくさんものをたべるでしね?
「そうね。」
シャオしゃまがつくる、まいうーな料理でも!
「まいうーって何・・・。」
那奈しゃんがてきとーにつくった、いんすたんとかめらのような料理でも!
「いや、普通にインスタントでいいでしょ・・・。」
ルーアンしゃんにとっては胃に入れば一緒でし!
「そこは同感ね。」
『遅くても早くても、うまくてもまずくても、結局いきつくところは同じ』という事でし。
「ああ、要するにルーアン先生の胃には、どんな食べ物でも当たり前のように入るし、
たとえそれがヘドロも逃げ出すような腐ったごみ料理でもお構いなしってことね?」
・・・どういう事でしか?
「もう、わからない?だからぁ、あたしが言いたいのは・・・。」
「こらー!あんたらー!!」
る、ルーアンしゃん!?
「うっそぉ!なんでこっちに向かって走ってきてるの!?」
これは、ルーアンしゃんの地獄耳的触覚髪が離珠たちの会話をきゃっちしたとしか思えないでし!
「いや、それはないでしょ・・・。」
「何ごちゃごちゃ言ってんのー!よくもあたしを火炎吹き荒れるゴミ集積所みたいにー!!」
そ、そんなことは言ってないでしー!
「言っても聞くはずないから逃げよ!」
賛成でし!
どどどどど・・・。
「こらぁー!逃げんなー!」


「氏より育ち」でし
「ということで山野辺、離珠ちゃんのことわざ解説に協力してくれ。」
「野村、いきなり押しかけてきてなんだお前は。」
「細かいことはいいんだ。さあ離珠ちゃん!」
はいでし!
『血筋よりも境遇が人をつくる』という事でし。
「と、いう事で改めて言うぞ。ことわざ解説に協力してくれ。」
「・・・だから、なんであたしが?」
翔子しゃんはいいとこのお嬢しゃんだからでし。
「こういう豪邸を構える家のお嬢様ってのはだな、だいたいしずしずとしてて、
そんでもっておしとやかで可憐で・・・そう、たとえばシャオちゃんみたいな・・・」
「だあああー!うっせー!!」
わわわっ!翔子しゃんが怒ったでしー!
「お、落ち着けよ山野辺。せめてお前がそんながさつになった境遇を・・・」
「お前ら迷惑!帰れ帰れ!」
バタン!
・・・勢いよく扉は閉められてしまったでし。
要するに玄関から追い出されたんでしよ。
「くっそう、ケチだなあ山野辺のやつ・・・。」
そういう問題でもないと思うでし。


「後の目壁に耳」でし
それは空気の乾いた、生暖かい夜だったでし。
「空気の乾いた、ってなんだ。」
虎賁しゃん!そんな余計なコメントはいらないでしよ!
・・・おほん。とにかくその夜に、七梨家のキッチンを這い回る影が一つ・・・。
「ううう〜お腹すいたわぁ〜・・・。
まったく、たー様が食事制限なんかかけるからあれじゃ足りない足りない・・・。」
なんとルーアンしゃんでし!
自分がおおぐらいなのを棚にあげて、太助しゃまに責任をなすりつけてるでし!
「責任じゃなくて愚痴なんじゃ・・・。」
だから余計でしよ虎賁しゃん!
おほん。で、そのルーアンしゃんは・・・。
「夜な夜な冷蔵庫をあさってるってか。」
もう、先に言っちゃだめでしよっ。
ま、こうして起きている離珠と虎賁しゃんにその悪事はばれてしまったんでし!
『自分の知らないうちに、悪事が他人にわかってしまう』という事でし。
「っていうか、とっくに気づいてんじゃねーのか?」
は?
「・・・あんたら暇ねえ。寝ないの?ま、どーでもいいけど。」
はううう!い、いつの間にルーアンしゃんこっちを見てたでしかー!?
「離珠が空気の乾いたとかやってる時からだな。」
虎賁しゃん!どうして先に言わないんでしか!
「いや、言ったところでなあ・・・。今日で五日目だし。」
・・・それもそうでしね。
「まぁ、シャオリンに言ったところで黙認するからいいんだけどね。」
た、太助しゃまなら!
「たー様も結局何も言わないでしょ。」
「おいらがとっくに通達済みなんだけどなぁ・・・。坊主も甘いよなぁ。」
お、落ち着いてる場合でしか!もうちょっと危機感を持つでしよっ!
「そういうことはたー様にでも言ってね。あ、あったあった。
えーと“ルーアンさんへ。これで空腹を満たしてくださいね”か。
ふむふむ、シャオリンも気がきくわねえ。」
・・・もしかして、シャオしゃまが専用に作った夜食でしか?
「だぞ。知らなかったのか?」
「だからたー様も黙認ってわけよ。いっただきまーす。」
・・・こんなのってありでしかあああ!


「後びっくり」でし
これは例を考えるよりも実演してもらった方が早そうでしね。
とりあえず、前は当然シャオしゃま!で、後ろは・・・。
「あたしに任せろ。ここは酷だが、だれか別の女性に重なってもらう。」
那奈しゃん、それはどういうことでしか?
「シャオの後ろにぴったりとくっついて、後ろ歩きで歩いてもらうんだよ。」
・・・本気で言ってるのなら、嵐の予感がかなりするでし。
「さあて、誰がいいかな・・・。」
「那奈姉、そんなことしなくたって那奈姉でいいじゃんか。」
あ、太助しゃま。
「なに!?おい太助、それはどういう意味だ?」
「この前頭巾もかぶらずに天井裏の掃除してただろ。」
「うーん、そんなこともあったかなあ。」
「あの時、那奈姉の後ろすごかったぜ。
どう掃除したのかわからないけど、埃でいっぱい!
だからすぐに風呂に入った方がいい、って事になってさ。」
「おお、おお、思い出したぞ。そうか、そんな事もあったなあ・・・。」
ふむ、太助しゃまさすがでし!
『前から見た所は美人だが、後ろにまわれば醜くてびっくりする』という事でし。
「・・・待て、醜いってのはどういう事だ?」
「いや、聞いたまんまだと思うけど。」
「埃をかぶってても汚いとは思うだろうが、醜いはないんじゃないか?」
「仕方ないさ。納得しようぜ。」
「くっ・・・。」


「牛を売って牛にならず」でし
『牛を売った金で良い牛を買おうとしても金が足らない。誰でも自分の物には
高く値をつけたいものだが、買い換えは人に儲けられるだけである』という事でし。
「これってつまり、古いパソコンを売って新しいパソコンを買おうとするって事ですね。」
出雲しゃんによる現代風の解説でし。
・・・って、しょういうことなんでしか?
「合ってるとは思いますけどね・・・。
いくら昔に比べてパソコンの値段が下がったとはいえ・・・
昔のパソコンはまだまだ安くにしか売れませんから。」
では出雲しゃん、他に物の例えはないでしか?
「では主に機械類、と言っておきましょう。
ほとんどの機械というのは絶えず新しいバージョンが出されています。
そこで古いそれを売って新しいバージョンを買おうとしても・・・
大抵は、売却したお金だけでは買えないものなんですよ。」
ふむふむ、心得たでし。
「逆に、古い物ほど価値が上がる物も存在しますけどね。
そういうのはあまり買い替えられはしないものなのです。」
それは何故でしか?
「単刀直入に言うなら、勿体無いから、ですね。」
ふええ〜。


「牛を馬に乗換える」でし
『人は地味で堅実なものより、表面上は華やかなものや、すぐ自分の利益になるほうにいきやすい』という事でし。
「つまり、シャオリンよりルーアン、って事ね。」
ルーアンしゃん、一体何処から沸いて出たんでしか・・・。
それより、その例えはなんでしか!!
「あらー。だって、全部の不幸から護って・・・なんて作業なんかより、
ぱーっと真っ先に幸福を授けた方がいいに決まってるじゃない。」
それはルーアンしゃんの見解じゃないでしか。
「何を言ってるのやら。今の時代、人間ってのはそういうものよ。
いいものを与えられると成ったら喜んで飛びつく。
悪いものから身を護ってくれるとなると、しばらく考えるのよ。」
・・・どうしてでしか?
「それはね・・・。」
それは・・・?
「あたしがスゴイからよ!おーっほっほっほ!」
・・・真剣に聞いた離珠が馬鹿だったでし。
「まあまあ、冗談だってば。でもね、半分事実よ。
“幸せ〜!”なんてあるのと、“不幸から・・・”ってのがあるとすると、
大部分の人が前者に飛びつくのは間違い無いと思うわ。
今まであたしは、そういう人をたくさん見てきたもの・・・。」
・・・今度はしんみりしてきたでし。
「と、とにかくっ!シャオリンもあたしも、見た目で判断なんかしないでよね!!」
まったく、妙な例えを出したからまとまらなくなってきたじゃないでしか・・・。
けどまあ、ルーアンしゃんの言う事ももっとも・・・でしかね?


「臼から杵」でし
えーと、昔から臼を女、杵を男の象徴と考えたので、
女から男にモーションをかけることは逆であるという意味で、
『物事のさかさま』という事でし。
「逆・・・そうなのぉ?」
まぁ昔の言葉でしから、今はまた違うと思うでし花織しゃん。
けど、ともかくこの言葉での意味は、逆だってことなんでしよ。
「ふーん。で、仮にこの言葉がそうだったとして・・・逆だからどうだっていうの?」
いや、だから逆だっていう意味なんでしよ。
「なんか納得いかないなぁ。あたしって逆をやってるって言いたいの?理不尽じゃないかなぁ。」
いやいや、だから花織しゃん。これは昔の言葉で・・・。
「あ、そうか!ということは、今は女から男にモーションをかける時代!
となると・・・野村先輩や出雲さんが逆?そっかぁ、そういうことなのね、うんうん。」
何を納得したかはわからないでしが、そう気にするものでもないと思うでし。
「ああーもうわかってないなぁ。いい?逆ってことは社会に反することなのよ!摂理に従ってないのよ!」
え、えええっ?
「これはいっぽんやられるところだったわ。とりあえず出雲先輩と野村先輩に・・・って、それだと都合悪いかな。
七梨先輩・・・そう、七梨先輩にそういう事を伝えれば!おとなしくあたしのモーションを受けてくれるかも!」
・・・なんだか知らないでしが、花織しゃんが考えてるようにはならないと思うでし。


「臼じゃ目を突かぬが小枝じゃ目を突く」でし
石臼やひき臼の目では目を突かぬが、小枝では目を突くことがあるということで、
『油断すると失敗することのたとえ』という事でし。
「おいおいおい、どうやって臼で目をつくんだ?そんなでっかい目の奴なんかいるのか?」
いきなりでしねたかししゃん。これはたとえなんでしよ、たとえ。
「いくらたとえでもなぁ、当たり前すぎやしない?
小枝で目をつくなんて、普通にありえそうじゃん。でもって、臼で目なんてつかないだろ?」
臼では餅をついたりするでしよね?それとかけてるんでし。
「・・・そう?ふふん、だったら俺が是非その条件を満たしてやろう。」
ふえ?
「ずばり!軍南門なら目がおっきいから臼でも目をつけるはず!さあ離珠ちゃん、軍南門を呼ぶんだ!」
無茶でしっ!


「嘘から出たまこと」でし
相変わらず元気な翔子しゃん。今日もシャオしゃまに嘘を一つ。
「シャオ、弁当の時間になったら、シャオが七梨に弁当を食べさせるんだ。
そうしないと、七梨は“昼休みに弁当が食べられない病”にかかってしまうんだ。」
「そんな!分かりました。頑張って太助様に弁当を食べてもらいます!」
なんなんでしか一体。そんな事しなくても太助しゃまは毎日弁当を・・・
「うわ―、やめろーキリュウ!」
「万象大乱!」
ずが―ん!という音と共に、辺りが吹っ飛んだでし。教室にあったのは大きなバケツ。
キリュウしゃんが試練を始めたんでしね。でも今はお弁当の時間でしよ。・・・はっ!
「キリュウ、弁当ぐらい食べさせてくれよ・・・。」
太助しゃまのお弁当はこなごなになってたでし。
「すまぬ主殿、少しやりすぎてしまった・・・。」
なるほど、確かに食べられないでしね。さすがは翔子しゃんでし。
『ついた嘘が本当の事になる』という事でし。
でも、これはまんざら嘘ではないでしね。病気とは違うでしが。
シャオしゃまがお弁当を余分に作ってたおかげで、
太助しゃまは無事にお弁当を食べる事ができたでし。
二人はとっても幸せそうだったので、とりあえずめでたしめでたしでし。


「嘘つきは泥棒のはじまり」でし
『平気で嘘をつくものは、良心がくもっているのだから盗みでも平気でするようになる』という事でし。
「ちょっと待った!あたしはこの言葉に物申したい!」
ふっ、もう締め切ったでしよ翔子しゃん。
「なにぃ〜?」
嘘をつくといえば翔子しゃん、翔子しゃんといえば嘘。
このほうていしきを崩すことに、もはや意味はないんでし!
「ご大層に言ってるけど、ただのわがままだぞそれ。」
ええいなんとでも言うでし!離珠はもう譲らないんでし!
「あたしが盗みを平気でするって言いたいのか?」
翔子しゃんは万引きをすると聞いたでし。
「それは昔の話!っていうか全然平気じゃない!」
じゃあ今は違うということでしね。
「ああそうだ。」
けど翔子しゃん、やっぱり色々嘘をついてる翔子しゃんは多分平気でものを盗むんでしよ・・・。
「まだこだわるか。」
たとえば、誰かさんの心とか!どうでしか!?
「・・・やーめた、もういい。物申すも馬鹿らしくなってきた・・・。」
おおっ、離珠の主張を認めるんでしね!
「認めるとかそういうんじゃなくて・・・ああーもうどうすりゃいいんだー!」


「嘘と坊主の頭はゆったことがない」でし
『言うと結うをかけたしゃれで、嘘は言ったことがない』という事でし。
離珠は喋れないでしから嘘も言えないでし。だからこれは離珠の事でし!
「たしかにおめーは喋れないけど、伝心とかがあるだろうが。」
虎賁しゃん。それは言うとは言わないでしよ。
「まあそれはそれでいいとしてだ。ぼうずの頭を結ってこい。」
そんなの無理でし。
「おいらが言ってるぼうずはあのぼうずだ。だから大丈夫だよな。」
虎賁しゃん無理矢理でし・・・。


「嘘と牡丹餅ついたことない」でし
『嘘はついたことがない』という事でし。
牡丹餅は餅というでしが、飯をこねるだけでつかないんでしよ。
・・・本当でしか?
「離珠、何をいうの。牡丹餅はこねてるでしょ?よく出雲さんにいただいてるじゃない。」
むむっ、それはそうなんでしが・・・確認しないと気が済まないでし。
こうなったら、今から出雲しゃんの家に行って聞いてみるでし!
「え?」
軒轅しゃん、かもーん!
びゅーん!
・・・・・・。
と、離珠と軒轅しゃんは家を飛び出したんでし。
「・・・あっ、こらー!離珠、軒轅ー!」
シャオしゃまの声も耳に届かず、でし。


「嘘にも種がいる」でし
『容易ではない』という事でし。
嘘にも何か種がなければ言えないでしね。
「これってつまり何が言いたいんだ?」
「たとえばたかしが嘘をつこうとする。」
「ああ。」
「けれども、実は何も考えてなかった。さあどうする?」
「ふ、甘いな太助・・・。熱き魂の前には不可能などないのだ!」
「・・・あー、そうかよ。」
太助しゃまの助け舟もむなしく、余計にわけがわからなくなったでし。
これはつまり、解説は容易ではないっていう事につながったわけでしね!
「離珠、それ強引。」
「大丈夫だ太助、俺がずばっと嘘を言えば良いんだ!
そうだな・・・実は俺は常に日本刀を携えているんだ!」
「なんだよそれ、意味わかんないし・・・。」
と、ともかくこれにておしまいでし!


「嘘は後から剥げる」でし
シャオしゃま!離珠は実は慶幸日天だったんでし!
「ええっ?もう、そんな冗談を言ったらだめですよ。ルーアンさんが怒るでしょう?」
というわけで!『うそをついてもすぐばれる』という事でし。
「・・・ねえ離珠。それはばれて当たり前なんじゃないの?」
シャオしゃま、それを解説するためにあえてすぐばれるものを選んだんでし!
「あ、そっか。離珠えらいわね。」
えへへ、でし。


「嘘は盗みの始まり」でし
『嘘をつくようになると次には盗みをするようになるものだ』という事でし。
子供には嘘をつくくせがあるから、幼いうちに直さなければならない、でし。
「・・・誰がそれを言った?」
虎賁しゃんでし。
「いや、おいらじゃねーぞ。」
何を言うでしか。虎賁しゃん以外、誰が離珠にこんなことを吹き込むんでしか?
「なんだそりゃ・・・。」
というわけで、子供である太助しゃまに!
「何するんだよ。」
えーと、幼いうちに・・・
「ぼうずはもう幼くねーだろ。」
そうでしね・・・。じゃあ虎賁しゃん発端のこの企画はなかったことに。
「おいら発端じゃねーっての!ったく、そんな嘘ばっかやってる離珠こそ盗みするんじゃねーか。」
ふふん、みくびっちゃだめでし。離珠が盗みなんかしなくても、出雲しゃんがお菓子をもってきてくれるんでし!
「・・・・・・。」


「嘘も方便」でし
『嘘をつくのは悪いことだが、物事を円滑に進めるためには必要な場合もある』という事でし。
「そういや離珠がよくやってるよな。」
なんでしか虎賁しゃん。離珠はしょんなに嘘をついてないでしよ?
「これはことわざ解説のためだーとかって言いながら好き勝手やってるじゃねーか。」
な、なななな!?なんてこと言うでしか!
離珠は仕方なくしょう言ってるだけでし!
「仕方なくぅ?」
・・・ぷんぷん、今回はもうおしまいでし!
「勝手に拗ねて終わるなってーの。」
・・・じゃあちゃんと解説しゅるでしね。
「戻ってきやがった・・・。」
おほん。しゃてしゃて、嘘といえば翔子しゃんでし!
「お、あの不良ねーちゃんか。」
シャオしゃまのために色んな嘘を!翔子しゃんこそ適任でしね!
「適任ってのは日本語間違えてると思うけど、たとえられるにはばっちりだな。」
離珠も翔子しゃんくらいに円滑な嘘をつけるようになりたいでしー。
「なんだそりゃ・・・。」


「嘘を言えば地獄へ行く」でし
『嘘を言うなという戒め』という事でし。
仏道では嘘をつくと地獄におとされて閻魔大王さまに舌を抜かれると伝えられているそうでし。
非常にぴんちでしねえ、翔子しゃん。
「なんであたしにふるんだ・・・。」
「適任だと俺は思うぞ。いつもシャオに変な嘘ふきこんでるし。」
そうでしそうでし。太助しゃまはよくそう言ってるでし。
「いつもだと?七梨こそ嘘を言うなよ。あたしはたまにしか吹き込んでないぞ。」
「細かいなあ・・・。けどよく嘘を言ってることには変わり無いだろ?」
そうでしねえ。たとえば・・・たとえば何があるでしかね?
「たとえば、夜寝る時は七梨の布団にもぐりこめば七梨が元気になるとか。」
「おい!そんな事はシャオに吹き込むなよ!」
えっと、今のが嘘だってことは、太助しゃまは不元気になっちゃうんでしか?
「いいや、嘘じゃないよ。絶対元気になるはずだ。」
「山野辺ぇー!」
「なんだよ。嘘は言ってないつもりだけど?不元気にはならないだろ?」
「・・・そりゃま、たしかに不元気にはならないけどさ・・・ってぇ、何言ってるんだ俺ー!」
なるほど。元気になるなら早速シャオしゃまに伝えなくっちゃでしね。
「うんうん。それじゃあ今から頼むよ離珠。今晩だけじゃなくって今後もってことにして。」
分かったでし翔子しゃん。
「って、そんなことシャオに伝えようとするなー!!」
「ったく七梨はうるさいな。離珠、早くやっちゃえ。」
は、はいでし。
「こらー!!」


「嘘をつかねば仏になれぬ」でし
『仏様でも悩んでいる人のために方便として嘘をついたのだから人間が嘘を言うのは当然だ』という事でし。
「ならばあたしが見事な嘘をついてやるとしよう。不肖わが弟のために!翔子に代わって!」
勝手に張り切ってるところ申し訳ないでしが、嘘なら離珠がもう用意してるんでし。
「はぁ?勝手にそんな・・・あたしの立場はどうなるんだ!」
「勝手なのは那奈さん、あなたじゃないんですか。」
「み、宮内!?」
そう!ふぁさぁと登場の出雲しゃんでし!
「いいですか、これから私がある嘘を言います。どこが嘘なのかを当ててください。」
そう!実はクイズ形式なんでし!
「・・・なんかくだらなさそうだけどいいや、付き合ってやるよ。」
失礼でしね・・・。出雲しゃん、びしっとやってくだしゃい!
「分かりました。ではいきますよ。
昨日私はスーパームサシへ買い物に行きました。いつもの手土産を手に入れるために。
とそこで、偶然にもシャオさんに出会いました。そこで当然私は声をかけました。
“おやシャオさん。奇遇ですね”“こんにちは出雲さん。出雲さんもお買い物ですか?”
“ええ。丁度今からシャオさんの家へお邪魔しようと思いましてね”“まあ、そうだったんですか”
“シャオさんはお一人で?”“いいえ。今は一人じゃありませんわ”
“・・・そうでしたね。これは失礼しました”“いいえ。それでは出雲さん、また後で”
“はい。おいしいものをご用意させていただきますよ”
そして私はシャオさんとわかれ・・・再び七梨家で出会ったのでした。
以上です。」
ありがとうでし、出雲しゃん。
「・・・なあ、宮内。今の何が嘘なんだ?たしかにお前は来てたよな。」
「はい、来ましたよ。那奈さんもいらっしゃったので覚えてらっしゃるはずです。」
「でもって、シャオが買い物から帰って来た時も宮内に会ったと聞いた。だから嘘じゃない。」
「ええそうです。」
「うーん・・・。」
簡単なことでしよ、那奈しゃん。
「答えはシャオさんの“一人じゃありませんわ”の部分です。」
「へ?」
あの時は八穀しゃんと一緒だったからでしね。
「・・・なんだよそれ。その部分は本当のはずだろ?
シャオは太助と一緒に出かけたはずだからてっきり・・・」
「ええっ!?えっと、太助君は一緒にいらっしゃいませんでしたけど?」
「それは単に別行動とってたってだけのことだろ。」
「そ、そうなんですか?」
「多分・・・。あ、でも二人ばらばらに帰ってきてたっけな。出かけた目的が違ってたっけかな。」
「は、はあ、そうですか・・・。」
い、意外な事実!ごめんなさいでし出雲しゃん。離珠が知らなかったばかりに〜。
「いえいえ、離珠さんが謝ることでは・・・。この話を作りあげたのは私ですし。」
「っていうか離珠、太助に付いてなかったっけ?シャオと太助と一緒に出かけたと思うんだけど。」
・・・記憶にございません、でし。
「離珠さん・・・とぼけてるのが見え見えですよ・・・。」
えうー!すっかり忘れてたんでしー!
「それと・・・これがどうやったらことわざの解説になるのか教えて欲しいんだけど。」
「那奈さん、これはですね。こういう嘘のお話も言っていいとまあこういうわけでして。」
そうでしそうでし。
「もういいよ、無理な話は・・・。やっぱりあたしが張り切って嘘をつくべきだった・・・。」
「では聞かせていただけますか?那奈さんがつこうとした嘘を。」
そうでしそうでし。
「ああ言おうか。嘘を言おうなんていったのは嘘だから。」
「はい?」
「だから、それが嘘だって事。じゃあこれで終わりね。」
「那奈さん、貴方って人は・・・。」
結局まともに解説が終わらなかった気がするんでしが・・・。


戻るでし。