北海道旅行
最高のプランを立てる
1.季節にこだわろう
一年中で最も北海道の旅行者が多いのは、言わずと知れた8月です。それもお盆の時期は大変な人出になります。お盆しか休みの取れない人には仕方ないことかも知れません。
でも、この頃の北海道は、決して最高のシーズンとは言えないことをご存知でしょうか。
なぜなら、お盆の8月中旬では大部分の原生花園はもう花期を終えていますし、富良野に行っても一面のラベンダーを見ることも出来ないのです。
もし、私達が最高の北海道旅行を味わいたいのなら、やはり季節にこだわらなければなりません。礼文島で「レブンアツモリソウ」を見たいなら6月中旬、富良野の「ラベンダー」は7月下旬、能取湖の「サンゴソウ」は9月下旬とそれぞれその時期にしか見れないものがあるからです。
北海道旅行のプランニングの第1歩は、何を見るためにいつ行くかを考えることです。
私達が自然に合わせないと、自然は私達の都合などは聞いてくれません。
2.時間を考えよう
北海道の旅行プランの大半は周遊型です。例えば、千歳から始まって、道東や道南を一周してまた千歳に返ってくるタイプです。ところが、同じコースでも右回りと左回りでは、結構印象が変わる場合があります。何故かというと、それはそれぞれの観光地に着く時間が違うからです。
一般に風景は太陽の位置でかなり見えかたが変わってきます。特に山肌などは逆光になると暗くなって、本来の緑の美しさが失われてしまいます。折角目的地に着いても、何かイメージが違うなと思うのは、意外とそんなことに起因しています。
仮に阿寒湖畔に宿泊するとするします。多分殆どの人はオンネトーにはその日の夕方か、翌日の朝に立ち寄るはずです。しかし、雌阿寒岳を背景にしたオンネトーは実は西に太陽がある夕刻が最も美しいのです。朝は、東に太陽があるため逆光となって雌阿寒岳は暗くくすんでしまいます。
このように、1日の行程の中でいつどこに立ち寄るかは、実は大きなポイントなのです。
3.自然に触れよう
北海道を旅行する人の目的は様々です。ある人は沢山の温泉を回るのを楽しみにするでしょうし、ある人は美味しい料理をお腹いっぱい食べるのを楽しみにしているかもしれません。
でも、北海道へ行くならやはり自然に触れる時間を行程の中に入れましょう。自然に触れるといっても大袈裟に考える必要はありません。わずか数時間でもいいですからハイキングをしたり、低山に登ったりして自然の素晴らしさを自分の足で満喫できればいいのです。
残念ながら、昨今の団体パックツアーにはそのようは時間を設けていることはほとんどありません。各観光地の滞在時間はせいぜい30分ぐらいで、しかも無謀と思えるほどの距離を1日でこなしています。つまり、わざわざ北海道まで行って、ちょっといいバスに1日中乗りに来たようなものです。
北海道の神髄は、何と言ってもその大自然です。それに触れなければ、わざわざ北海道に来る意味がありません。
4.北海道は広いよ
北海道は、はっきり言ってとてつもなく広い。その広い北海道を5日や6日でほぼ1周するなんて出来るわけがない。ところが、パックツアーはそのとてつもないことを平気でこなします。正に驚異の強行日程です。
北海道はやはり遠く、そうおいそれ何度も旅行することはできないかもしれません。しかし、折角北海道に来たのなら、やっぱり出来るだけゆっくりと回りたいものです。大急ぎで有名観光地だけ回っても、残るのは疲れだけです。
最高の北海道旅行とは、まず欲張りすぎないことです。特に初めての方は、どうしても強行日程になりがちですから注意が必要でしょう。長い休みの取れる方は別にして、4、5日程度の行程ならできるだけ滞在地を絞りましょう。そして、ここは良いと思うところは連泊して、ハイキングやサイクリングで汗を流しましょう。
北海道は逃げてなくなりません。今回行けなかった所は、また次回行けばいいのです。
5.温泉に泊まろう
北海道は「温泉王国」です。道内至る所に温泉が涌いていてその数は250以上にもなります。ですから北海道旅行の楽しみのポイントは、何と言ってもこの温泉を回ることと言えるでしょう。
一言で温泉といっても、登別や阿寒のような有名な温泉街もあれば、カムイワッカや中岳温泉のような大自然のなかの露天風呂もあります。それぞれの温泉にはそれぞれの個性があって、それらをぐるっと回るだけでも結構楽しいものです。
北海道を旅行すると、どうしても長旅になります。旅の疲れを癒してくれる温泉は、何物にもかえがたいオアシスとなるでしょう。
6.キャンプもいいぞ
北海道は、実は「キャンプ王国」でもあります。整備されたキャンプ場が各地に点在していて、キャンプだけで旅行している人も沢山います。
北海道の旅にはいろいろなスタイルがありますが、一度でもキャンプを経験すると、大自然のなかで寝起きするというその旅に、多分誰もが病み付きになってしまうでしょう。
あまり大袈裟に考えず、是非一度経験してみてください。北海道でのキャンプは、本当に最高です。特に家族づれの旅行なら、子供達に北海道でのキャンプを経験させてあげてください。ここでの体験は、決して都会では味わえません。
なお、キャンプ場についての情報は、毎年春に数社から「北海道キャンプガイド」として出版されていますで、それを参考にするといいでしょう。
7.交通手段を選ぼう
北海道へのアクセスは、普通飛行機か、鉄道か、船になります。時間のない社会人は、大概飛行機の利用となりますが、出来れば列車や船でゆっくり訪れたいものです。
私が初めて北海道を訪れたときは、舞鶴から船でした。約30時間の船旅は、北海道に着いたときの感動を何倍にもしてくれました。船の中ではあちらこちらで、知らない人同志が、同じようにこれから訪れる北海道の話で盛り上がり、まるで小学校の修学旅行のような雰囲気でした。狭苦しいイスに座らされて、わずか2時間程度で着いてしまう飛行機の旅とは、まるで正反対の旅と言えるでしょう。
北海道は、2泊3日で旅行すべきところではありません。少なくとも1週間ぐらい休みを取って、ゆっくりと回らないとその素晴らしさは味わえません。
今まで飛行機でしか訪れたことのない人も、一度はチャレンジしてみてください。
8.荷物は送っちゃえ
かつて旅行に行くといえば、大抵大きな旅行カバンを両手に持って、大汗をかきながら旅立っていったものです。しかし、最近は大変便利になり、運送業者が全国どこでも手荷物を運んでくれるようになりました。
北海道の旅はどうしても長期間になりますので、荷物も大きくなりがちです。それを抱えての旅立ちは、近くの駅に着くだけでくたくたになってしまいます。そこで、荷物は直ぐいる物とそうでない物に別けて、いらないものは第一泊目の宿に先に送ってしまいましょう。そうすれば、多分ほとんど手ぶらで出発できますし、キャンプやアウトドアの道具も苦労せず運ぶことができます。
折角北海道まで旅をするのです。着くまでに疲れてしまっては大変です。この際文明の利器もちょっと使用しましょう。
旅行中のアドバイス
1.早寝早起きでいこう
北海道旅行中で最も大切なことは、「早寝早起き」です。案外気がつかない事ですが、北海道は、緯度が高く、さらに日本の標準時の基準である明石より東あるため、夏場は特に昼間の時間が本州よりもずっと長くなります。ですから、朝は4時ぐらいにはもう明るくなり、7時にはすでに太陽はかなり高くあがっています。
そんな時に、ホテルでゆっくり寝ているのはもったいない話です。さっさと片づけて大自然の中へ出かけていきましょう。早朝から行動すれば1日も長く使えますし、何より朝の引き締まった空気を体一杯吸い込むことはとても気持ちのいいものです。
蛇足ですが、最近のホテルの朝食は殆どバイキングです。早発ちの1番の秘訣は、このバイキングを誰よりも先に食べに行くことです。10分遅れるだけで、長蛇の列に巻き込まれて結果として出発が遅れてしまいます。
2.穴場情報は意外なところにあります
北海道の観光情報は、大概大手の出版社が発行しているガイドブックで入手します。しかし、どのガイドブックも、紙面の関係でひとつの観光地毎の情報は限られています。しかも、現地の人しか知らないような情報は、一般のガイドブックには殆ど載っていません。
ところが、北海道にはそんな貴重な情報を無料で配ってくれるところがあります。それは、何と役場の観光課なのです。北海道の(北海道以外もそうですが)役場には、大抵町の観光ガイドやイラストマップなどが備え付けてあり、誰でもただで持って返ることが出来ます。この観光ガイドは、それぞれの町が自分たちの町の素晴らしさを伝えるため、精根こめて作っていますので、思わぬ穴場情報が手に入ることがあります。
残念ながら、役場は休日は閉まっていますが、平日に目的の町に立ち寄ったなら一度役場を覗いてみましょう。お勧めします。
3.北海道を味わおう
北海道の旅では、新鮮な海や里の幸を味わえる事が大きな魅力となっています。特にウニや蟹に代表される海産物は、都会ではとても味わえない絶品ばかりで北海道に住んでいる人がうらやましくなります。
最近のガイドブックは、これらの美味しい料理が食べれるお店を沢山紹介していますので、行程の途中に必ず立ち寄りましょう。出来れば都市部の店より、海岸沿いの漁村に近いお店の方が味もよく価格も安いので、そういうお店を探して行くのがいいでしょう。
ただ、一つ注意しなければいけないのは、どんな素材にも旬というのがあるということです。例えば、7月に売っているトウモロコシは殆ど前年の冷凍物ですし、じゃがいもも10月にならないと美味しくなりません。折角、北海道まで行って食べるのならやはり旬の物を選んで食べましょう。
4.お土産の買い方
北海道のお土産を極めるのは、相当のベテランでないとできません。また、どれが美味しい、どれが美味しくないと言っても人の好みはまちまちです。しかし、お土産の買い方にはちょっとしたコツがありますので覚えておきましょう。
まず食料品ですが、これは空港の売店で殆ど手に入ります。ですから旅行の最終日まで全く買う必要はありません。民芸品については、やはり阿寒湖や屈斜路湖の側などのアイヌの民芸店の方が安くて良いものが揃っています。小樽や函館でガラス製品を買う場合は、持ってかえるより宅配してもらった方が破損の保証も付いていて安全です。夕張や富良野のメロンは、誰に送っても大変喜んでもらえるので贈り物には最適です。
あと、一つお奨めとして「じゃがいも」の宅配を頼んでおきましょう。もっとも美味しくなる10月頃着くように指定しておけば、ふっくら育った「じゃがいも」が夏の旅の思い出を連れて届けられることでしょう。
5.安全運転で行こう
北海道内をドライブすることは、都会の渋滞に苦しめられているドライバーにとっては天国の様なものです。道幅は広く、信号も殆どなく、まっすぐどこまでも続く道は、日本では北海道でしか体験できません。かつては、ダート区間もあった国道も今では殆ど舗装されより快適にはなったのですが、その分どうしてもスピードはアップしがちで思わぬ不幸に遭遇することもあります。
道内のドライブでは注意しなければならない事がいくつかありますが、その第一番は動物の飛び出しです。特に山間部では、野生の鹿が飛び出すことがあり注意が必要です。
次に注意が必要なのは、追い越しです。善し悪しは別にして、道内の車は殆ど80Km/h以上のスピードで走っています。でも、それを更に追い越していく車は沢山あります。追い越す時も、追い越される時も無理をせず十分注意を払いましょう。
北海道は交通死亡事故が多いので有名です。そのため最近は取り締まりも強化されています。一般道で制限速度が40Km/hになっているところは特に注意が必要です。調子に乗って走っていると、おまわりさんが旗を振ってにこにこしながら車を停めてくれます。
折角の北海道旅行です。いやな思い出を作らないようしたいものです。
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