EPILOGUE

エピローグ



私が北海道を初めて訪れたのは、今から14年前の1982年の夏、ちょうど大学2回生のときでした。高校時代からの友人4人と一緒に、車をフェリーに載せて、約2週間かけて道内をほぼ1周しました。たまたま出発の前日、近畿地方に集中豪雨が降って、舞鶴からのフェリーは2時間遅れの出港となり、しかも大揺れの船旅でした。しかし、2日目の朝、小樽に入港すると天気は晴れ渡り、北海道は初めて訪れた私達をやさしく歓迎してくれました。

当時のガイドブックがまだ私の手元に残っています。今、それを開いてみると北海道もこの14年で大きく変わったなあと感じます。
ガイドブックの1ページ目の地図に目をやると、道内には沢山の「国鉄」の鉄道網が走っているの気づきます。そう言えば、その頃の学生の北海道旅行は「北海道ワイド周遊券」を利用するのが1つの定番でした。青森まで夜行列車で行って、青函連絡船で函館に上陸する。これぞ正に、「遥々来たぜ、函館〜」の世界です。しかし、今ではもう連絡船がなくなってしまったので、それを体感することはできません。道内の支線も多くが廃線になり、鉄道だけで旅行するのはもう困難です。

もうひとつ驚くことは、今では北海道の有名観光地となって毎年沢山の観光客が訪れる「富良野・美瑛」が紹介されていないことです。富良野が知られるようになったのは、やはりあの「北の国から」が放映されてからなのか、まだ一般的ではなかったようです。そう思うと、北海道のなかでこの10年で最も変わったのは、この「富良野・美瑛」でしょう。確かに、美しい場所なのですが、ちょっとその変貌の速さには驚かされます。信州の清里のようにならなければいいがと願うばかりです。

北海道は、確かに変わってきています。特に有名観光地には本州からの格安団体ツアー客が、大量に押し寄せるようになり、幾分うんざりする時もあります。しかし、一方でこの10年全く変わっていない秘境もまだまだ存在します。私は、今後も機会があれば北海道を訪れて、そんな場所を紹介したいと考えています。また、皆さんがご存知の場所がありましたら、逆に私に教えてください。よろしくお願いします。それでは。

1996.6.3 KAZU


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