江戸っ娘忠臣蔵の感想。

TOPページにも書いたけれども、ストーリの細かいところにまではふれないし、できるだけネタバレにはならないような書き方はするように注意しようと思う。けれども、やはり多少はストーリーに触れてしまうと思うので、『ネタバレ無し』と言いきれるものとはならない。なので、まだミュージカルを見てなくてこれから見る予定があるという方は読まない方がよいかもと思う。余計な先入観は無い方がいいだろうし。

ただし、既にミュージカルを見たという方でも、いわゆるネガティブ系、批判系な感想なら読みたく無いよって方は、やっぱりお引き取りねがったほうがよいと思う。
っていうのは、正直なところ、今回のミュージカルに対する僕の評価はかなり低い。なので、けっこうえらそうなことを書いちゃうと思うので。

ま、そんなわけでさっそく感想を書いてみると、まず、これは残念ながら全く予想どおりだった事に、ストーリーがあまりにもだめだったと思う。あまりにも支離滅裂というか、中途半端というか。
このミュージカルのシナリオ、まず前提として、モーニング娘。やカントリー娘。ココナッツ娘。の面子で忠臣蔵よろしく討ち入りをするっていうコンセプトありきで作られたのだろうが、やはりその前提にあまりにも無理があったと感じた。実際にそのクライマックスシーンを見て、僕はやはりどうしても馬鹿馬鹿しいという印象しか受けなかった。あまりに荒唐無稽というか、やはり支離滅裂な話の展開であったと言わざるを得ない。リアリティのかけらも話から感じられないから、舞台に引き込まれないのだ。なんのリアリティもだせないのなら、せめて真正面からコメディにするとかしてればまだ見れたのかもしれないが、その直前のシーンがシリアスなものだっただけに、余計に討ち入りシーンの滑稽さが、見てて違和感だらけだった。
残念ながら、ことシナリオに関して言えば、このミュージカルは学芸会レベルだと思う。

だが、シナリオが全てだめだったというわけでは無い。部分部分ではおもしろいところがいっぱいある。ただそれはやはり部分的なもののみだったと思う。
今僕の記憶の中で印象に残っているシーンというは、矢口、加護、辻のテンポのいい掛け合いのみだ。この3人のシーンは掛け値なくおもしろかったし、見る価値のあるものだ。だが、そこだけだった。

モーニング娘。のメンバーがすぐ間近で見られる。これはたしかに嬉しい事だし、価値のある事だ。今回僕は見に行って損をしたとは思わない。そしてあと1度行く予定もちゃんと行くつもりだし、さらに会社帰りに当日券でもう1度見に行こうとも思っている。
ただそれはやはり、娘。たちを近くで生で見れるという、そのためだけにである。ミュージカルの中身を楽しむために行くというものではない。そしてこれがキャストがモーニング娘。でなかったら、正直なところ2度と見に来ようとは思わなかったし、見て損したと思っただろう。

だから、このミュージカルを見る価値があるかと問われれば、娘。が好きならばあると答えるが、娘。をそれほど好きでない人には決して薦められない。そういう種類のものであったと思う。

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こんな感じでかなりネガティブな感想になったが、僕が何を見るにもシナリオ至上主義な人間なんで、シナリオに関してはさほど気にしないという人にとってはそんな悪いものではないのかもしれない。
娘。達はなかなかいい演技を見せていると思うし(やはり安倍はしっかり演技できるし、旧ミニモニ3人のコンビネーションは絶妙だ)、そういう演技を見に行くんだと思えば、このミュージカルの印象も変わってくるのかもしれない。今回のミュージカルに何を求めて見に行くかにもよるだろう。ただ僕は『作品』として見に行ったので、そういう意味では残念な出来のものだった。

そしてこれはもう間違い無いと思うのだが、ここ3年のミュージカルの出来ってものを考えると、明らかに『センチュリーランド>モーニングタウン>江戸っ娘。忠臣蔵』であるように思う。もちろん個人的な趣向の差はあるだろうけども、今回のミュージカルは時間も短ければ、ソロ曲もほとんどない。そして矢口曰く、娘。達の練習時間もさらに短くなったという。つまり明らかに年々手を抜かれていっていると思うし、余計なトップダウン決定事項も増えている(今回の討ち入りっていうコンセプトなど)。そこになんか今後のモーニング娘。ってものに対するなんとも言えない不安も感じる。

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今回、ミュージカルを見た後に色んなサイトにいってミュージカルの感想を読んでみた。
そして僕にとっては意外な事に、結構評判がよかった。まぁこれはモーニング娘。のメンバーにとってはよいことで少しはほっとする。あまりにも僕の趣味にあってなかっただけなのかもしれない。
だけど、どこが良かったかって話になると、『近かった』とか『かわいかった』という理由がほとんどであったのもまた、このミュージカルがどのようなものだったかを示しているのかもしれないとも思った

センチュリーランドやモーニングタウンには分かりやすいテーマがあった。それは『夢をかなえるために努力する事の大切さ』だ。そして出演している娘。メンバー全員に何かしら夢を与えて、それに向かって前進する姿を劇中に表現してくれていた。そう、メンバー全員が主役だった。
だけど今回のミュージカルでは、そういったものは無かった。わずかにそういうテーマを与えられたのは安倍と石川だけだったし、その2人にしても、なんとも表現が薄いものだった。
今回のミュージカルには主役がいなかったとすら僕は感じた。

『何を伝えたいのか』
そういう1番大事なテーマが、今までのように『夢』というものではなく、今回は単に『討ち入り』という事象だった・・・・。
そこが1番の問題だったのかなとも思う。

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う〜ん、ファンサイトをやってるものとして、このまま終わってしまうのはあまりにあれなんで少しフォロー。
1度も見てなくて、見に行こうかどうか悩んでいる人がいたとしたら、それは是非見に行く事をお薦めする。あくまで娘。ファン限定ではあるけれども。
確かに内容は僕はどうかと思う。だけど、やはりすぐ近くに娘。たちがいて、そこで演技をしているという感覚はなんともいいものだ。テレビとは全く違うし、ライブとも違う。内容はどうあれ娘。ファンなら楽しめないという事は無いだろう。それに既に述べたが、安倍の演技や旧ミニモニのコントは絶品だ。
また明治座には花道という客席をつらぬいている舞台があり、そこを使った演出と言うのは1度体験する価値のあるものだと思う。背中から石川のバタバタバタって足音が聞こえてくる感覚はなんとも心地いいものだった。
だから、せっかく今からでも当日券で入れるのだし(土日はどうかわからないけれども。あるいはヤフオクあたりには大量に券が出まわっていて、ほぼ定価で買える)、いい経験にはなると思うのだ。
こんだけうだうだ言っている僕が、あと2回くらいは行ってみようと思っているというのがいい証拠である。

まぁでもやはり、DVDは買おうとは思わないだろうなぁ。買ってもメイキング目当てだろう。


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