一流ギルド?




 帰ってきたルークはまず酒場に行った。が、いつもの金髪バードがいなかったので、また後にしようと今度は執政院に行ってみたところ、眼鏡がちょうどミッションを発動したところだった。
 「えー、なになに…飛竜の卵を取ってこい…無理」
 「いや、そうあっさりと諦められると困るのだが」
 言われてみれば、あのワイバーンの動きは抱卵している鳥に似ていたような気がする。体勢を変え、けれど外敵には向かっていって、敵を追い払ったらまた元に戻る。
 が、ということは、いつも以上に凶暴になっているってことだ。子供を傷つけようとした時の母親ってものは、そりゃもう鬼。
 「何も飛竜を倒して卵を奪ってこいとは言っていないよ。こっそりで良いから、取ってきて貰えれば研究の役に立つ、と…」
 「嗚呼、何ということでしょう、産まれた子供を守ろうとする母親から無理矢理引き離してきて実験台にしようとは、鬼畜と言わざるを得ない悪魔の所行〜♪」
 「…歌うな!歌わんでくれ、頼む!」
 たっぷりと<破滅の歌声>と名高い腕前を披露しておいてから、ルークは真面目に考え込んだ。
 自分で言っておいて何だが、ルークはあまり爬虫類が好きでは無いので、飛竜の母子関係を壊すことに躊躇いを持っている訳ではない。
 単純に、実力では飛竜にかないっこないのが分かっているだけだ。
 が、あの飛竜は、定期的に向きを変えていた。ということは、ずっと背後に回って行ければ、巣の奥にまで行ける可能性もある。
 「…うちがやらなくても、<スカイハイ>とか<エレメンツ>とか<レインボウ>とか<スティグマ>とか…」
 先行しているはずのギルド名を上げてみると、情報室長が顔を顰めて眼鏡をくいっと上げた。
 「<スカイハイ>は先日から探索が止まっている。理由までは把握していない。<エレメンツ>は我々のところにはほとんど来ないし、<レインボウ>は怪我で休養中、<スティグマ>も現在位置が不明だ」
 「レンツスは…」
 「レンとツスクルかね?長は更に下に向かわせたらしいので、もう8階には戻って来ないだろう」
 …ちょっと待て。
 ルークはオレルスをじろりと睨んだ。素知らぬ顔で見返してきた情報室長に、ゆっくりと聞く。
 「じゃあ、何か?このミッションは、ほとんど俺たち名指しで発動してんのか?」
 「いやいや、そんなことは無いとも。君たちがスノードリフトを倒してくれたおかげで、若手の冒険者たちが下へと降りてこられるようになっていてね。そんな若手の一部が血気に逸って飛竜の巣に飛び込んでくれるかも知れないし」
 「脅しか!」
 自分たちでも、あの飛竜の巣に挑戦するのは躊躇うのだ。更に若手が挑めるはずもない。いや、いっそまるで実力が足りないギルドの方が、ワイバーンの威圧感にも気づけずのこのこと巣に踏み込むかも知れないが…一蹴されること間違い無し。
 見知らぬ若手のフォローまでする義理は全く無い。
 が、微妙に良心が痛むのも確かだ。
 そもそも、下へと向かう道も見つかっていないし。
 「…分かったよ、分かりました!ギルド<ナイトメア>、ワイバーンの卵ゲットしてきます!」
 「はっはっは、そう言ってくれると思っていたよ」
 ぬけぬけと言った眼鏡を睨んでから、ルークは溜息を吐いた。アクシオンもそうだが、自分はどうもこの手のタイプの押しに弱いらしい。
 まあ、しょうがないよな、性格ってもんだから、と腹を括り直していると、室長は奥へと声を掛けた。
 「では、長、お願いします」
 何だ何だ、「先生、お願いします」って用心棒かよ!と身構えていると、「ど〜れ〜」と(は言わなかったが)出てきたのは堂々とした白髪の人物であった。
 「執政院の長、ヴィズル様だ」
 「君が<ナイトメア>のリーダーか。有望なギルドだと聞いているよ」
 「はっはっは、たぶん、間違った噂を聞かれたんすね」
 速攻で否定すると、眼鏡がこっそり足を蹴ってきた。下は見ずに足を踏み返している間に、長は目を細めてルークを見つめた。
 「謙遜することは無い。これだけの短期間で、8階まで到達するとは記録的だよ。君たちの活躍のおかげで、やや停滞気味だった新規冒険者の流入も、また右肩上がりのカーブを描き出した。喜ばしいことだ」
 執政院は喜ばしいかもしれないが、ルークにとっては、あまり喜ばしくもない。まあ、ライバルが増えて困る、なんてことも考えないが。
 「いやー、のんびり暢気に楽しく探索がモットーですんで、あんまり期待されると困るんすけどねー」
 へらりと軽薄に笑ってやったのに、長は怒りもせずに、いきがってる子供を見つめる慈父のような目つきになった。ルークは内心、首を傾げる。普通、ここは怒るべきところだろう。もっと真面目に探索しろ!とか何とか。…どうもこの目は、本気で気にしてないというか、むしろ喜んでるというか…。
 「これからも、その調子で頑張ってくれたまえ」
 そうして、長はまた奥に引っ込んだ。
 「…長に名前を覚えられるということは、一流の冒険者の仲間入り、ということなんだがね」
 「いや、俺ら、別に一流じゃないし」
 「いい加減、エトリアでも5本の指に入るくらいのギルドになっていると自覚したまえ」
 「…げ、そんなに?」
 黒猫印のギルド内だけでも20近いギルドが名を連ねている。更に他にも統括しているギルドが5つほどあるのだから、勢いのあるなしにせよ100近い数のプライベートギルドがあるはずなのだが。
 それも大半は自分たちが作り上げる前から活動していたはず。
 何で、のんびり適当に、安全第一をモットーに探索している自分たちが、5本の指なんかに入っちゃうかなぁ。
 半分が1階あたりでうろうろして伐採に明け暮れているとしたって、残り50は何やってるんだ。…全滅しては、新しいギルドが加入しているのか?カマキリあたりで討ち果てる奴らもいそうだし。
 ぶつぶつ計算してから、ま、いっか、と考えるのを止めた。他がどうあれ、自分たちは自分たちのペースで行くだけだ。
 「んじゃ、まあ、期待せずに待ってておくれ」
 「期待しているよ。…何だかんだ言って、君たちは任務遂行率100%だからね」
 「…それ、街のお使い任務も込みの数値じゃん」
 けらけら笑いながら出ていったルークの耳には、眼鏡の「それも凄いことなんだがね」という呟きは入らなかった。
 
 さぁて、酒場に行って新しい依頼でも確認するか、とベルダ広場を歩いていると、目の前に冒険者の一団が立ち塞がった。
 「<ナイトメア>のリーダーだな!」
 先頭の浅黒い肌の若いのが剣をルークに向けた。
 「うん、まあ、そうだけど。人に剣先を向けちゃいけませんって習わなかったか?」
 「いいんだよ!今から喧嘩売るんだから!」
 「…あ、そう…」
 ルークはぽりぽりと頭を掻いた。
 さて、どうしよう。
 まあ、いきなり斬り殺されることは無いだろう。いくら何でも、それは辻斬りで、普通に殺人罪だ。
 「んで、何の用?」
 「俺たちは、スノードリフトに挑んだ!しかぁし!お供のスノーウルフが次から次へと乱入してきたせいで、敗退してきたんだ!」
 「…いや、それと俺に何の関係が」
 「そう!俺たちは強い!スノードリフト一匹なら十分に倒せる実力を持っている!…だから、スノードリフトを倒した<ナイトメア>リーダーを倒して、それを証明してみせる!」
 「なんでやねん」
 投げやりに裏手で突っ込んでから、ルークは褐色ソードマンの背後を確認した。
 一緒になって武器を構えている者、ちょっと困ったように構えている者、どうでもよさそうに横を向いている者…しかし、止める気は無いらしい。
 「吟遊詩人一人倒して名が上がるんならすげーよなぁ」
 いつの間に自分はスノードリフトと同レベルの難易度になったんだ、とルークは葉っぱをぴこぴこさせた。
 周囲では、物珍しそうに見ている人間や、怖そうに見守っている人間、それから<何かあったら>介入しようとしている兵士の姿などがあった。
 「いざ、勝負!」
 「まあまあ、ちょっとお待ちなさい」
 へらへらと手を振って、ルークは目の前の剣を無視した。
 「見たところ、剣持ちソードマンに斧持ちソードマン、レンジャーにメディックにアルケミストというメンバーのようだが…レベルは幾つよ」
 「15!」
 「ぎりぎりだな、確かに」
 うーん、とルークは首を捻り、横を向いている金髪のアルケミストを指さした。
 「で、アルケミストの得意分野は?」
 「氷単体」
 「…あぁ、なるほど。スノードリフト相手には辛いな。バードいないから属性付与も出来ないし。で、お前さんの得意技はハヤブサじゃなくてレイジングエッジだったりするわけか」
 「何故、見破った!」
 「なら、やっぱ複数相手には辛いわな。…金はあるか?」
 「あぁ、あんまり無いんですよね」
 触覚のような髪のメディックが素直に答えた。それをじろりと睨んでから、褐色ソードマンは高らかに叫んだ。
 「名が上がれば、依頼も増える!そしたら金だって増えるんだ!」
 「…辻斬りで名を上げたって、来る依頼はろくなもんじゃないだろうよ…ま、それはともかく。金あるなら、ファイアオイル買いなさい、ファイアオイル。一本600enだが、使ったら剣だの斧だのが燃えて、スノードリフトやスノーウルフにはよく効くから」
 「ふむふむ」
 「金がどうしてもないなら、もうちょっとレベル上げて、アルケミストは炎属性を何か覚えた方がいい。どうせ下にいったら植物系で火に弱い敵がいるから、損にはならない」
 「…分かった」
 「で、チェイスファイアをお前さんが覚えたら、無料で火の属性攻撃が出来る」
 「なるほど!…い、いや、でも、俺TPブースト全然覚えてねぇし」
 「覚えとけよ。イヤでもTP使いたい場面が増えるから」
 「お、おう」
 「私は?」
 「悪い、うちに斧使いいないんで、よく分からないんだ。でもスタンスマッシュは覚えといて損はないって聞いてる」
 いつの間にか剣も斧も下げられ、素直に聞く体勢になっている若いのに、ルークはマップを取り出して見せた。
 「そっちのマッパーは?」
 「…あたし」
 レンジャーが同じように取り出した地図を自分のものと見比べて、うん、と頷く。
 「よし、抜け道もちゃんと分かってるな。んで、こっちの磁軸から上がってくるのは、そりゃ手っ取り早いが取り囲まれる可能性は高い。地道に1階から降りていって、こっちの道とこっちの道のスノーウルフを倒しておいて…これは最終手段だが、ここら辺まで足の速いのが出ていって、スノードリフトだけおびき寄せるって手がある。んで、どっちかの道まで誘き寄せてから戦うと、スノーウルフが駆けつけてくるまでに時間が稼げる」
 「ははぁ、なるほど、なるほど。それは思いつきませんでした」
 「ま、俺らはハヤブサあったし大爆炎持ちだったから、普通に突っ込んじゃったからなぁ。それが活躍として語られてたら、真似しちゃうか、やっぱ」
 そう考えれば、自分たちが原因と言えなくも無い。ぽりぽりとルークは頭を掻いて、地図をしまった。
 「俺たちは、まだ8階でうろうろしてるから、そのうち追いつかれるかもなぁ。頑張れよ」
 「お、おぅ!見てろ!スノードリフト倒して、一躍有名になって、お前らなんか追い越してやるからな!」
 「おー、その意気だ、真っ当に頑張れよ」
 剣を向けていたのが何となくそんな雰囲気を通り越してしまって気まずいはずだったが、褐色ソードマンは宣戦布告をすることで誤魔化したようだった。
 まあ、ルークとしても、その方が助かるが。
 こんな大勢がいる広場で殺されるとは思っていないが、それでも袋叩きに遭うのが趣味なわけでもない。
 「さぁ、お前ら!鍛えに行くぞ!」
 ぶんぶんと剣を振り回して行くソードマンに付いていきながら、メディックがぺこりと頭を下げた。
 ばいばい、と手を振って、何事もなかったかのようにルークは歩き出した。
 周囲の野次馬も、兵士たちもそれぞれが元の行動に戻る。
 さて、今の奴らは、まあそれなりに扱えたが…ひょっとして、あんまりたちの良くないのが売名行為で喧嘩を吹っ掛けてくる可能性もあるのか。
 ルーク本人は、あまり気にしない。死にさえしなきゃ、別に名誉だとかそういうのに興味無いし。
 後は…アクシオンとかカーニャとかがやられると困るな。一人ではうろうろしないように言っておくか。
 はぁ、面倒くさいなぁ、とルークは肩を回した。
 後一つ、策があるにはあるが。あの若いのがスノードリフトを倒せるかどうかにもよるし、それまではちょっとバード同盟動かしておくくらいのものか。
 ルークは基本的に面倒くさがりではあるのだが、可愛いアクシオンのためなら色々と気を回せるのだ。俺って健気、とにやにやしながら、ルークは酒場へ向かって行ったのだった。


 酒場には、やはりいつもの金髪バードはいなかったが、まあとりあえずは飛竜卵のミッションを片づけるのが先か、と気には留めなかった。
 女将に依頼のリストを見せて貰っていると、なにやら亡霊のような声が背後から聞こえてきた。
 「…よぉ…<ナイトメア>のルーク…」
 「うおっ!?…あ、<スカイハイ>のスターク…」
 <スカイハイ>は<ナイトメア>より先行しているはずのギルドだ。眼鏡からは「何故か今、活動停止している」と聞いたが…このやつれようは何だ。
 まさか、スターク以外全滅したとか!?と身構えていると、スタークはのろのろと女将の手から依頼のリストを奪って、とあるページをルークに差し出した。
 「これ…お前らが、引き受けてくれ…」
 「へ?…えーとなになに…幸運のコインを探してくれ…いや、俺たち、そういうグッズは扱ってないんで…」
 「ちっがーう!俺のコイン〜!昔から、何でもあれで決めてたんだよ〜!あれが無いと、探索なんぞ出来るか〜!」
 立派な鷲鼻の男が、髪を振り乱して嘆きの声を上げた。精神的にダメージが来そうな声に、ルークは眉間に皺を寄せて依頼内容を丁寧に読んだ。
 「えーと、8階で見たことのない魔物に襲われてコインを落とした、それを探してきてくれ…って、あんたら普通に8階くらい行けるだろうが」
 「だ〜か〜ら〜!あれが無いと、探索なんざ行く気にもならないんだよ〜!」
 うぉううぉう喚く男に、ルークは片指を耳に突っ込んで考えた。
 まあ、今から行くのは8階だ。落ちたコインなんぞ、もし後から踏まれてたら地面にめり込んでて探すのは大変そうだが、ついでに引き受けてもいいか。
 「分かったよ、うちが引き受けるから、詳しい場所を教えてくれ」
 「お〜!ありがとうっ!いやー、8階なんてお前らくらいしか頼れないだろ?若手が育っていってるって言われても、それまで待つなんて耐えられるか〜!って思ってたんだ!」
 「いや、だから、場所…」
 「おう!ワイバーンの巣の前の道をまっすぐ行って、その突き当たりだ!」
 「あ〜、あの辺な。良かった、ワイバーンの巣にある、とか言われたらどうしようかと思った」
 あるいは、まだ見ぬ9階への階段付近、とか。
 ルークは、ふと目の前の男がその9階への道を知っている数少ない冒険者であることに気づいた。
 「あ、そうだ、スターク、聞きたいことが…」
 いなかった。
 呆然と空になった席を見つめるルークに、女将が苦笑混じりに告げる。
 「仲間に言ってくるって、凄い勢いで…大丈夫かしら、この間は愛想尽かされたって泣いてたけど…」
 「…うわお」
 たかがコイン1枚で高レベルギルドが解散の危機に陥っているとは知らなかった。
 しょうがない、満更知らない仲でもなし…って単に一緒に風呂に入ったってだけだが、まあなるべく早く見つけてやろう。で、今度こそ、9階への抜け道を教えて貰うとしよう。
 「ま、それはともかく、他の依頼は?」
 「そうねぇ…ボーンフレイルの材料とか、赤玉石とか…あぁ、冒険者ギルドからの依頼もあるわ。依頼というより、腕試しのようなものだけれど」
 「あん?…えーと…忍耐力の勝負?…何じゃこりゃ」
 5日間、8階で過ごす、というだけの内容にルークは首を傾げたが、まあいっか、ととりあえず目に付くものは全部引き受け印を付けておいた。
 「それじゃ、よろしくね。貴方達は依頼をきちんとこなしてくれるから助かるわ」
 女将に見送られてルークは酒場を出た。実は酒の一杯も頼んでないのだが、それでもにこやかに接してくれるあたり、本当に依頼遂行ギルドとして気に入られているらしい。
 そんなに真面目なギルドじゃないんだけどなぁ、何をどう間違った噂が流れているのやら。


 ギルドに帰って、喧嘩を吹っ掛けられた話をすると、アクシオンが眉を顰めて鞄をごそごそし始めたので、「いや、怪我は全くしてないから」とひとまず安心させた。
 「てことで、あんまり人通りの無いような場所に一人で行かないように」
 「そんなの、返り討ちにしてやるわよ!」
 「勇ましいけどな。でも、相手が5人パーティーだったらどうするよ」
 そりゃカーニャはひたすらドレインバイト掛けていれば何とかなるかもしれないが、5人に畳み込まれたらそれも間に合わずに倒れる可能性はある。
 「1対1で勝たないと、名前なんて上がらないのにねぇ」
 「そんな理屈が通じるような相手なら、そもそも仕掛けてこないって」
 リヒャルトはハヤブサ駆けで複数相手に出来るかも知れないし、グレーテルも術の発動まで耐えれたら大爆炎で一掃、という手段もある。アクシオンは防御と回復があるので長期戦には強いだろう。
 「ルークが一番危ないんですよね…」
 リーダーが一番弱いというのも気が咎めるが、吟遊詩人なんて補助職業なのだ。まあ、その分、バードを倒したって名誉にも何にもならないような気がするが。
 「まあ、一人歩きさえ避ければ、何とかなるだろ。レンジャー組も、一応気を付けておいてくれ」
 「分かった」
 <ナイトメア>の一員であることには違いないのだが、戦力としては圧倒的に低いレンジャー組を狙われると辛い。まあ、基本的には3人一組で行動しているし、採集組だという事実も知られているはずだが。
 「…面倒ですねぇ。そんな奴らが手出し出来ないほどのレベルになる、という解決法もあるにはあるんですが…」
 「結局、高レベルの腕試しが来そうだよな。…まあ、うちはうちなりにやって行くしかないけど」
 まあ、気を付ける必要があるのは、たぶん地上でだけだ。執政院の情報を信じるとしたら、<ナイトメア>はエトリアでも上位のギルドであり、8階だの最先端を進んでいる間は、もっと格下の相手など仕掛けてくるような余力が出来るはずもないからだ。
 有名どころが仕掛けてきたらやばいが…そんなところが、わざわざ<ナイトメア>を潰そうとするはずもないし。
 それに、あの騒ぎに兵士は介入してこなかったが、報告ぐらいは上がるだろう。冒険者で潤っているエトリアの執政院としては、冒険者同士で潰し合うことがあるなんて噂が立つのは大ダメージのはずだから、たぶん手を打ってくるだろう。
 「ま、5日間迷宮に引きこもってる間に、事態が変わるかもしんないしな」
 だったらいいな、と、とりあえず楽観的に考えて、ルークはひとまず依頼をこなしに行くことにした。




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