ハートネットふくしま

シリーズ・西郷村「太陽の国」
             



災害連絡 8・27大雨洪水災害救援活動

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あれから7ヶ月
連載4回目・1999年3月23日掲載


 あの「地下鉄サリン事件」から4年たった駅員へのインタビューで「この事件は風化していない」と答えていました。

 しかし我々のたずさわった「8・27大雨洪水災害」からまだ7ヶ月しかたっていないのに、人々の間では「遠い昔の事件」になりつつありませんか?実際にたずさわっている私でさえ、最近では忘れていたような感じです。

 さて、西郷村のあの施設は今、どんな状態になっているのでしょうか?時折テレビで状況はおおざっぱに流れていますがはほとんどの人たちは、気にもかけずに忘れているのでは?

 太陽の国の中では、2月15日に大幅な職員の移動が発表されました。当初は、災害後とあって最小の移動と予想していましたが、現実にはかなりの入れ替えです。事務職関連が主になっていますが、施設内の中心となる管理センター内にセンター長は置かず、次長を2名とし、県の直轄となるようです。詳細は現時点ではまだ不明ですが、運営方針がかなり変わっていくような感じがします。

 からまつ荘、きびたき寮、さつき荘といった崖崩れのあった裏山は、巨大なダムのような堤防が建築中で、建設用のトラックがひっきりなしに走っています。施設内の状況は、今では全く何もなかったようにいつもの毎日が繰り返されています。からまつ荘と一部の入所者がまだもとの施設に戻っていませんが、工事が終了次第に何れもとに戻ることでしょう。施設内の職員も、「あんな事は、もう起きないだろう」という気持ちと、「忘れたい」と言う気持ちが複雑に絡み合っている状態です。

 今回の職員の大幅な入れ替えにより、災害のあった現場から離れることでいっそうそう意識に拍車がかかると思われます。しかし、その場を離れることのできない施設入所者はいったいどんな気持ちで過ごしているのでしょうか?表面は笑顔でいても「雨足が強い夜はちょっと怖い」そんな言葉を思い出します。これって災害を受けた一般の住民にも言えることですよね。

 施設の気候ももうすぐ春がやってきます。結構桜の花がきれいな場所でもあります。嫌なことは忘れてしまってもかまいませんが、でもあの当時の事で忘れてしまってはいけない事があるような気がしませんか?それは、今後の災害に対する行政の対応です。これって大切なことだと思っているんですが。担当者が変わるたびに「また最初から・・・」なんて事ないよに、期待はしていますよ・・・


<ハートネットふくしま 増子>  



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