否定論 2005/10/11 14:09
否定論
こういう用語は一般的ではありませんが、社会現象として蔓延して煩わしい。
正常な大人がなんで…?と思うが、正常・健全なるが故に精神科治療もカウンセリングにも無縁だからとても始末が悪い。こういう人達は『平気でうそをつく人たち』(M・スコット・ペック、草思社)の範囲に入るのだろうか。無意識?目的意識があるのか理解できない。
代表的な否定論について考える。
「ホロコーストは無かった。」
犠牲者数の正確な統計がない、ヒトラーの命令書が無い、生き残り証人の証言に事実との食い違いがある、などを根拠にナチスによるホロコーストは無かったと言う説。文芸春秋社の雑誌『マルコポーロ』はこのトンデモ説を載せて国際的反感を買い廃刊に追い込まれた。邪悪な筆者と馬鹿な編集者。
「南京大虐殺は無かった。」
ナチスによるホロコーストの否定論と同種の稚拙・不完全な論証による否定論。軍司令官の日記改竄をしてまで否定論を強弁する者もいる。否定論の形を狡く避けていますが、正確な犠牲者数が確認できないゆえに偕行社雑誌などの数万人規模の犠牲者数をもって「大」虐殺は無かった、とのインプレッションを狙った狡知な論もあります。
かって南京大虐殺は50万人というトンデモ説に組したという元「民青」の藤岡信勝(「新しい歴史教科書‐市販本」著者)はいまや否定論の旗頭です。左翼から右翼に変身できるキャラクター人間はその時々の都合でトンデモ説を賞賛したり、通論を不完全な根拠で否定することを平気で行えるらしい。
「日本軍は中国に毒ガス兵器を遺棄していない。」
論拠:台湾で蒋介石軍に毒ガス兵器を引き渡した。目録が残されている。「だから」満州でもソ連軍に毒ガス兵器を引き渡したはずだ。
こんな論拠の薄い論を西村慎吾議員の秘書およびある売文屋が雑誌『諸君』にそれぞれかなりの紙数を使って述べている。西村は防衛庁に親しい議員だから、関東軍の戦闘詳報等を渉猟して毒ガス兵器の処置について確たる報告もできたはずと思うが、どうして台湾における軍の処置を論拠とする「遺棄否定論」を繰り返すのだろう。
こんな中身の薄い論でページを増し、仰々しいタイトルをつけて売る「否定論」雑誌の蔓延は煩わしい。もっと確たる内容で充たしてくれ。
そのほか次の否定論も沢山ありました。
「神州日本が敗れるはずが無い!」
「日本が敗れるなどというのは非国民だ。」
今でも反日本人は日本から出っててちょうだい!などという無根拠な日本人否定論がある。
日本人なら黒を白と言っても国の名誉を守るべきだ。南京大虐殺などと言うのは反日本人。「良心」があるなら黙っているべきだ。否定するのが真の日本人であり愛国者という「普通」の人々・自由主義主観を標榜する人々の説。自由主義史観(何処が自由??)に反するのは「自虐史観」と汚い創作レッテル(汚い言葉を投げつけ相手を黙らせるのは民青、核マル派など左翼の習性だった)を貼り、客観的事実認識を拒絶する否定論。
「ダーウインの進化論は嘘だ。」
アメリカ人の過半は進化論を否定する。その学校教育も否定する。聖書に反する教えだと。
IAEAブリクス委員長のイラク大量破壊兵器査察見解を否定した「イラクに大量破壊兵器は必ず見つかる〜無いとはいえない」というブッシュの否定論は多数の罪も無い女子供の命も奪う戦争の口実となった。
フセインが見つからないからと言ってフセインが居ないとはいえない、という今は懐かし否定論もありました。
ここでいう否定論は全て明白な論理的誤謬をおかしています。それを知りながら強弁する常識人ほど邪悪なものはありません。
ブラジル移民「勝ち組」の「日本敗戦否定論」は僻遠地・情報不足ということもありましたので許容範囲でしょう。
「地球フラット協会」の地球は球体ではないという主張は笑えますが、かっては真実を語る人々の命を奪う恐ろしい見解だった。
「ソ連はフィンランド領土を奪ったことは無い。」
「ソ連は日本固有領土を奪っていない。対米防衛占領だ。」
藤岡さん達、民青諸君が目をむいて否定しました。
「否定論」の最大の論拠:君は実際に現場に居て事実を確認したのか?南京大虐殺を実際に見た証人は居ない等等。そう、私は地球が丸いのを見たことがありません。南京攻略戦も見ておりません。「否定論」の普通の人、正常な人との討議はばかばかしくて難しいものです。
「否定論」を強弁する人々がとにかく自分は、自分達は、祖国は清く正しいと思いたい心情は理解できないではない。「私の子供は絶対悪くない、社会が悪い。」と言う非行少年の親も、「じっちゃんは侵略戦争などしていない。」という小林よしのりの曖昧な言い分に慰められる人々の心情も分るが、私は敢えて冷たく突き放す。何れも何らか加害者側責任があるからだ。本当に罪も無い数知れぬ被害者が居る、居たことを思えば根拠薄弱な「否定論」が蔓延るのは煩わしいだけだ。
私・斑覚斎は冷酷邪悪な反日本人でしょうか?