ホタルについて

                                          箱島ほたる保護の会

 昔から平和のシンボルであり、環境のバロメーターとも言われていたホタルも高度成長の波に飲み込まれていた昭和60年に日量3万トンの不動尊の湧水が日本名水百選に環境庁の認定を受けました。それを機会にホタルの復活を計ろうと村当局と地元有志で話し合いの未発足したのが「箱島ほたる保護の会」です。それ以来、役員一同、研鑽努力の結果、ホタルと言えば「箱島」と広く知られるようになりました。

 今、日本に生息するホタルは40種類となっていますが、その中で代表的なゲンジ、ヘイケの各ホタルは水生で、他はほとんど陸生です。ゲンジ、ヘイケ共に水中で約10ケ月、ゲンジはカワニナをヘイケはモノアライガイを溶かしながら食べ、ホタルとして成虫になるにはそれぞれ30〜50匹を必要としています。そして、水中生活の中で6回程度脱皮して大きくなります。ゲンジの場合、4月の中・下旬に上陸して土中にもぐり、土繭を作り、約50日程で成虫となって飛び立つわけです。ヘイケは約20日ほど遅れるでしょうか。

 成虫となったホタルの生命も7日〜10日程で、その間に子孫を残す活動をするわけです。しかし、成虫になった時点で、オスの4〜5匹に対してメス1匹程度なので、交尾も出来ず一生を終わるオスが多く、悲しい宿命をもった生物なのです。又、個体ですが、ゲンジはヘイケより5ミリ程大きく、それぞれメスはオスより5ミリ程大きいので、その点女性上位です。

 どちらのオスも胸の5〜6節目が光るのですが、メスは6節目だけ光り、メスの光はオスの3倍ぐらい強く光ります。メスは比較的飛ばないで革の茎陰で待機し、その上空をオスが飛び回り、受け入れて貰うべく光の信号を送っているわけです。上手に受け入れられたオスは2日もたっと死んでゆきます。メスは10日程たつと附近の水ゴケ等に卵を産み付け死んで行き、卵は20日程の後、幼虫となります。ゲンジで700粒、ヘイケで500粒の幼虫も自然界の厳しさから成虫になれるのは100分の1程度です。

 当地域で半世紀前のように各所でホタルの乱舞を見られるようになったのは、各河川の清掃をはじめ、地域の人等が自然環境の大切さを身を以て体験してきたからです。そして、これから育ちゆく子供等の情操教育にも大いに役立っていることであり、地域全体と役員一同で頑張っているわけです。例年、ゲンジの最盛期は6月20日前後、ヘイケは約20日遅くなります。

 以上、簡単に説明しましたが、御来村の上、心ゆくまで御鑑賞下さい。

** この紹介文は、本会の初代会長が作成したものです。 **

ホタルの観賞に来る方々に、本会の生い立ちやホタルのことが分かるように簡潔にまとめてあります。


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