岩波国語辞典 第四版
  1988年8月発行
より引用

<2003年5月3日〜5日に行った旅行の記録>


   1日目 

 2003年5月3日午前1時。
 例によって深夜の現実逃避である。

 取り立てて「此処に行かねば」とか「ココは見に行かねば」といった厳密なスケジュールは無く、出たトコ勝負と言った感じの気ままなドライブである。一応、大雑把な目的方面の情報だけを助手席に乗せ、 一路西へ向かう。
 実のところ、出発数時間まで、夜明け前くらいにウチを出て、東から何ケ所か周りながら気侭に行ける所まで西へ向かおうかくらいのつもりだったのだが、思えばGWの最終日に西から関東へ帰ってくる車の渋滞にわざわざ好き好んで入り込んで辛い思いをするのもバカバカしいかなと思うようになり、急遽予定を変更して、「行ければいいかな」くらいに考えていた一番西の場所へ最初へ行ってしまっておいて、そこから東に戻ってくる形にした方が楽なんじゃないかと思い付いてしまったので、またしても深夜に出発することにしたのである。そういう意味で言えば、往路に関して言えば、昨年三度も同じようなことをしているということも少しは経験的に役にたっているのかもしれない。
 と、勝手知ったる(つもりの)高速道路をそそくさと走り抜け、当初は出発を予定していた薄らと夜も明けようかという時間には、今回のドライブ予定コースの一番西の町の手前まで辿り着いてしまう。
 あまり早く着き過ぎてもすることないので、SAに車を停めて一休み。1時間も仮眠していると喉がモーニングコーヒーを欲っし始めてきたので、SAを出て市内に入ると一番最初に目についたコンビニへ飛び込む。
 このコンビニでスッカリ目も覚めるような驚きに出くわしてしまった。
 私が店に入るなり、店員が「いらっしゃいませ〜」と声をあげたのである。
 この一見何でもない普通だとしか言えないことが私にとっては驚きだったのである。なぜか。『偏見』だと思われても困るのだが、つまりは、私は、この町に生活されておられる人は須らく客に対しては「おいでやす」というものではないのかと思い込んでいたようなのである。それを、いかにもマニュアル通りとはいえ、標準語で迎えられたものだから、ビックリしてしまったのだ。
 …今思えばあまりにもバカバカしい思い込みだと笑うしかないのだが…そんなことってありません?

 ともあれ、そんなバカバカしい自分の思いこみに苦笑いを噛み殺しつつコンビニを後にしたものの、町はまだようやく活動をし始めたばかりなので、『会場』も当然開いていない。
 仕方ないので、動物園そばの市営駐車場に車を預けて、川沿いをブラブラと散歩して時間を潰す。観光地として何度か訪れたことのある町であったが、こうして何の観光もぜず、ただ町並みを歩いているだけというのもなんとも面白い。狭い路地で世間話をしているオバちゃんたちの訝しげにみるような視線も、いかにも自分がこの地において異邦人であるかということを強く意識させてくれて心地よい。日常生活からの逃避は非現実的なバカバカしさこそが必要不可欠なのだ。まったく、こうして何の意味も無い散歩こそが日頃の鬱積するストレスを発散させるのにはイイ感じでリラックスできたりするのである。
   そうこう1時間あまりも歩いていると、時間もそろそろいい頃合になったので『駐車場』に戻るように『会館』へと向かう。
 『会館』で催されている『古書展』を覗き、ここでも3時間程を歩き廻ってみる。
 これといった収穫こそなかったものの、折角来たのだからと、記念にちょっとだけ散財する。
▲ 春陽堂 昭和25年刊 現代大衆文学全集
 横溝正史「夜歩く 本陣殺人事件 真珠郎 其他」
▲ 小説倶楽部 昭和33年4月号 「炎の十字架」第1回掲載誌
 この回の最後に「次号完結編へ」とあるのは何故?
 一応、お断りしておくが、画像アップしてある2冊だけをもって“散財”などと大袈裟な表現をしているわけではない。この他にも極めて個人的趣味を満足させる為だけのモノもいくつか購入しているのであるのだが、まぁ、その辺は「むにゃむにゃ」ということにしてしまう。
 こうして会場を出ると、時間ももう昼を廻っているし、食事でもしようか…という気にもなるのだが、こういった時は別段ガイドブックのようなものを用意していないので、何を食べようか考えてしまう。これが夜ならあそこにでも行って“お大尽遊び”とまではいかないまでも…と考えないでもないが、昼からあそこにいってもなぁ…と思わざるを得ない。仕方なく車を駐車場から出して、走りながら良さそうな処にでも入ればいいだろうと町中を流そうとしたのだが、やはりGWの観光地ともなると否応なく車の流れは鈍くなり、思うように進めない。
 ここで渋滞に右往左往していても面白くないので、急遽針路を北にとって幹線道路を諦めて山道を抜けてこの町から出ることにする。
 山道を駆け抜け、峠にある食事処で昼食を取る。眼下に日本最大の湖が広がっている。湖畔まで行って食事にすればよかったかな…とも考えないこともなかったが、天気も良く、気温も高くなっていたので、湖畔もまた混雑しているのではないかと危惧して、湖は遠巻きに見るだけにする。確か最近この湖の横に温泉施設ができて、マスコミなどでも紹介されていたように記憶していたので、興味ないこともなかったのだが、ここでゆっくりしているとこの後の道路事情が心配なので先へ向かうことにする。
 とはいえ、車を進ませつつも目に映った古本屋にはちゃっかりと飛び込んで、「何もここで買わなくても…」というような本を一冊だけ購入。これで全国古本屋巡りもまた1県クリアしたという気持ちだけ満足させる。

 湖横のI.Cから高速に乗ってもよかったのだが、それほど急いで移動しなければならない旅行でもなかろうと一般国道を走ろうと思ったのがちょっとした間違いだったかもしれない。酷い渋滞こそなかったものの、やはり休日の幹線道路はそれなりに車の量も多く、思うほど走行距離が稼げない。仕方なく日も傾き始めた頃、ようやく高速に乗って東へ向かう。
 日没前には、ディープな横溝正史/金田一耕助ファンが数多く群雄割拠しているという都市にこそこそと裏口から忍び込むように入る。
 町中をうろうろと走りつつ、取り敢えず寝床だけは確保しておこうと、繁華街を廻り、ガソリンスタンドの従業員や知人のアドバイスなどを受けつつ、ビジネスホテルを確保。
 夕食に“名物”を食べつつ、その夜は……。< 以下記載自粛 ♪ >

   2日目 

 さて、二日目の朝である。
 前日、宿の確保の為町中を走り廻ったおかげで、だいぶ町の様子も掴めつつあったが、知り合いの話しだと「この町を車で移動するよりは地下鉄を利用した方が楽だよ」と、地下鉄一日乗り放題キップのことなどの情報も聞いていたのだが、いざ来てみると、それ程の車の量とも思えず、何よりもバスレーンがセンターライン側にあったりという、あまり日頃目にすることのない物を見せてもらったりすると、何も移動の便利さから地下に潜ってしまうより、いろいろな物を目にした方が面白いだろうと、車で移動することにする。

 この町に来たのは、もちろん古本屋巡りが目的のメインということもあり、ネットなどでもそれなりに情報は拾ってきたつもりではあるが、逆に言えば、それ以外にこれをしたい、これは見ねばという情報を用意してきていなかったので、古本屋が開店するであろう10時頃まではほとんどすることもなく、仕方ないので『城』を見たりする。
 城の周りにある堀というと、普通なら埋めたてられていなければ水がハってあるものと思っていたのだが、ここの『城』のお堀にはなぜか水がなく、代わりに鹿がいた。 水があってその中に何万匹もの金色に輝く鯉でも泳いでいようものなら、如何にもこの町の『城』らしいのになぁ…と思うのは、これもまた私の偏見的思い込みにすぎないのであろうか?
 ともあれ、幼い頃に観た映画の中で無惨にも破壊されていた『城』がちゃんと再建されていたことにホッとしつつ『城』を後にする。

 かくして古本屋巡りである。
…とはいったものの、結論から言ってしまえば、前出したように、ディープな横溝正史/金田一耕助ファンが数多く群雄割拠しているというこの町の古本屋にめぼしいモノが残されていようはずもなく(ホントに?)、一応何軒か廻ってみたもののこれといった収穫には出合うことはなかった。もっとも、私の狙いどころがかなり限定的なモノに限られていたからかもしれない。しかし、折角ここまできて何も買わずに帰るのも面白くないので、横溝正史とは全く関係ないが、個人的趣味は満足させうる本をいくつか購入した。
 『古書』探しという意味では、収穫こそあまりなかったものの、最近ネットでの古本購入が多くなってきて、それはそれで楽でもあり良いのだが、こうしてネット販売に頼ることなく店頭売りで頑張っているお店の人の地方色豊かな言葉を聞きながら古本を漁ってみるのも久しくやっていなかったので、そういったことが敢えてしたくて、今回の古本屋巡りを思い立ったのだから、そういう意味ではかなり楽しめたといえる。

 昼食に今度は麺類の“名物”を食し、市内を離れて、南東に位置する町にある古本屋をめざす。
 以前よりネットで気になっていた古本屋であり、その在庫目録の中の商品を確認したいと思っていたのである。電話やメールで問い合わせさせてもらってもよかったのだが、どうせいつかはこちらに来てみたいと考えていたので、この機に訪れてみようかな…と思っていたのであった。

   途中、道路脇に一際目立つ空間を目にする。
 一面赤褐色の壷・瓶、プランター、置き物の山である。
 あまりにも凄いので車を停めてお邪魔してみる。
 園芸こそやっている余裕がないのでこういったモノに詳しいわけではないが、これだけの数が並んでいると、ただそれだけで勇壮ですらあり、興味を惹かれないわけにはいかない。日曜大工センターなどの園芸コーナーなどで似たような光景もあるかもしれないが、その数と素焼きの素朴さと温かさ、単純でありながらも存在感のある品々の圧倒的な存在感は大工センターなどとは比べようもない。これ程だとアートといってもおかしくないように思える。思わず購入しそうになるが、ここはグっと抑えて、恐縮しつつ写真だけ撮影させてもらい、名刺をいただいてこの場を後にする。もし興味がある方おられましたら場所をお教えしますよ〜。
 こういったモノとの出会いも目的地へただ向かうだけの電車での移動だとあまりないことかもしれないと思うと楽しくって仕方ない。
 訪れた古本屋の興味あった品も、残念ながらちょっと期待から外れてはしまったが、これも何かの縁かもと、ここでも一冊思い出がわりに購入する。
 はてさて、そうこうしているうちにまたしても陽が傾いてきたので、またしても寝床の確保を考えねばならないのであるが、また同じ町に戻って宿泊するか、明日の行動を考えて先に進んでおくか…。前者なら前夜のこともあることでもあるし確保も比較的容易のうえ夜の時間の潰し方もそれなりにあるのだが、先に進むとなると、これといってメドもないので、へたをするととんでもないことになってしまうかもしれないという恐れもある。…悩むこと数秒。前夜と同じことするんじゃ面白くないし、未知の町で何が待ち受けているかわからない方が面白そうじゃん。先に進むことにしよっと。
 しかし、先って、一体どこのコト?今回のドライブ行程のなかで行ってみようかなと考えていた場所はあと二つ。だとすると、そのうちの西側の目的地近くに陣取ればいいのかな?…ま、行ってみりゃなんとかなるでしょ。最悪は車の中で寝りゃいいんだし…。
 かくして、幹線国道に戻り、東へ。夕方になるとさすがに地元の車が多くなる。このまま国道を走っていては何時間かかるかわからないのでと、あわてて高速へと向かうがしまったと思った時はすでに遅し。高速に続く山あいの細いバイパスへとむかう道路はビッシリ渋滞。普通に考えれば10分もかからない距離を1時間半ほどもかかってしまった。もしかしたら、あのまま国道を走っていた方が早くついたかもしれないが、後悔さきに立たず。ま、これくらいは仕方ないかもしれない。なんといってもGWなのだから…。ともかく、高速に乗ってしまいさえすればこっちのモノである。太平洋に接する湖を横目に駆け抜けるが、思えばいつもこの湖の横を通るのは日が暮れてからばかりなので日中見たことがないような気がする。
 高速を降り、コンビニで休憩をとりつつタウンページで駅周辺にありそうなビジネスホテルをかたっぱしからあたってみる。もっとも、名のある観光地といったわけでもなくビジネスタウンという程のこともないこの駅周辺にそれほどビジネスホテルが沢山あるわけでもなく、値段にしたところで、目の飛び出るような高額請求をするような大ホテルがあるわけでもなかったので、2軒目に電話をかけたところに無事部屋の確保はできたのではあるが…。事実、タウンページに掲載されていた地図をたよりに駅周辺まで来たものの、駅前は商店街こそあるものの、駅前につきものの呑み屋もぱらぱらと有る程度。Jリーグ強豪チームを有する町なだけに、町の健全化を計っているのであろうか…。夜の地方都市をブラブラとそぞろ歩きするのを趣味としているモノとしては、甚だ物足りなさを感じないわけにはいかなかったが、今更宿も予約しちゃったし、場所変えるのも面倒だし…。取り敢えず、車をホテルに預けて、もうちょっと裏道とか路地裏とかにあるいは何かあるかもしれない…との儚い希望を胸にホテルにチェックインするも早々、駅前を散策してみる。…が、結局、これといってめぼしいものもなく、すごすごとホテルに帰って来て、大人しく寝ることにする(…ということにしておこう)。

   3日目 

 さて、いよいよ連休も今日が最後である。
 幸い、前夜も良く寝れたので、朝早くからホテルを出て、コンビニで『東海限定』の文字につられて買った調理パンを朝食にして、当地目的場所へ向かう。

 

 左側の画像は、決して宿泊したホテルの外見ではなく(こんな洒落たビジネスホテルがあったら泊まりたいものだけどね)、こここそが今回のドライブの中で一番興味があった場所なのである。
 ありがたいことにここは午前9時から開館してくれていた。

 …が、しか〜し!!あぁ、なんということでしょう。
 別にこの建物が悪いわけでも、この建物を管理してくれているトコロが悪いわけでもないのであるが、悲しいかな、あまりにもガッカリとさせられる結果がそこには待ち受けていたのであった。
 …ここにそのことを書くにはあまりにも忍びなく、後日、別の機会にこの件に関してはまた触れることがあるかもしれないので、その時にお話することがあるかもしれない。
 それでも建物自体は大変興味深かったので、ゆったりと小一時間も拝観させてもらった。…と、同時に、あまりにも残念だったので、この後の予定のこととかも考えがまとまらず、気持ちを落ち着かせようとしていたが為にそんなに時間がかかった…という部分も無きにしも有らずというところであるのだが。
 なんとか、ショックから立ち直り、建物を後にし、駅前(といっても、徒歩だと結構離れているが)にある古本屋を覗き(収穫なし。店頭ワゴンセールの中に角川旧装丁の『獄門島』『犬神家の一族』『悪魔が来りて笛を吹く』三冊100円というのが目にとまったが、ここで私が購入してしまったら、地元に新しい横溝読者の誕生の可能性が摘み取られてしまうかも…と思い、購入を見送ることにする
)、この町を離れる。
 取り敢えず高速に乗り、半島の付け根にある港で有名な町を目指す。GW最終日とはいえ、まだこの時間ならUターンラッシュも始まっておらず、流れは順調である。
 と、思っていたら、高速を降りたとたん、状況は一転してしまう。
 I.Cを降りる頃には間もなく正午にならんという時間だったのだが、I.Cを降りて港方面へ向かおうという道幅の広い道路に出ると、その両側には土産物屋や飲食店などが立ち並んでおり、そのどこもが車であふれ、I.Cへ向かう車線も渋滞が始まっているではないか。
 果たしてこのまま行こうかなと考えていた半島中腹まで行っても帰りは平気なのだろうか?と不安が脳裏を過る。…あのまま、I.Cで降りないで、真直ぐ帰ってた方が渋滞もなく、すんなり帰れたんじゃないの?…とはいえ、こんなところでいきなりUターンするのも気がひける。
 前の町ではぐらかされたような気持ちになっていたので、何か取り返したいような気分なのに、このまま渋滞に恐れをなしてすごすごと引き返したりしてしまっていいのか。…などというドラマの登場人物的な独白などがあったわけでもないが、せめて港の近くまで来ちゃったんだから、何か魚料理でも食べながら考えようと思い、車をそのまま直進させる。
 このドライブ出発の前に、知人に「今度こっちの方へドライブでもしてこようかなと思ってるんだよ」と話した際、「それじゃ、もしその気があったら面白い店があるから行ってみなよ」とわざわざ店の紹介をしているHPアドレスまで教えてくれた店があった。普通ならそんなことをするような知人なので、訝し気に感じないこともなかったが、教えてくれたページをみるととりたてて何が面白いのかよくわからない普通の和食店だったので、「そこまで言うのならモノは試し」と立ち寄ってみることにする。
 自分より先に車の空腹を満たしてやろうと店の案内記事に載っていた住所近くにあるGSに寄って訊ねてみると、結構有名な店らしい。
 店はGSで教えてもらったのですぐ判り、駐車場に車を置いて、店内へ。GSではアジフライ定食がお薦めだと教えてもらったのだが、知人に「お前はエビが好きだと言ってたから」と薦められていた「超特大海老フライ定食」というのを注文する。
 待つことしばし。やがて運ばれてきた膳を見て、いくつもの謎が氷解した。
 確かに「超特大海老フライ定食」の名に恥じない海老フライのバカデカさなのである!それが2匹も。ヤツが『面白い』というのも満更わからないでもない。それくらいバカバカしいとすら言える程のデカさなのだ。
 なるほど、これなら、普通のフライよりも揚げるのに時間がかかるから少し待たされたわけだ。それに、値段だって他の定食が手頃な価格なのに、これだけが意外にも2700円もするというわけもうなずけようというものである。
 更に、運ばれてきた「超特大海老フライ定食」を見た後ろのテーブルの家族連れの中の少女がもらした一言が、決定的なことに気付かせてくれたのである。
「あ、あれって、『鉄腕DASH』に出てたやつじゃない?」
 !?…『鉄腕DASH』? …なるほど、日頃、店の紹介だとかをするようなヤツじゃない知人がいかにもやりそうなことである。つまり、ヤツは、自分がテレビで見かけて興味をもったので、たまたま私がこちらに来るかもというのを耳にして、私に現地確認をさせようという腹づもりだったのだ。それなら納得できる。いかにもミーハーなヤツのやりそうなことである。それも、御丁寧にわざわざ店の紹介をするのに、自分の見た番組の紹介ページとかを私に教えるのでなく、別のページを探してきて、さも何でもないかを装って教えるあたりが、全くもってヤツらしい、いじましいやり方である。まったくまんまとヤツに乗せられちまった訳だ。
 あぁ、恥ずかしい。なんだか自分までが、ミーハーにテレビで見たのを頼んだみたいに見られているのかと思うといたたまれないような気持ちになってくる。
 ま、うまかったからいいけどね。
 うんざりする程の量をそれでも平らげ、店を出る。もちろん、店を出る頃には、私の中で、「ヤツにはこのことは話さないでおこう」という考えがまとまっていたことは言うまでもない。幸い、ヤツはこのHPのことは知らないし、ヤツには行ってないことにして、直接自分の目で確かめてもらうことにしよう。
 さて、こうしてどうでもいいような知人との人間関係の葛藤と、あまりにもデカい海老との格闘に少々疲れたのとで、車に乗り込んでも、どうも先へ進もうかという気持ちに陰りが生じてきたようである。
 ま、ここならまた普通の休みの時にでも来れるから、無理して行かなくてもいいか。
 さて、じゃぁ帰るか。
 かくして半島中腹にある目的地は今回は見送ることとし、車を取って返して港を出てI.Cへ向かう。しかし、予想通り、I.C方面への車の流れが悪くなってきたので、すぐさま幹線国道へと針路を折り、一路東へ。
 こちらは思っていたより車の流れも悪く無く、途中、天下に名立たる天下の険の出口でちょっと詰まったものの(ここはいつものことだから仕方ないでしょ)、バイパスに入るとまた順調に流れ、およそ帰省ラッシュというものにひっかかることなく、夕方には無事帰宅することができたのであった。
 総走行距離 約1,300km、今回もまた無事に帰ってこれてよかったよかった。            

                                     

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今回のドライブの際、参考とさせていただいきましたHP

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