別れの瞬間[とき]


「あなたのことはとても好きだった」
 私は首を振った。
「ううん、今だって好き。好きよ。だけどここでお別れなの。もしかしたら生涯の別れになるのかもしれない。でもね、きっとそれも運命だよ」
ウィーン。
「ああ、何故?私のこと愛してくれてるの?あなたが戻ってくれるのはとても嬉しいわ。でもいつまでも一緒には居られないの。早く行って」
ウィーン。
「ああ…。お願いだからこれ以上困らせないで…」
「真田の千円札なかなか入ってくれないみたいだな」
「えーん。中道君、小銭持ってる〜?」
 券売機前にて──。

  (完)

制作年月日:2006/01/30
制作者:テール

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