老子小話 VOL 997 (2019.12.21配信)

正しく強く生きるとは

銀河系を自らの中に意識して

これに応じて行くことである

(宮澤賢治、『農民芸術概論綱要』)

 

令和元年もあと僅かで終わりです。

今回は、宮澤賢治の言葉を選びました。

令和の始まりを締めくくるにふさわしい

言葉だと思います。

この前に、

「世界がぜんたい幸福にならないうちは

個人の幸福はあり得ない」

という、あの有名な言葉がはいります。

世界全体が幸福になるには、世界中の

みんなが自分の中に銀河系を意識する

ことから始まるというわけです。

物質的に見れば、我々の体を構成する

元素は、銀河系の星からやってきた

ものです。

星が爆発して散らばり、その塵がまた

集まり新星が生まれる。

地球はその一つです。

従って、自分の内に銀河系のみなもとが

存在していると言えます。

更に今を生きられているのは、銀河系の

恩恵を受けているからです。

太陽の光により緑が育ち、太陽の重力に

より地球は公転し、四季の変化がある。

精神的に見ると、われわれ一人一人が、

地球という銀河を構成する星の一つです。

銀河の幸せは、星の一つ一つが幸福になら

ないといけないわけです。

環境問題をとってみても、銀河系の構成員

一人一人が環境に配慮しないと地球レベル

の問題解決に至れません。

ある国が地球温暖化を無視して、CO2排出を

増やせば、地球全体に悪影響が広がっていく。

宮澤賢治は、新たな時代を予言します。

「新たな時代は世界が一の意識になり

生物となる方向にある」

大事なのは、我々は生物だという意識です。

水や空気がなければ生きていけない。

そして、食べ物が無くなれば飢えて死ぬ。

それらすべてが銀河系からの贈り物。

それらを大事に守っていくのが、銀河系を

自分の内に意識することだと考えます。

支えられながら支えていく関係が銀河の掟

です。

 

有無相生

 

 

戻る