老子小話 VOL 988 (2019.10.19配信)

Only the guy who isn't rowing

has time to rock the boat.

(Jean-Paul Sartre)

 

ボートを漕がない人間だけが、

ボートを揺らして

波風を立てる時間がある。

 

今回は、サルトルの言葉をお届けします。

サルトルはフランスの哲学者です。

ノーベル文学賞の受賞拒否したことで

有名です。

その時の言葉がまたかっこよい。

「いかなる人間でも生きながら

神格化されるには値しない。」

裏返せば、死んだあと彼の行動に対し、

評価を下すことが出来るということ。

そのサルトルが、行動しないで批評のみ

する人に今回の言葉を捧げている。

ボートを漕ぐ人は体を動かして行動する。

一方、ボートを揺らす人は、漕がずに

ボートの前進を妨害する。

行動する人間は進む方向は明らかであり、

わき目をふる時間はない。

揺らす人間は自分で漕がないくせに、

方向性や漕ぎ方に関し、とやかく言う。

会社の中にこういう人間は多い。

ネットの書き込みにもこの類は多い。

TVをつければ、政治経済の問題を責任の

ない評論家が井戸端談義で時間を潰す。

サルトルは、口を動かす前に体を動かせ

という。

サルトルをして「20世紀最も完璧な男」

と言わしめた、チェ・ゲバラ。

自由のために戦い続けた男である。

死ぬまでボートを漕ぎ続けた男でもある。

「約束とは言葉ではない。行動なのだ。」

サルトルの言葉は心を衝く。

口ではいくらでも約束できる。

ボートを揺らすだけで、行動に移せない

人間はいかに多いことか。

自分との約束を言い訳して逃れる。

自分との約束を裏切ることに後ろめたさを

感じるならば、まだ救いがある。

生きる限り、行動に移す時間はまだある。

サルトルの言葉は自分の心に問いかける。

 

有無相生

 

 

戻る