老子小話 VOL 960 (2019.04.06配信)

つづきつつ

あるもなくなるあとの人の

またくる人につづくなりけり 

(西行)

 

新元号が「令和」に決まりました。

国書から初めて選ばれた年号という

ことで、新たな門出を祝う気持ちが

込められていると思います。

中国にも元号がありましたが、皇帝と

結びつくため、共産党体制と合わず、

途切れてしまいました。

日本だけが、中国の歴史のいい所を

継承しているわけです。

元号には縁起のいい漢字を使うので、

令は命令の令ではなく、善いという

意味の令です。

つまり、「善い調和」を新元号にこめて

いると思われます。

今回の言葉は、元号を日本文化の相承と

とらえ、西行の歌を選びました。

西行は、大原の炭焼きの仕事が代々子孫

に受け継がれていく様子を詠みました。

歌舞伎や能などの日本の芸能は世襲制を

とります。

生活を共にする中で、技と心を磨く。

世襲は芸能にとどまらず、炭焼きという

仕事も、受け継ぐ人の名前は残らないが、

仕事として立派に継承されていく。

日本の文化も、無名の人々の研鑽が

引き継がれて初めて形を成していく。

元号も、今まで途絶えずに引き継がれて

きた、日本文化の宝物といえます。

元号の時代に生きることは、その元号に

込めた思いを実現するように生きること

でしょう。

思いと行動が結びつかなければ、戦争を

起こした昭和の時代を繰り返すことに

なります。

西行の歌は、日本文化として何を続けて

いくのかを問うている歌に聞こえました。

 

有無相生

 

 

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