老子小話 VOL 956 (2019.03.09配信) 老子小話 VOL 957 (2019.03.16配信)

2+2=4と云うことは真実である。

しかし事実上+の間には無数の因子の

あることを認めなければならぬ。

即ちあらゆる問題はこの+の内に

含まれている。

(芥川龍之介、「十本の針」)

 

小説家芥川龍之介の語る深い言葉を

お届けします。

問題解決のために二人が力を合わせて

臨みますが、二人の力がそのままプラス

されるかというとそう簡単ではない。

物理の言葉でいえば、力のベクトルは、

向きがそろわないと、力の和にはならない。

二つの力が逆向きならば力の和はゼロになる。

たとえて言えば、北朝鮮の非核化のために、

日米韓が力を合わせねばならないところ、

日米の力と韓の力の向きがそろわないため、

2プラス1が3にならずに1となり、逆に

北朝鮮を助ける事態になる。

三人寄れば文殊の知恵といいますが、

知恵のベクトルの向きがそろわなければ、

何人集まってもすぐれたアイデアにならない。

船頭多くして船山に上る結果になります。

芥川さんも、「この+の間には無数の因子」が

あることを指摘します。

この因子は、力のベクトルの向きをそろえる

ための条件といってもよい。

ビジネス界ではWIN-WINのロジックと呼びます。

異業種が力を合わせるために、双方のデメリット

を相殺し、メリットを生むビジネスモデルが必要

になる。

男女が結婚して夫婦になる際も、2+2=4ではなく

2+2=0なら、一人のままでいる方ががいいに

決まっています。

晩婚・少子化という現象は、個々人の価値基準の

多様化により、ベクトル合わせが難しくなっている

ためかもしれません。

+の間にある無数の因子のうちから主要な因子を選び、

それらを組み合わせて、力のベクトルの向きをそろえ

真のプラスを実現するか?

これが日々の問題解決の姿だと、芥川さんは語ります。

 

有無相生

 

 

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