◆老子小話 VOL
954 (2019.02.23配信)
可與言而不與之言、失人。
不可與言而與之言、失言。
(論語、衛霊公第十五)
ともに言うべくして、
これと言わざれば、人を失う。
ともに言うべからずして、
これと言えば、言を失う。
今回は論語から言葉を拾いました。
「話し合うべきなのに話し合わないと、
相手を取り逃がす。
話し合うべきでないのに話し合うと、
ことばを無駄にする。」
コミュニケーションの難しさを日々
感じますが、2500年前の孔子も
同じ悩みを持っていたようです。
親子間、夫婦間、友人間、社員間、
国家間において、いろんなトラブルが
起こります。
話し合えば、すべてが解決できるほど
現実は甘くありません。
感情が揺れているときは、話し合いを
しても、冷静な判断はできません。
話し合ったことがすべて無駄になる。
時間をおいて頭が冷えるのを待たねば
なりません。
かといって、間を取りすぎて話す機会を
失うと、トラブルの先送りになります。
頃合いを見て、話し合いを持ちかける
勇気が必要になります。
人間関係が濃くなるほど、互いの意地が
邪魔をして話す機会を失うようです。
間をとることで関係が薄くなり、トラブル
が消えれば、それも一つの解決策です。
しかし、困ったときに助け合うのが関係の
原点なので、コミュケーションを通じて、
心のつながりを保ち、「人を失う」ことは
避けたいわけです。
論語の鋭い指摘は、「話し合うべきでないとき」
もあることを教えることです。
孔子は春秋の世に各国の王様に儒学を説いて
回りましたが、教えに反発する王様もいて、
きっと怖い目にあったのでしょう。
今の日韓関係についても、何度も言葉を失った
日本としては、話し合いのタイミングを
計るのが非常に重要になってきています。
有無相生