◆老子小話 VOL
948 (2019.01.12配信)
故善戰者、求之於勢、
不責於人。
(孫子、勢篇)
故に善く戦う者は、
之を勢いに求めて、
人にもとめず。
年明け二週目の言葉は孫子からです。
いのしし年なので、勢いに関わります。
孫子は上手に戦う方法を教えてくれます。
戦いといっても戦争に限らず、ビジネス
や人生も含みます。
自然界では、生きることは戦いです。
人間もまた、歴史にもまれ、社会にもまれ、
人間関係にもまれ、人生を歩みます。
孫子は、戦いの上手な人は、戦いの勢いに
よって勝ちにいき、人材に頼ろうとしない。
まるで丸い石を山から転がすように、兵隊を
勢いにまかせて戦わせることが勝利の秘訣と
いいます。
企業では、優秀な人を雇おうとしますが、
実戦では、その人の能力より、勢いの有無で
勝敗が決まります。
従って、部下の勢いをそぐ上司は最低です。
対象を組織から人生に移すと、「人にもとめず」
の人とは何でしょうか?
自分の能力や地位のような境遇だと思います
勝つための条件(武器)がいくらそろっていても、
勢いがないと負けてしまう。
更にいえば、勢いは長続きしない。
勝負のときに、勢いを最高にもっていかなければ
いけない。
そのために退路を絶って背水の陣をしいた武将も
いました。
人生では戦時を除けば、真の生死をかけた戦いは
ほとんどありません。
しかし、人生を左右する決断をするときは、その
戦いに匹敵するように思います。
その戦いに際し、勢いが勝敗を決めるというのは
正しいようです。
勝つための条件(武器)をあてにしていると、そちらに
心が奪われ、戦いに集中できなくなる。
火事場のくそ力という言葉があるように、普段の能力
以上の力を発揮するのが人間です。
どのように勢い(士気)を高めていくのか、まさに
自己コントロールの能力が人生に求められています。
有無相生