老子小話 VOL 945 (2018.12.22配信)

図未就之功、不如保已成之業。

悔既往之失、不如防将来之非。

(菜根譚)

 

未だ就らざるの功を図るは、

已に成るの業を保つに如かず。

既往の失を悔ゆるは、

将来の非を防ぐに如かず。

 

今回は菜根譚から言葉を選びました。

「まだ成就していない事業の完成をあせるより、

すでに完成している事業を継続させるほうがまし。

また過去の失敗をいつまでも後悔するより、

将来の失敗を早く予防するほうがましである。」

成功については未来より現在を重視し、

失敗については過去より未来を重視する。

事業家へのアドバイスとしては、現業の成功

を継続できるように、未来の危機に手を打て

という極めて普通の言葉です。

今の生活の基盤である、現業からのもうけを

おろそかにすると今が立ち行かなくなる。

しかし、現業の成功が持続するかというと、

周りの経営環境は常に変化するので、未来の

失敗を防ぐ準備も必要になる。

ソフトバンク上場を例に挙げれば、上場の前に

通信障害が起こり、更にファーウェイの問題が

起こることは誰も予測できず、結果として株価

は下落しました。

このように未来の予測は非常に難しく、現業を

持続すること自体が難しい課題なわけです。

つまり、将来の失敗は現業の先細りになります。

現業の継続には、将来の現業先細りの防止が

必須となります。

菜根譚の結論は、「事業家は前向きであれ」と

いうことでしょうか。

世の中の変化を創り出すくらいの意気込みを

持っていないと、現業の継続すら難しい。

その意気込みのもとでは、毎回の成功や失敗に

一喜一憂することも減るでしょう。

 

有無相生

 

 

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