老子小話 VOL 944 (2018.12.15配信)

真に神を愛する者は、

神からも愛されることを

願ってはならない。

(スピノザ)

 

スピノザの「エチカ」をNHK ETV「100分de名著」

でやっているので、彼の言葉をお届けしました。

実はこの言葉はゲーテ格言集で見つけました。

従って、どこに書かれた言葉か不明です。

老荘愛好家には、神を「道」に置き換えても

同じじゃないかと考えた次第です。

「天地不仁,以萬物為芻狗。」(老子、第五章)

天地は「道」のことで、「道」は、誰かを特別に

愛することはなく、万物を、わらの犬のように、

作っては壊し、作って壊しする。

スピノザも、道を愛するものは道に従うことを

最上の生き方とし、道から何かの見返りを期待

することはできないといいます。

まさに、老子の教えにつながります。

スピノザが生きていたキリスト教社会からすれば、

神の愛はないと主張するので、著書は発禁になり

ました。

スピノザの哲学は、人間の理性をもとに論理的に

考えを組み立てるのに対し、老子の哲学は、自然

の営みの中で心身を使って経験的に学んだものです。

プロセスは違っても、到達点は同じでした。

どちらが納得感を得られるかはひとそれぞれですが、

自然から直観的に学べる教えは展開のスピードは

速いようです。

 

有無相生

 

 

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