◆老子小話 VOL
943 (2018.12.08配信)
知足不辱。知止不殆。
可以長久。
(老子、第44章)
足るを知れば辱しめられず、
止まるを知れば殆うからず。
以て長久なるべし。
今回は老子に復帰しました。
人間欲を追求しすぎて、羽目をはずし、
その挙句、辱めを受ける事があります。
最近のニュースにもありました。
金銭欲の余り、高額報酬を過少申告して逮捕される。
もっと身近な例では、忘年会で酒を飲みすぎて、
二日酔いで苦しめられる。
翌日にアルコールが抜けずに、車運転すれば、
酒気帯びで捕まる場合もあります。
老子は、足るを知る事が長生きにつながる
と教えます。
足るを一番知っているのは、自然界の生き物です。
どうもうなライオンでも、お腹が減らないと狩りに
出かけません。
獲物を獲っても自分で全部食べるようなことはせず、
ハイエナやはげたかの分を残します。
自然界の厳しい掟が「足るを知る」なのかもしれません。
「足るを知る」ことで、食物資源が公平に分配される。
「足るを知る」とは満足を知る、欲望の暴走を止める
ブレーキをかけることです。
それができないのが人間で、2000年以上前の老子に
戒めの言葉が出ていることから、あいも変わらず、
人間は愚かな歴史を繰り返していることになる。
たとえ生き物でも人間と一緒に暮らせば、
腹の垂れ下がったペットに変身します。
足るを知らないから、技術が進化し成長する社会に
なったわけで、それも益あることです。
ただ、生き物としての人間が長生きするには、
足るを知ることが不可欠だと老子は言う。
別の章で、「かえる者は道の動なり」といい、
本来あるべき原点に戻るのが道の作用という。
足るを知るとは、「生き物としての原点」に
復帰することのように思います。
忘年会シーズンには、この教えを忘れずに臨んで
ください。
有無相生