老子小話 VOL 925 (2018.08.04配信)

涼しさや鐘をはなるゝかねの声

 (蕪村)

 

今回は蕪村の句をお届けします。

暑中お見舞いの句にぴったりの句です。

涼しさが鐘の音のように波動になって

皆様のもとへ伝わっていくことを願います。

蕪村の句は映像を詠みます。

映像は、視覚、聴覚、触覚をすべて含みます。

涼しさを感じているのは、夏の早朝という

のがひとつの解釈です。

涼しいうちに聞く鐘の音は爽やかに聞こえる。

もう一つの解釈は、涼しさを感じるのは、

鐘の音がひとつの塊となって、鐘の表面から

離れ、空中を伝播していく様子に感じるという

解釈です。

鐘の音は、「かねの声」として聞く者の心に届く。

真夏の猛暑の中を波動になって乗りこえて、

聞く者の心に涼しさを届ける。

最早、禅問答の世界に入り込みます。

鐘の音がどのような状況で生み出され、どのような

経緯を経て、自分の耳に届いたのか?

その一部始終に思いをはせると、暑さなんか

気にならなくなります。

蕪村の涼しさは、「かねの声」のように伝播していく

涼しさのように思います。

この「かねの声」を更に拡大解釈して、宇宙に漂う

素粒子と考えます。

宇宙誕生と同時生まれた素粒子は宇宙の彼方から

地球に波動として常時届いています。

この素粒子がどのような状況で生み出され、

どのような経緯を経て地球に届いたのか?

それがわかれば宇宙の根源がわかります。

宇宙の温度は4K=-270℃ですから、涼しさの極限

です。

蕪村が宇宙物理学者だったら、素粒子を「かねの声」

に重ねたことでしょう。

こう考えただけで少し涼しくなりませんか?

 

有無相生

 

 

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