老子小話 VOL 924 (2018.07.28配信)

人之性悪、其善者偽也。

 (荀子、性悪篇第二十三)

 

人の性は悪にしてその善なる者は偽なり。

 

今回は荀子の言葉をお届けします。

人間の本性は生まれつき自己の利益を追求する

傾向があり、その傾向のままに行動すると、

争いが絶えなくなる。

今の世界を見ていると、例外を探すほうが難しい。

2000年の昔からこの傾向は変わらないようです。

その2000年前の昔に生きた荀子は、

「人間の生まれつきの性質は悪であって、

その善というのは偽であり、後天的な矯正による。」

と言い切ります。

偽という漢字は、人偏に為すです。

今では「うそ」の意が一般になりましたが、

昔は、人が為す、悪から善に変える間断ない修養を

意味しました。

子供の行動を見ていても、おもちゃを自分で独占

しようとする傾向があります。

親が何々ちゃんにも貸してあげて仲良く遊ぼうと

声をかける。

子供は訳がわからないけど、やってみると仲良く

遊んだほうが楽しいことに気がつく。

次にその友達とあったときには、逆におもちゃを

貸してもらえるかもしれない。

最近読んだ「ハーバードの人生が変わる東洋哲学」

(ハヤカワ文庫)の解説に中島隆博氏が書かれて

いる言葉を思い出します。

人間を英語でhuman beingといいますが、本当は、

human becomingと呼んだほうがよいと。

「人間は人間的になっていく」

人間は生まれつき人間であるのではなく、日常の

修養の積み重ねが、自分という人間を作り、世界を

作っていく。

人間は人間的になっていくことで人生は変わっていく。

人生を変えることで、世界が変わっていく。

この言葉は、日々のあいさつなり、心遣いや感謝の

言葉を積み重ねることで人間的に成長し、それが

知らないうちに人生を変えていくという生きる知恵を

与えます。

「かのようにの礼」と中島氏は呼んでいます。

些細な行いが大きな力となって、自分と世界を変えていく。

上記の本は、確かに考えさせる本でした。

 

有無相生

 

 

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