老子小話 VOL 922 (2018.07.14配信)

天之道、損有餘而補不足。

人之道、則不然。

損不足以奉天下。

 (老子、第七十七章)

 

天の道は余り有るを損して足らざるを補う。

人の道は則ち然らず。

足らざるを損して以て余り有るに奉ず。

 

今回は老子の言葉をお届けします。

「天の道は、余りあるものを減らして

足りない所へ補充する。

ところが、人間のやり方はそうではない。

足りない所を更に減らし、有り余る所へ差し出す。」

老子が現代の格差社会を見れば、まさにこれだと言う。

富める者はますます富み、貧しい者は貧困にあえぐ。

冨は、足らない所に行かず有り余る所に集まる。

政府も、消費税を増税し法人税を減税し、富める者

から徴集する税金で国政をまかなおうとする。

格差社会は資本主義から生まれる。

企業の収益が労働者に分配されれば、富は余る所から

足りない所へ移動しますが、企業は分配せずに内部に

留保するので、富の移動は起こりません。

トリクルダウンというアベノミクスの前提は崩れます。

アベノミクスは再分配の仕掛けが片手落ちのため、

格差の増大を止められません。

一方天の道は、水は高きから低きに流れ、空気は気圧の

高い所から気圧の低い所に流れる。

水は水蒸気になり空気より運ばれ、雨となって大地に潤い

をもたらし生命を育む。

すべての生き物は平等にその恩恵にあずかれる。

人間社会だけが、天の道の逆を行く。

資本主義は、企業が保有する生産手段を労働者に使わせて

生産を行い、利益追求を行う経済体制のことを言います。

富の直接的な再分配は労働者への給与支払いで行われる。

企業は、将来への投資用に富を分配せずに溜め込む。

一方経営者の給与は年毎にアップする。

冨は、足らない所に行かず有り余る所に集まる。

格差社会は階級社会に移行していく。

そんな状況に打つ手がないのが今の政府です。

老子の言葉は、階級社会を予言しているようです。

 

有無相生

 

 

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