老子小話 VOL 919 (2018.06.23配信)

夫兵形象水。

水之形、避高而趨下。

兵之形、避實而撃虚。

 (孫子、虚実篇第六)

 

夫れ兵の形は水に象る。

水の行は高きを避けて下きに赴く。

兵の形は実を避けて虚を撃つ。

 

ワールドカップ2018が始まり、

日本は強敵コロンビアを撃破し、

盛り上がりを見せています。

サッカー選手の動きがまるで水の動きの

ように思えてきます。

ということで今回は、孫子の言葉です。

「軍隊の形は水のようなものである。

水の流れは高い所を避け、低い所に走る。

軍隊の形も敵の守りの堅い実を避けて、

守りのすきを攻撃する。」

サッカー選手の陣形が軍隊の形に重なります。

攻撃陣の迅速な陣形の変化が、守りのすきを

徐々に生み出していく。

その一瞬のすきを見逃さず、シュートする。

孫子がサッカー観戦していたら、自分の言葉が

ぴったり当てはまることに驚くことでしょう。

上の言葉にあとに孫子は、

「兵に常勢なく、水に常形なし。」

水に決まった形がないように、常に陣形を変化

させるから、虚(すき)が生まれ勝利できる。

選手交代により、ワンパターン化した攻撃に

変化を与え、チャンスを作るのが監督の役目です。

面白いのは、攻守が目まぐるしく変化するので、

敵の虚を撃つ攻撃が、守りの虚を生む結果にもなる。

もうこうなると、選手個人が攻守の流れに応じて、

とっさの判断で動くしかなくなります。

ボールに真っ先に追いつくため、身体能力は確かに

大切ですが、判断力が勝敗を左右することになります。

高齢者相手の詐欺事件も、水のように手を替え品を替え、

高齢者の心のすきをついて来ます。

水を遮断するように、会話を即座に打ち切ることです。

孫子の言葉は、サッカーの陣形に止まらず、犯罪者の

鉄則にもなっているようです。

 

有無相生

 

 

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