老子小話 VOL 912 (2018.05.05配信)

其言之不怍

則爲之也難

(論語、憲問第十四)

 

その言にこれはじざれば、

すなわち、これを為すこと難し。

 

こどもの日の言葉を論語より拾いました。

大きくなっても忘れてはいけない言葉です。

「自分の言葉に恥を知らないようでは、

それを実行するのは難しい。」

有言実行は確かに大切ですが、大口をたたく

ことは禁物です。

恥はどのようなときに生まれるのでしょうか?

自分の分をわきまえずに発言すると恥は生まれます。

自分という漢字がすでに「自らの分」を意味します。

では、「分」とは何でしょうか?

国語辞典を引くと、「割り当てられたもの」とある。

「割り当てられたもの」を超えて発言すると、

恥をかくわけです。

従って、自分の分が何なのか知ることが大切になります。

自分は全体の中の一部にすぎません。

では他の誰かと置き換え可能かというとそうではない。

自分の生い立ちと身に備えた能力や人格を期待されて、

割り当てられたものがあります。

全体の一部ではあるけれど、自分しか果たせない役割が

あるはずです。

それが分であり、分を忘れた発言は恥を生みます。

分を忘れた発言を繰り返すようではその実行は難しい。

最近の出来事は、恥を忘れた発言が余りにも多いです。

大臣からタレントに至るまで。

恥を知る教育は、子供のうちから身に付けないと、末が

恐ろしくなります。

元財務事務次官は、この恥を永年忘れているので、

孔子さんから見れば役人失格です。

それが、事務次官まで上り詰めているのですから、財務省

という組織は一体どんな組織なのでしょうか。

その組織長の財務大臣がセクハラを認め、それは記者が

はめたと言い、その大臣を監督する総理がもりかけ問題で

追及されている。

総理こそ一番に、分をわきまえ身を正さないと、この国

の運営は務まりません。

今回の言葉は、孔子さんが今の日本を見て吐かれる言葉

に違いありません。

 

有無相生

 

 

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