◆老子小話 VOL
907 (2018.03.31配信)
企者不立、跨者不行。
(老子、第二十四章)
企(つまだ)つ者は立たず、
跨(また)ぐ者は行かず。
3月も最後の日になりました。
明後日から会社勤めをスタートされる方も
多いと思われます。
そんな方に老子の言葉を捧げます。
「つま先で背伸びして立っても長くは続かない。
少しでも先を行こうと大またで歩いても、
遠くには行けない。」
よ〜いドンでスタートする時、どうしても
ひとより先に行こうとダッシュしがちです。
早く社会人の仲間入りをしようと、背伸びして
現場に溶け込もうとし、無理な仕事も引き受け
ようとする。
そんな頑張りは時には必要ですが、老子は、
焦りから来る無理は長くは持たないという。
会社生活は、この先40年続くマラソンです。
遅くてもいいから、一つずつ基本を身につけ、
自分なりの社会人像に向かって歩み出せばよい。
自分なりの社会人像は、自分の手本となる人間像
といってもいいでしょう。
自分の師を見出しそれに近づくことです。
自分の師を見つけるには、視野を広げ、周りを
よく見ることが大切です。
職人が技を身につける時も、優れた師の言葉や
行動から学びます。
文字に書かれた教科書はなく、現場の事例を
通して学ぶしかありません。
反面教師も一杯いて、まねしちゃいけない師
からも学べます。
老子は、一番下にいると周りが一番よく見え、
見えるうちに多くを学べといいます。
焦らず地道に、周りの師に習うことです。
会社で一番偉いのが社長ですが、一番上に立つと
一番会社が見えなくなります。
裸の王様になり、会社にとって都合の悪いことは
報告されなくなります。
下にいるうちに会社の膿みを見つけ、昇進したとき、
是正するようにしましょう。
昇進する前に、膿みで会社がつぶれる時もありますが。
山一證券の場合のように。
とにかく、焦る気持ちを抑え、自分に合ったペースで
Go steady!です。
有無相生