老子小話 VOL 906 (2018.03.24配信)

労神明為一、而不知其同也、謂之朝三。

(荘子、斉物論篇 第二)

 

神明を労して一を為しながら、

其の同じきを知らず、

之を朝三と謂う。

 

今回の言葉は荘子の言葉です。

「いろいろと精神を疲れさせて同じことを

繰り返しながら、それが同じことだと

気づかないでいる。これを朝三という。」

「朝三暮四」の語源ですね。

お猿さんにえさを与えるとき、朝三つ夕方四つ

あげようというと、お猿は怒った。

では、朝四つ夕方三つあげようというと皆喜んだ。

この猿と同じことは人間もやっています。

小さい子供はまず引っかかります。

目先の四つに目がくらみます。

格安スマホのセールで大人も引っかかります。

スマホ本体の料金や通信料金を最初の3か月

を激安にする。それに目を奪われ契約する。

しかし、2年の契約継続が義務付けられ、

その間に得した分は帳消しになる。

相手は儲けを見込んで商売する会社です。

スマホ本体を激安にしても、その後の

通信料金で元と儲けをとればいいわけです。

定年後の就労も、「朝三暮四」ですね。

就労することで収入があるのは、目先のえさ。

収入があることで税金が増え、しかも年金が

減額や至急停止になるのは、暮れのしっぺ返し。

トータルでみると支出の方が増え、働かない方が

お得という場合もあります。

政府が薦める定年後の就労は、政府にとって、

税金と社会保険料という収入が増え、年金という

支出が減る、一挙両得の「朝三暮四」政策です。

政府にとって、国民は「お猿さん」です。

自分が「朝三」になっていないか反省させる言葉

でした。

 

有無相生

 

 

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