◆老子小話 VOL
905 (2018.03.17配信)
その身はたらかずして、
銭が一文天から降らず、地から湧かず。
(井原西鶴、「日本永代蔵」)
今回の言葉は大阪難波の西鶴さんです。
俳諧師としては、一昼夜で23500句も作る
矢数俳諧をやり遂げ、「好色一代男」を筆頭に
浮世草子を書きまくり、52歳で世を去った巨人
です。
大河ドラマで西鶴の一生をやれば、きっと面白い
話が出来上がるような気がします。
それはさておき、今回の言葉は、字のとおり、
「自分の体で働かなければ、一文のお金も
天から降っては来ず、地から湧くこともない。」
西鶴さんが商いの鉄則を語ります。
私の子供の頃にはお手伝いをしてお駄賃をもらう
習慣がありましたが、これは労働によりお金を稼ぐ
ことを子供のときからたたき込む賢い方法です。
自分の体を動かし働くと、現場の課題が見えてきて、
それを改善しようと知恵を働かせるようになる。
子供に限らず商売するときは、儲けのアイデアを
いろいろ考える事ができる。
いわゆるビジネスモデルで、儲けの仕組みです。
しかし実際その仕組みを動かしてみると、予想して
いなかったいろんな問題が発生する。
新規ビジネスを口で提案しても、それを自分で
動かさないと儲けに結びつかない。
西鶴さんの江戸時代にも、こんな商売の鉄則が
通用していたようです。
他人が持ち込む儲け話にうかつに手を出しては
いけない。
「人間は欲に手足のついたものぞかし。」
ともいう西鶴さん。
欲に駆られてつい手を出す。
現代でも似たような話をあちこちで聞きます。
有無相生