◆老子小話 VOL
904 (2018.03.10配信)
故生生者未嘗死也、其所生則死矣。
(淮南子、巻第七 精神)
故に生に生あらしむる者は
未だ嘗って死せず、
其の生あらしむる所は則ち死す。
明日で東日本大震災から7年です。
あの震災で地震や津波の怖さを教えられましたが、
それ以上に、生と死について考えさせられました。
生と死を分けるものと、生と死をつなぐものです。
機転と運で死を逃れた人、使命と不運で生に行きつけ
なかった人。
生と死を分けたものは人それぞれ違います。
家族友人の死を背負って生きて行く者は、
死者が遺した精神に支えられています。
今回の言葉は、「淮南子」よりいただきました。
「淮南子」は老荘の精神を受け継ぐ書物です。
「生きる者に生を与えるもの(精神)は決して死なない。
生を与えられたもの(身体)が死ぬだけである。」
自分の経験からも、他界した祖母や祖父から学んだこと
は大きい。
何故かというと、純粋な子供の眼で彼らの生き様を見た
からです。
彼らにとって孫は愛すべき存在ですから、私を大事に
してくれました。
一方、祖父母は自宅工場で働いていたので、一生懸命
働く姿を子供ながらそばで眺めていました。
会話の記憶は余りありませんが、映像が頭に焼き付いて
います。
精神は、知識を残すというより、人間としての生き方を
教えてくれるものです。
正義だったり、思いやりだったり、忍耐だったりします。
精神の引き継ぎは、親から子供だけでなく、現世代から
次世代への引き継ぎもあります。
天災が起きたときに、原発がどのような汚染を引き起こす
かは、福島第1原発の汚染水処理が未だに目処が立たない
所を見ても明らかです。
原発ゼロの精神は次世代に引き継いでもらいたいですね。
有無相生