老子小話 VOL 902 (2018.02.24配信)

苗而不秀者有矣夫、

秀而不實者有矣夫。

(論語、子罕第九)

 

苗にして秀でざる者あり。

秀でて実らざる者あり。

 

ピョンチャン五輪も明日の閉会式で終わります。

メダルを取れた人も取れなかった人も、心は

次の大会に向けて始動していることでしょう。

今回は、論語の言葉をお届けします。

「苗のままで穂を出さない人もいる。

穂を出したままで実らない人もいる。」

子供のときから五輪を目指し、メダル候補の

苗として注目される。

いくら素質があっても、日々の練習がなければ、

なかなか芽が出ない。

技量が向上して芽を出せても、結果として実らない

場合もある。

五輪の試合を見ていると、この言葉は深みを増す。

現状に満足し、更に上を目指す努力を欠くと、

結果が出にくいと孔子は言っているようです。

金メダルをとった人の話を聞くと、最後は自分を

信じて、全力を出し切ることに努めたそうです。

練習の積み重ねが実力を生むので、行き着く所まで

いったら、自分を信じるしかないのでしょう。

私のような前期高齢者でも、論語のこの言葉は

身にしみます。

ひとは皆可能性を秘めた存在ですから、苗から

出発します。

一生懸命頑張って、可能性が少し現実味を帯びる。

社会人で言うと仕事が面白くなる時期で、学生で

言うと勉強が面白くなる時期です。

丁度ばらばらだった知識が体系化されて、自分の

ものの見方が定まってくる。

それが必ずしも成功にすぐ結びつかない。

しかし最後は自分を信じて、目標にぶつかるしかない。

スポーツ選手でも一般人でも、そのプロセスは同じ。

高齢者になっても、好奇心は大事です。

面白いと思うことに挑戦する姿勢は死ぬまで捨てない

ことです。

従って、論語の言葉には、「秀でて実らざる者あり」

の後に言葉が隠されています。

「たとえ実らなくても、後悔はない」という言葉が。

 

有無相生

 

 

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