◆老子小話 VOL
901 (2018.02.17配信)
水のある所にカエルがいるとは限らない。
だが、カエルの声の聞こえる所には水がある。
(ゲーテ)
「ゲーテ格言集」に載っている言葉です。
当たり前のようですが深い言葉にもみえる。
水とカエルを空欄にすれば、クイズの問題にも
なりそうな言葉です。
生命には水が必要です。
水の在りかを探そうと思ったら、生き物の集まる
場所を見つければよい。
こうなると、サバイバルの知恵になります。
しかしゲーテは、サバイバルには興味はなく、
水とカエルを何かにたとえているのでしょう。
水は生命を潤すと同時に心を潤します。
心を潤すものは、外の世界に溢れています。
しかし、人々はそれに気づかないことが多い。
感情が豊かで感覚が鋭い人がそれに気づき、
集まるようになる。
従って、そういう人たちの中心には心を潤す
ものがあるに違いない。
カエルというのは、自然の恩恵やありがたさに
気づく感性豊かな人と考える事ができます。
しかしカエルが本当のカエルでないと、水を
あやまる心配が出てくる。
行列のできる店が、美味しい店とは限らない。
行列を作るカエルが、自分の舌で美味しさを
評価していない場合です。
ゲーテもさすがにカエルの水を認識する能力は
信頼しているようです。
そこまで疑うと、「カエルの声の聞こえる所
にも水がないかもしれない」になってしまう。
「古池や蛙飛び込む水の音」の芭蕉さんも、
蛙の声を聞き古池を連想し、飛び込む音まで
連想したという説があるくらいです。
芭蕉さんもゲーテの言葉にならったようです。
有無相生