老子小話 VOL 900 (2018.02.10配信)

愚に耐よと窓を暗す雪の竹

(蕪村)

 

今回の言葉は、蕪村の句です。

「蛍の光 窓の雪」というように昔の人は、

冬は、窓の外の雪明りで勉強しました。

部屋の窓の外には竹が植わっています。

そこに雪が積もり、窓を暗くしている。

障子には雪で太った竹の影が映っている

かも知れません。

それを見て蕪村は「愚に耐えよ」と感じました。

愚というのは、読書や勉強をしないことです。

まるで外の竹が、「読書できなくても我慢せよ」

といっているようだと詠っています。

現代なら、スマホを取り出して時間をつぶす

でしょうから、こんな句は生まれません。

昔は、寒い夜に読書する明かりがなければ、

あとは寝るしかありません。

大雪に閉ざされた北陸地方の方々は、蕪村さん

の句を身体で理解できると思います。

自然の猛威の前に、ひとは耐え忍ぶしかない。

まるで自然が「愚に耐えよ」と言っている。

この場合の愚は、なすすべがない状態です。

蕪村にせよ芭蕉にせよ一茶にせよ、自然から

学んだことを多くの句に詠んでいます。

自分も先人の生きた昔に戻ったら、どう感じる

だろうかと考えるのも面白いかもしれません。

 

有無相生

 

 

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