老子小話 VOL 897 (2018.01.20配信)

The productivity of work is not

the responsibility of the worker

but of the manager.

(Peter Drucker)

 

働き方改革がCMネタにも使われています。

日本人の労働生産性は先進国の中で極端に低い

ので、働き方を変えてそれを向上しようという

のが改革の狙いです。

生産性は簡単に言えば、賃金/労働時間です。

マネージメント学で有名なピーター・ドラッカー

さんは生産性をどのように考えるか調べてみました。

「仕事の生産性は労働者が決めるのではなく、

マネージャが決める。」

responsibilityは責任ですが、決定権を有すること

という意味です。

生産性を上げるには、賃金を上げるか、労働時間を

減らすしかないのは小学生でも理解できます。

賃金を上げるのは、マネージャに決定権があります。

労働時間を減らすには、昔よく言われたことですが、

労働者が仕事のやり方を工夫して労働時間を減らす

ことがあります。

ひとりで仕事をしている場合は、少しはその可能性

がありますが、集団で仕事をする場合、ある人が

残業で仕事をすると、仲間もそれに合わせるしか

ありません。

そこでマネージャの出番です。

組織の動き方を決めるのは、マネージャの責任です。

賃金を減らさずに、労働時間をどのように減らせば

よいか、会社のルールを考えるのが社長の務めです。

それをやらずに今まで労働者の頑張りに依存して

きたのが、日本の社会ということになります。

長時間労働で命を落としたり、心身を病んだりする

のは労働者の側です。

そういう歪んだ日本社会を引っ張ってきたのが、

政府であり厚生労働省なので、日本人の労働生産性

は、国民が決めるのではなく日本のトップの総理が

決めるというのが、ドラッカーさんの答えです。

政府が唱える働き方改革はべき論が先行し、法制化

による実現は大分先のことになります。

従って、個人レベルの対策を考える必要があります。

賃金の高い職場で働くか、時間を減らすしかありません。

前者はなかなか難しいので、時間を減らすことを考えます。

可能なら無駄な仕事は請けない。

完ぺき主義を捨て、ほどほど仕上がったら止めて帰る。

仕事は時間をかけても、それに比例して仕上がりレベル

は向上しません。理由は集中力が減少するためです。

むしろ翌日見直したときに、誤りが見つかります。

仲間と一緒にプロジェクトを組んでいるときは、それも

できないので、休養を強制的に自分で入れるしかない。

今回のドラッカーさんの言葉には2つの意があります。

労働生産性を上げようと思ったら、マネージャになること。

マネージャになりたくなかったら、自分で時間をかけずに

仕事をすること。

孫子もドラッカーさんの哲学にならいます。

戦わずして勝利を得るとは、最小の時間で獲物を得ること。

大将(軍の最高マネージャ)の責任ですね。

戦いの時間が長いほど兵士は疲弊し、失うものは多くなる。

ドラッカーさんが孫子にならったんでしょうね。

 

有無相生

 

 

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