老子小話 VOL 896 (2018.01.13配信)

過ちを改るに、自ら過つたとさへ思ひ付かば、

夫れにて善し、其事をば棄て顧みず、

直に一歩踏出す可し。

(西郷隆盛、「西郷南州遺訓」)

 

NHKの大河ドラマ「西郷どん」が始まりました。

視聴率は惨憺たるものでしたが、道はまだ遠い。

明治維新を成し遂げた功労者のひとりである

だけでなく、道を一筋に生きる男として

人間的な魅力を備えた人物だと思います。

今回は彼の言葉をお届けします。

道を歩む過程で、ひとはいろいろ過ちを犯します。

自分が過ったと悟った時はそれをまず受け入れる。

過ちにいつまでも拘らずにまず一歩を踏み出す。

過ちにいつまでも拘っている人は、自分で茶碗を

割ったのに、そのかけらを集めてもとに戻そうと

している人と同じだと言います。

過ちは起こってしまったもので決して修復できない。

二度と過ちを犯さないように原因を分析することは

大事ですが、色んな原因が重なった状況で最終的に

自分がどう判断したかで、過ちは起こります。

原因には自分ではどうしようもない原因が多い。

従って、同じような状況にまた出会う可能性がある。

過ちのあとに踏み出す一歩は、思慮を磨く一歩になる。

前向きに生きる人間として、西郷さんの言葉はある。

西郷さんは、人間というのは天と異なり、必ず過ちを

犯すので、それにまず気づくのが大事、次に過ちを

踏み台にして自分を磨くのが道と考えます。

新春の言葉としてふさわしい言葉でした。

 

有無相生

 

 

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