◆老子小話 VOL
895 (2018.01.06配信)
言者風波也。行者実喪也。
夫風波易以動、実喪易以危。
故忿設無由、巧言偏辞。
(荘子、人間世篇第四)
言(ことば)は風と波のごときなり。
行いはうることと喪うことあり。
それ風と波は以って動きやすく、
うることとと喪うことあれば、
以って危うくなりやすし。
故に怒りの起これるは由なく、
かざれる言葉と偽れる言葉による。
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
まずは荘子から始めようと思います。
言葉の危うさは、風と波のようである
といいます。
風も波も止まることをなく動いています。
言葉も、それを発する者の心理状態により、
大げさな表現になったりします。
トランプ大統領のツイッタがその例です。
さらにその言葉を受け取る者の心理状態で
言葉は心に刺さったり心を和らげたりします。
言葉で意思疎通を図るどころか、言葉であらぬ
方向に事態が行ってしまうことがある。
言葉で動かされる行動は、得失となって現れる。
従って、言葉を発するときは相手にどのように
受け取られるかを考え、慎重に発するのがよい。
先々の得失に心を奪われ、ゆがめられた言葉は
怒りを招き、危険この上ないと荘子はいいます。
安倍首相が都議選のときに発した、
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
という言葉。
「彼ら」といえば済むものを事態を不利にする。
心理状態を冷静に保つことの難しさがわかります。
揺れる心から発した言葉は、風波のように伝わり、
危険を招いていく。
新年早々言葉の危うさを再認識させる荘子の言葉
をお届けしました。
有無相生