老子小話 VOL 892 (2017.12.16配信)

知之者不如好之者。

好之者不如楽之者。

(論語、雍也第六)

 

これを知る者はこれを好む者に如かず。

これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

 

かれこれ50年近く、老荘に親しんでいます。

それゆえにこうやってメルマガを通して、

老荘らしき考えを毎週語る楽しみを得ました。

論語にこの流れを言い表すいい言葉を見つけました。

高一のときに漢文で老子や荘子に出会い、面白い考え

を持つ中国の賢人を知りました。

当時は学生運動を始めとして反体制運動が盛んで、

体制から一歩引いて物事を眺める見方に魅力を感じた

のかも知れません。

「老子」や「荘子」を学校の図書館で読み、気に入った

所をノートに書き写し、何度も読み返していました。

こうなると、「知る」から「好む」に移り、老荘の知識

が深まっていきました。

しかし楽しめるようになったのは、人生も後半になって

からです。

老荘を知識として深めても、それが日々の生活に結びつか

なければ、楽しむことになりません。

でも自然の中に老荘の道が現れていることを自ら発見していく

ことで、少しずつ老荘の考えが体にしみ込んでいきました。

四季の変化があり、生と死のサイクルが自然を育む仕組み

を至る所で感じられるのは、生きる喜びにつながります。

老荘を知らなくても、日々の生活からこの宇宙観に至る人々

は巷に大勢います。

彼らこそ老荘的な生き方を楽しむ人間で、老荘を知識とせずに

老荘が自分の身に沁みこんで生活しています。

そんなレベルを目指して、このメルマガを書き続けていきたい

と思っています。

 

有無相生

 

 

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