老子小話 VOL 889 (2017.11.25配信)

処世譲一歩為高。

退歩即進歩的張本。

(菜根譚)

 

世に処るには一歩を譲るを高しと為す。

歩を退くるは即ち歩を進むるの張本なり。

 

久しぶりの菜根譚です。

「人の世を生きていくには自分から一歩

譲るのがすぐれた道で、一歩譲る事が

一歩進める事の基本となる。」

道を歩いていても、道路を車で走っていても、

ひとより一歩先に行こうと追い抜いていく

人や車を見かけます。

相手がいくら悪くても、自分が事故に巻き込まれて

しまえば元も子もありません。

一歩先を譲って、危険な車やひとをやり過ごすことも

自己防衛の一つです。

トラブルに巻き込まれてその収拾に時間を費やすより、

ちょっと遅れてもトラブルを避ける方が、結局は早道

になります。

むきになって競争するから、気があせり、行動が荒く

なってきます。

広い世の中、老若男女問わず、そういう人は必ずいる。

「お先にどうぞ」とやり過ごした方が安心安全です。

英語ではGo ahead!と言います。

道を譲るときに使う便利な言葉です。

そう言われて、ありがとう(Thanks!)と返してくれる

人は、これまた心のゆとりのある人です。

気長に先を譲り背中を見送れば、マイペースを保てます。

一日は長く人生も長いのに、何で急いで先を争うの?

ちょっと先に行っても、最後は大した差ではない。

ゴールまで如何にして達したかが人生の醍醐味です。

と思うと、何となく先を譲る気持ちが湧いてきます。

老子も、「跨ぐ者は行かず」と言います。(第24章)

無理して大またで歩いても長続きしない。

結局マイペースを維持したものに勝てない。

 

有無相生

 

 

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