老子小話 VOL 887 (2017.11.11配信)

The time you enjoy wasting is not wasted time.

(Bertrand Russell)

 

ETVの「100分de名著」ではラッセルの「幸福論」

を放映中なので、今回は彼の言葉をお届けします。

「無駄を楽しむ時間なら、無駄に過ごされた時間に

ならない」

忙しい時間を割いて、束の間の旅行に出かけたり、

旧友と再会したりするのは、決して無駄な時間に

ならない。

束の間の時間を楽しめたかどうかが、無駄になるか

を決める。

精神を集中して緊張できる時間は長続きしない。

忙しい時間を割いて、外を散歩するだけでも

気分転換になり、思わぬ発見に出会う。

その時間は、緊張して疲れた精神を癒す。

緊張から解放され、ぼけっと何もしない時間は、

労働から見れば無駄になる。

でも労働に対向する憩いから見れば、貴重な

時間になり、決して無駄にならない。

緊張を続けて、疲れた心身で仕事をしても、

能率は上らない。

日本人の労働生産性が上らないのは、時間をかけた

ことが仕事をしているという勘違いから始まる。

大事なのは、時間をかけずにどれだけアウトプット

するかである。

気分転換により、仕事の緊張の中では浮かばなかった

アイデアに出会う。

仕事に関係ない人たちとの会話の中に意外と宝がある。

憩いの時間は憩いを楽しむ。

人間の脳は面白くできている。

緊張が続くと疲れてきて、間違いを起こしやすくなる。

同じ神経回路を使いすぎることによる疲労である。

こうなったら休ませるか別の回路に切り替えるしかない。

無駄な時間を楽しめないのは脳が仕事から離れないため。

結局仕事も息抜きも真剣に臨むことが無駄にならない。

無為の為は何もしないことではないと老子は言います。

無為は無駄に過ごすことではなく、緊張や執着から自分を

解放することであり、人間にとって大事な時間だと言って

いるようです。

ラッセルの言葉が老子に重なります。

 

有無相生

 

 

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