◆老子小話 VOL
883 (2017.10.14配信)
奢則不孫、儉則固、與其不孫也寧固。
(論語、述而第七)
奢れば則ち不孫、倹なれば則ち固(いや)し。
其の不孫ならんよりは寧ろ固しかれ。
衆議院選挙戦に突入しましたが、消費増税は論点の
ひとつです。
購買力が活気づけば増税しても景気が冷え込まない。
増税前の駆け込み消費も見込める。
購買力が低迷しているなら、増税すればますます
景気は落ち込む。
孔子は論語の中で、
「ぜいたくになれば尊大になり、倹約すれば頑固
になる。でも尊大より頑固のほうがよい。」
バブル景気のころを思い出すと、ぜいたく品があふれ、
いけいけの姿勢で、心まで尊大になっていました。
バブル崩壊後景気は冷え込み、倹約の大切さに
気づかされました。
金利がゼロに限りなく近くても、貯蓄をしないと
お金はたまりません。
倹約は将来の消費のために現在を固めること。
アリとキリギリスではありませんが、今の享楽の
ためにぜいたくをすれば、将来お金が必要なとき
困るのは目に見えています。
孔子さんに言われるまでもなく、頑固に徹する方が
いいに決まっています。
ぜいたくはお金の使い方の問題です。
借金をしてお金を使うのは、何に使おうがぜいたくです。
消費増税も子育て支援という目的へのすり替えは、
国の借金をそのままにして、子供が大人になって
子供のときの借金を払うことに過ぎません。
カード破産と同じです。
返せる見込みのない借金を繰り返し、国が破産すること
だけは避けたいものです。
アメリカでは奨学金返済できずに破産する問題が発生
しています。授業料が年間4,5百万円かかるので、
どうしたって借金をします。
しかし、そんな教育投資をしても、卒業後の収入が
返済に見合わず破産に追い込まれてしまいます。
子育て支援への財源は、所得税増税でまかなえば
済む話です。高収入の老人は収入に比例して消費が
増えるわけではなく、年齢に反比例して消費は減る
ようです。お金があっても物は欲しくなく、時間が
あってもどこにも行けない状態です。
意図的に倹約しているのではなく、心身が倹約モード
に入っているのです。
借金するのはぜいたくで、今ある収入の中でやりくり
するのが基本というのが孔子の立場です。
高齢者が尊大にならず、身の丈で生活するのは理に
かっていると言えます。
高齢者が借金できないのは、返済能力がないからです。
日本は超高齢化社会に入っており、借金を返済する
能力が低下する社会です。
これ以上借金をすれば、子育て支援を受けた子供まで
犠牲となるのは明らかです。
消費税はあくまで国の借金を減らすために使うべき、
というのが、論語の言葉から帰結された意見でした。
有無相生